行政書士法人にできること・できないこと|業務範囲を明確化
10秒でわかる この記事の要約
- 行政書士の中心業務は、行政書士法第1条の3が定める官公署提出書類・権利義務・事実証明に関する書類の作成(行政書士でない者は業として行えない。同法第19条)。相続では遺産分割協議書・相続関係説明図などが該当する。ただし、行政書士法第1条の3第2項により、他の法律で制限されている業務は行政書士も行えない。
- 行政書士ができるのは、戸籍取得、相続関係説明資料の作成、遺産分割協議書などの権利義務・事実証明に関する書類作成、預貯金等の相続手続き支援、遺言書・死後事務委任契約等の文案作成支援など。預貯金の解約そのものや遺言執行は行政書士の独占業務ではなく、委任・遺言執行者就任等に基づく実務支援として整理される。
- 相続税申告(税理士法第2条・第52条)・不動産登記(司法書士法第3条・第73条)・紛争代理(弁護士法第72条)・社会保険労務関係の一定の届出(社会保険労務士法第2条・第27条)は業務範囲外。具体的な税額計算や代理交渉は業際違反になる。
- 業際違反は懲戒処分(行政書士個人は行政書士法第14条、行政書士法人は第14条の2)や他士業法上の罰則の対象。当法人は他士業の業務に踏み込まず、税理士法人トゥモローズ・提携司法書士・提携弁護士へ引き継ぐ。
行政書士法人の業務範囲とは、行政書士法第1条の3・第1条の4に基づき、官公署に提出する書類、権利義務又は事実証明に関する書類の作成・相談・提出手続代理等を行う範囲のことです。 相続業務では、戸籍収集、相続関係説明資料、遺産分割協議書などの書類作成、預貯金等の相続手続き支援などが中心です。ただし、相続税申告・税務相談は税理士、不動産登記は司法書士、紛争性のある交渉・調停・訴訟は弁護士、社会保険労務関係の一定の届出は社会保険労務士の業務となるため、行政書士法人単独では対応できません。
「行政書士に頼める範囲はどこまでか」——相続を依頼する際の重要な疑問です。行政書士の業務範囲は行政書士法第1条の3と第1条の4で定められており、他士業との境界も法定されています。
本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、業務範囲を実務目線で整理します。
行政書士法第1条の3(書類作成業務)
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(中略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
具体的には:
– 官公署提出書類
– 権利義務に関する書類
– 事実証明書類
行政書士または行政書士法人でない者は、報酬を得て業としてこれらの書類作成業務を行うことができません(行政書士法第19条)。ただし、第1条の3第2項により、他の法律で制限されている業務(税務・登記・紛争代理など)は行政書士も行えません。
※令和8年1月1日施行の行政書士法改正により条文番号が繰り下げられており、従来「第1条の2」とされていた業務規定は、現行法では第1条の3です。
行政書士法第1条の4(提出手続代理・相談等の業務)
- 上記書類作成に関する相談業務
- 官公署への提出手続の代理(他の法律で制限されている事項を除く)
相続業務でできること一覧
| 行政書士法人で対応しやすい業務 | 注意点 |
|---|---|
| 戸籍・除籍・改製原戸籍の取得代行 | 受任業務に必要な範囲で対応 |
| 相続関係説明図・相続関係説明資料の作成 | 登記申請の代理は司法書士の領域 |
| 法定相続情報一覧図の作成・申出代理 | 相続登記そのものは司法書士が担当 |
| 遺産分割協議書の作成 | 相続人間に争いがない場合。紛争性があれば弁護士の領域 |
| 預貯金・証券口座等の相続手続き支援 | 金融機関提出書類の作成・手続支援として整理(預貯金の解約そのものは行政書士の独占業務ではない) |
| 自動車の名義変更 | 行政書士業務として整理しやすい |
| 公正証書遺言の文案整理・公証役場調整 | 本人意思を前提に作成。税務判断・紛争対応は他士業と連携 |
| 自筆証書遺言保管制度の利用サポート | 遺言内容の税務・紛争リスクは必要に応じて連携 |
| 遺言執行者に就任した場合の遺言執行業務 | 遺言執行は行政書士の独占業務ではない(民法第1012条以下) |
| 死後事務委任契約・任意後見契約・財産管理委任契約の文案作成 | 任意後見契約は公正証書での作成が必須 |
なお、年金・健康保険等のうち社会保険労務士法の対象となる書類作成・提出代行は、行政書士法人では行えません(社会保険労務士法第2条・第27条)。市区町村で行う死亡後の各種手続きについては、制度上可能な範囲で、必要書類の整理・窓口確認・相続人ご本人による手続きの支援を行います。
相続業務でできないこと一覧
| 業務 | 担当士業 | 根拠法・注意点 |
|---|---|---|
| 相続税申告、準確定申告、税務相談、税額計算 | 税理士 | 税理士法第2条・第52条 |
| 不動産の相続登記・商業登記など登記申請の代理 | 司法書士 | 司法書士法第3条・第73条 |
| 遺産分割調停・審判、遺留分侵害額請求、遺言無効確認、相続人間の代理交渉 | 弁護士 | 弁護士法第72条 |
| 社会保険・労働保険関係の一定の書類作成・提出代行 | 社会保険労務士 | 社会保険労務士法第2条・第27条 |
