相続発生から7日以内にやるべきこと|死亡届・葬儀・年金停止の手順
10秒でわかる この記事の要約
- 死亡届(戸籍法第86条)の法定期限は死亡を知った日から7日以内だが、死亡届を提出しないと火葬許可証が発行されないため、実務上は当日〜2日目に提出する。
- 死亡診断書・死体検案書の原本は死亡届と一体で役所に提出するため手元に戻らない。提出前に複数枚コピーを取っておく(生命保険・年金・金融機関の手続きで写しが必要)。
- 年金は日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば死亡届の提出は原則不要(未支給年金の請求は別途必要)。必要な場合は厚生年金10日以内・国民年金14日以内。国民健康保険・介護保険は14日以内、会社員の健康保険・厚生年金の資格喪失は事業主が5日以内に手続きする。
- 口座凍結で当面の生活費・葬儀費用に困る場合、民法第909条の2の払戻し制度で「預金額の3分の1×自分の法定相続分」(同一金融機関ごとに上限150万円)まで相続人が単独で引き出せる。
相続発生直後に最優先で行うべき手続きは、死亡診断書または死体検案書の受領、死亡届の提出、火葬許可証の取得、葬儀社への連絡、ご遺体の安置です。 死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要がありますが(戸籍法第86条)、火葬許可証の取得に必要なため、実務上は葬儀・火葬の前に早めに提出します。年金・健康保険・介護保険は期限が異なるため、死亡届の後に順次対応します。ご家族を亡くされた直後で平常心が保ちにくい時期だからこそ、優先順位の事前知識が重要です。
ご家族が亡くなった直後は、悲しみの中で短期間に多くの手続きを進めなければなりません。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、最初の7日間で必要な手続きを時系列で整理します。
当日〜2日目にやること
| 優先度 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 最優先 | 死亡診断書・死体検案書の受領 | 病院・診療所から発行。提出前にコピーを複数枚取る |
| 最優先 | 葬儀社への連絡 | 遺体の搬送・安置を手配。生前契約があればその葬儀社 |
| 最優先 | 死亡届の提出 | 法定期限は7日以内だが、火葬許可のため早めに提出 |
| 最優先 | 火葬許可証の取得 | 死亡届の提出後に発行される |
| 高 | 近親者への連絡・葬儀日程の調整 | 緊急連絡先リストを活用 |
3〜5日目にやること
- 通夜・告別式・火葬の実施(火葬は死亡後24時間経過後。火葬場へ火葬許可証を提出)
- 喪主・葬儀費用の精算(支払い方法は預貯金の払戻し制度も検討)
- 香典・葬儀費用の記録(相続税申告・遺産整理で使用)
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):葬式費用で相続税の節税! 項目ごとに控除可否を一覧表示
– 保険証・年金証書・通帳等の保管(捨てない)
6〜14日目にやること
- 年金の手続き(マイナンバー収録済みなら死亡届は原則不要。未支給年金の請求は別途)
- 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失届(14日以内が目安)
- 会社員だった場合の健康保険・厚生年金の資格喪失(事業主が5日以内に手続き)
- 葬祭費・埋葬料の申請準備(申請期限は原則2年)
- 公共料金・サブスク等の整理(急ぎすぎず一覧化)
死亡届の提出(最重要)
法的根拠
戸籍法第86条により、死亡を知った日から7日以内の届出が義務付けられています。ただし、死亡届を提出しないと火葬許可証が発行されないため、実務上は葬儀・火葬の日程を決める前提として、当日〜翌日頃に提出するのが通常です。
提出先
- 死亡地
- 本籍地
- 届出人の住所地
のいずれかの市区町村役所。
必要書類
- 死亡届書(死亡診断書または死体検案書と一体の様式)
- 届出人の署名(押印は任意。自治体や葬儀社の運用上、印鑑を持参しておくと安心)
- 届出人の本人確認書類
【実務上のポイント】
死亡診断書・死体検案書の原本は死亡届と一体で役所へ提出するため、原則として手元には戻りません。生命保険・年金・金融機関・各種解約の手続きで写しを求められることがあるため、提出前に複数枚コピーを取っておきましょう。
年金・健康保険の手続き
