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合併・破綻した銀行の古い通帳・証書を相続したら|承継先・休眠預金

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 遺品を整理していたら、今はもう名前を聞かない銀行の古い通帳や証書が出てきた——。「この銀行はもうないはず」「10年以上動いていない口座だが、まだお金は残っているのか」と不安になる方は少なくありません。
  • まず整理したいのは、「銀行がなくなった」といっても、商号変更・合併・事業譲渡・破綻・解散・支店の廃止で扱いが異なる点です。商号変更・合併・事業譲渡なら承継銀行を特定して照会しますが、破綻・清算の場合は、すべての預金が承継銀行へ全額引き継がれるとは限りません
  • また、10年以上取引のない休眠預金も、経済的な価値が失われるわけではなく、取引のあった金融機関を通じて所定の払戻し(休眠預金等代替金)を受けられます。
  • 本記事では、旧金融機関の状態別の確認先、預金保険の保護範囲、休眠預金の法的な仕組み、承継先の調べ方と相続時預貯金口座照会の限界、証書の商品区分、必要書類・仮払い・相続税評価までを、相続手続きを専門に扱う行政書士が整理します(相続税評価・名義預金の判断は税理士、預金の帰属や払戻し拒否に争いがある場合は弁護士と連携します)。

まず「旧金融機関の状態」で確認先を分ける

旧金融機関の状態 主な確認先 注意
商号変更・合併 現在の存続銀行 通常は預金契約を承継
事業譲渡 預金債務を譲り受けた金融機関 商品・店舗ごとに承継先を確認
破綻 承継銀行・受皿銀行・管財人・預金保険機構等 預金保険の上限超過部分は全額保証ではない
解散・清算 清算人・破産管財人・承継主体 現在の銀行へ当然に承継されているとは限らない
支店の廃止 同じ銀行の統合先店舗 銀行自体は存続している
休眠預金 取引のあった金融機関 休眠預金等代替金の払戻し
郵便貯金 ゆうちょ銀行・郵政管理支援機構 旧郵便貯金法の別制度

「古い通帳が出てきたが、どこへ行けばいいのか」「破綻した銀行の預金は戻るのか」「10年放置の口座は引き出せるのか」——。

旧銀行が商号変更・合併・事業譲渡でなくなった場合は、原則として承継銀行を特定して口座の有無・残高を照会します。一方、破綻・清算の場合は、預金保険の保護範囲や破綻時の処理方法、承継銀行・受皿銀行・管財人等を確認して請求先を特定します。長期間取引のない休眠預金も、取引金融機関を通じて所定の払戻しを受けられます。

なお、古い預金の相続税評価や、被相続人以外の名義になっている預金(名義預金)の判断は税理士、預金の帰属や払戻しの可否に争いがある場合は弁護士の領域です。承継先・口座の存否・残高・払戻しの可否は金融機関等が判断します。行政書士は、争いがない範囲で、旧銀行名・支店名・商品名などの資料整理、戸籍に基づく相続関係資料の整理、金融機関への必要書類の確認や相続書類の提出支援を担います。


「廃止された銀行」を状態別に分ける|合併・破綻・解散は扱いが違う

「銀行がなくなった」といっても、法的な状態はさまざまで、確認先も変わります。

商号変更・合併・事業譲渡——承継先を特定する

銀行が名前を変えた(商号変更)、他の銀行と一緒になった(合併)、預金業務を別の銀行に譲った(事業譲渡)場合は、原則として預金契約が承継銀行に引き継がれています。現在の存続銀行・譲受銀行を特定して照会します。

破綻・解散——「全額承継」とは限らない

一方、金融機関が破綻・清算した場合は、すべての預金が承継銀行へ全額引き継がれるとは限りません。預金保険の保護範囲、破綻時の処理方法(承継銀行・受皿銀行・資金援助・管財人など)を確認し、請求先を特定する必要があります。「銀行がなくなった=どこかが必ず全額を引き継いでいる」と考えないことが大切です。

支店の廃止は、銀行自体は存続している

取引していた支店が廃止・統合されただけであれば、銀行自体は存続しています。統合先の店舗で手続きします。

銀行預金の相続手続き全体の流れは銀行預金の相続手続きの記事もご覧ください。


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

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破綻した銀行の預金は「預金保険」の範囲を確認する

破綻した金融機関の預金は、預金保険によって保護されますが、全額とは限りません。

預金の種類 預金保険による保護
決済用預金(無利息・要求払い・決済機能の3要件) 全額保護
利息付き普通預金・定期預金等(一般預金) 預金者1人・1金融機関あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等
1,000万円を超える部分 破綻金融機関の残余財産の状況に応じて支払われ、一部支払われない可能性がある