| 不在者財産管理人・相続財産清算人等の選任申立ての代理 | 弁護士 | 申立書類など裁判所提出書類の作成は司法書士が対応する場合あり |
【実務上のポイント】
行政書士業務の範囲を逸脱すると、業際違反として懲戒処分・刑事罰の対象となります。当法人では、他士業の独占業務領域には絶対に踏み込まず、必ず連携先へ引き継ぐ姿勢を徹底しています。
他士業との役割分担
→ 税理士へ
相続税申告・準確定申告・税務相談・税務調査対応
→ 司法書士へ
不動産相続登記・商業登記・成年後見等の申立書類(裁判所提出書類)の作成
→ 弁護士へ
遺産分割調停・遺留分侵害額請求・紛争代理
→ 行政書士で対応
遺産分割協議書等の書類作成・預貯金等の相続手続き支援・遺言の文案整理・死後事務委任契約等の文案作成
グレーゾーンと業際違反
紛争のない法律相談
行政書士は作成できる書類に関する相談には応じられますが、紛争性のある法律事件について法律相談・代理交渉を行うことはできません。紛争性が認められる場合は弁護士対応となります。
相続税の説明
相続税についての一般的制度説明は可能ですが、具体的な税額計算・節税アドバイスは税理士法違反となります。
登記の解説
登記制度の一般的な説明や、司法書士へ引き継ぐための資料整理は可能です。ただし、個別案件における登記申請書類の作成、登記申請の代理、登記の可否判断は司法書士の領域です。
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相続手続き・遺言・おひとりさま終活まで、相続を専門とする行政書士が対応します。「何から始めればいいか」というご質問だけでも、お気軽にご相談ください。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
当法人での連携体制
行政書士法人トゥモローズは、業務範囲外の業務についても、連携先へお繋ぎする体制を整えています。
- 相続税申告・税務判断 → 税理士法人トゥモローズ(同一グループ)
- 不動産の相続登記・信託登記 → 提携司法書士
- 紛争性のある交渉・調停・訴訟、家庭裁判所への申立て代理 → 提携弁護士
業務範囲外の手続きが必要な場合も、連絡窓口・進行管理は当法人が支援しつつ、税務・登記・紛争対応などの専門的な判断は担当士業が直接ご説明します。
業際違反の実例と判断軸
「相続でもめている」案件の取扱い
紛争性が認められる相続案件は、弁護士法第72条により非弁護士による法律事務取扱が禁止されています。当法人では、ご相談の初期段階で紛争性の有無を慎重に判断し、紛争があれば提携弁護士をご紹介する運用を徹底しています。
「税金を計算してほしい」依頼
相続税の試算・税務相談は税理士法第2条が税理士の業務と定め、税理士でない者は行えません(同法第52条)。簡易シミュレーションでも違反となり得るため、当法人ではご依頼があった場合、「概算は税理士法人トゥモローズで対応します」と即時切替する運用です。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税はいくらからかかる?仕組みと判断方法をわかりやすくシンプルに解説
不動産登記の「申請代理」と「相談」の境界
登記申請の代理は司法書士の業務であり(司法書士法第3条)、司法書士でない者は行えません(同法第73条)。一方、登記制度の一般的な説明や、司法書士へ引き継ぐための資料整理は行政書士でも対応可能です。お客様にとっての違いがわかりにくいため、当法人では「登記は提携司法書士が担当」と明示しています。
業際違反による懲戒リスク
業際違反があった場合、行政書士個人は行政書士法第14条、行政書士法人は第14条の2に基づく懲戒(戒告・業務停止・業務禁止/解散等)の対象となる可能性があり、他士業法に違反する場合は各法律上の罰則の対象にもなり得ます。当法人は組織として業際違反防止のチェック体制を整備し、業務範囲の境界が曖昧な案件は事前に専門家会議で判定する運用としています。
行政書士業務の具体例と注意点
「遺言書の起案サポート」の具体的内容
行政書士は遺言書の文案整理(下書き作成・条文整理・公証役場との調整)をサポートします。遺言者ご本人の意思を法的に有効な形に整理することが業務の中核で、公証人との事前打合せ・証人手配・遺言執行者の選定支援まで含みます。証人を手配する場合は、民法上の証人欠格(推定相続人・受遺者等)に該当しない者を手配します(民法第974条)。なお、遺言内容に税務上の論点がある場合は税理士法人と、紛争リスクがある場合は弁護士と連携します。
「遺産分割協議書の作成」の実務
相続人全員の合意内容を文書化する遺産分割協議書の作成も、行政書士の主要業務です。法的に有効な記載方法・相続人全員の署名押印を整え、後日のトラブルを防ぐ協議書を作成します。税務上の確認が必要な場合は、グループの税理士法人トゥモローズと連携します。
「死後事務委任契約」の起案
死後事務委任契約は、民法上の委任・準委任(民法第656条)の考え方を基礎に、死亡後の事務を受任者に委ねる契約で、行政書士が文案を作成できます。葬儀・各種解約等を委ねる範囲の設計が中心業務です。委任者の死亡後に事務が処理される特殊な契約のため、費用の精算方法・解除に関する取り決め・受任者の継続性など、契約の実効性を担保する条項設計に専門知識が活かされます。
「行政手続きの支援」の範囲