年金受給者が亡くなった場合、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、年金受給権者死亡届の提出を原則省略できます。ただし、未支給年金の請求や遺族年金の手続きは別途必要です。
| 手続き | 期限の目安 | 提出先・対応者 |
|---|---|---|
| 年金受給権者死亡届 | 必要な場合、厚生年金は10日以内・国民年金は14日以内(マイナンバー収録済みなら原則不要) | 年金事務所等 |
| 未支給年金の請求 | 死亡届とは別に請求が必要 | 年金事務所等 |
| 国民健康保険の資格喪失 | 14日以内 | 市区町村役所 |
| 後期高齢者医療制度の資格喪失 | 14日以内が一般的 | 市区町村役所 |
| 介護保険資格喪失・保険証返却 | 14日以内が一般的 | 市区町村役所 |
| 会社員の健康保険・厚生年金資格喪失 | 事実発生から5日以内 | 事業主が年金事務所へ提出 |
届出が遅れて死亡日の翌日以降に年金が支給された場合、その分を返金する必要があります。
当面の生活費の確保
預金凍結による問題
被相続人の口座が凍結されると、当面の生活費・葬儀費用の支払いが困難になります。
遺産分割前の払戻し制度
民法第909条の2に基づき、各相続人は単独で「相続開始時の預金額の3分の1×その相続人の法定相続分」まで払戻しを請求できます。金額は同一の金融機関ごとに上限150万円です。
死後事務委任契約の活用
おひとりさまの場合、生前の死後事務委任契約による預託金で対応できます。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
専門家への相談タイミング
早期相談のメリット
- 7日以内の緊急手続きを漏らさず実行
- 3か月以内の相続放棄期限を意識した判断
- 4か月以内の準確定申告の準備
- 10か月以内の相続税申告に向けた財産調査開始
葬儀・火葬の実務知識
火葬許可証の取得
火葬許可証は、死亡届の提出後に市区町村役所から発行されます。火葬場ではこの許可証がないと火葬を行えないため、「死亡届の提出 → 火葬許可証の取得 → (死亡後24時間経過後に)火葬」の順で進みます。死亡届と同時に取得し、葬儀社に預けるのが一般的です。
「死亡後24時間ルール」
墓地、埋葬等に関する法律第3条により、死亡後24時間を経過しなければ火葬できないのが原則です(伝染病による死亡など例外あり)。亡くなった当日に火葬することはできず、最低翌日以降となります。
「友引」を避ける慣習
火葬場の多くは友引(ともびき)の日を定休日としています。これは「友を引く」という言葉から忌み避けられる慣習で、宗教上の決まりではありません。葬儀日程を決める際、火葬場のスケジュールも併せて確認します。
自治体の葬祭費補助
国民健康保険・後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなった場合、葬祭費が葬祭を行った方に支給されます(金額は自治体により異なります)。協会けんぽ・健康保険組合の被保険者は埋葬料(原則5万円)の対象となります。申請期限は原則2年以内のため、忘れずに申請しましょう。
葬儀後の各種届出と準備
公共料金・通信回線の名義変更または解約
被相続人が契約者だった電気・ガス・水道・固定電話・インターネット・携帯電話・新聞などは、死亡通知と名義変更(または解約)が必要です。同居家族がいない場合は解約、同居家族がいれば名義変更となります。請求書や契約書類を整理してから各社へ連絡します。
クレジットカードの解約
被相続人名義のクレジットカードは、死亡通知により利用停止・解約が原則です。未払いの利用代金は相続財産から支払います。逆に、ポイント残高は原則として失効しますが、一部のカード会社は相続人への引継ぎを認めています。
SNS・サブスクリプションサービスの停止
Facebook・Instagram・X(旧Twitter)などのSNSは、家族からの死亡通知で追悼アカウント化または削除が可能です。Netflix・Spotify・Amazonなどのサブスクリプションは、クレジットカード解約と並行して個別解約します。放置すると引き落としが続くため要注意です。
関係者への死亡通知
親族・友人・取引先・所属団体などに対し、葬儀後早期に死亡通知を行います。年賀状リスト・住所録・スマホの連絡先を参考に通知先リストを作成します。当法人の死後事務委任契約では、生前に指定された関係者への通知も標準業務に含まれます。
葬儀・初動の応用論点
「身寄りのない方」の葬儀