決済用預金は全額、一般預金は1,000万円まで

決済用預金(無利息・要求払い・決済機能の3要件を満たすもの)は全額保護されます。利息のつく普通預金・定期預金などの一般預金は、預金者1人につき1金融機関あたり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。1,000万円を超える部分は、破綻金融機関の残余財産の状況に応じて支払われるため、一部が支払われない可能性があります。

対象となる金融機関・商品も確認する

  • 外国銀行の在日支店は、日本の預金保険制度の対象外です。本店所在国の預金保護制度が適用されるか、在日支店・本店・清算人等へ個別に確認してください。
  • 農協(JA)・漁協(JF)の貯金は、預金保険ではなく農水産業協同組合貯金保険制度で保護されます。
  • 破綻時の手続きの窓口は、必ずしも承継銀行とは限りません。承継銀行・受皿銀行・管財人・預金保険機構等のどこが窓口かを確認します。

被相続人の口座がある金融機関が過去に破綻していた場合は、当時の処理方法と現在の請求先を確認したうえで、相続手続きを進めます。


旧銀行の通帳・証書が出てきた相続を、承継先・破綻・休眠預金・口座照会の切り分けと相続書類の準備から支えます。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、合併・破綻した銀行の古い通帳・証書を含む相続手続きについて、旧銀行名・支店名・口座番号・商品名・旧姓・旧住所・通帳・証書の記載の整理・戸籍に基づく相続関係資料の整理・承継先金融機関への照会や相続書類の準備・手続き全体の段取りを、相続人からの委任と各金融機関の取扱いに応じて支援します。初回相談では、これらの手がかりを整理し、合併後の承継銀行・破綻処理先・休眠預金・相続時預貯金口座照会のどの手続きが必要かを切り分けます(承継先・口座の存否・残高・払戻しの可否は金融機関等、古い預金・名義預金の評価・修正申告は税理士、帰属や払戻し拒否の争いは弁護士、登記は司法書士と連携。全国オンライン相談・郵送に対応)。初回相談無料。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


休眠預金は「代替金請求権」に変わる|価値が消えるわけではない

長年動いていない口座で心配なのが休眠預金ですが、経済的な価値が失われるわけではありません。ただし、法的な仕組みは正確に理解しておく必要があります。

休眠預金になると、元の預金債権はいったん消滅する

休眠預金等活用法の対象となる預貯金のうち、2009年1月1日以後の最終異動日から10年以上異動がないものは、所定の公告・通知等を経て「休眠預金等」となります。金融機関が休眠預金等移管金を預金保険機構へ納付すると、法律上、元の預金債権はいったん消滅します(休眠預金等活用法)。なお、金融債、貸付信託、投資信託、民営化前の郵便貯金等は、同じ古い通帳・証書でも別制度です。

代わりに「休眠預金等代替金請求権」を取得する

もっとも、預金者・相続人は、これと引き換えに預金保険機構に対する「休眠預金等代替金」の請求権を取得します。そして、取引のあった金融機関を通じて、元本と所定の利子相当額の支払を請求できます。つまり、休眠預金になっても、相続人が受け取れる経済的価値そのものは失われません。移管後も取引金融機関で払戻しを受けられますので、必要書類等は金融機関へ確認してください。制度の概要は金融庁「休眠預金等活用法について」もご参照ください。

ゆうちょ(郵便貯金)は別制度

同じ「古い口座」でも、民営化前の郵便貯金(旧定額郵便貯金など)は、休眠預金とは別の制度で、一定期間を過ぎると権利が消滅する取扱いがあります。ゆうちょ・郵便貯金の古い証書は郵便貯金の権利消滅の記事で解説しています。


承継先の調べ方と、相続時預貯金口座照会の限界

「銀行変遷史データベース」で承継先を追う

旧銀行が今どこに引き継がれているかは、全国銀行協会の「銀行変遷史データベース」で調べられます。次の流れで進めます。

  1. 旧銀行名・本店所在地・通帳の発行時期を確認する
  2. 全国銀行協会「銀行変遷史データベース」で前身・後継の銀行を追う
  3. 承継銀行へ、預金債務の承継の有無を確認する
  4. 破綻・解散なら、預金保険機構・管財人等の案内を確認する
  5. 旧支店名・口座番号を、現在の情報へ読み替える

