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不動産クラウドファンディングを相続する方法|契約承継・償還・口座閉鎖

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 「亡くなった家族が不動産クラウドファンディングに出資していたらしい」——。スマホやパソコンで完結する小口の不動産投資が広がり、相続の場面でも、通帳に載らないネット上の出資が見つかるケースが増えています。
  • 本記事が対象とするのは、不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産クラウドファンディングです。融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)やセキュリティトークンなど、不動産に関わる他の金融商品では、適用法・契約関係・相続手続・税務が異なります。
  • 不特法型の契約は、匿名組合型・任意組合型・賃貸委任契約型に分かれ、類型によって相続の扱いが変わります。とくに多い匿名組合型では、投資家が亡くなっても契約は当然には終了しませんが、相続人が会員口座をそのまま使えるわけでも、複数の相続人へ地位が自動的に分割されるわけでもありません。実際の扱いは運営事業者の約款によります。
  • 本記事では、契約類型ごとの相続の扱い、匿名組合員が死亡したときの考え方、代表相続人と会員口座の閉鎖、分配金の税務までを、相続手続きを専門に扱う行政書士が整理します(約款の法的解釈や争いは弁護士、分配金・出資の評価は税理士、不動産登記は司法書士と連携します)。

まず「適用法・契約当事者・契約類型・約款」を確かめる

最初に確認する事項 確認する内容
適用法・商品タイプ 不動産特定共同事業法(不特法)型か、融資型(金融商品取引法)・その他の金融商品か
契約当事者・営業者 サービス名だけでなく、契約当事者・営業者/業務執行組合員・電子取引を行う事業者を書面・約款で確認
契約の類型 匿名組合型か・任意組合型か・賃貸委任契約型か
死亡時の約款の定め 死亡で終了・代表相続人1名へ承継・中途解約のいずれか
運用状況・残高 ファンドごとの出資額・運用状況・未払分配金・未投資残高を一覧化
相続人が複数か 会員口座は当然に分割されない。代表相続人・取得者を決める

「ネット上の出資は、どこへ連絡すればいいのか」「出資したお金は戻るのか、相続人が引き継げるのか」——。

不動産クラウドファンディングの相続では、まず不特法型かどうかを確認し、サービス名だけでなく契約当事者(営業者・業務執行組合員など)と契約類型、死亡時の扱いを定めた約款を確認することが出発点です。

なお、約款の法的な解釈や、出資の帰属・返還に争いがある場合は弁護士、分配金や出資の相続税評価・所得税の申告は税理士、不動産登記は司法書士の領域です。承継の可否・償還額・払戻しは運営事業者が約款に基づいて判断します。行政書士は、争いがない範囲で、戸籍に基づく相続関係資料の整理・運営事業者への照会や相続手続きに必要な書類の準備を担います。


本記事の対象|不特法型を扱う(融資型・STは別制度)

「不動産クラウドファンディング」と呼ばれるサービスには、適用される法律が異なるものが混在します。

本記事は「不特法型」を対象

本記事が扱うのは、不動産特定共同事業法(不特法)に基づき、許可・登録を受けた事業者がインターネットで投資家から出資を募り、不動産の運用収益を分配する仕組み(電子取引業務)です。一方、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)セキュリティトークンなどは、主に金融商品取引法などが適用され、契約関係・相続手続・税務が異なります。まず、被相続人の出資がどのタイプかを確認します。

「サービス名」と「契約当事者」は同じとは限らない

相続手続で特定すべきなのは、ブランド名やウェブサイト名だけではありません。匿名組合契約の営業者・任意組合の業務執行組合員・出資金や分配金を管理する事業者・電子取引業務を行うプラットフォーム運営者が異なる場合があります。契約成立時の書面や約款で、実際の契約当事者を確認してください。

