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銀行預金の相続手続き完全ガイド|銀行別の必要書類と所要期間

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 口座は役所への死亡届で自動凍結されるわけではなく、銀行が家族からの死亡連絡・訃報などで死亡を把握した時点で入出金が制限されます。
  • 凍結後も民法第909条の2(2019年7月施行)により、相続人は単独で「相続開始時の預貯金債権額×1/3×法定相続分(同一金融機関からの払戻しは150万円が上限)」まで払戻しを受けられ、葬儀費用などに充てられます。
  • 解約・名義変更は銀行ごとに所定書式で個別手続きが必要で、必要書類が揃ってから2週間〜1か月が目安(ネット銀行は郵送のため1〜2か月かかる傾向)です。
  • 法定相続情報一覧図の活用・原本還付・行政書士への代行依頼で、複数銀行の手続きを効率的に並行処理できます。

銀行預金の相続手続きとは、被相続人名義の預貯金について、金融機関が死亡を把握して口座を凍結した後、相続人・受遺者・遺言執行者等が戸籍、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、遺言書、印鑑証明書、金融機関所定の書類を提出し、解約・名義変更・払戻しを受ける手続きのことです。 被相続人名義の預貯金は相続財産に含まれ、原則として遺産分割の対象になります。そのため、金融機関は、相続人・取得者・遺言執行者等を確認できる書類が整うまで、通常の払戻しを制限します。役所に死亡届を出しても銀行口座が自動凍結されるわけではなく、銀行が死亡を把握した時点で入出金が制限されます。

被相続人の銀行預金は、銀行が死亡を把握した時点で凍結されます。凍結された預金を解約・名義変更するには、銀行ごとに異なる書類を揃え、各銀行で個別に手続きする必要があります。

銀行口座の相続は、①死亡連絡による口座凍結、②残高証明書の取得、③戸籍・遺言書・遺産分割協議書等の準備、④各銀行所定書類の提出、⑤払戻し・解約・名義変更、という順で進みます。死亡後の無断引出しは相続人間の紛争や単純承認の問題になり得るため、必要資金は民法第909条の2の払戻し制度を検討します。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、銀行預金の相続手続きを実務目線で完全解説します。


口座凍結のタイミングと影響

凍結の契機

  • 家族・相続人・遺言執行者から銀行への死亡連絡
  • 新聞訃報等により銀行が死亡を把握した場合
  • 相続手続きの申出

役所へ死亡届を提出しただけで、銀行口座が自動的に凍結されるわけではありません。

凍結の影響

  • 預金引出し不可
  • 公共料金等の自動引落し停止
  • 振込・送金不可
  • ATM・キャッシュカード利用不可

遺産分割前の払戻し制度

制度の概要

遺産分割前の預貯金の払戻しには、金融機関で相続人が単独請求できる民法第909条の2の制度(2019年7月施行)と、家庭裁判所の判断(遺産分割の調停・審判における仮分割の仮処分)を受けて払戻しを受ける方法の2つがあります。本記事では、主に金融機関窓口で利用する民法第909条の2の払戻し制度を説明します。

払戻し可能額

相続開始時の預貯金債権額 × 1/3 × その相続人の法定相続分(ただし、同一金融機関からの払戻しは150万円が上限)

用途

  • 葬儀費用の支払い
  • 相続税納付の頭金
  • 当面の生活費
  • 賃貸住宅費等の固定費

【実務上のポイント】

この払戻し制度は、あくまで相続人が単独で当面の資金を確保するための応急的な仕組みであり、相続人がいることを前提とした制度です。相続人がいない場合や、頼れる相続人が近くにいない場合には、死亡直後の葬儀・納骨・各種精算に備えて、生前に死後事務委任契約や遺言執行者の指定を検討しておくことが重要です。


手続きの全体フロー

相続手続きフロー

STEP 1 銀行に死亡通知 → 凍結
STEP 2 残高証明書を取得(相続税申告用)
STEP 3 戸籍・遺産分割協議書等の必要書類準備
STEP 4 銀行所定の相続手続依頼書を提出
STEP 5 解約・名義変更(2週間〜1か月)