変遷史データベースは沿革を追う手がかりですが、これだけで法的な承継を確定したと断定せず、最終確認は現在の金融機関等へ行ってください。

相続時預貯金口座照会は「すべての口座を探す制度」ではない

複数の金融機関の口座をまとめて調べられる相続時預貯金口座照会という制度がありますが、万能ではありません。

・対象は原則としてマイナンバーが付番された口座で、一部の金融機関は照会・受付の対象外です。
・通知されるのは金融機関名・支店名・預貯金の種類・口座番号等で、残高は通知されません
・結果は口座の存否や相続財産であることを証明するものではなく、口座が存在しても記載されない場合があります。
・申込みは1件5,060円、結果通知まで1か月程度かかります。
・照会先の金融機関へ死亡が通知され、口座が停止される可能性があります。
・対象外・未付番の口座は、個別に照会する必要があります。

申込みは「死亡から10年以内」・相続人1人で可

相続時預貯金口座照会を申し込めるのは、被相続人の死亡から10年後までです。相続人が複数いる場合も、相続人・包括受遺者のうち1人で申し込めます(通常の払戻手続とは別です)。ただし、照会時点でマイナンバーの付番が完了している口座のみが原則の対象で、死亡から10年を過ぎた場合や未付番の口座は、金融機関ごとの個別照会が必要です。

確認項目 制限
申込期限 被相続人の死亡から10年後まで
申込人 相続人・包括受遺者のうち1人で可
対象口座 照会時点でマイナンバー付番済みの口座
死亡から10年超・未付番 各金融機関への個別照会が必要

制度の対象範囲はデジタル庁「預貯金口座付番制度」もご確認ください。取引のあった金融機関を、通帳・郵便物・キャッシュカードなどの手がかりから洗い出すことも引き続き有効です。財産全体の調べ方は相続財産の調べ方の記事もご覧ください。


旧通帳・カード・証書の役割と、全店照会・口座調査

旧通帳・旧証書・旧カードは「特定するための資料」

旧通帳・旧証書・旧キャッシュカードは、旧銀行名・支店名・口座番号・商品名を特定する重要な資料です。ただし、旧キャッシュカードがそのままATMで使えるとは限らず、旧通帳だけで払戻しが完了するわけでもありません。承継先の金融機関へ提示し、現在の口座番号・残高・必要書類を確認してください。

証書は「商品」を見分ける

古い証書は、預金とは限りません。商品によって手続き先が変わります。

証書の商品 主な対応
定期預金・定期積金 本記事の預金手続(承継先で相続手続き)
金融債・公社債 債券としての償還・承継を確認
貸付信託・金銭信託(ビッグ等) 信託銀行・承継銀行へ照会
投資信託 証券会社・信託銀行の口座を確認
郵便貯金 旧郵便貯金の別制度で対応

貸付信託(ビッグ)などの受益証券は貸付信託・ビッグの相続の記事もご覧ください。

「全店照会」は銀行ごとの取扱い

一部の金融機関では、複数店舗を対象とした口座照会を受け付けています。ただし、全店照会は法定の統一制度ではありません。対象店舗・商品・過去記録・旧姓や旧住所による検索・代理申請の可否は金融機関ごとに異なります。照会の際は、次の情報を整理して伝えるとスムーズです。

  • 現在の氏名/旧姓・旧字体・カナ表記/生年月日/旧住所
  • 利用可能性のある支店/旧銀行名/商品名
  • 口座番号・証書番号/おおよその取引時期

被相続人が旧姓で口座を作っていた場合は旧姓の口座の相続の記事もご覧ください。

通帳・証書がない場合

通帳・証書がなくても、金融機関が被相続人名義の口座を特定できれば、相続人として残高証明書等を請求できる場合があります。ただし、検索条件・記録の保存状況・必要書類・代理申請の可否は金融機関ごとに異なり、口座の存在が必ず確認できるとは限りません。


相続手続きの必要書類と、遺産分割前の仮払い

必要書類は「遺言・遺産分割の状況」で変わる

必要書類は、遺言の有無、遺言執行者、単独相続人か、遺産分割の状況、仮払いの利用、金融機関の取扱いによって異なります。まず金融機関所定の相続届・必要書類一覧を取得し、その案内に従って、戸籍・法定相続情報一覧図・遺言書・遺産分割協議書・委任状・印鑑登録証明書などを準備します。戸籍の集め方は相続の戸籍収集の記事、一般的な銀行相続手続きの流れは銀行預金の相続手続きの記事もご覧ください。

遺産分割前の「仮払い」制度

遺産分割が済む前でも、葬儀費用や当面の生活費のために、金融機関の窓口で単独で払戻しを受けられる仮払い制度があります(民法909条の2)。窓口で単独払戻しを受けられる金額は、次の算式で計算します。

