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老人ホームの入居一時金の返還請求|死亡後の精算と相続の扱い

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 有料老人ホームの入居者が亡くなると、入居一時金の「未償却分」が返還される場合がある。
  • 返還される入居一時金は、亡くなった人の債権(相続財産)として、相続人が請求・受領する。
  • 入居日から3か月以内(通称90日ルール)の契約終了・死亡なら、前払金から利用期間に応じた家賃・サービス費用等や原状回復費を控除した残額が返還される(短期解約特例・老人福祉法29条)。
  • 返還金は相続財産として相続税の対象。返還額に争いがある場合は弁護士、相続税は税理士と連携する。

有料老人ホームに入居していた方が亡くなると、入居時に支払った「入居一時金」の一部が返還されることがあります。 入居一時金は、将来の家賃などをまとめて前払いする性質のもので、想定より早く退去(死亡)した場合には、使われていない分(未償却分)が戻ってくるしくみになっているためです。

この返還金は相続財産であり、請求しなければ受け取れません。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、入居一時金の返還の手続きと相続での扱いを、施設倒産時の保全や費用負担者の論点まで含めて整理します。なお、返還金にかかる相続税は税理士法人トゥモローズが対応します。


入居一時金とは・死亡で返還金が発生する

入居一時金とは、有料老人ホームなどに入居する際に、家賃相当額の全部または一部を前払いするお金(前払金)です。数十万円から数千万円まで、施設によって幅があります。なお、ここで扱うのは主に有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などの前払金で、特別養護老人ホームや老人保健施設などとは費用のしくみが異なります。

この一時金は、入居後に一定の期間をかけて少しずつ「償却」されていきます。入居者が想定された期間より早く亡くなると、まだ償却されていない分(未償却分)が返還されます。逆に、想定期間を超えて長く入居した場合は、返還がないこともあります。まず、入居時の契約書で返還の条件を確認することが出発点です。


返還金は相続財産

入居者の死亡によって発生する入居一時金の返還金は、亡くなった人が施設に対して持つ債権(相続財産)です。したがって、相続人が請求し、受け取ることになります。

返還金は、相続人全員の遺産分割の対象になります。誰が受け取るか、どう分けるかは、ほかの相続財産とあわせて協議します。施設側は、相続人から請求がないと返還の手続きを進められないことが多いため、相続人の側から施設へ連絡することが必要です。


入居一時金の返還も、相続手続きにまとめて整理します

入居一時金の返還請求の段取り、施設との連絡、戸籍収集・相続手続き全体まで、行政書士法人トゥモローズがサポートします。返還金の相続税は税理士法人トゥモローズと連携し、もらい忘れのないよう窓口ひとつで進められます。

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平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


返還のしくみ(償却と90日ルール)

返還額は、契約で定められた償却のしくみによって決まります。一般的には、次の要素で計算されます。

  • 初期償却:入居時にあらかじめ一定割合を償却する契約がある
  • 想定居住期間による償却:想定された居住期間で按分し、未経過分を返還する

さらに重要なのが、短期解約特例(入居日から3か月以内、通称90日ルール)です。老人福祉法第29条第10項では、入居日から一定期間内に契約解除または入居者の死亡により契約が終了した場合、施設は、前払金から、入居日から契約終了日までの利用期間に応じた家賃・サービス費用等の実費相当額や原状回復費用を控除した残額を返還しなければならないとされています。「原状回復費だけを引いて全額返還」ではなく、利用した期間に応じた費用も控除される点に注意します。入居して間もなく亡くなった場合は、この特例の適用と控除内容を施設に確認することが大切です。


返還請求の手続き

返還請求は、施設へ連絡し、所定の手続きを行います。一般的な流れと必要書類は次のとおりです。

ステップ 内容
①連絡 施設へ入居者の死亡を伝え、返還の有無・手続きを確認
②書類準備 入居契約書、重要事項説明書、前払金の領収書、精算明細、死亡が分かる戸籍、相続人が分かる戸籍、相続人の本人確認書類など
③請求 施設所定の請求書に記入し、返還金の振込先を指定

相続人が複数いる場合は、代表者を決めて請求することが多いですが、施設の取扱いによります。契約書が見当たらない場合も、施設に問い合わせれば返還条件を確認できます。なお、返還額に争いがある場合、施設が返還に応じない場合、契約条項の有効性が問題になる場合は、弁護士への相談が必要です。書類整理や請求の段取りまでは行政書士が、交渉・紛争は弁護士が、相続税は税理士が、と役割が分かれます。


