おひとりさまの終活契約|遺言・死後事務委任・任意後見の優先順位
10秒でわかる この記事の要約
- おひとりさまの終活では、まず「財産の承継先を決める公正証書遺言」と「死後の手続きを託す死後事務委任契約」の2つが最優先
- 状況に応じて、身元保証・任意後見・財産管理委任・尊厳死宣言などを組み合わせる。すべてを契約する必要はない
- 公正証書遺言や任意後見は判断能力があることが前提。認知症が進行すると契約できなくなるため、判断能力が確かなうちに着手する
- 長期にわたる契約は、受任者本人の死亡・廃業リスクを下げられる法人受任に継続性の利点がある。一方、法人でも担当者変更・預託金管理などの確認は必要
おひとりさまの終活契約とは、配偶者やお子様がいない方が、判断能力が低下したときや亡くなった後に備えて、生前に専門家や信頼できる相手と結んでおく契約のことです。 公正証書遺言・死後事務委任契約を中心に、身元保証・任意後見・財産管理委任・尊厳死宣言などを、ご状況に応じて組み合わせます。
「判断能力を失ったら、誰がお金を管理してくれるのか」「亡くなった後、葬儀や役所の手続きは誰がやってくれるのか」——おひとりさまの不安は、ひとつの契約だけでは解決できません。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、どの契約を・どの順番で準備すべきかを、優先順位と料金の目安とともに整理します。
なぜ「契約」で備える必要があるのか
おひとりさまの場合、判断能力が低下しても、家族が自然に支援してくれるとは限りません。判断能力が低下した場合には法定後見制度を利用する方法があり、身寄りがない方については、一定の場合に市町村長が後見開始の審判を申し立てることもあります(老人福祉法等)。
もっとも、法定後見では本人が希望する人を必ず後見人に選べるわけではなく、開始までに時間を要することもあります。元気なうちに契約を結んでおけば、将来支援してほしい人や支援内容、財産の承継先を、あらかじめ自分で決めておけます。 これが、生前の契約で備える最大の意味です。
【早見表】不安別・優先すべき契約
ご自身の不安に当てはまる契約から検討してください。
| 不安・希望 | 対応する契約 | 優先度 |
|---|---|---|
| 死後の財産を渡したい相手・団体がいる | 公正証書遺言 | 高 |
| 葬儀・納骨・各種解約を頼む人がいない | 死後事務委任契約 | 高 |
| 入院・施設入所時の身元保証人がいない | 身元保証契約 | 中〜高 |
| 認知症になった後の財産管理が不安 | 任意後見契約 | 中〜高 |
| 身体が不自由になったときの支払い・手続きが不安 | 財産管理委任契約 | 中 |
| 延命治療の希望を残しておきたい | 尊厳死宣言(公正証書) | 個別判断 |
| 不動産・ペット・遺贈寄付など特殊な事情がある | 家族信託など(個別検討) | 個別判断 |
まず優先すべき2契約
公正証書遺言(財産の承継先を決める)
ご自身の財産を誰に・どのように承継させるかを定める文書です。法定相続人・受遺者・特別縁故者など財産を取得する人がいない場合、清算後に残った財産は国庫に帰属します。お世話になった方や団体に財産を遺したいなら、遺言書の作成が不可欠です。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続人がいない場合の遺産手続き完全ガイド【相続人不存在】
遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成 | 自分で手書き | 公証人が作成 |
| 証人 | 不要 | 証人2名が必要(民法969条) |
| 無効リスク | 要件不備で無効になりやすい | 形式不備のリスクが低い |
| 検認 | 原則必要(自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は不要) | 不要 |
おひとりさまの場合、無効リスクの低い公正証書遺言をおすすめします。当法人では、起案・公証役場との調整・証人手配をサポートします。作成サポートは220,000円(税込)〜、別途、公証人手数料(法定費用)がかかります。
死後事務委任契約(死後の手続きを託す)
亡くなった後の事務手続きを生前に第三者へ委任する契約です(民法656条の準委任。委任者の死亡後も終了しない合意が有効とされています。最高裁平成4年9月22日判決)。葬儀・納骨、病院や施設費用の精算、賃貸住宅の明渡し、公共料金・サブスクの解約、ペットの引き取り先確保などを定められます。