「元本保証」ではない

不動産クラウドファンディングは投資であり、元本保証はありません。優先劣後方式などでリスクを抑える商品もありますが保証ではなく、運用状況によっては元本割れの可能性があり、相続でも出資額そのままが戻るとは限りません。オンライン完結で通帳・証券が残らないため、まず被相続人のメール・アプリ・入出金履歴などから事業者を洗い出します(財産全体の調べ方は相続財産の調べ方の記事もご覧ください)。


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契約類型で相続の扱いが変わる|匿名組合型・任意組合型・賃貸委任契約型

相続の扱いは、契約の類型によって異なります。まず、被相続人の契約がどれかを約款で確認します。

契約類型 仕組み 相続の基本的な扱い
匿名組合型(商法535条・多い) 投資家(匿名組合員)が営業者に出資し、利益の分配を受ける。出資は営業者の財産に属し(商法536条1項)、匿名組合員は営業者の行為について第三者に権利義務を負わない(同4項) 相続対象は「出資金そのもの」ではなく、契約上の地位・既発生の利益分配請求権・契約終了時の出資価額返還請求権・未投資残高等。死亡は当然の終了事由ではない(商法541条)が、終了/代表相続人への承継/中途解約は約款による
任意組合型(民法667条) 対象不動産等を組合財産として共同保有する(通常の共有と同じように各自が自由に処分できるとは限らない) 組合員の死亡は脱退事由(民法679条)。中心となるのは死亡脱退に伴う持分払戻請求権。不動産共有持分を取得するか金銭で精算されるかは契約・登記次第
賃貸委任契約型 投資家が共有する対象不動産を、事業者へ賃貸し、または賃貸業務を委任する 不動産共有持分・賃貸/委任契約上の地位・未収分配金を区別。不動産登記の要否は司法書士へ確認

匿名組合型は「出資は営業者の財産・第三者に権利義務を負わない」

匿名組合型では、投資家(匿名組合員)が営業者に出資し、その営業から生じる利益の分配を受けます(商法535条)。出資したお金は営業者の財産に属し(商法536条1項)、匿名組合員は営業者の業務執行・代表をせず、営業者の行為について第三者に対して権利義務を負いません(同条4項)。そのため、相続の対象になるのは「預けた出資金そのもの」ではなく、契約上の地位や各種の請求権です(次の見出しで詳しく説明します)。

任意組合型は「持分払戻請求権」が中心

任意組合型では、対象不動産等が組合財産として共同保有され、一般の共有不動産のように各自が自由に持分を処分できるとは限りません。組合員の死亡は民法679条の脱退事由となり、原則として相続人が承継する中心的な財産は死亡脱退に伴う持分払戻請求権です。相続人が組合員の地位を承継する場合や、払戻しとして不動産共有持分を現物取得する場合は例外的な取扱いで、組合契約上の根拠・他の組合員の同意・登記手続を個別に確認します。賃貸委任契約型は、投資家が共有する不動産を事業者へ賃貸・委任する仕組みで、不動産共有持分・契約上の地位・未収分配金を区別して扱います。


ネット上の不動産クラウドファンディングの相続を、契約当事者の特定・約款の確認・会員口座の閉鎖まで支えます。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、不動産クラウドファンディング(不特法型)を含む相続手続きについて、戸籍に基づく相続関係資料の整理・運営事業者への照会・相続手続き書類の準備・会員口座の閉鎖の段取りを、相続人からの委任と各運営事業者の取扱いに応じて支援します。初回相談では、契約成立時書面・約款・会員画面の残高資料・入出金履歴を確認し、契約類型・契約当事者・運用中ファンド・未払分配金・未投資残高・死亡時の終了/承継条項を整理します。そのうえで、代表相続人への承継・中途解約・償還待ちのいずれになるかを事業者へ確認し、必要な相続書類と遺産分割協議書を準備します(約款の解釈・争いは弁護士、分配金・出資の評価・申告は税理士、登記は司法書士と連携。全国オンライン相談・郵送に対応)。初回相談無料。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


