遺言書情報証明書の取得方法|相続人ができる手続き完全ガイド
10秒でわかる この記事の要約
- 遺言書情報証明書があれば家庭裁判所の検認は不要で、預貯金解約・相続登記等の提出書類として使える(手続先により追加書類が必要な場合あり)。
- 請求できるのは相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等に限られ、第三者は請求できない。
- 手数料は1通1,400円で、全国どこの遺言書保管所にも窓口・郵送で請求できる。
- 存否だけ確認したいときは、先に遺言書保管事実証明書(1通800円)を請求するのが効率的。
遺言書情報証明書とは、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」第9条に基づき、自筆証書遺言保管制度を利用した遺言の内容と保管事実を遺言書保管所(法務局)が公的に証明する書面です。 この証明書があれば家庭裁判所の検認は不要で、預貯金の解約や不動産の相続登記などの提出書類として使えます。
本記事では、被相続人が自筆証書遺言保管制度を利用していた場合に、相続発生後、相続人が実際に証明書を取得し、相続手続きに活用するまでの手順を、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが整理します。
遺言書情報証明書とは
遺言書保管所(法務局)が、保管している遺言書の内容を証明する書面を交付するもので、相続手続きに使用します。通常、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要ですが、保管制度を利用した遺言は検認が不要です。遺言書の原本は法務局で保管され続け、相続手続きには証明書を使います。
請求できる人の範囲
| 区分 | 請求可否 |
|---|---|
| 相続人 | ○ |
| 受遺者 | ○ |
| 遺言執行者 | ○ |
| これらの方の法定代理人(親権者・成年後見人等) | ○(法定代理人による請求が認められる場合があります) |
| 利害関係のない第三者 | × |
これらを「関係相続人等」と総称します。なお、遺言者の生存中は、本人以外は誰も請求・閲覧できません。
行政書士・司法書士・弁護士等の専門家は、戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成、請求書類の作成支援、郵送請求の準備などをサポートできます。ただし、誰が請求者となるか、どの資料が必要かは、請求人の立場により確認が必要です。
必要書類
- 遺言書情報証明書の交付請求書
- 法定相続情報一覧図の写し(または被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本+相続人全員の戸籍謄本)
- 請求人の住民票の写し
- 請求人の本人確認書類(顔写真付き官公署発行のもの)
法定相続情報一覧図の写しを添付すれば、戸籍一式の重複提出を省けます。
なお、必要書類は、相続人、受遺者、遺言執行者、相続財産清算人など、請求人の立場により異なります。上記は相続人が請求する場合の基本例であり、受遺者・遺言執行者等が請求する場合は、遺言執行者選任審判書、公正証書遺言、資格を示す資料などが追加で必要になることがあります。
窓口請求の手順
窓口請求の流れ
遺言書保管所の手続きは予約制です。あらかじめ法務局の専用サイトまたは電話で予約してください。
郵送請求の手順
遺言書情報証明書は、全国どこの遺言書保管所にも郵送請求できます。
- 交付請求書に必要事項を記入する
- 必要書類を同封する
- 手数料分の収入印紙を貼付する(1通1,400円)
- 切手を貼った返信用封筒を同封する
- 任意の遺言書保管所に郵送する
返送までには日数がかかるため、余裕をもって請求してください。
手数料
| 種類 | 手数料 | 内容 |
|---|---|---|
| 遺言書情報証明書 | 1通 1,400円 | 遺言の内容まで記載。相続手続きに使える |
| 遺言書保管事実証明書 | 1通 800円 | 遺言書が保管されているか否かの事実のみ |
遺言書保管事実証明書は、遺言書の内容を確認する書類ではなく、請求人との関係で遺言書が保管されているか否かを確認するための書類です。内容を確認して相続手続きに使うには、遺言書情報証明書の取得が必要です。
【実務上のポイント】
遺言書の有無が分からない場合は、まず遺言書保管事実証明書(1通800円)で存否を確認し、保管されていれば遺言書情報証明書(1通1,400円)を請求すると無駄がありません。
遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
証明書を使った相続手続き
遺言書情報証明書は、家庭裁判所の検認を経ずに、各種手続きの提出書類として使用できます。ただし、手続先によっては、戸籍、法定相続情報一覧図、本人確認書類、印鑑証明書、遺言執行者に関する資料など、追加書類を求められることがあります。
- 不動産の相続登記:法務局に提出して申請します。ただし相続登記の代理申請は司法書士の業務のため、当法人では戸籍収集・証明書取得をサポートし、登記は提携司法書士へ引き継ぎます。