メガバンクの必要書類

必要書類 備考
被相続人の出生〜死亡の戸籍 法定相続情報一覧図で代用可
相続人全員の戸籍 同上
相続人全員の印鑑証明書 有効期限(3か月以内・6か月以内等)は銀行ごとに異なるため各行に確認
遺産分割協議書または遺言書 自筆証書遺言・秘密証書遺言は家庭裁判所の検認済証明書、法務局保管制度利用時は遺言書情報証明書が必要になることがある
銀行所定の相続手続依頼書 署名押印が必要な人は、遺言の有無・遺産分割協議の内容・遺言執行者の有無・各銀行の運用により異なる
通帳・キャッシュカード 紛失時は申告書

主要銀行別の特徴

金融機関 書類・運用の特徴
三菱UFJ銀行 法定相続情報一覧図を提出する場合、戸籍謄本の提出は原則不要。印鑑証明書は発行日より6か月以内(被相続人名義の借入がある場合は3か月以内)。遺産分割協議書・遺言書等の原本は確認後に返却される運用
三井住友銀行 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍等が基本。法定相続情報一覧図の利用可否・有効期限の扱いは公式案内で確認
みずほ銀行 法定相続情報一覧図の利用に対応。必要書類・所要期間は公式案内で確認
ゆうちょ銀行 「相続確認表」を最初に提出し、その内容に基づいて「貯金等相続手続請求書」等の必要書類が個別に案内される独自フロー
ネット銀行 店舗がないため郵送・Web申請中心。必要書類・所要期間は銀行ごとの運用に左右されるため個別確認が必要

※各行の要件・書式は変更されることがあるため、手続き前に必ず各銀行の最新の公式案内をご確認ください。


ゆうちょ銀行の必要書類

ゆうちょ銀行は他行と手続きの流れが異なり、まず「相続確認表」を提出し、その内容に基づいて必要書類が個別に案内されます。

  • 相続確認表(ゆうちょ銀行所定)
  • 貯金等相続手続請求書
  • 被相続人の戸籍(遺言書がない場合、公式案内では婚姻(初婚・未婚の場合は16歳)から死亡までの連続した戸籍謄本が例示されています)
  • 相続人の印鑑登録証明書(相続人側の戸籍の要否は公式案内に従って確認)
  • 通帳・カード

ゆうちょは全国ネットワークのため、最寄り郵便局窓口での手続きが可能です。


地銀・信金の必要書類

地銀・信金もメガバンクと類似の書類セットですが、各行所定の書式を使う必要があります。事前に窓口で書式を入手してください。


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複数銀行を効率化する方法

効率化の3工夫

  1. 法定相続情報一覧図を作成し、戸籍束の代わりに使用
  2. 原本還付を申し出て、書類を再利用
  3. 行政書士に代行依頼し、複数銀行を並行処理

預金相続でつまずきやすいポイント

名義預金の取り扱い

被相続人が家族(配偶者・子)の名前で開設していた口座(いわゆる名義預金)は、実質的所有者である被相続人の相続財産として扱われます。預金の入出金履歴・通帳保管者・印鑑管理者などから実質判定が行われ、相続税申告では特に問題化しやすい論点です。具体的な税務判定・申告は税理士の独占業務のため、税理士法人トゥモローズが対応します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):名義預金とは?相続税の対象になる判断基準と税務調査対策を徹底解説

休眠口座・忘れていた口座

10年以上取引のない預金は休眠預金となり、民間公益活動に活用される仕組みがあります。ただし、休眠預金となっても権利が消滅するわけではなく、相続人は取引金融機関を通じて払戻しを請求できます。郵便物・カード等から手掛かりを探し、心当たりの金融機関に照会してください。

マル優・代理人カード・家族管理口座など特殊な口座

障害者等のマル優口座(少額貯蓄非課税制度)、代理人カードの利用、家族が管理していた口座などは、一般の普通預金と確認事項が異なることがあります。名義人・実質管理者・届出印・通帳保管者を確認し、金融機関と税理士に確認しながら進めます。