市区町村で行う死亡後の各種手続きについては、行政書士法・各制度上可能な範囲で、必要書類の整理、窓口確認、相続人ご本人による手続きの支援を行い、遺族の負担を軽減します。年金・健康保険・労働保険など社会保険労務関係の書類作成や提出代行に当たるものは、社会保険労務士法(第2条・第27条)との関係を確認し、必要に応じて専門士業へ連携します。
行政書士業務に関する補足
「相続人調査」と「所在不明者」の境界
戸籍取得による相続人調査は行政書士の業務です。一方、相続人の中に行方不明者がいる場合の不在者財産管理人選任の申立ては家庭裁判所への申立て手続きであり、弁護士・司法書士の領域です。当法人ではこうした場合、提携先へお繋ぎします。
「相続税概算」と「税額計算」の境界
相続税の制度に関する一般的な説明は行政書士でも可能ですが、具体的な税額計算・節税アドバイスは税理士の業務です(税理士法第52条)。境界が紛らわしいため、当法人では税額に関わるご相談は税理士法人トゥモローズへお繋ぎする運用としています。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税の税額控除をわかりやすく解説。相続人の税額から一定額を差し引く制度
「遺言執行」中に紛争が生じた場合
遺言執行者に就任した場合の遺言執行業務(民法第1012条以下)は行政書士も担えますが(行政書士の独占業務ではありません)、執行の過程で遺言無効の主張・遺留分侵害額請求など紛争性が生じた場合、その対応は弁護士の業務です。当法人では紛争性が生じた段階で、速やかに提携弁護士へお繋ぎします。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 行政書士の独占業務は何ですか?
A. 行政書士法第1条の3が定める、官公署提出書類・権利義務に関する書類・事実証明に関する書類の作成が中心業務で、行政書士でない者は業としてこれを行えません(同法第19条)。相続では遺産分割協議書・相続関係説明図などが該当します。ただし、行政書士法第1条の3第2項により、税務・登記・紛争代理・社会保険労務関係など、他の法律で制限される業務は行えません。
Q2. 行政書士が相続税申告できないのは?
A. 税務代理・税務書類作成・税務相談は税理士の業務とされ(税理士法第2条)、税理士でない者はこれを行えないためです(同法第52条)。当法人グループでは税理士法人トゥモローズが連携対応します。
Q3. 行政書士が不動産登記できないのは?
A. 登記申請の代理は司法書士の業務とされ(司法書士法第3条)、司法書士でない者はこれを行えないためです(同法第73条)。当法人では提携司法書士に引き継ぎます。
Q4. 行政書士が遺産分割の代理交渉はできますか?
A. 紛争性のない範囲での書類作成は可能ですが、相続人間で対立がある場合の代理交渉は弁護士法第72条違反となります。
Q5. 行政書士が銀行手続きを代行できる根拠は?
A. 行政書士は、遺産分割協議書などの権利義務に関する書類作成や、金融機関へ提出する相続関係書類の作成・整理を支援できます。ただし、預貯金の解約そのものは行政書士の独占業務ではないため、金融機関の取扱い、委任状、相続人の同意、提出書類の確認を前提に、相続手続き支援として対応します。
まとめ
行政書士法人の業務範囲は、行政書士法第1条の3・第1条の4で定められています。範囲外の業務は他士業と適切に連携することで、お客様にとっての利便性を確保できます。当法人の相続手続きサポートの内容・料金は相続手続き代行の料金プランでご確認いただけます。
行政書士法人トゥモローズでは、税理士法人トゥモローズ・提携司法書士・提携弁護士と連携し、相続手続きを中心にサポートします。事務所は東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)で、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に対応し、Google Meetによるオンライン相談なら全国に対応します。
相続のこと、まずは無料相談で整理しませんか?
相続手続き・遺言・おひとりさま終活まで、相続を専門とする行政書士が対応します。「何から始めればいいか」というご質問だけでも、お気軽にご相談ください。
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行政書士が行えない相続税の計算・申告については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事をご参照ください。
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根拠法令・公的資料
- 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(提出手続代理・相談等)
- 行政書士法第13条の6(行政書士法人の業務の範囲)
- 行政書士法第19条(業務の制限)
- 行政書士法第14条(行政書士に対する懲戒)・第14条の2(行政書士法人に対する懲戒)
- 税理士法第2条(税理士の業務)・第52条(税理士業務の制限)
- 司法書士法第3条(業務)・第73条(非司法書士等の取締り)
- 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
- 社会保険労務士法第2条(社会保険労務士の業務)・第27条(業務の制限)
- 民法第656条(準委任)・第974条(遺言の証人の欠格事由)・第1012条(遺言執行者の権利義務)
