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小規模宅地の特例 更新日:

【小規模宅地等の特例】建物を建て替えた場合の適用可否をタイミング別に徹底解説


こんにちは。
税理士法人トゥモローズです。

相続税申告において最重要特例の一つである小規模宅地等の特例、この特例が適用できるか否かによって相続税が数百万円、数千万円変わってくることは多々あります。
小規模宅地等の特例は、原則として被相続人が居住又は事業をしていた建物の敷地について適用ができます。
したがって、建物が取り壊されて更地や未完成の建物の宅地についてはこの特例の適用はできないこととなります。

今回は下記具体例に基づいて、建物を建て替えた場合に、その建て替えのタイミングと小規模宅地等の特例の適用関係にてついて徹底的に解説します。

【具体例】
被相続人 母(父は10年前に死亡)
相続人 長男
居住状況 母と長男家族が同居

死亡時に建替え中であった場合

母と長男家族で住んでいた家が老朽化したため、母と長男で二世帯住宅を建築中に母が死亡してしまったケースです。
このケースで小規模宅地等の特例が使えないと相続税の納税のために相続人の生活基盤である自宅を売却しないといけないケースだってでてきてしまうでしょう。

そのような酷な状況にならないために建築中に相続が起こった場合には、小規模宅地等の特例の適用ができるような手当がされています。
ただし、この建築中の家屋とは別の所有している家屋に居住していた場合には、建築中の家屋の敷地については特例の適用ができませんので注意が必要です。

ちなみに、建築業者と契約した時点や旧建物を解体した時点は建築中とは認められず、実際に物理的に地ならしや基礎工事が開始されて初めて建築中と考えます。

参考までに該当する通達を貼り付けますので興味のある方のみ確認してみてください。

租税特別措置法通達69の4-8
被相続人等の居住の用に供されると認められる建物(被相続人又は被相続人の親族の所有に係るものに限る。)の建築中に、又は当該建物の取得後被相続人等が居住の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合には、当該建物の敷地の用に供されていた宅地等が居住用宅地等に当たるかどうか及び居住用宅地等の部分については、69の4-5((事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合))に準じて取り扱う。

(注) 上記の取扱いは、相続の開始の直前において被相続人等が自己の居住の用に供している建物(被相続人等の居住の用に供されると認められる建物の建築中等に限り一時的に居住の用に供していたにすぎないと認められる建物を除く。)を所有していなかった場合に限り適用があるのであるから留意する。

上記通達で69の4-5に準用してますので、69の4-5を確認してみましょう。

租税特別措置法通達69の4-5
被相続人等の事業の用に供されている建物等の移転又は建替えのため当該建物等を取り壊し、又は譲渡し、これらの建物等に代わるべき建物等(被相続人又は被相続人の親族の所有に係るものに限る。)の建築中に、又は当該建物等の取得後被相続人等が事業の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合で、当該相続開始直前において当該被相続人等の当該建物等に係る事業の準備行為の状況からみて当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるときは、当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等は、事業用宅地等に該当するものとして取り扱う。
 なお、当該被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族又は当該建物等若しくは当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等を相続若しくは遺贈により取得した当該被相続人の親族が、当該建物等を相続税の申告期限までに事業の用に供しているとき(申告期限において当該建物等を事業の用に供していない場合であっても、それが当該建物等の規模等からみて建築に相当の期間を要することによるものであるときは、当該建物等の完成後速やかに事業の用に供することが確実であると認められるときを含む。)は、当該相続開始直前において当該被相続人等が当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったものとして差し支えない。(平19課資2-7、課審6-5、平19課資2-9、課審6-11、平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 当該建築中又は取得に係る建物等のうちに被相続人等の事業の用に供されると認められる部分以外の部分があるときは、事業用宅地等の部分は、当該建物等の敷地のうち被相続人等の事業の用に供されると認められる当該建物等の部分に対応する部分に限られる。

死亡後、申告期限までの間に建て替えた場合

母と長男家族で住んでいて、母が死亡後、申告期限までの間に自宅を建て替えてしまったケースです。
小規模宅地等の特例のうち、同居親族の場合には、居住継続要件があります。
申告期限までの間に建て替えてしまった場合には、この居住継続要件を満たさないこととなります。
しかし、このケースでも上記の建替え中に死亡してしまった場合と同様に、特例の適用が可能です。

こちらも通達を念のため転載しておきます。最後の注意書きの「措置法第69条の4第3項第2号イ」が本ケースを指してます。

租税特別措置法通達69の4-19
措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定において、同号に規定する親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)の事業の用に供されている建物等が同号イ又はロの申告期限までに建替え工事に着手された場合に、当該宅地等のうち当該親族により当該事業の用に供されると認められる部分については、当該申告期限においても当該親族の当該事業の用に供されているものとして取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 措置法第69条の4第3項第2号イ及びハ、同項第3号並びに同項第4号イ及びロの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。

老人ホーム入居後、死亡までの間に建て替えた場合

母と長男家族が同居していましたが、母が要介護の状態となって老人ホームに入居しました。
その後、長男は母と同居していた家が老朽化したため、その土地の上の建物を取り壊し、新しく家を建築しました。
母が戻ってきたときのことを考え、母の部屋も用意していました。
しかし、母はその新居に戻ることなく老人ホームで亡くなってしまいました。

さて、この場合には、長男が住んでいる新居の敷地は小規模宅地等の特例が適用できるでしょうか。
なお、老人ホーム要件継続要件は満たしているものとします。

このケースについて、国税庁の形式見解はないためあくまで私見ですが、小規模宅地等の特例の適用ができるのではないかと考えます。

小規模宅地等の特例の条文を文理解釈すると、被相続人が老人ホームに入居した場合には、「入居する直前に居住の用に供していた家屋の敷地」が特例の対象となります。すなわち、入居時に亡くなったものとした場合に要件を満たすかどうかで判断しますので、入居直前に居住の用に供していた家屋でない建て替え後の新築家屋の敷地では一見、要件を満たさないこととなります。

しかし、上記死亡時に建替え中であった場合のケースとの整合性を考えると老人ホーム入居後死亡までの間に建て替えたとしても特例の適用が可能ではないかと考えられます。(私見です)

※追記:
小規模宅地等の特例について、基本的な情報をわかりやすくまとめた記事を新たに作成いたしましたので、必要に応じて参考にしていただければと思います。
>>小規模宅地等の特例をわかりやすく解説。相続した土地にかかる相続税を最大80%減額

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