ネット銀行の手続き

楽天銀行・住信SBIネット銀行など、ネット銀行は実店舗がないため、Web申請や郵送を中心に進みます。戸籍・印鑑証明書・遺産分割協議書など原本確認が必要な書類は郵送提出を求められることが多く、対面型銀行より1〜2週間長くかかる傾向があります。


手続き前の準備と段取り

死亡後の資料の保全

死亡後は、通帳・キャッシュカード・銀行からの郵便物・取引明細などを散逸しないよう保管します。ネットバンキングへの無断ログインや、キャッシュカードによる無断引出しは、相続人間の紛争や単純承認の問題につながるおそれがあるため避けるべきです。必要な取引明細は、相続人として金融機関に正式に請求して取得します。

「口座の絞り込み」を先行

被相続人が複数の金融機関と取引していた場合、すべての銀行への手続きは膨大になります。残高の少ない口座は休眠化させ、メインバンクに集約しておくことを、当法人では生前の終活の一環としてご提案しています。終活段階での口座整理が、将来の相続実務を大幅に簡素化します。

メガバンク・ネット銀行の所要期間の差

メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)は対面窓口があり、書類提出後2〜3週間で解約完了します。ネット銀行(楽天銀行・住信SBIネット銀行など)は全て郵送のため1〜2か月かかります。早めに手続きを開始することが重要です。

銀行への提出書類の代替手段

戸籍束の代わりに法定相続情報一覧図を提出できる銀行が増えています。一覧図の写しは必要通数の交付を無料で受けられますが、追加交付には保存期間等の制限があるため、複数銀行を同時進行する場合は必要通数を見込んで取得しておくと効率的です。当法人では一覧図の作成・申出代行も標準サービスに含めています。


特殊なケース・商品への対応

「相続預金の即時引出し」制度

民法第909条の2に基づく遺産分割前の払戻し制度では、相続人は単独で「相続開始時の預貯金債権額×1/3×法定相続分」まで払戻しを請求できます(同一金融機関からの払戻しは150万円が上限)。葬儀費用・当面の生活費として活用できる重要な制度です。

「定期預金」と「投資信託」の違い

定期預金は名義変更・解約手続きで完了しますが、銀行で投資信託・外貨預金・保険商品を保有している場合は、普通預金・定期預金とは手続きや評価方法が異なります。投資信託は基準価額が日々変動するため、相続税評価や換金時期の判断が必要になり、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):投資信託の相続税評価方法と控除できる源泉徴収税額を徹底解説!

「貸金庫」の開扉手続き

被相続人が貸金庫を契約していた場合、相続人による開扉手続きが別途必要です。相続人全員の立会いまたは委任状が求められる金融機関が多く、貸金庫内容の事前確認は実務上困難です。

「外貨預金」の取扱い

外貨預金は、相続時の為替レートで日本円換算した額が相続税評価額となります。為替変動リスクを考慮した相続手続きが必要です。具体的な税務処理は税理士法人トゥモローズが連携対応します。

凍結前の引き出しは慎重に

死亡後に被相続人の預金を引き出して使用すると、使途や金額によっては他の相続人との紛争や、相続財産の処分として法定単純承認(民法第921条。相続放棄ができなくなる)を主張されるリスクがあります。葬儀費用等の支払いであっても、領収書・明細を残し、自己判断で多額の引出しをしないことが重要です。相続放棄の可能性がある場合は、特に慎重に対応すべきです。当面の資金が必要な場合は、民法第909条の2の払戻し制度を利用するのが安全です。


オンライン手続き・デジタル資産の動向

「ネット銀行」のオンライン手続き

ネット銀行のなかには、Webサイト上での相続手続き申請や必要書類のアップロードに対応するところも増えています。一方で、最終的な書類の郵送が必要なことが多く、対面店舗のあるメガバンクより時間がかかる傾向は依然として残ります。

