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営業許可を相続したときの手続き|業種別の承継可否(飲食店・宅建業・古物商ほか)

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 営業許可は業種ごとに根拠法が違うため、相続では「届出で承継できる」「認可が必要」「相続申告が必要」「承継できず返納・取り直し」の4タイプに分かれる。まず許可証の棚卸しから始める。
  • 飲食店などの食品営業許可・理容所・美容所などは、相続人が地位を承継でき、遅滞なく保健所(都道府県知事等)へ届出。
  • 宅地建物取引業免許は死亡で失効し、知った日から30日以内に届出(ただし既契約の結了目的では宅建業者とみなされる)。古物商許可は事由発生日から10日以内に返納。いずれも続けるなら新規取得。
  • 酒類販売業は相続申告が必要。建設業は死亡後30日以内の相続認可。期限の短いものから優先する。

お店や事業を営んでいた方が亡くなると、その「営業許可」をどう扱うかが問題になります。 許可は業種ごとに根拠となる法律が異なるため、相続でそのまま引き継げるものと、引き継げず取り直しが必要なものに分かれます。一律ではない点が、営業許可の相続の難しいところです。

間違った前提で進めると、無許可営業になったり、必要な届出を怠ったりするおそれがあります。本記事では、相続手続きと許認可の初動整理に対応する行政書士法人トゥモローズが、代表的な業種ごとの手続き・期限・届出先を整理します。なお、事業の承継にともなう相続税・準確定申告は税理士法人トゥモローズが対応します。


まず許可証・免許証・届出控えを棚卸しする

営業許可の相続は、まず故人がどんな許可を持っていたかを確認することから始まります。許可証・免許通知書・届出の控え・契約書類を集め、一覧にして棚卸しします。そのうえで、許可ごとに次の4タイプのどれに当たるかを判断します。

タイプ 内容 代表例
届出で承継できる 相続人が地位を承継し、遅滞なく届出 食品営業許可、理容所・美容所、クリーニング所
認可が必要 期限内に認可申請して地位を承継 建設業許可(死亡後30日以内)
相続申告が必要 遅滞なく所轄税務署へ申告して承継 酒類販売業免許
承継できず返納・取り直し 届出・返納のうえ、続けるなら新規取得 宅建業免許、古物商許可

どのタイプかで進め方も期限も違うため、10日・30日といった短い期限のものから優先して着手するのが鉄則です。


業種別の早見表

代表的な業種の扱いを整理すると、次のとおりです(実際の取扱いは所管庁で確認してください)。

業種・許可等 相続時の扱い 期限・窓口
飲食店・食品営業許可 地位承継+届出 遅滞なく管轄保健所へ
理容所・美容所 地位承継届 遅滞なく保健所へ
クリーニング所 地位承継届 遅滞なく保健所へ
旅館業 相続の承認申請 死亡後60日以内・都道府県知事(保健所)
公衆浴場 地位承継届 遅滞なく保健所へ
建設業許可(個人) 相続認可 死亡後30日以内
宅地建物取引業免許 承継不可(廃業等届出) 知った日から30日以内
古物商許可 承継不可(返納) 事由発生日から10日以内
酒類販売業免許 相続申告 遅滞なく所轄税務署へ
風俗営業 相続の承認申請 死亡後60日以内・公安委員会(警察署生活安全課)

許可ごとに、①承継できるか取り直しか、②届出の期限、③相続人が満たすべき要件の3点を確認します。期限の短い順に整理すると、優先順位が分かりやすくなります。

期限 許可・免許 手続き
事由発生日から10日以内 古物商許可 許可証の返納
知った日から30日以内 宅建業免許 廃業等の届出
死亡後30日以内 建設業許可 相続認可申請
死亡後60日以内 旅館業・風俗営業 相続の承認申請
遅滞なく 食品営業許可・理容所・美容所・クリーニング所・公衆浴場 地位承継届
遅滞なく 酒類販売業免許 相続申告

以下、主な業種を見ていきます。


飲食店・食品営業許可(地位の承継)

飲食店営業などの食品営業許可は、相続による地位の承継が認められています。 許可営業者について相続があったときは、相続人が許可営業者の地位を承継し、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて都道府県知事等に届け出る必要があります(食品衛生法第56条第2項)。届出書の様式・添付書類は食品衛生法施行規則第68条に定められています。届出先は実務上は管轄の保健所で、保健所を設置する市や特別区では市長・区長が窓口です。

相続人が複数いる場合は、全員の同意で承継する相続人を1人選び、その人が地位を承継します。届出には、戸籍謄本または法定相続情報一覧図、相続人全員の同意書などが求められるのが一般的です。施設・設備に変更がある場合は、別途手続きが必要なこともあります。


