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相続財産清算人とは|相続人がいない・全員放棄したときの選任手続き

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 相続人がいない、または全順位の相続人が相続放棄して承継する人がいないとき、相続財産は法人となり(民法951条)、家庭裁判所が相続財産清算人を選任する(民法952条)。
  • 2023年4月の民法改正で、相続人不存在の財産を清算する制度が「相続財産清算人」として整理された(保存・管理目的の相続財産管理人は別に存続)。公告の一本化で期間も短縮。
  • 申立てができるのは利害関係人(債権者・受遺者・特別縁故者になり得る人・成年後見人など)や検察官予納金が必要になることが多い。
  • 家庭裁判所が相続人の権利主張を促す公告を行い、清算人が債権者等へ弁済。特別縁故者から期間内に申立てがあり家庭裁判所が相当と認めれば財産分与(公告期間満了後3か月以内に申立て・民法958条の2)。残りは国庫に帰属(民法959条)。
  • 家裁への申立書作成は司法書士・弁護士、戸籍収集は行政書士。連携して対応できる。

「身寄りのない方が亡くなった」「全順位の相続人が相続放棄して、最終的に財産を引き継ぐ人がいない」。こうした場合、その不動産や預貯金は宙に浮いてしまいます。これを清算するのが相続財産清算人です。2023年の民法改正で、従来の「相続財産管理人」から仕組みが見直されました。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、相続財産清算人の制度・選任手続き・特別縁故者への分与・国庫帰属までを整理します。なお、家庭裁判所への申立ては提携の司法書士・弁護士と連携して対応します。


相続財産清算人とは

相続財産清算人とは、相続人のあることが明らかでないときに、相続財産を管理・清算するために家庭裁判所が選任する人です。 相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をして承継する人がいなくなった場合に、相続財産は法人(相続財産法人)となり(民法第951条)、家庭裁判所が利害関係人または検察官の請求により清算人を選任します(民法第952条)。

清算人は、相続財産を管理し、債権者・受遺者への請求申出の公告や弁済などの清算を行います。相続人の権利主張を促す公告は、家庭裁判所が行います。最終的に、特別縁故者への分与や国庫への帰属によって、財産の行き先が決まります。

なお、「相続人全員が相続放棄した」とは、配偶者・子だけでなく、直系尊属や兄弟姉妹など次順位の相続人も含め、最終的に相続人となる人がいなくなった場合をいいます。先順位の相続人だけが放棄した段階では、次順位の相続人が承継する可能性があります。

なお、相続放棄を全員がした場合の財産の管理については、相続放棄したあとの管理義務もあわせてご覧ください。


2023年の改正で何が変わったか

2023年4月に施行された民法改正で、相続人不存在の場合に相続財産を清算する制度は、従来「相続財産管理人」と呼ばれていた実務から「相続財産清算人」として整理されました。なお、相続財産の保存・管理を目的とする相続財産管理人の制度は別に残っているため、両者は区別する必要があります。

大きな変更点は、公告手続きの一本化です。従来は、清算人選任の公告、債権者・受遺者への公告、相続人捜索の公告を段階的に行う必要があり、合計で10か月以上かかっていました。改正後は公告を同時に進められるようになり、手続きにかかる期間が短縮されました。

身寄りのない方の相続や、おひとりさまの終活との関係でも、知っておきたい制度です。おひとりさまの相続の全体像は、おひとりさまの相続もご覧ください。

誰が、どうやって申し立てるのか

相続財産清算人の選任は、家庭裁判所への申立てで行います。

  • 申立てができる人:利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈の受遺者、特別縁故者になり得る人、成年後見人など)や検察官
  • 申立先:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 主な費用:収入印紙800円、連絡用の郵便切手、官報公告料(数千円程度)のほか、清算人の報酬・管理費用にあてる予納金が必要になる場合があります(金額は相続財産の内容や事案により異なります)
  • 主な書類:申立書、被相続人の出生から死亡までの戸籍のほか、相続人不存在を示すため父母・子・兄弟姉妹・代襲者など相続順位に応じた戸籍、財産を示す資料など。相続放棄により相続人不存在となった事案では、相続放棄申述受理証明書や、相続放棄等の有無の照会に対する回答書などが必要になることもあります。

家庭裁判所に提出する申立書の作成は、司法書士や弁護士の業務です。一方で、相続人がいないことを示すための戸籍の収集は手間がかかる部分で、相続手続きの一環として当法人がサポートできます。


清算の流れと財産の行き先

清算人が選任された後は、おおむね次のように進みます。

段階 内容
選任・公告 清算人が選任され、家庭裁判所が相続人の権利主張を促す公告を行う(清算人は債権者・受遺者への請求申出の公告を行う)
清算 債権者・受遺者へ弁済するなど、財産を清算する
特別縁故者への分与 生計を同じくしていた人や療養看護に努めた人などが、公告期間満了後3か月以内に申し立て、認められれば財産が分与される(民法958条の2)
国庫帰属 残った財産は国庫に帰属する(民法959条)

