猟銃・日本刀を相続したときの手続き|死亡後の許可証返納・登録証・発見届
10秒でわかる この記事の要約
- 猟銃・空気銃の所持許可は本人だけのもの(一身専属)。所持者が亡くなると許可は失効し、死亡の事実を知った日から10日以内に所持許可証等を返納する(銃刀法)。銃・実包はまず警察へ連絡する。
- 相続した銃は、自己判断で動かさず、処分(譲渡・廃棄)するか、相続人自身が所持許可を取得する。許可失効後は、原則として失効日から50日以内に処分・譲渡・新規許可などの措置が必要(銃刀法第8条)。当面の保管も警察に相談する。
- 登録証のある刀剣(美術品)は、相続で取得したら20日以内に登録の事務を行った都道府県教育委員会へ所有者変更を届け出る(銃刀法第17条)。登録証と現物が一致していることが前提。
- 登録証が見当たらない刀剣は、まず登録の有無を照会し、確認できれば再交付、確認できなければ発見した場所を管轄する警察署へ発見届(銃刀法第23条)。
遺品整理をしていて、故人の猟銃や日本刀が見つかることがあります。これらは「銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)」で厳しく規制されており、知らずに放置・所持すると法律違反になりかねません。 相続したからといって、当然に持ち続けられるわけではないのです。
銃と刀剣では手続きがまったく異なり、登録証の有無でも対応が変わります。本記事では、相続手続きと許認可の初動整理に対応する行政書士法人トゥモローズが、猟銃・刀剣類を相続したときの手続きを、初動フローと注意点まで含めて整理します。なお、美術的価値のある刀剣などの相続税評価は税理士法人トゥモローズが対応します。
まず確認|見つかったものごとの初動フロー
猟銃・空気銃などの「銃砲」と、日本刀などの「刀剣類」は、いずれも銃刀法で規制されていますが、相続したときの初動はものによって異なります。見つけたら自己判断で動かさず、まず適切な窓口に連絡することが共通の鉄則です。
| 見つかったもの | 最初にすること | 次の手続き |
|---|---|---|
| 猟銃・空気銃 | 警察署の生活安全課へ連絡 | 所持許可証を10日以内に返納。処分または新規許可を検討 |
| 実包(弾)・火薬類 | 銃と同時に警察へ申告 | 自己判断で廃棄・保管しない |
| 登録証のある刀剣 | 現物と登録証の一致を確認 | 20日以内に教育委員会へ所有者変更届 |
| 登録証が見当たらない刀剣 | 教育委員会へ登録照会 | 登録が確認できれば再交付 |
| 登録不明・未登録の刀剣 | 発見場所を管轄する警察署へ連絡 | 発見届、登録審査会で鑑定 |
とくに銃は、保管方法も法律で定められているため、相続人が許可なく持ち続けること自体が問題になりえます。主な期限を一覧にすると次のとおりです。
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 猟銃・空気銃の所持許可証の返納 | 死亡の事実を知った日から10日以内 | 警察署生活安全課 |
| 許可失効後の銃の処分・譲渡・新規許可等の措置 | 失効日から50日以内 | 警察署生活安全課 |
| 登録証のある刀剣の所有者変更届 | 取得から20日以内 | 登録した都道府県教育委員会 |
| 登録証のない刀剣の発見届 | 速やかに | 発見場所を管轄する警察署 |
次から、それぞれ詳しく見ていきます。
猟銃・空気銃|許可証の返納と処分(まず警察へ)
猟銃・空気銃の所持許可は、許可を受けた本人だけに与えられたもの(一身専属)です。そのため、所有者が亡くなると許可は効力を失い、相続人がそのまま所持することはできません。
最初にすべきは、住所地を管轄する警察署(生活安全課)への連絡です。許可を持たない人が銃を持ち続けること自体が不法所持につながりかねないため、自己判断で移動・保管・譲渡をせず、警察の指示を受けながら進めます。あわせて、所持許可を受けていた方が亡くなった場合は、死亡の届出をする義務のある人が、死亡の事実を知った日から10日以内に所持許可証等を返納しなければなりません(銃刀法)。
そのうえで、相続した銃の扱いは次のいずれかになります。重要なのは、許可が失効した銃は、原則として失効した日から50日以内に、所持許可の取得・適法な所持者や銃砲店への譲渡・廃棄などの措置をとる必要がある点です(銃刀法第8条第6項)。50日以内に措置がないと、公安委員会から銃砲の提出を命じられ仮領置されることがあります。期限・保管・運搬の判断を誤ると不法所持につながるため、必ず警察署の生活安全課の指示に従ってください。
- 処分する:銃砲店に引き取ってもらう、他の所持許可者へ譲渡する、警察の指示に従い廃棄する
- 相続人が新たに所持許可を取得する:相続人自身が狩猟・射撃のために許可を取り直す