許可証を見れば判定できます。期限の早いものから整理

営業許可は、承継できる許可・返納や廃業届が必要な許可・新規取得が必要な許可に分かれます。死亡後30日以内・10日以内など短い期限のものもあるため、まず故人の許可証・免許通知書・届出控えを洗い出し、承継可否の判定と期限管理を行います。承継届・廃業届・返納・新規申請の段取りから戸籍収集・相続手続き全体まで、行政書士法人トゥモローズがサポートします。相続税・準確定申告は税理士法人トゥモローズと連携します。

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理容所・美容所・クリーニング所など生活衛生関係

理容所・美容所、クリーニング所、公衆浴場などの生活衛生関係の施設は、相続・事業譲渡・合併などで地位を承継した場合、遅滞なく保健所へ「地位承継届」を提出する取扱いです(理容師法第11条の3、美容師法第12条の2、クリーニング業法第5条の3、公衆浴場法第2条の2)。相続人全員の同意書が求められることがあるほか、施設の構造設備に変更がある場合は別途確認が必要です。

一方、旅館業と風俗営業は「承認制」で、期限も厳格です。旅館業は、相続人が引き続き営もうとするとき、被相続人の死亡後60日以内に都道府県知事へ承認を申請します(旅館業法第3条の4)。風俗営業は、被相続人の死亡後60日以内に公安委員会へ相続承認を申請します(風営法第7条)。いずれも承認・不承認の通知があるまでは、被相続人への許可が相続人にされたものとみなされます。なお、産業廃棄物処理業などは、処理業の許可と処理施設の設置許可で扱いが異なるため、所管の都道府県・政令市へ個別に確認します。


宅地建物取引業免許(承継不可・既契約は結了可)

宅地建物取引業免許は、死亡によって失効します。相続人は、死亡の事実を知った日から30日以内に、免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)へ廃業等の届出をしなければなりません(宅建業法第11条)。

ただし、重要な例外があります。免許が失効しても、すでに締結済みの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では、相続人(一般承継人)は宅建業者とみなされます(宅建業法第76条)。新規の営業は不可ですが、進行中の取引を結了させる範囲に限り手続きを進められます。事業を続ける場合は、相続人が新規免許を取得する必要があり、専任の宅地建物取引士の設置など、新規免許でも要件を満たさなければなりません。


古物商許可(10日以内に返納)

古物商許可には相続による承継の規定がなく、許可を受けた人が亡くなると許可は失効します。許可証は、返納事由が発生した日から10日以内に、主たる営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して返納します(古物営業法第8条、同法施行規則第7条)。返納自体に手数料はかかりません。

古物営業を続ける場合は、相続人が新たに古物商許可を取得する必要があります。新規許可には審査期間がかかるため、その間は古物営業を行わないよう注意します。


建設業許可(死亡後30日以内の相続認可)

個人事業主の建設業許可は、死亡後30日以内に相続認可を申請することで、空白期間なく承継できます(建設業法第17条の3)。被相続人が営んでいた建設業の全部を引き継ぐのが原則で、相続人が経営業務の管理体制・営業所技術者等の要件を満たすことが必要です。期限を過ぎると新規許可の取り直しになります。


酒類販売業免許(相続申告)

酒類販売業免許は、免許を受けていた方に相続があり、相続人が引き続き販売業を行おうとする場合、遅滞なく、販売場の所在地の所轄税務署長へ相続の申告を行います(酒税法第19条)。ただし、申告すれば当然に継続できるわけではなく、相続人が酒税法上の拒否要件に該当しないことなどが前提となるため、販売場を所管する税務署へ事前に確認します。


法人で許可を取得していた場合

法人で営業許可を取得していた場合、代表者が亡くなっても法人格は存続するため、許可そのものは原則として継続します。ただし、亡くなった方が役員・管理者・専任の有資格者を兼ねていた場合、その変更により許可要件を欠くおそれがあります(変更届の期限は許可ごとに異なります)。後任の確保や役員変更届などの対応を早めに確認します。株式(持分)の相続も別途整理します。


事業を継ぐ場合の税務

営業許可の手続きと並行して、事業用資産・借入金の承継や、税務の手続きも必要です。個人事業の場合、亡くなった年の所得について準確定申告(相続の開始を知った日の翌日から4か月以内)が必要になり、事業を続ける相続人は開業の届出などを行います。

このほか、相続人が事業を引き継ぐ場合は、消費税の納税義務の判定(被相続人の課税売上高を引き継ぐ判定がある)、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録、青色申告承認申請、給与支払事務所等の届出なども確認が必要です。とくに飲食店・建設業・古物商などでは、許認可の承継可否と税務の届出を並行して整理します。

相続税では、事業に使っていた宅地が特定事業用宅地等に当たれば、小規模宅地等の特例により評価額を減額できる場合があります。こうした税務の判断・申告は税理士の業務のため、準確定申告・事業用資産の評価・特例の適用はまとめて税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【準確定申告】申告期限は4カ月!提出していなかった場合のペナルティも解説!