相続開始時の預貯金残高 × 3分の1 × その相続人の法定相続分を上限とし、かつ1金融機関あたり150万円まで
払戻しを受けた額は、その相続人が遺産の一部分割を受けたものとして扱われます。

古い口座に一定の残高がある場合にも利用を検討できます。詳しくは預貯金の仮払い制度の記事もご覧ください。行政書士は、戸籍に基づく相続関係資料の整理と、承継先金融機関へ提出する相続書類の準備を担い、段取りを支援します。


税務(定期の既経過利息・破綻・休眠)と、専門家の役割分担

預貯金の相続税評価

古い休眠預金も含め、被相続人の預貯金は相続財産として相続税の課税対象です。評価は預金の種類で異なります(財産評価基本通達203)。

  • 普通預金:原則として死亡日現在の残高で評価します。
  • 定期預金等:預入高に、死亡日時点で解約した場合の既経過利息から源泉所得税・復興特別所得税相当額を控除した金額を加えて評価します。
  • 破綻金融機関の預金:国税庁が「金融機関が破綻した場合における預金に係る相続税の取扱い」を公表しています。預金保険で保護される部分は通常の預貯金として評価し、保護されない部分は、破綻処理の進行状況・弁済見込額・回収可能額等を踏まえて評価します。
  • 休眠預金等移管金の納付後:元の預金債権ではなく、休眠預金等代替金請求権として支払可能額を確認します。

「名義預金」に注意

古い口座を調べる過程で、配偶者や子など被相続人以外の名義でも、実質的に被相続人が管理・拠出していた名義預金が見つかることがあります。名義預金は名義にかかわらず被相続人の相続財産として扱われる場合があり、判断は税理士の領域です。名義預金の考え方は関連解説(税理士法人トゥモローズ)「名義預金が税務調査で否認される6つのパターン」で解説されています。

申告後に古い預金が判明したら

相続税の申告後に古い預金が判明し、計上し直した結果、税額が増える場合は修正申告を検討します(相続税の修正申告の解説)。なお、休眠預金等移管金の納付後の休眠預金等代替金請求権を直接扱う国税庁の公表事例は確認できないため、取引金融機関が示す死亡日時点の支払可能額・利息相当額を資料として、税理士へ確認してください。

役割分担

  • 承継先・口座の存否・残高・払戻しの可否:金融機関等(承継銀行・預金保険機構)
  • 古い預金・名義預金の相続税評価・修正申告:税理士
  • 預金の帰属・払戻し拒否に争いがある場合:弁護士
  • 不動産がある場合の相続登記:司法書士
  • 資料整理・戸籍収集・相続書類の準備・認められる範囲の照会/提出支援:行政書士

行政書士は、相続人間に争いがない範囲で書類準備と照会を支援しますが、一括した口座検索や残高の回収を保証するものではありません。遺産分割の後に別の古い口座が見つかった場合は遺産分割後に財産が見つかった場合の記事もご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 取引していた銀行が合併でなくなりました。古い通帳のお金は引き出せますか?

A. 商号変更・合併・事業譲渡でなくなった場合は、原則として預金が承継銀行に引き継がれているため、承継先を特定して相続手続きをすれば払戻しを受けられます。まず全国銀行協会の「銀行変遷史データベース」で前身・後継の銀行を追い、現在の承継銀行に、相続人であることを示して口座の有無と承継の有無を確認します。旧通帳・旧カードは口座を特定する資料になりますが、旧カードがそのまま使えるとは限らず、旧通帳だけで払戻しが完了するわけでもありません。合併で支店名や口座番号が変わっていることもあるため、記載だけで判断せず承継銀行に確認してください。データベースだけで法的な承継を確定せず、最終確認は現在の金融機関へ行います。

Q2. 取引していた銀行が過去に破綻していました。相続では何を確認しますか?

A. 確認は二段階です。第一に、その破綻が当時どう処理されたか——別の銀行が引き継いだのか、受皿の銀行がつくられたのか、清算されたのか——を調べ、いまの請求先を特定します。破綻のときの窓口は、合併のときの引き継ぎ先と同じとは限りません。第二に、被相続人の預金が保険でどこまで守られ、限度を超えた分の精算が済んでいるか、まだ請求できる残りがあるかを確かめます。利子の付かない決済用の口座は全額、利子の付く預金は預金者ごとに一定額までが守られる一方、それを上回った分は、破綻した金融機関に残った財産しだいで戻らないこともあります。外国の銀行の日本支店や、農協・漁協は、保護の枠組みが異なります。古い事案で記録が心配でも、当時の受皿となった金融機関や公的機関の案内をたどれば、相続人が確認できることが多いです。

Q3. 相続人が複数います。古い口座の払戻しは誰が進めますか?