匿名組合員が死亡しても当然には終了しないが、承継は約款次第

匿名組合型で誤解されやすいのが、「出資した本人が亡くなったら契約は自動的に終わって出資金が返る」「相続人がそのまま口座を引き継げる」という思い込みです。

商法上、匿名組合員の死亡は「当然の終了事由」ではない

匿名組合契約が当然に終了するのは、①事業の成功または不能、②営業者の死亡・後見開始、③営業者または匿名組合員の破産手続開始の場合です(商法541条)。「匿名組合員(投資家)の死亡」は含まれていません。したがって、出資者が亡くなっても、契約が直ちに終了して出資額が返還されるわけではありません。

ただし「そのまま地位を承継」と決まるわけでもない

一方で、相続人が被相続人の会員口座をそのまま利用できるわけでも、複数の相続人へ契約上の地位が自動的に分割されるわけでもありません。多くの運営事業者は、約款で組合員が死亡した場合の取扱いを定めており、死亡による終了・精算/代表相続人1名への地位承継/中途解約など、扱いは事業者ごとに異なります。まず約款の該当条項を確認し、どの扱いになるかを見極めます。

相続の対象になる「権利」を切り分ける

匿名組合型で相続の対象になるのは、次のような権利です。どれが死亡日時点で存在したかを、ファンドごとに確認します。

  • 匿名組合契約上の地位
  • 既に発生した利益分配請求権
  • 契約終了時の出資価額返還請求権
  • 未投資残高・デポジット残高その他の契約上の権利

任意組合型では、死亡が脱退事由となり持分払戻請求権が中心になる点で、匿名組合型とは出発点が異なります。


相続人が複数の場合と、会員口座・投資家登録の閉鎖

会員口座は、相続人が複数いても当然に分割承継されるわけではありません。多くは、代表相続人や取得者を決めて手続きを進めます。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 運営事業者へ死亡を通知し、被相続人の会員口座を保全する
  2. ファンドごとの出資額・運用状況・未払分配金を一覧化する
  3. 未投資残高・デポジット残高を確認する
  4. 約款上、地位承継か中途解約かを確認する
  5. 相続人が複数の場合、代表相続人または取得者を決める
  6. 戸籍・遺言書・遺産分割協議書・本人確認資料を提出する
  7. 運用中ファンドの償還・精算完了を待つ
  8. 会員口座を閉鎖する前に、税務資料をPDF等で保存する(契約成立時書面・約款・ファンド別残高・年間取引報告書・利益分配明細・源泉徴収税額・死亡時精算書・未投資残高の払戻明細など。閉鎖後はマイページにアクセスできなくなる場合があるため、相続税・準確定申告・相続人の確定申告に必要な資料を先に確保)
  9. 未払金・残高の払戻し後に、会員口座・投資家登録を閉鎖する

遺産分割協議書の記載例(死亡時の扱いで文言を分ける)

遺産分割協議書には、対象の権利を特定して記載します。事業者・ファンド名・契約番号・出資口数または出資額を、可能な範囲で(複数ファンドは別紙で)特定します。約款上、地位を承継できるか、死亡で終了・精算になるかで、記載する権利が変わります。

A.約款上、地位承継が認められる場合

相続人甲は、被相続人が株式会社○○との間で締結した下記不動産特定共同事業契約について、約款上相続により承継可能な契約上の地位ならびに既に発生している利益分配請求権、未投資残高その他これらに付随する一切の権利を取得する。

B.死亡により終了・精算となる場合

相続人甲は、被相続人が株式会社○○との間で締結していた下記不動産特定共同事業契約の死亡終了に伴って発生した出資価額返還請求権、未払利益分配請求権、未投資残高返還請求権その他これらに付随する一切の金銭債権を取得する。
遺産分割協議書は相続人間で取得者を決める書類であり、運営事業者の約款を変更したり、約款上認められていない地位承継を事業者に強制したりする効力はありません。必ず事業者へ死亡時の取扱い(承継か精算か)を確認してから文言を確定してください。

