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任意後見契約の費用相場|公正証書作成から後見人報酬まで

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おひとりさま終活

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 任意後見契約の初期費用は、契約書作成サポート(110,000円〜)に公証人手数料(1契約13,000円)・登記関係費用を加えた十数万円程度。後見人報酬・監督人報酬の継続費用を含めると、発効後の期間が長いと総額1,000万円を超えることもある
  • 後見人報酬・監督人報酬は契約締結時ではなく、契約発効後(任意後見監督人選任時=判断能力低下後)から発生する
  • 家族を任意後見人にして後見人報酬を無償にしても、任意後見を発効させるには任意後見監督人の選任が必須。監督人報酬は家庭裁判所が財産状況・業務量に応じて決定し(月1〜3万円が目安)、本人の財産から支払われるのが通常
  • 低所得の方は自治体の成年後見制度利用支援事業で報酬補助を受けられる場合があり、必要な契約だけを選ぶことも費用を抑える手段になる

任意後見契約の費用は2段階で発生します。 第1段階は、公正証書作成時の契約書作成サポート料・公証人手数料・登記関係費用です。第2段階は、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して契約が発効した後の任意後見人報酬・任意後見監督人報酬です。契約を結んだだけでは、後見人報酬や監督人報酬は発生しません。 初期費用は十数万円程度ですが、発効後の継続報酬を含めると総額が数百万円〜1,000万円超になりうるため、長期視点での資金計画が重要です。なお、以下の継続費用の試算は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額はご状況・家庭裁判所の判断により異なります。

任意後見契約は、契約締結時から発効後まで段階的に費用が発生します。事前に総額の見通しを立てておかないと、長期で予想外の負担が生じることもあります。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、任意後見契約の費用構造を整理し、長期試算まで含めて解説します。


任意後見契約の費用構成

費目支払い時期金額の目安
契約書作成サポート料契約時110,000円(税込)〜
公証人手数料公正証書作成時1契約につき13,000円(証書枚数による加算あり)
登記関係費用登記時収入印紙代2,600円+登記嘱託手数料1,600円+書留郵便料等
後見人報酬発効後・月次月20,000円〜50,000円
監督人報酬発効後・月次月10,000円〜30,000円

初期費用の内訳

契約書作成サポート料

行政書士による契約書案作成・公証役場との調整・登記サポートの料金です。当法人の任意後見契約書作成サポートは110,000円(税込)〜です(業務範囲により変動します)。

公証人手数料

任意後見契約に関する法律第3条により、公正証書による作成が義務付けられています。任意後見契約公正証書の公証人手数料は、1契約につき13,000円です。証書の枚数が一定枚数を超えると枚数に応じた加算があり、正本・謄本等の作成手数料も別途かかります。受任者が複数の場合は、契約個数に応じて費用が増えることがあります(権限の共同行使の定めがあるときは1契約として計算)。

登記関係費用

公証人が法務局へ登記を嘱託します。法務局に納める収入印紙代2,600円、登記嘱託手数料1,600円のほか、書留郵便料がかかります。


継続費用(後見人報酬・監督人報酬)

後見人報酬

契約で自由に定められます。一般的には月2万円〜5万円が相場です。財産額や業務範囲によって変動します。

任意後見監督人報酬

家庭裁判所が決定し、月1万円〜3万円が一般的です。任意後見と異なり、契約で金額を決められません。

【実務上のポイント】

「家族を任意後見人にすれば監督人報酬もいらないのでは」と誤解されがちですが、任意後見監督人の選任は必須です。監督人報酬は家庭裁判所が本人の財産状況・業務量に応じて決定し、本人の財産から支払われるのが通常です。具体的な金額は家庭裁判所の判断により異なります。


長期総額シミュレーション

発効後の期間初期費用継続費用合計
5年約13万円300万円約313万円
10年約13万円600万円約613万円
20年約13万円1,200万円約1,213万円

※ 初期費用は契約書作成サポート110,000円+公証人手数料13,000円+登記関係費用等で試算。継続費用は後見人報酬月3万円+監督人報酬月2万円(合計月5万円)で試算した目安です。実際の金額は契約内容・財産状況・家庭裁判所の判断により異なります。

任意後見は、発効後の期間が長期化すると継続費用だけで1,000万円を超えることもあります。生前から計画的な資金確保が重要です。


家族受任と専門家受任の費用差

項目家族受任専門家受任
後見人報酬無償も可月2〜5万円
監督人報酬月1〜3万円(必須)月1〜3万円
継続性家族の状況次第法人なら継続的
専門性家族の能力次第担保されている
中立性家族間紛争の可能性中立