処分では、銃砲店への引取りや廃棄に費用がかかる場合があります(金額は銃の種類や店により異なるため複数に確認すると安心です)。譲渡は、相手が適法に所持できる許可を持っていることが前提です。一方、新たに所持許可を取得する場合は、猟銃等講習会の受講、技能講習、各種審査などを経るため一定の時間がかかります。取得までの間の保管方法も含めて警察に相談します。
なお、銃と一緒に実包(弾)や火薬が残っていることもあります。実包・火薬類は火薬類取締法の規制対象で、勝手な保管・廃棄はできず、譲受けには猟銃用火薬類等の譲受許可(申請先は住所地を管轄する警察署生活安全課)が必要になる場合があります。銃本体とあわせて、弾や火薬の有無も警察に伝え、ガンロッカー・装弾ロッカーの中身も点検します。
猟銃・実包が見つかったら、まず警察へ連絡を
銃・実包は自己判断で動かさず、警察署の生活安全課へ。そのうえで、行政書士法人トゥモローズが、許可証の返納や登録証がある・ない・紛失した場合の手続きの流れ、所有者変更届、戸籍収集、相続手続き全体の整理をサポートします。相続税評価は税理士法人トゥモローズと連携します。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
登録証のある刀剣は20日以内に所有者変更届
日本刀などの刀剣類のうち、美術品・骨とう品として価値のあるものは、銃砲刀剣類登録証が交付されていることがあります。登録証があれば、その刀剣は適法に所持できます。ただし、登録証と現物(銘・寸法など)が一致していることが前提です。登録証だけを譲り渡すことは違法であり、登録証は必ず刀剣とセットで保管・引き継ぎます。
登録証のある刀剣を相続で取得した場合は、取得から20日以内に、その登録の事務を行った都道府県の教育委員会へ所有者の変更を届け出る必要があります(銃刀法第17条)。東京都の場合は東京都教育委員会が窓口です。届出をしても所持できる状態が続くため、刀剣を手放さずに引き継げますが、期限を過ぎないよう早めに手続きします。
なお、登録証がある刀剣であっても、正当な理由なく持ち歩くことはできません(登録刀剣にも携帯・運搬の制限が準用されます。銃刀法第21条)。鑑定・売却・登録審査会への持参などで移動が必要な場合は、登録証を添え、運搬方法を教育委員会または警察に確認してから行います。
登録証が見当たらない刀剣の扱い
遺品の中から、登録証の見当たらない刀剣が出てきた場合は、勝手に所持・運搬してはいけません。ただし、「登録証がない=未登録」と直ちに決めつけないことが重要です。過去に登録されている刀剣でも、登録証だけを紛失していることがあるためです。次の順序で確認します。
- 登録の有無を照会する:登録先と思われる都道府県教育委員会へ連絡し、登録番号・旧所有者の住所氏名などから登録記録を照会する
- 登録が確認できた場合:登録証の再交付を申請する。登録証を紛失している場合は、教育委員会への照会に加えて、警察署で遺失物届が必要になることがある
- 登録が確認できない・未登録の場合:刀剣を発見した場所を管轄する警察署(交番ではなく警察署の生活安全課)へ事前に電話連絡し、発見届を提出する(銃刀法第23条)
発見届を出すと、警察から「発見届出済証」が交付されます。これは登録審査を受けるための証明であって、登録証や所持許可証そのものではありません。審査会までの保管・持参方法は警察署・教育委員会の指示に従います。発見届は発見した場所を管轄する警察署に提出しますが、その後の登録審査は、原則として発見者・所有者の住所地の都道府県教育委員会で受けます。登録審査会で美術品として登録できるか鑑定を受け、継続して所持するには登録証の交付を受ける必要があります。登録できない刀剣(武器としての性格が強いものなど)は、所持できず処分の対象になることがあります。見つけたらまず電話で相談し、運び方も確認してから動かしましょう。
財産としての価値と相続税
由緒ある日本刀などは、美術品として高い財産的価値を持つことがあります。価値のある刀剣は、相続財産として相続税の対象になります。
評価では、低額な動産は家財一式としてまとめて評価できる一方、美術的価値の高い刀剣は、書画骨とう品・美術品として個別に評価が必要になることがあります。国税庁の財産評価基本通達では、一般動産は原則として1個または1組ごとに、売買実例価額・精通者意見価格などを参酌して評価し、家庭用動産等で1個または1組の価額が5万円以下のものは一括して評価できるとされています。鑑定が必要になることもあり、評価・相続税の判断は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。手続き(登録・届出)と財産としての評価は、別々に整理しておくと漏れがありません。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):家庭用財産(家財一式)の相続税評価をわかりやすく徹底解説!