「メガバンク」の相続専用窓口

メガバンクでは、相続専用の窓口やコールセンターを設け、手続きの案内を行っています。事前に電話で必要書類を確認しておくと、窓口での手戻りを減らせます。

「キャッシュレス決済」残高の取扱い

QRコード決済・電子マネー・ポイント残高などのデジタル資産は、各社の利用規約により死亡時の承継・払戻しの扱いが異なります。生前整理では、銀行口座だけでなく、決済アプリ・電子マネー・ポイントサービスの一覧も作成しておくと、遺族の調査負担を減らせます。


手続き完了までのチェックポイント

「事前準備」が成否を分ける

銀行手続きの成否は、事前準備の充実度で大きく変わります。必要書類の漏れがあると、何度も窓口に通う羽目になります。

「銀行ごとの書式」を確認

各銀行は独自の相続手続書式を持っています。事前に該当銀行の最新書式を入手し、記入してから窓口を訪問します。

「平日昼間の時間確保」

銀行窓口は平日昼間のみです。仕事を休む必要があるため、有給休暇の活用や代行依頼を検討します。

「行政書士代行」のメリット

複数銀行への手続きは、行政書士による代行が効率的です。お客様は提出書類を渡すだけで、各銀行への対応は当法人が代行します。

「最終確認」を忘れずに

預金解約後、残高証明書・取引明細書などの最終書類を取得します。相続税申告・遺産分割記録に活用するため、必ず保管します。


よくある誤解と正しい理解

銀行預金の相続については、誤解が多い論点があります。第一に「死亡したら自動的に口座が凍結される」という誤解です。凍結は銀行が死亡を把握した時点で行われるもので、役所に死亡届を出しても銀行に自動連携はされません。家族からの連絡・訃報などが契機となります。

第二に「凍結されたら一切引き出せない」という誤解です。2019年施行の民法改正により、遺産分割前でも相続人単独で「預貯金残高×1/3×法定相続分(1金融機関150万円上限)」の払戻しが可能です(民法第909条の2)。葬儀費用や当面の生活費に充てられます。

第三に「キャッシュカードで引き出しておけば問題ない」という誤解です。死亡後の引き出しは、他の相続人とのトラブルや単純承認とみなされるリスク(相続放棄ができなくなる)を伴います。借金の有無が不明な段階では、被相続人の口座には手を付けず、正規の手続きで進めることが安全です。

相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 口座凍結はいつ起きますか?

A. 銀行が名義人の死亡を把握した時点で入出金が制限されます。家族・相続人からの銀行への死亡連絡や、新聞訃報などが契機となります。役所への死亡届の提出だけで自動的に凍結されるわけではありません。

Q2. 凍結された口座から葬儀費用を引き出せますか?

A. 民法第909条の2により、相続人は単独で「相続開始時の預貯金債権額×1/3×法定相続分」(同一金融機関からの払戻しは150万円が上限)の払戻しが可能です。葬儀費用や当面の生活費に充当できます。

Q3. 相続手続きにはどのくらい期間がかかりますか?

A. 必要書類が揃ってから2週間〜1か月が目安です。銀行・支店の混雑状況により変動します。

Q4. 複数の銀行口座がある場合は?

A. 各銀行で個別に手続きが必要です。法定相続情報一覧図を活用することで、戸籍束の重複提出を避けられます。

Q5. 行政書士に代行を依頼できますか?

A. はい、預金解約・名義変更の代行は行政書士の業務範囲です。複数銀行の手続きを一括で進められるため、効率的です。


まとめ

銀行預金の相続手続きの軸は、「銀行口座は死亡届で自動凍結されない。ただし死亡後の無断引出しは危険。必要資金は民法第909条の2の払戻し制度を使い、通常の解約は銀行ごとの所定手続きで進める」こと。複数銀行を効率的に処理するには、法定相続情報一覧図の活用と専門家依頼が有効です。

東京・中央区八丁堀の行政書士法人トゥモローズでは、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・ゆうちょ銀行・地銀・信金・ネット銀行など、複数金融機関にまたがる預貯金相続手続きを、戸籍収集・法定相続情報一覧図の作成から一括でサポートしています。相続税申告が必要な場合は、税理士法人トゥモローズと連携して進めます。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第896条(相続の一般的効力)
  • 民法第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
  • 民法第921条(法定単純承認)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。