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指定者通知制度とは?遺言書保管制度で遺言を見つけてもらう方法

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遺言書作成

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 指定者通知制度とは、遺言者の死亡を法務局(遺言書保管官)が戸籍担当部局との連携で確認した際に、あらかじめ指定された人へ遺言書の保管事実を通知する仕組みである。
  • 相続人が請求しなくても通知されるため、頼れる家族がいないおひとりさまの「遺言の発見漏れ」対策に有効である。
  • 通知先は令和5年10月2日以降、推定相続人・受遺者・遺言執行者等に限定されず、知らせたい人を3名まで指定でき、判断能力がある間はいつでも変更できる。ただし、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の請求ができるのは関係相続人等に限られる。
  • 死亡から通知までには一定のタイムラグがあるため、死後事務委任契約などと併用して即時対応の体制を整えるのが望ましい。

指定者通知制度とは、自筆証書遺言書保管制度を利用する遺言者が、遺言書の保管事実を知らせたい人をあらかじめ指定しておく制度です。 遺言者の死亡後、遺言書保管官が死亡の事実を確認した場合に、指定された人へ遺言書が保管されている旨が通知されます。指定できる人数は3名までです。ただし、通知を受けた人が誰でも遺言書情報証明書を請求できるわけではなく、請求や閲覧ができるのは相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等に限られます。相続人などの手続きを待たずに通知が届くため、おひとりさまの遺言書の発見漏れを減らす効果があります。

「せっかく遺言書を残しても、誰にも気づかれなかったら意味がない」。これは、自筆証書遺言書保管制度の従来からの懸念点でした。指定者通知制度は、この問題に対応する仕組みとして運用が拡充されてきました。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、指定者通知制度の仕組みと活用法を解説します。


指定者通知制度の概要

制度の趣旨

遺言者が死亡した事実を法務局(遺言書保管官)が戸籍担当部局との連携で確認した際に、あらかじめ指定された人へ、遺言書が保管されている旨を通知する仕組みです。遺言者がこの通知を希望した場合に限り実施されます。

制度のメリット

  • 遺言書の存在に気づかれないリスクを減らせる
  • 通知先には相続人以外(受遺者・遺言執行者・専門家など)も指定できる
  • 頼れる家族がいないおひとりさまでも、安心して保管制度を利用できる

従来の関係遺言書保管通知との違い

保管制度には、相続発生後に相続人などが手続きをした後に他の相続人へ届く「関係遺言書保管通知」もあります。指定者通知制度は、これと起点が異なります。

項目関係遺言書保管通知指定者通知制度
通知先関係相続人等の誰かが閲覧・証明書請求をした場合に、その他全ての関係相続人等へ通知あらかじめ指定された人へ通知
通知の起点相続人などが手続きをしてから遺言者の死亡が確認された時点
おひとりさまの活用請求する人がいないと機能しにくい指定者がいれば機能する

頼れる家族がいないおひとりさまの方には、指定者通知制度の活用が特に有効です。


通知先として指定できる人

指定できる人の範囲

指定者通知の通知対象者は、令和5年10月2日以降、推定相続人・受遺者・遺言執行者等に限定されず、遺言者が遺言書の保管事実を知らせたい人を指定できます。相続人や受遺者のほか、行政書士・司法書士・弁護士などの専門家や、親しい知人を指定することも可能です。

ただし、通知を受けた人が誰でも遺言書の内容を確認できるわけではありません。遺言書情報証明書の交付請求や閲覧ができるのは、相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等に限られます。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説

指定できる人数

3名まで指定できます。既に1名指定している場合でも、変更の届出により追加できます。

【実務上のポイント】

おひとりさまの場合、当法人のような行政書士法人を通知先に指定しておく方法があります。ただし、通知先に指定しただけでは、その専門家が当然に遺言内容を確認したり、遺言執行を開始できるわけではありません。実効性を高めるには、遺言書で専門家を遺言執行者に指定しておく、または死後事務委任契約を併用しておくことが重要です。


届出方法と必要書類

保管申請時に届出

遺言書の保管申請時に、申請書へ通知先の氏名・住所などを記入します。

保管後の追加・変更届出

すでに遺言書を保管している場合は、保管所に変更の届出を提出することで通知先を指定・変更できます。

必要書類

  • 申請書または変更届出書(指定者通知の欄へ、通知対象者の氏名・住所など所定事項を記載します)

通知先となる方には、生前のうちに「通知先に指定したこと」を伝えておくと、いざ通知が届いたときに戸惑わずに対応してもらえます。


通知のタイミングとフロー

通知発生から相続手続きまで

STEP 1 遺言者が死亡
STEP 2 遺言書保管官が戸籍担当部局との連携で死亡を確認(一定のタイムラグあり)
STEP 3 法務局から指定者へ通知書を発送
STEP 4 関係相続人等が遺言書情報証明書を請求 → 相続手続きへ