遺産分割協議書の作り方は遺産分割協議書の作成の記事もご覧ください。


手続きの流れ・必要書類と、事業者が見つからない場合

まず運営事業者へ連絡する

手続きの窓口は、出資先の運営事業者です。被相続人が亡くなったことを伝え、契約類型・運用状況・死亡時の約款の定め・相続手続きの方法を確認します。必要書類は、承継か中途解約か、遺言・遺産分割の有無、事業者の運用によって異なり、一般に、死亡が分かる戸籍(除籍)、相続関係が分かる戸籍(または法定相続情報一覧図)、本人確認書類・振込先口座、遺産分割協議書などを準備します。戸籍の集め方は相続の戸籍収集の記事もご覧ください。

事業者への照会で取得する資料

ファンド一覧・契約番号・死亡日時点の出資額/持分額・未払分配金・未投資残高・源泉徴収税額・年間取引報告書・中途解約/死亡時精算の計算書・会員口座の閉鎖条件などを取り寄せ、税務や遺産分割に備えます。

事業者が分からない・パスワードでログインしない

事業者が特定できないときは、ログインが不要な資料——メールの通知、預金口座の入出金、通知書、確定申告資料など——から事業者を特定し、相続人として照会します。被相続人のIDやパスワードを推測してログインすることは避けてください(不正アクセスの問題が生じ得ます)。ネット上の資産の探し方はデジタル遺品の発見手順の記事もご覧ください。

許可・登録事業者かを確認する

サービス名が分かったら、国土交通省「不動産特定共同事業法に基づく事業者一覧」で、許可・登録・届出(不動産特定共同事業者の許可/小規模不動産特定共同事業者の登録/適格特例投資家限定事業者の届出)の状況を確認できます。運営サイトが閉鎖されている、事業者と連絡が取れない、無登録の疑いがある場合は、契約資料を確保し、監督行政庁・破産管財人等への確認を検討します。


税務(分配金の所得区分・準確定申告・相続税評価)と、専門家の役割分担

分配金は「一般の個人は原則雑所得」・源泉徴収は一律ではない

一般の個人投資家が匿名組合契約に基づいて受ける利益分配は、原則として雑所得です(重要な業務執行に関与している場合など、別の所得区分が問題になることもあります)。また、居住者である個人に匿名組合契約等に基づく利益の分配を支払う者は、匿名組合員の人数にかかわらず、原則として支払時に所得税・復興特別所得税を源泉徴収します(所得税法210条・211条。通常の税率は20.42%)。これは源泉分離課税ではないため、源泉徴収されていても、それだけで課税関係が完結するわけではなく、他の所得と合わせて確定申告し、源泉徴収税額を精算する場合があります。任意組合型では、現金分配の有無にかかわらず、組合事業の損益が分配割合に応じて各組合員へ帰属するのが原則で、匿名組合型とは扱いが異なります(国税庁「組合の所得計算」)。

準確定申告は「死亡日まで」・死亡後の分配は相続人の所得

被相続人の準確定申告(相続の開始を知った日の翌日から4か月以内)には、死亡日までに確定した利益分配等を計上します。死亡後に、相続人が承継した契約上の地位に基づいて発生・確定する分配金は、相続人側の所得として申告するのが原則です。入金日だけで機械的に判定せず、ファンドの計算期間・権利確定日・約款上の帰属を確認します。準確定申告は関連解説(税理士法人トゥモローズ)「【準確定申告】申告期限は4カ月!」もご参照ください。

相続税評価は「死亡日時点の契約状態」で確認する(二重計上に注意)

相続税では、出資額や償還見込額だけで一律に決めるのではなく、死亡日時点の契約状態に応じて、評価する権利を判断します。

死亡日時点の状態 相続財産として確認するもの
契約が運用中 匿名組合契約上の地位(将来の利益分配・出資価額返還の経済価値を含めて評価を検討)
約款により死亡で契約終了 死亡によって発生した出資価額返還請求権(商法542条)
死亡前に契約が終了済み 既に発生している出資価額返還請求権
利益分配が既に確定・未払い 確定した利益分配請求権として別途確認
未投資・デポジット残高 営業者等に対する返還請求権として確認
任意組合から死亡脱退 原則として死亡脱退に伴う持分払戻請求権