行政書士法人トゥモローズのサポート

行政書士法人トゥモローズでは、故人が持っていた許可証・免許証・届出控えの洗い出し、承継可否の判定、期限管理、承継届・廃業届・返納・新規申請の段取り、戸籍収集・相続人確定・遺産分割協議書の作成まで一体でサポートします。相続税・準確定申告・消費税は税理士法人トゥモローズと連携します。

相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 古物商を相続して続けたい場合、どのように進めますか?

A. 古物商許可は一身専属で、相続では引き継げません。続けたい場合は、まず失効した許可の返納(期限あり)を済ませ、営業を担うご本人が改めて許可を申請します。新規の審査には日数がかかるため、その間は古物の取引を休止し、申請準備を早めに始めるのが安全です。あわせて、欠格事由に該当しないかの確認も必要になります。

Q2. 宅建業を営んでいた個人が亡くなった場合、進行中の取引はどうなりますか?

A. 宅地建物取引業免許は死亡で失効し、相続人が死亡を知った日から30日以内に廃業等の届出をします。ただし、すでに締結済みの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では、相続人は宅建業者とみなされます(宅建業法第76条)。新規の営業はできませんが、既契約の決済・引渡しなどは進められます。

Q3. 食品営業許可の承継届はいつまでに、どこへ出せばよいですか?

A. 食品衛生法では、相続人は許可営業者の地位を承継し、遅滞なくその旨を都道府県知事等に届け出るとされています。届出先は実務上は管轄の保健所で、保健所を設置する市や特別区では市長・区長が窓口です。明確な日数の定めはありませんが、相続後はできるだけ早く届け出るのが安全です。

Q4. 法人で営業許可を取得していた場合はどうなりますか?

A. 法人で許可を取得していた場合、代表者が亡くなっても法人格は存続するため、許可そのものは原則として継続します。ただし、亡くなった方が役員・管理者・専任の有資格者を兼ねていた場合は、その変更により許可要件を欠くおそれがあります。まず許可の名義が個人か法人かを確認し、要件の充足状況を点検します。

Q5. 許可業種が複数ある場合はどう進めますか?

A. 故人が複数の許可を持っていた場合は、許可ごとに承継できるか取り直しかが異なります。それぞれの根拠法・所管庁・期限を確認し、10日・30日など期限の早いものから優先して進めます。まず許可証や契約書類をすべて洗い出し、一覧にして整理すると、漏れや期限切れを防げます。


まとめ

営業許可の相続は、業種で扱いが分かれます。飲食店などの食品営業許可・理容所・美容所は地位承継+遅滞なく保健所へ届出建設業は死亡後30日以内の相続認可酒類販売業は遅滞なく所轄税務署へ相続申告宅建業免許は失効し30日以内に届出(既契約の結了目的ではみなし業者)、古物商は10日以内に返納が原則です。まず許可証を棚卸しし、許可ごとに承継可否・期限・要件を所管庁へ確認して、期限の早いものから進めましょう。事業を継ぐ場合の準確定申告・相続税は税理士と連携します。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、許可の洗い出し・承継届・廃業届・新規申請の段取りから戸籍収集・相続手続き全体まで、許認可を含む相続手続きをサポートしています。相続税・準確定申告は税理士法人トゥモローズと連携します。


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根拠法令・公的資料

  • 食品衛生法第56条(許可営業者の地位の承継。第2項で遅滞なく都道府県知事へ届出)・食品衛生法施行規則第68条(地位承継届)
  • 理容師法第11条の3第2項・美容師法第12条の2第2項・クリーニング業法第5条の3第2項・公衆浴場法第2条の2第2項(相続等による地位承継届)
  • 旅館業法第3条の4(相続の承認。被相続人の死亡後60日以内)
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第7条(相続の承認。死亡後60日以内に公安委員会へ)
  • 宅地建物取引業法第11条(死亡時の廃業等の届出。知った日から30日以内)・第76条(取引結了目的の範囲でのみなし宅建業者)
  • 古物営業法第8条(許可証の返納)・同法施行規則第7条(返納は事由発生日から10日以内)
  • 酒税法第19条(相続による製造業・販売業の申告。遅滞なく所轄税務署長へ)
  • 建設業法第17条の3(建設業の相続認可・死亡後30日以内)
  • 税理士法第2条・第52条(準確定申告・相続税は税理士の業務)
  • 行政書士法第1条の3(許可申請・届出書類の作成等)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。