A. 相続人が複数いる場合、誰が窓口となるか、誰の署名・押印・委任状が必要かは、遺言の有無、遺言執行者、遺産分割の状況、仮払いの利用、金融機関の取扱いによって異なります。代表となる相続人を定めることはできますが、代表者だけで払戻しまで完了できるとは限りません。まず金融機関所定の必要書類一覧を取得し、どの相続人の関与が必要かを確認してください。古い口座は少額のこともありますが、少額でも相続財産に含まれるため、一人が独断で引き出すのではなく、取得者を決めてから手続きするのが安全です。なお、相続時預貯金口座照会については、通常の払戻手続とは別に、相続人のうち1人で申込みができます。

Q4. 被相続人が亡くなってから10年以上たっています。相続時預貯金口座照会を利用できますか?

A. 利用できません。相続時預貯金口座照会は、被相続人の死亡から10年後までが申込期限です。10年を経過している場合は、通帳、郵便物、旧姓・旧住所、旧銀行名・支店名などを整理し、各金融機関へ個別に照会してください。また、マイナンバーが付番されていない口座も、この制度の対象外となるため、同じように個別の照会が必要です。心当たりの承継銀行や、破綻していた場合の受皿金融機関に、相続人であることを示して口座の有無を確認します。時間がたつほど手がかりが減るため、見つかった資料をまとめて早めに照会するのが確実です。

Q5. 被相続人がどこの銀行と取引していたか分かりません。まとめて調べられますか?

A. 相続時預貯金口座照会という制度がありますが、すべての口座を探せる万能の制度ではありません。対象は原則としてマイナンバーが付番された口座で、一部の金融機関は対象外です。通知されるのは金融機関名・支店名・預貯金の種類・口座番号などで、残高は通知されず、口座の存否や相続財産であることを証明するものでもありません。申込みは1件5,060円、結果通知まで1か月程度かかり、照会先の金融機関へ死亡が通知されて口座が停止される可能性もあります。対象外・未付番の口座は個別に照会が必要です。通帳・郵便物・キャッシュカードなどの手がかりからの洗い出しと併用してください。


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

まとめ

亡くなった方の古い通帳・証書が出てきたら、まず旧銀行が商号変更・合併・事業譲渡・破綻・解散・支店廃止のどれに当たるかで確認先を分けます。商号変更・合併・事業譲渡なら承継銀行を特定して照会しますが、破綻・清算はすべての預金が全額承継されるとは限らず、預金保険の保護範囲(一般預金は元本1,000万円と利息等まで)や請求先を確認します。

10年以上動いていない休眠預金は、移管金の納付で元の預金債権はいったん消滅しますが、休眠預金等代替金の請求権を取得し、取引金融機関を通じて払戻しを受けられます(価値は失われません)。承継先は全国銀行協会の銀行変遷史データベースで追い、最終確認は現在の金融機関へ。相続時預貯金口座照会は付番口座のみ・残高は通知されない・口座停止の可能性など限界があります。

通帳がなくても口座を特定できれば残高証明を請求できる場合があり、遺産分割前の仮払い(残高×1/3×法定相続分・1金融機関150万円まで)も使えます。税務では、定期預金は既経過利息(源泉所得税等控除後)を加えて評価し、名義預金や申告後判明分の修正申告は税理士が判断します。行政書士は資料整理・戸籍収集・相続書類の準備を、書類の面から支えます。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、合併・破綻した銀行の古い通帳・証書を含む相続手続きについて、旧銀行名・支店名・商品名などの資料整理、戸籍に基づく相続関係資料の整理、承継先金融機関への照会や相続書類の準備を、相続人からの委任と各金融機関の取扱いに応じて支援します。古い預金・名義預金の相続税評価・申告は税理士法人トゥモローズと連携して対応します。


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根拠法令・公的資料

  • 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(休眠預金等活用法)2条・4条・7条(休眠預金等の定義・移管・代替金の支払)
  • 預金保険法(銀行破綻時の預金者保護。一般預金は1金融機関あたり元本1,000万円と利息等、決済用預金は全額)
  • 民法896条(相続の一般的効力。預貯金債権の承継)・909条の2(遺産分割前の預貯金の払戻し=仮払い。1金融機関150万円まで)
  • 相続税法22条(財産の評価)・財産評価基本通達203(預貯金の評価。定期預金は既経過利息から源泉所得税・復興特別所得税相当額を控除)※評価・申告は税理士
  • 戸籍法(相続関係を証明する戸籍・除籍等)/行政書士法(相続関係書類・提出書類の作成)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。