- 預貯金の解約・名義変更:金融機関に証明書と所定書類を提出します。
- 証券口座の移管:証券会社に証明書と相続手続依頼書を提出します。
- 生命保険金:保険契約上の受取人や保険会社所定の手続きにより必要書類が異なります。遺言書情報証明書が必要になるとは限らないため、各保険会社に確認します。
複数の手続きを並行する場合は、最初から複数部を請求しておくとスムーズです。原本の還付を受けられる手続きもあります。
取得後の実務上の注意点
他の相続人への通知(関係遺言書保管通知)
関係相続人等の誰かが遺言書情報証明書の交付を受けるか閲覧をすると、遺言書保管官が他の関係相続人等に対し、遺言書を保管している旨を通知します(保管法第9条第5項)。これにより、遺言の存在が関係者に共有されます。
戸籍も別途必要
証明書だけでは法定相続人を確定できないため、相続手続きには被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍が別途必要です。法定相続情報一覧図を取得しておくと、各機関への戸籍束の重複提出を省けます。
遺言執行者の確認
遺言で遺言執行者が指定されていれば、執行者が中心となって手続きを進めます。指定がない場合は、相続人などが家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行うこともできます(民法第1010条)。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【遺言執行者が必要な場合はどんな時?】遺言執行者を選任するメリット
知っておきたいポイント
- 複数の遺言があるときは最新が優先:内容が抵触する部分は、後の遺言が前の遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条)。
- 保管の申請は本人が出頭:自筆証書遺言の保管申請は、遺言者本人が遺言書保管所に出頭して行う必要があり、代理人による申請や郵送はできません(生前の手続き)。
- 長期保存:遺言書の原本は遺言者の死亡後50年、画像データは150年保存されます。
よくある誤解と正しい理解
第一に「遺言書保管事実証明書と同じもの」という誤解です。事実証明書(800円)は遺言書が保管されているか否かの事実のみを示し、内容は記載されません。相続手続きに使えるのは内容まで記載された遺言書情報証明書(1,400円)です。
第二に「誰でも請求できる」という誤解です。請求できるのは関係相続人等に限られ、第三者は請求できません。遺言者の生存中は本人以外請求できません。
第三に「証明書がなければ遺言が無効になる」という誤解です。証明書は手続き上の書類で、遺言自体の有効性とは別問題です。ただし、保管制度の「検認不要」のメリットを活かすには、証明書の取得が事実上必要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺言書情報証明書は誰が請求できますか?
A. 相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等が請求できます。利害関係のない第三者は請求できません。遺言者の生存中は本人以外請求できません。
Q2. 郵送請求は可能ですか?
A. はい。全国どこの遺言書保管所にも窓口・郵送で請求できます。本人確認書類などの添付が必要です。
Q3. 発行手数料はいくらですか?
A. 遺言書情報証明書は1通1,400円、遺言書保管事実証明書は1通800円です。収入印紙で納めます。
Q4. 検認手続きは不要ですか?
A. はい。保管制度を利用した自筆証書遺言は検認不要で、証明書を相続手続きの提出書類として使えます。手続先により追加書類を求められることがあります。
Q5. 1人が証明書を取ると他の相続人に知られますか?
A. はい。関係相続人等の誰かが交付・閲覧をすると、保管官が他の関係相続人等に遺言書を保管している旨を通知します(関係遺言書保管通知)。
まとめ
遺言書情報証明書は、自筆証書遺言保管制度を利用した遺言の相続手続きに使う書類です。検認が不要で、預貯金解約や相続登記の提出書類として使える点が最大のメリットです(手続先により追加書類が必要な場合があります)。存否が不明なときは事実証明書(800円)で確認し、保管されていれば情報証明書(1,400円)を請求する——この順で進めると無駄がありません。
行政書士法人トゥモローズでは、戸籍収集・法定相続情報一覧図の作成・証明書の取得から、その後の相続手続きまでをサポートします(登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携)。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続手続きに必要な戸籍の取り方は?必要な戸籍の範囲や取得する手順を解説!
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根拠法令・参考資料
- 法務局における遺言書の保管等に関する法律 第9条(遺言書情報証明書の交付・関係遺言書保管通知)
- 民法第1010条(遺言執行者の選任)/民法第1023条(前後の遺言の抵触)