死亡から通知までには一定のタイムラグが生じます。緊急の対応が必要な場面に備えるには、指定者通知制度だけに頼らず、死後事務委任契約などを併用しておくのが安心です。


通知を受けた人がすべきこと

対応は、通知を受けた人が関係相続人等に該当するかどうかで分かれます。

相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等に該当する場合は、次のように進めます。

  1. 通知書を確認し、遺言書を保管している遺言書保管所を確かめる
  2. 遺言書情報証明書を請求する(手数料は1通あたり1,400円)
  3. 遺言の内容を確認する
  4. 他の相続人・受遺者へ連絡する
  5. 必要に応じて、遺言執行者を中心に執行を進める

一方、通知を受けた人が関係相続人等に該当しない場合(知人や、遺言執行者に指定されていない専門家など)は、自ら遺言書情報証明書を請求することはできません。この場合は、相続人・受遺者・遺言執行者など、請求権限のある人へ連絡し、手続きにつなげる必要があります。


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制度を活用するときのポイント

指定者は複数指定しておくと安心

通知先を1名だけにすると、その方が遺言者より先に亡くなったり、連絡が取れなくなった場合に通知が届かないおそれがあります。1〜3名の範囲で複数を指定し、相続人・受遺者・専門家を組み合わせておくと安心です。

指定者への事前説明が大切

指定者本人に「通知先に指定したこと」「いつか法務局から通知が届くこと」「通知が届いたらどう動くか」を、生前のうちに説明しておきます。事前の知識がないまま通知書を受け取ると、対応が遅れることがあります。

指定の変更・追加は随時可能

指定者は、遺言者本人が判断能力を有する間はいつでも変更・追加できます。受任者や専門家を変えたとき、人間関係が変わったときなどに、内容を見直しておきましょう。

死後事務委任契約などとの併用

死亡から通知までには一定のタイムラグがあります。葬儀や各種解約など、亡くなった直後から必要になる事務に備えるには、指定者通知制度に加えて死後事務委任契約を結んでおくことで、隙間のない対応ができます。


実務での活用例

活用例① おひとりさま+専門家を指定

行政書士法人を通知先に指定し、あわせて遺言書で遺言執行者に指定・死後事務委任契約を併用しておくことで、通知後の遺言執行・死後事務の対応につなげる。

活用例② 遠方の親族を指定

別居している子や甥姪を通知先に指定し、死亡と遺言書の存在を確実に伝える。

活用例③ 受遺者を指定

遺贈寄付の場合、受遺者となる団体を通知先に含めることで、遺贈の意思を実現しやすくする。


よくある質問(FAQ)

Q1. 指定者通知制度とはどんな制度ですか?

A. 自筆証書遺言書保管制度を利用する遺言者があらかじめ通知先を指定しておくと、遺言者の死亡を法務局(遺言書保管官)が戸籍担当部局との連携で確認した際に、指定された人へ遺言書が保管されている旨を通知する制度です。遺言の発見漏れを防ぎます。

Q2. 通知される人は誰ですか?何人まで指定できますか?

A. 遺言者があらかじめ指定した人に通知されます。令和5年10月2日以降、通知対象者は推定相続人・受遺者・遺言執行者等に限定されず、知らせたい人を3名まで指定できます。ただし、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の請求ができるのは関係相続人等に限られます。

Q3. 指定の届出はいつできますか?

A. 遺言書の保管申請時、または保管後の変更届出で行えます。判断能力がある間はいつでも変更できます。

Q4. 法務局はどうやって死亡を把握するのですか?

A. 遺言書保管官が、法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実を確認します。死亡から通知までには一定のタイムラグが生じます。

Q5. 通知を受けた人は何をすればよいですか?

A. 相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等に該当する場合は、遺言書情報証明書を請求して内容を確認し、相続手続きを進めます。関係相続人等に該当しない場合は自ら請求できないため、請求権限のある人へ連絡して手続きにつなげます。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【遺言執行者が必要な場合はどんな時?】遺言執行者を選任するメリット


まとめ

指定者通知制度は、遺言書の発見漏れを防ぐための仕組みです。相続人が請求しなくても通知が届くため、頼れる家族がいないおひとりさまの方ほど効果が大きいといえます。通知先は1〜3名で、専門家を含めて複数を指定しておくと安心です。

死亡から通知までには一定のタイムラグがあるため、死後事務委任契約などと併用して、亡くなった直後からの対応も整えておきましょう。行政書士法人トゥモローズでは、保管制度の活用から遺言執行までの支援を行っています。


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根拠法令

  • 法務局における遺言書の保管等に関する法律
  • 法務局における遺言書の保管等に関する省令

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。