ただし、死亡届の届出人になれる人は戸籍法で限定されており(親族・同居者・家主や家屋管理人・後見人・任意後見人・任意後見受任者など)、死後事務委任契約の受任者というだけでは当然に届出人になれません。実務では届出資格者と連携して進めます。契約書作成は220,000円(税込)〜、執行報酬は550,000円(税込)〜で、原則として相続発生時に遺産から精算します。ただし、葬儀費用・納骨費用・病院や施設の精算・賃貸住宅の明渡し費用など、死亡直後に支払いが必要となる実費は遺産から直ちに支払えない場合があるため、預託金の有無、預託額、立替上限、実費精算の方法を契約時に設計しておくことが重要です。
状況に応じて選ぶ契約
身元保証契約
病院への入院や介護施設への入所時に求められる身元保証人を、法人がお引き受けする契約です。入院・施設入所時の緊急連絡先、費用支払いに関する保証、退院・退所時の連絡調整、死亡時の遺体引取り・関係先連絡などを、契約内容に応じて対応します。保証を行う場合は、保証限度額、対象となる費用、支払原資、預託金の有無を契約書で明確にしておく必要があります。なお、医療行為への同意や身上監護を当然に代行できるものではなく、24時間の駆けつけや日常生活の付き添い・買い物代行・通院付添いなどは対象外です(必要な場合は別の専門事業者をご紹介します)。契約書作成+就任は330,000円(税込)〜です。
任意後見契約
将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人になる人を選んでおく契約です(任意後見契約に関する法律)。法律上、必ず公正証書で作成します。契約してすぐ使えるわけではなく、判断能力が低下した後に家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立て、監督人が選任された時から効力が生じます。判断能力の低下に気づき申立てにつなげる仕組みとして、見守り契約や財産管理委任契約と組み合わせる設計が実務では一般的です。後見人を家庭裁判所が選ぶ法定後見と異なり、信頼できる人や法人を自分で指定できます。契約書作成は110,000円(税込)〜(発効後の後見人報酬・任意後見監督人の報酬は別途)。
財産管理委任契約
判断能力はあるが、入院や体力低下で自由に動けないときに、預金の出納や役所手続きなどを代理してもらう契約です。判断能力の低下を待たずに利用でき、任意後見の前段階の備えになります。契約書作成は110,000円(税込)〜。
尊厳死宣言(公正証書)
病気が「不治かつ末期」になったとき、延命措置を望まない意思を公的に表示する宣言書です。ただし、医療機関を法的に必ず拘束するものではなく、実際の治療方針は医療現場の判断によります。作成して終わりにせず、かかりつけ医や死後事務・身元保証の受任者と内容を共有しておくことが、実効性を高めるうえで重要です。なお、医療行為への同意(代諾)が当然にできるわけではない点にも注意が必要です。作成サポートは55,000円(税込)〜。
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家族信託は「特殊なケースの選択肢」
家族信託(民事信託)は、財産を信頼できる人(受託者)に託し、契約で定めた目的に従って管理・承継してもらう仕組みです(信託法)。すべてのおひとりさまに必要な契約ではありません。 家族信託は受託者となる信頼できる人がいて初めて機能する仕組みであり、おひとりさまの場合は受託者となる親族・知人を確保しにくいことが多いため、標準的な契約には含めていません。受託者を無理に立てると、受託者の死亡・管理不全などでかえってトラブルの原因になります。
不動産・収益物件、ペットの飼育費、遺贈寄付など、通常の遺言・任意後見だけでは対応しにくい事情がある場合の選択肢として検討します。なお、信託の引受けを営業として(反復継続して報酬を得て)行うには信託業法上の免許・登録が必要で、行政書士などの専門職が受託者を引き受けることは原則できません。ご検討の際は、税務面の影響もあわせて税理士法人トゥモローズと連携してご案内します。
契約の優先順位とタイミング
おひとりさまの終活は、判断能力が十分なうちにしか始められません。任意後見契約や公正証書遺言は、ご本人に意思能力・遺言能力があることが前提だからです。認知症が進行してからでは契約自体ができなくなります。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):乳児・幼児、認知症の人の贈与契約って有効!?