特別縁故者への財産分与は、相続人の権利主張を促す公告期間が満了した後3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります(民法958条の2第2項)。内縁の配偶者や、長年介護をしてきた人などが対象になり得ます。期限を過ぎると分与を受けられないため、早めに準備します。なお、相続人がいない場合の手続きの全体像は、税務面もあわせて確認しておくと安心です。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続人がいない場合の遺産手続き完全ガイド【相続人不存在】


不在者財産管理人との違い

似た制度に「不在者財産管理人」がありますが、対象が異なります。

  • 相続財産清算人:相続人がいない(不存在)または全員放棄で、財産の承継者がいないときに、財産を清算するための人
  • 不在者財産管理人:相続人の中に行方不明の人がいるときに、その行方不明者の財産を管理するための人

「相続人が一人もいない」のか「相続人はいるが連絡が取れない」のかで、使う制度が変わります。相続人に行方不明の人がいる場合は、相続人に行方不明者がいる場合の不在者財産管理人をご覧ください。


手続きは誰に頼める?

相続財産清算人に関する手続きは、内容によって担当する専門家が分かれます。

  • 行政書士:相続人がいないことを示す戸籍の収集、財産状況の整理
  • 司法書士:家庭裁判所に提出する申立書などの裁判所提出書類の作成
  • 弁護士:家庭裁判所への申立ての代理、利害関係や債権・特別縁故者性に争いがある場合の対応
  • 税理士:相続財産・特別縁故者が取得した財産にかかる税務

当法人では、戸籍収集や財産状況の整理までを行い、家庭裁判所に提出する申立書類は提携司法書士、申立ての代理は提携弁護士、税務は税理士法人トゥモローズと連携して、窓口ひとつでご案内します。


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 相続財産清算人と遺言執行者は何が違いますか?

A. 遺言執行者は、遺言がある場合に遺言の内容を実現するための人です。相続財産清算人は、相続人がいない、または全員が放棄して引き継ぐ人がいない財産を清算し、最終的な行き先を定めるために家庭裁判所が選ぶ人です。遺言の有無や相続人の有無によって、関わる人が変わります。

Q2. 誰が申立てでき、費用はどのくらいかかりますか?

A. 申立てができるのは、債権者や受遺者、特別縁故者になり得る方、成年後見人といった利害関係人や、検察官です。お金の面では、収入印紙や郵便切手、官報の公告にかかる費用に加えて、清算人の報酬などにあてる予納金を求められることがあります。予納金がいくら必要かは、残された財産の状況によって変わります。

Q3. 相続人がいないと、最終的に財産はどうなりますか?

A. 相続財産清算人が、債権者・受遺者への請求申出の公告や弁済などの清算を行います(相続人の権利主張を促す公告は家庭裁判所が行います)。その後、特別縁故者から公告期間満了後3か月以内に申立てがあり認められれば、財産の全部または一部が分与されます(民法958条の2)。それでも残った財産は、最終的に国庫に帰属します(民法959条)。

Q4. 相続財産清算人の選任手続きは誰に頼めますか?

A. 申立書など家庭裁判所に提出する書類の作成は司法書士、家庭裁判所での申立ての代理は弁護士が担当します。相続人がいないことを示す戸籍収集や財産の整理は行政書士の対応分野ですので、当法人では戸籍収集から、提携の司法書士・弁護士による手続きまで連携してご案内します。


まとめ

相続人がいない、または全員が相続放棄して承継する人がいないとき、相続財産は法人となり、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(民法第951条・第952条)。2023年4月の改正で「相続財産管理人」から名称・手続きが変わり、公告の一本化で期間が短縮されました。申立てができるのは利害関係人や検察官で、予納金が必要になることが多い点に注意します。

清算人は、債権者・受遺者への請求申出の公告や弁済などの清算を行い(相続人の権利主張を促す公告は家庭裁判所が行います)、特別縁故者から期間内に申立てがあり家庭裁判所が相当と認めれば財産が分与され(公告期間満了後3か月以内に申立て・民法958条の2)、残りは国庫に帰属します(民法959条)。身寄りのない方の相続や、全順位の相続人が放棄したケースで必要になる制度で、家裁提出書類の作成は司法書士、申立ての代理は弁護士、戸籍収集は行政書士と、役割を分けて進めるのが安全です。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、相続手続きのご相談に対応しています。戸籍収集や財産状況の整理は当法人が、家庭裁判所に提出する申立書類は提携司法書士、申立ての代理は提携弁護士、相続税は税理士法人トゥモローズが連携して対応します。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第951条(相続財産法人の成立)・第952条(相続財産清算人の選任・相続人の権利主張の公告)・第957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済・請求申出の公告)・第958条(権利を主張する者がない場合)・第958条の2(特別縁故者に対する相続財産の分与)・第959条(残余財産の国庫帰属)
  • 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号。2023年4月施行。相続財産管理人から相続財産清算人への見直し)
  • 行政書士法第1条の3・第1条の4(戸籍収集・書類作成・相談等)/司法書士法第3条(裁判所提出書類の作成等)/弁護士法第3条(法律事務・家庭裁判所への申立ての代理等)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。