出資価額返還請求権は、匿名組合契約が終了したときに発生します(商法542条)。そのため、死亡日時点で契約が運用中なら、将来の出資価額返還の経済価値は契約上の地位の評価に含めて考え、別個の確定債権として重ねて計上しません。死亡により契約が終了した場合や、死亡前に既に終了していた場合は、契約上の地位ではなく出資価額返還請求権を評価します。契約上の地位と出資価額返還請求権を同時に評価して、同じ出資価値を二重計上しないよう注意してください。匿名組合出資の一律の相続税評価式を断定するのは避け、事業者から死亡日時点の残高・純資産・未払分配金等の証明を取得して税理士へ引き継ぐのが安全です。申告後に出資・権利が判明し、税額が増える場合は修正申告、評価の見直しなどで税額が減る場合は更正の請求を検討します(相続税の修正申告の解説)。

役割分担

  • 契約類型・約款の確認・承継の可否・償還額・払戻し・会員口座の閉鎖:運営事業者
  • 約款の法的解釈・出資の帰属や返還の争い:弁護士
  • 分配金の所得税・準確定申告・出資の相続税評価:税理士
  • 不動産共有持分の登記:司法書士
  • 戸籍収集・相続関係資料の整理・相続書類の準備:行政書士

行政書士は書類準備と照会の面から支援し、出資金の償還や回収を保証するものではありません。証券口座など他のネット上の資産は証券口座の相続手続きの記事、遺産分割の後に別の出資が判明した場合は遺産分割後に財産が見つかった場合の記事もご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. 亡くなった家族が不動産クラウドファンディングに出資していました。お金は戻りますか?

A. 多くの場合、相続人が手続きをすれば、契約上の地位を引き継ぐか、精算(償還)を受けられます。ただし、相続人が被相続人の会員口座をそのまま使えるわけではなく、複数の相続人へ地位が自動的に分割されるわけでもありません。匿名組合型では、出資者が亡くなっても契約は当然には終了しませんが、約款で「死亡時に終了して精算する」「代表相続人1名が承継する」「中途解約する」など、扱いは事業者ごとに異なります。また、元本保証ではないため、運用状況によっては出資額をそのまま受け取れないこともあります。まずは運営事業者に連絡し、契約類型・運用状況・死亡時の取扱い・必要書類を確認してください。

Q2. 匿名組合型と任意組合型で、相続の扱いはどう違いますか?

A. 匿名組合型では、投資家は匿名組合員として営業者に出資し、利益の分配を受けます。出資したお金は営業者の財産に属し、匿名組合員は営業者の行為について第三者に権利義務を負いません。相続の対象になるのは、出資金そのものではなく、契約上の地位や、既に発生した利益分配請求権、契約終了時の出資価額返還請求権、未投資残高などの権利です。一方、任意組合型では対象不動産等を組合財産として共同保有し、組合員の死亡は脱退事由となるため、中心となるのは死亡脱退に伴う持分払戻請求権です。実際に不動産の共有持分を取得するのか金銭で精算されるのかは、契約内容と登記関係によります。まず約款で類型を確認してください。

Q3. どこの事業者に出資していたか分かりません。どう調べますか?

A. ログインが不要な資料から手がかりを集めます。メールやショートメールに届く分配のお知らせ、預金口座からの出資の振込や分配金の入金履歴、クレジットカードの明細、郵送の通知書、確定申告の資料などが有力です。被相続人のIDやパスワードを推測してログインすることは、不正アクセスの問題が生じ得るため避けてください。心当たりのサービス名が見つかったら、国土交通省の不動産特定共同事業者の一覧で許可・登録・届出の状況を確認し、相続人であることを示して事業者へ照会します。オンライン完結の投資は通帳や証券が残らないため、こうした間接的な手がかりから特定するのが基本です。

Q4. 運用の途中でした。すぐに解約して現金化できますか?