おひとりさまの場合、そもそも家族受任の選択肢が乏しいため、専門家受任が主軸となります。


必要な契約を組み合わせる場合の費用

おひとりさまの終活では、任意後見契約だけでなく、公正証書遺言・死後事務委任・財産管理委任などを組み合わせることがあります。当法人では必要な契約だけを選んで作成でき、費用はそれぞれの契約書作成サポート料の合計となります(税込)。

契約 契約書作成サポート料
公正証書遺言 作成サポート 220,000円〜
死後事務委任 契約書作成 220,000円〜
任意後見 契約書作成 110,000円〜
財産管理委任 契約書作成 110,000円〜
尊厳死宣言 55,000円〜
身元保証 330,000円〜

※ 公証人手数料は別途必要です。死後事務委任・身元保証等の執行報酬は、相続発生時に遺産から精算します。なお、相続税申告とのセット割引は相続手続き報酬に適用される制度で、終活契約には適用されません。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!


おひとりさま終活サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

おひとりさまの不安に、確かな備えを。行政書士法人トゥモローズのおひとりさま終活サポート

費用を抑える3つの工夫

費用最適化の工夫

  1. 本当に必要な契約だけを選び、不要な契約を作らない
  2. 業務範囲を必要十分に絞り、後見人報酬を適正化する
  3. 低所得の場合は自治体の成年後見制度利用支援事業を確認する

報酬の支払い原資と税務上の取扱い

報酬は本人の財産から支払う

任意後見人・任意後見監督人の報酬は、いずれも本人の財産から支払うのが原則です。年金収入・預貯金からの取り崩しで賄うことが多く、預金管理は任意後見人が行うため、本人の資金繰りが圧迫されない設計が必要です。

長期化した場合の財産シミュレーション

判断能力低下後の余命が長い場合(10〜20年)、後見人+監督人の合計報酬は数百万円規模になります。契約締結時に「資産が枯渇しないか」のシミュレーションを行い、必要に応じて家族信託や生前贈与(税理士連携)を併用する設計が望ましいです。

任意後見人報酬への所得税

任意後見人が報酬を受け取る場合、その報酬は受任者側で所得税・法人税等の課税対象となります。支払時の源泉徴収の要否は、支払者・受任者の属性、報酬の性質により確認が必要です。税務処理の詳細は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズが連携対応します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続人に認知症患者がいる場合の相続税申告の留意点

監督人報酬の決定プロセス

任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が1年ごとに後見等監督事件として審判で決定します。財産規模・業務量・本人の所得状況を勘案し、月1万円〜3万円が一般的です。財産が少ないケースでは「報酬付与なし」と決定されることもあります。


長期費用を見積もるときの考え方

長期費用を計算する際は、①判断能力低下が始まる年齢の想定、②その後の想定期間、③受任者の継続性、④物価変動による報酬の見直しといった要素を考慮します。判断能力低下後の期間は誰にも正確には予測できないため、ある程度幅を持たせた複数シナリオで見積もり、資産が枯渇しないかを確認しておくことが大切です。当法人では、ご相談時に前提を変えた複数の試算をお示しし、ご本人とご家族で十分検討いただけるようにしています。


費用負担への対応策と公的支援

「成年後見制度利用支援事業」の確認

低所得の方については、自治体の成年後見制度利用支援事業により、申立費用や後見人・監督人報酬の助成を受けられる場合があります。ただし、対象者、助成額、本人申立て・親族申立ての扱い、任意後見監督人報酬が対象になるかは自治体により大きく異なるため、居住地の市区町村へ確認が必要です。

「市民後見人」の位置づけ

市民後見人は、主に法定後見制度において家庭裁判所が選任する後見人等の担い手です。任意後見契約で本人が自由に選ぶ「任意後見受任者」とは制度上の位置づけが異なるため、任意後見契約の費用圧縮策として直接利用できるものではありません。費用負担に不安がある場合は、市民後見人を含む地域の成年後見支援体制について、市区町村や中核機関に相談します。

「日常生活自立支援事業」の併用

日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分だが契約内容を理解できる方が、社会福祉協議会との契約に基づき、福祉サービス利用援助や日常的金銭管理の支援を受ける制度です。任意後見契約の代替というより、任意後見発効前の生活支援・金銭管理支援として検討します。利用条件や費用は地域の社会福祉協議会に確認します。

「介護保険」とのコスト負担分担

任意後見人の活動内容のうち、介護関連は介護保険制度で大部分カバーできます。後見人は契約・支払い管理を担い、実際の介護は介護保険サービスが担う、という分担で全体コストを最適化します。