進め方の目安は次のとおりです。
- まず:公正証書遺言+死後事務委任契約(財産の承継先と死後の手続きを確保)
- 次に:入院・施設入所が近いなら身元保証契約、認知症への備えとして任意後見契約
- 必要に応じて:財産管理委任契約・尊厳死宣言
- 特殊事情があれば:家族信託などを個別に検討
複数の契約を別々の専門家に頼むと、契約間の整合性が取れずトラブルになることがあります。当法人では、必要な契約をまとめて設計するため、契約間の矛盾を防げます。
なお、長期にわたる契約では受任者の継続性も重要な検討点です。個人受任には受任者本人の死亡・病気で契約が果たせなくなるリスクがあり、法人受任はそのリスクを下げられます。一方で、法人にも廃業・解散の可能性、担当者の変更、預託金の管理体制といった確認すべき点があります。契約前に、預託金の保全方法や業務の引継ぎ体制を確認しておくと安心です。
料金の目安(税込)
| 契約 | 当法人の料金(税込) |
|---|---|
| 公正証書遺言 作成サポート | 220,000円〜(別途、公証人手数料) |
| 死後事務委任契約書 作成 | 220,000円〜(執行報酬550,000円〜は遺産から精算) |
| 身元保証契約 作成+就任 | 330,000円〜 |
| 任意後見契約書 作成 | 110,000円〜(発効後の後見人報酬は別途) |
| 財産管理委任契約書 作成 | 110,000円〜 |
| 尊厳死宣言(公正証書) | 55,000円〜 |
6契約をフルでご契約いただく場合のご契約時のお支払い目安は1,045,000円(税込)〜です(死後事務の執行報酬550,000円〜は原則として相続発生時に遺産から精算するため、ご契約時の負担には含まれません)。
※上記は当法人の報酬です。公証人手数料・戸籍取得費用などの実費、死後事務や身元保証のための預託金(必要な場合)は別途かかります。預託金の要否・金額は契約内容により異なるため、お見積り時にご確認ください。必要な契約だけを選べるため、すべてを契約する必要はありません。
行政書士の対応範囲と連携
行政書士法人トゥモローズでは、公正証書遺言・死後事務委任契約・身元保証契約・任意後見契約・財産管理委任契約・尊厳死宣言など、争いのない終活契約の設計・書類作成・公証役場との調整をサポートします。
一方、次の領域は他の専門家と連携して対応します。
- 相続税・贈与税・信託税制 → 税理士法人トゥモローズ
- 不動産の登記・信託登記 → 司法書士
- 紛争性のある事案・代理交渉 → 弁護士
おひとりさま終活サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 契約はすべて結ぶ必要がありますか?
A. いいえ。必要な契約は生活状況・財産・ご希望によって異なります。まずは公正証書遺言と死後事務委任契約の2つを優先し、必要に応じて身元保証・任意後見・財産管理委任・尊厳死宣言などを組み合わせるのが現実的です。
Q2. 契約はいつまでに結ぶべきですか?
A. 判断能力が十分なうちに結ぶことが重要です。公正証書遺言や任意後見契約は判断能力があることが前提で、認知症が進行してからでは契約自体ができなくなります。独居で身寄りが少ない方は、60代を一つの目安に検討を始めるのがおすすめです。
Q3. 任意後見契約と財産管理委任契約は何が違いますか?
A. 財産管理委任契約は判断能力があるうちから利用でき、入院などで動けないときに財産管理を任せる契約です。任意後見契約は、判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。
Q4. 受任者が先に亡くなった場合はどうなりますか?
A. 個人に依頼している場合、受任者が先に亡くなると契約が果たせなくなります。法人に依頼している場合は、組織として継続して対応できるため、このリスクを下げられます。ただし法人にも廃業・解散の可能性や担当者変更がありうるため、預託金の管理方法や引継ぎ体制を契約前に確認しておくことが大切です。
Q5. 契約にかかる費用はどのくらいですか?
A. 公正証書遺言の作成サポート220,000円〜、死後事務委任契約書の作成220,000円〜などを、必要な契約だけ組み合わせていただけます(いずれも税込)。6契約フルのご契約時のお支払い目安は1,045,000円〜(執行報酬550,000円〜は原則として遺産から精算)。別途、公証人手数料などの実費や、契約内容によっては預託金が必要になります。
まとめ
おひとりさまの終活は、まず公正証書遺言(財産の承継先)と死後事務委任契約(死後の手続き)の2つを優先し、入院・施設入所や認知症への備えとして身元保証・任意後見・財産管理委任・尊厳死宣言などを、ご状況に応じて組み合わせるのが現実的です。すべてを契約する必要はありません。
いずれの契約も、判断能力が十分なうちにしか結べません。「何から始めればよいか分からない」という段階で構いませんので、まずは初回無料相談で、ご自身に必要な契約を整理しましょう。
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おひとりさまでも、財産を取得する人がいる場合には相続税が関わります。相続税の試算・申告は、グループの税理士法人トゥモローズが対応します。
根拠法令・参考判例
- 民法第656条(準委任)・最高裁平成4年9月22日判決(死後事務委任の有効性)
- 民法第969条(公正証書遺言の方式)
- 任意後見契約に関する法律
- 信託法/信託業法(信託の引受けを営業として行う場合の免許・登録)
- 老人福祉法(市町村長による後見開始の審判の申立て)