施設の倒産・費用負担者の論点

入居一時金には、知っておきたい注意点があります。

ひとつは、施設が倒産した場合の保全です。有料老人ホームには、前払金(入居一時金)について、返還債務に備えて必要な保全措置を講じる義務があります(老人福祉法第29条第9項)。もっとも、未償却額の全額が常に保全されるわけではなく、保全すべき額は、返還債務の額または500万円のいずれか低い額以上を保全する運用とされています。倒産時には、この保全措置の範囲で返還を受けられる場合があります。保全の状況は契約書・重要事項説明書で確認します。

もうひとつは、一時金の負担者と入居者が異なる場合です。たとえば子が親の入居一時金を負担していたケースでは、単に「誰が払ったか」だけでなく、次の点を分けて検討します。

論点 確認すること
立替金 子が一時的に立て替え、親に求償する関係だったか
贈与 子から親への資金移転として贈与が成立していたか
扶養義務の履行 親の生活・介護のための通常必要な範囲か
返還請求権者 契約上、返還請求権者が入居者本人か、支払者か
相続税評価 死亡時点で誰の債権として評価するか

判断が難しいため、契約内容を確認のうえ、税理士とも連携して整理します。


返還金と相続税

入居一時金の返還金は、亡くなった人の債権(相続財産)として、相続税の対象になります。亡くなった時点で返還を受ける権利があったものとして、ほかの財産とあわせて評価・申告します。

なお、前項のとおり、入居一時金の負担者と入居者が異なる場合には、贈与税との関係が問題になることもあります。こうした税務上の判断は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。死亡後に動くお金は相続税にどう関わるかが分かりにくいため、あわせて整理すると安心です。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):老人ホーム入居者が亡くなった場合の相続税申告


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 入居一時金の返還金は遺産分割の対象になりますか?

A. なります。返還金は亡くなった人が施設に対して持つ債権で、相続財産です。相続人全員の遺産分割の対象になり、誰が受け取るか・どう分けるかをほかの財産とあわせて協議します。施設は相続人からの請求がないと手続きを進められないことが多いため、相続人の側から連絡して請求します。

Q2. 月額方式(一時金なし)の老人ホームでも返還はありますか?

A. 入居一時金を支払わない月額方式の場合、前払いした一時金の返還という概念はありません。ただし、前払いした月額利用料の日割り精算や、預けていた預り金の返還が生じることがあります。契約形態によって精算の有無が変わるため、契約書を確認し、施設に精算内容を問い合わせます。

Q3. 入居一時金を子が負担していた場合、返還金は誰のものですか?

A. 契約者(入居者)が施設に対して持つ債権であれば、返還金は入居者の相続財産になるのが原則です。ただし、子が負担していた経緯によっては、入居時に贈与があったとみなされる論点や、返還金の帰属が問題になることがあります。契約内容を確認し、税理士法人トゥモローズと連携して整理するのが安全です。

Q4. 施設が倒産したら入居一時金は戻りますか?

A. 戻る場合があります。有料老人ホームは、前払金の返還に備えて保全措置を講じる義務を負います(老人福祉法第29条第9項)。ただし保全の対象は前払金の一部で、上限の目安は500万円とされ、未償却分の全額が必ず守られるとは限りません。保全の方法(銀行保証・信託・保険など)と範囲は、重要事項説明書で確認します。

Q5. 連帯保証人や身元引受人が返還を受けられますか?

A. 返還金は入居者(契約者)の相続財産のため、受け取るのは相続人です。連帯保証人や身元引受人という立場だけでは、返還金を受け取る権利はありません。身元引受人が相続人を兼ねている場合は、相続人として請求できます。誰が相続人かを戸籍で確認したうえで、請求手続きを進めます。


まとめ

有料老人ホームの入居一時金(前払金)は、死亡で未償却分が返還されることがあり、その返還金は相続財産として相続人が請求します。入居日から3か月以内(通称90日ルール)の終了なら、利用期間に応じた費用と原状回復費を控除した残額が返還されます(老人福祉法29条)。施設倒産時の保全措置は未償却額の全額が常に保全されるわけではなく、負担者と入居者が異なる場合は立替・贈与・扶養義務・返還請求権者の整理が必要です。請求しないと受け取れないため、契約書・重要事項説明書を確認し早めに施設へ連絡しましょう。

なお、返還請求の書類整理は行政書士、返還額の争い・紛争は弁護士、返還金の相続税は税理士と、役割が分かれます。行政書士法人トゥモローズは東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で相続手続きに対応しています。


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根拠法令・公的資料

  • 老人福祉法第29条第9項(前払金の算定基礎の明示・保全措置)・第10項(短期解約特例。一定期間内の終了時に算定額を控除した残額を返還する契約義務)
  • 有料老人ホームの設置運営標準指導指針(厚生労働省。短期解約特例・通称90日ルール)
  • 民法第896条(相続の一般的効力・債権の承継)
  • 税理士法第2条・第52条(返還金の相続税は税理士の業務)
  • 弁護士法第72条(返還額の交渉・紛争対応は弁護士の業務)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。