「家族信託」との役割分担

家族信託は、特定の財産管理・承継に有効な場合がありますが、任意後見契約の完全な代替ではありません。本人の生活・療養看護・福祉サービス契約・身上保護に関する支援は任意後見の領域です。家族信託を検討する場合も、信頼できる受託者の確保、信託税制、不動産登記、信託業法上の問題を含めて、任意後見契約との役割分担を整理する必要があります。


費用設計の応用論点

「成功報酬型」と「定額型」

任意後見人報酬は、定額型が主流ですが、業務量に応じた変動型も契約可能です。例えば、不動産売却を含む業務が発生した場合に追加報酬を支払う、という設計です。

「報酬の支払い方法」

報酬は本人の財産から自動引き落としが標準です。毎月の引き落とし日・金額を契約書に明記し、本人と監督人が確認できる体制を整えます。

「監督人報酬の上限」

任意後見監督人報酬は家庭裁判所が決定しますが、家裁の運用指針では月3万円程度が上限とされることが多いです。財産規模が極めて大きい場合は例外的に高額となります。

「契約終了時の精算」

本人の死亡・契約解除等で任意後見契約が終了した時点で、未払い報酬の精算を行います。最終財産目録の作成と合わせ、相続人または相続財産清算人へ引き継ぎます。

「長期化リスクへの備え」

判断能力低下後の余命が予想より長期化した場合、当初予算を超える費用が発生する可能性があります。「長寿リスク」を踏まえた財産計画が、終活の重要な視点です。


よくある誤解と正しい理解

任意後見契約の費用については、誤解が多い論点がいくつかあります。第一に「契約したらすぐ報酬が発生する」という誤解です。後見人報酬・監督人報酬は契約発効後(任意後見監督人選任後)から発生するもので、契約締結から任意後見監督人選任までの間は、これらの報酬は発生しません。ただし、見守り契約や財産管理委任契約を併用する場合は、その契約に応じた費用が発生します。

第二に「家族を後見人にすれば費用ゼロ」という誤解です。家族受任で後見人報酬を無償と定めても、任意後見を発効させるには任意後見監督人の選任が必要で、監督人なしで発効させることは法律上できません。監督人報酬は家庭裁判所が決定し、本人の財産から支払われるのが通常です。

第三に「途中でやめられない」という誤解です。発効前であれば、公証人の認証を受けた書面により解除が可能です(任意後見契約に関する法律第9条)。発効後も正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て解除できます。費用を理由に契約をためらうより、まず正確な費用構造を把握することが第一歩です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 任意後見契約の初期費用はいくらですか?

A. 当法人の任意後見契約書作成サポートは110,000円(税込)〜です。これに公証人手数料(1契約につき13,000円・証書枚数による加算あり)、法務局に納める収入印紙代2,600円、登記嘱託手数料1,600円、書留郵便料・正本謄本等の作成手数料が加わります。

Q2. 任意後見人の報酬はいつから発生しますか?

A. 任意後見契約が発効した時点(任意後見監督人選任時)から発生します。契約締結時点では発生しません。

Q3. 任意後見監督人の報酬はどのくらいですか?

A. 家庭裁判所が決定し、月1万円〜3万円が一般的です。財産額や監督業務の複雑さに応じて変動します。

Q4. 家族を任意後見人にすれば報酬は不要ですか?

A. 契約で報酬なしと定めれば不要ですが、監督人の報酬は別途必要です。また、家族受任者の場合の継続性リスクには注意が必要です。

Q5. 財産管理委任契約も一緒に作成したい場合の費用は?

A. 当法人の財産管理委任契約書作成は110,000円(税込)〜です。任意後見契約(110,000円〜)と合わせて作成する場合は、それぞれの費用が必要になります。必要な契約だけを選んで組み合わせられるため、初回相談で総額をお見積りします。


まとめ

任意後見契約の費用は、初期費用は十数万円ですが、発効後の継続費用が大きな比重を占めます。後見人報酬月3万円+監督人報酬月2万円の前提では、発効後10年で約600万円、20年で約1,200万円規模になりえます(実際の金額は契約内容・家庭裁判所の判断により異なります)。

行政書士法人トゥモローズでは、ご状況に応じた最適な契約設計と、必要な契約だけを選べる柔軟なプランで、無理のない範囲での備えをご提案します。


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根拠法令・参考判例

  • 任意後見契約に関する法律 第3条
  • 任意後見契約に関する法律 第4条
  • 公証人手数料令

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。