A. 運用期間中の案件は、途中で自由に解約できるとは限りません。多くの商品は、あらかじめ定められた運用期間が終わって償還されるまで、出資が拘束されます。相続の場面でも、相続人が地位を承継してそのまま運用を続けるか、約款に基づく中途解約・精算・償還を待つか、という選択になります。いつ・いくら受け取れるかは、契約類型・運用状況・約款によって異なるため、運営事業者に、中途解約の可否、償還の時期、精算方法、会員口座の閉鎖条件を確認してください。急いで現金が必要な事情がある場合は、他の相続財産も含めて資金繰りを検討することになります。

Q5. 亡くなった年の分配金は、誰の所得として申告しますか?

A. 原則として、死亡日までに確定した利益分配は被相続人の所得として準確定申告に計上し、死亡後に、相続人が承継した契約上の地位に基づいて発生・確定する分配金は相続人側の所得として申告します。入金の日だけで機械的に決めるのではなく、ファンドの計算期間・権利確定日・約款上の帰属を確認します。準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。なお、匿名組合型の分配金は一般の個人では原則として雑所得で、匿名組合員の人数にかかわらず原則として源泉徴収されます(通常20.42%)。ただし源泉分離課税ではないため、源泉徴収済みでも他の所得と合わせて確定申告し精算する場合があります。所得区分や計上時期の判断は税理士に確認してください。


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

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まとめ

亡くなった方が不動産クラウドファンディング(不特法型)に出資していた場合、まず適用法(融資型・STは別)・契約当事者・契約類型・約款を確認することが出発点です。契約は匿名組合型・任意組合型・賃貸委任契約型に分かれ、類型で相続の扱いが変わります。

匿名組合型では、出資は営業者の財産に属し(商法536条)、相続の対象は出資金そのものではなく契約上の地位・利益分配請求権・出資価額返還請求権・未投資残高です。投資家の死亡は当然の終了事由ではありませんが(商法541条)、会員口座をそのまま使えるわけでも、複数相続人へ自動分割されるわけでもなく、終了・代表相続人への承継・中途解約のいずれになるかは約款によります。任意組合型は死亡脱退に伴う持分払戻請求権が中心です。

税務では、匿名組合の分配金は一般の個人では原則雑所得(人数にかかわらず原則20.42%の源泉徴収・源泉分離ではなく申告で精算)、準確定申告は死亡日まで・死亡後の分配は相続人の所得で、相続税評価は死亡日時点の権利ごとに税理士が判断します。約款の解釈や争いは弁護士、登記は司法書士の領域で、行政書士は戸籍収集・相続関係資料の整理・事業者への照会や相続書類の準備を、書類の面から支えます。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、不動産クラウドファンディング(不特法型)を含む相続手続きについて、戸籍に基づく相続関係資料の整理・運営事業者への照会や相続書類の準備・会員口座の閉鎖の段取りを、相続人からの委任と各運営事業者の取扱いに応じて支援します。分配金・出資の相続税評価・申告は税理士法人トゥモローズと連携して対応します。


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根拠法令・公的資料

  • 商法535条(匿名組合契約)・536条(出資は営業者の財産に属する。匿名組合員は営業者の行為について第三者に権利義務を負わない)・537条(氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)・540条・541条(終了事由。匿名組合員の死亡は当然の終了事由に含まれない)
  • 民法667条(組合契約)・679条(組合員の脱退。任意組合型は死亡が脱退事由)・896条(相続の一般的効力)
  • 不動産特定共同事業法(事業者の許可・登録、電子取引業務、契約の類型=匿名組合型・任意組合型・賃貸委任契約型)
  • 所得税法210条・211条(匿名組合契約等に基づく利益分配の源泉徴収義務・税率20%+復興特別所得税。人数要件はない)。匿名組合の分配金は一般の個人では原則雑所得・準確定申告(相続開始を知った日の翌日から4か月)/相続税法22条(財産の評価)※申告は税理士
  • 戸籍法(相続関係を証明する戸籍・除籍等)/行政書士法(相続関係書類・提出書類の作成)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。