行政書士法人トゥモローズのサポート
当法人では、猟銃・刀剣類の届出や処分の段取りの整理、戸籍収集・相続人の確定・相続手続き全体のサポートを行います。銃は警察、登録刀剣は教育委員会と窓口が分かれて分かりにくいため、何をどの順で進めるかを整理してご案内します。
なお、発見届や現物確認などは、ご本人(相続人)による対応や現物の持参を求められる運用があります。当法人のサポートは、手続きの段取り整理・書類作成・窓口確認・相続手続き全体の調整が中心となり、警察・教育委員会での手続きそのものはご本人対応を前提に進めます。美術的価値のある刀剣などの相続税評価は税理士法人トゥモローズと連携します。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 猟銃の所持者が死亡した場合、所持許可証はいつまでに返納しますか?
A. 所持許可を受けていた方が亡くなると許可は失効し、死亡の届出をする義務のある人が、死亡の事実を知った日から10日以内に所持許可証等を返納しなければなりません(銃刀法)。銃本体・実包・火薬の扱いは自己判断せず、まず住所地を管轄する警察署の生活安全課へ連絡し、指示を受けてください。
Q2. 銃や弾を自宅に置いたままにしておくと罰則はありますか?
A. 所持許可のない人が銃や実包を持ち続けると、不法所持として銃刀法違反に問われるおそれがあります。相続して許可を持たない状態になったら放置せず、自己判断で移動・保管・譲渡をせずに、まず警察署(生活安全課)へ連絡して保管や処分の方法について指示を受けてください。
Q3. 登録証が見当たらない刀剣は、発見届と再交付のどちらの手続きですか?
A. まず登録の有無を確認します。過去に登録されている可能性があれば、登録先と思われる都道府県教育委員会へ照会し、登録が確認できれば登録証の再交付を申請します。登録が確認できない場合や未登録の刀剣は、発見した場所を管轄する警察署へ連絡し、発見届の手続きに進みます。直ちに「未登録」と決めつけないことが大切です。
Q4. 模造刀やナイフも届出が必要ですか?
A. 美術品として登録された日本刀などの刀剣類が、登録・所有者変更届の対象です。土産物の模造刀など刀剣類に当たらないものは登録制度の対象外のことが多いですが、登録制度の対象外であっても、刃体の長さなどによっては携帯や所持自体が規制される刃物もあります。判断に迷うものは、勝手に処分・所持せず警察に確認します。
Q5. 価値のある刀剣を売却したら税金はかかりますか?
A. 相続した刀剣を売却して利益が出た場合、譲渡所得として所得税がかかることがあります。また、相続した時点では相続財産として相続税の対象になります。相続税・譲渡所得いずれも税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。売却前に評価を確認しておくと、税負担の見通しが立てやすくなります。
まとめ
故人の猟銃・刀剣類は、相続しても当然に持ち続けられません。猟銃・空気銃は所持許可を引き継げず、まず警察へ連絡し、死亡を知った日から10日以内に許可証を返納したうえで、処分か新規許可を検討します。登録証のある刀剣は20日以内に教育委員会へ所有者変更届、登録証が見当たらない刀剣は、登録照会→再交付、確認できなければ発見届という順で進めます。放置や勝手な所持・運搬は不法所持になりかねないため、見つけたらまず適切な窓口に連絡しましょう。価値のある刀剣の相続税・売却時の税は税理士と確認します。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、猟銃・刀剣類の届出や処分の段取りの整理から、戸籍収集・相続手続き全体まで、安全に進められるようサポートしています。美術的価値のある刀剣などの相続税評価は税理士法人トゥモローズと連携します。
関連記事
美術品・書画骨とう品の相続税評価もあわせてご確認ください
美術的価値のある日本刀は、家財一式ではなく、書画骨とう品・美術品として個別評価が必要になることがあります。動産・家庭用財産・書画骨とう品の相続税評価については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)第3条(所持の禁止・許可)
- 銃刀法第8条(許可の失効・許可証の返納。死亡の場合は死亡の届出義務者が知った日から10日以内に返納。失効した銃砲等は失効日から起算して50日以内に譲渡・廃棄・新規許可等の措置)
- 銃刀法第14条・第17条(刀剣類の登録・相続等による所有者変更の届出20日以内)
- 銃刀法第18条(登録証は銃砲刀剣類と一体で扱う・登録証のみの譲渡禁止)
- 銃刀法第21条(登録刀剣にも携帯・運搬の制限を準用)
- 銃刀法第23条(発見及び拾得の届出)
- 火薬類取締法第17条(譲渡・譲受の許可)、猟銃用火薬類等の譲渡、譲受け、輸入及び消費に関する内閣府令
- 財産評価基本通達128・129・130(一般動産の評価・売買実例価額等・5万円以下の一括評価)
- 税理士法第2条・第52条(刀剣等の評価・相続税は税理士の業務)
- 行政書士法第1条の3(届出書類の作成等)