身寄りのない方が亡くなった場合、自治体が墓地埋葬法・行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき火葬などの最低限の手続きを行います。多くは火葬のみの直葬で、宗教的な葬儀は行われません。生前に死後事務委任契約などの準備をしておけば、希望する形での見送りが可能になります。
「自宅で亡くなった場合」の対応
自宅で亡くなった場合、医師による死亡確認が必要です。かかりつけ医がいれば在宅で死亡診断書を交付してもらえますが、いない場合は警察への連絡→検視→死体検案書の交付という流れになります。
「葬儀費用の捻出」が難しいとき
葬儀費用の捻出が難しい場合、自治体の葬祭費・埋葬料の支給、生活保護法による葬祭扶助などの制度が利用できる場合があります。地域包括支援センターや自治体の窓口に相談すると、利用できる制度を案内してもらえます。
「故人の遺品」の取扱い
葬儀後は遺品の整理が必要になります。書類・通帳・印鑑・保険証券などは相続手続きで使うため、処分せずまとめて保管しておきます。写真や思い出の品は早めに分けておくと、後の整理がスムーズです。
初動対応で押さえておきたい点
死亡診断書(死体検案書)のコピーを多めに
死亡診断書(死体検案書)は、生命保険の請求・年金事務所・金融機関など多くの場面で写しの提出を求められます。原本は死亡届と一体で役所へ提出するため、提出前にコピーを多めに取っておくと、その後の手続きがスムーズです。
期限の優先順位を整理する
7日以内(死亡届)・10〜14日以内(年金・健康保険)・3か月以内(相続放棄)など、手続きごとに期限が異なります。緊急性の高いものから順に対応すれば、慌てずに進められます。
家族・親族で役割分担する
複数の家族・親族がいる場合は、「葬儀手配」「行政手続き」「金融機関対応」などの役割を分担すると、一人に負担が偏らず効率的に進められます。手が回らない部分は、専門家への依頼も検討します。
よくある誤解と正しい理解
相続発生直後の対応については、誤解されやすい論点があります。第一に「死亡届は家族しか出せない」という誤解です。死亡届の届出人になれるのは、親族のほか、同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者などです(戸籍法第87条)。葬儀社が役所へ持参するケースも多いですが、その場合でも届出人欄には届出資格のある人が署名します。死後事務委任契約の受任者が対応する場合も、受任者が当然に届出人になれるわけではないため、届出資格の有無や実際の提出方法を事前に確認しておく必要があります。
第二に「7日以内に全手続きを終えなければならない」という誤解です。7日以内が法定期限なのは死亡届のみで、年金停止は10〜14日以内、健康保険資格喪失は14日以内と、期限は手続きごとに異なります。優先順位を整理して落ち着いて対応すれば十分間に合います。
第三に「葬儀を行わないと火葬できない」という誤解です。通夜・告別式を行わない直葬(火葬式)も法律上全く問題ありません。ただし死亡後24時間は火葬できない制限(墓地埋葬法第3条)があるため、安置場所の確保は必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 死亡届の提出期限は?
A. 戸籍法第86条により、死亡を知った日から7日以内に届出が必要です。提出先は死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役所です。
Q2. 葬儀社はいつ手配すればよいですか?
A. 病院で亡くなった場合、遺体の安置先を早急に決める必要があります。生前契約があればその葬儀社、なければ病院から紹介されることもあります。
Q3. 年金停止はいつまでに行いますか?
A. 日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、年金受給権者死亡届の提出を原則省略できます。必要な場合は厚生年金10日以内・国民年金14日以内が目安です。未支給年金の請求は別途必要で、届出が遅れて年金が支給された場合は返金が必要になります。
Q4. 健康保険の資格喪失届は?
A. 国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は14日以内に市区町村へ届け出るのが目安です。会社員だった場合の健康保険・厚生年金の資格喪失は、事業主が事実発生から5日以内に年金事務所へ手続きします。
Q5. 行政書士に最初から依頼できますか?
A. はい、相続発生直後からご相談いただけます。戸籍収集・各種行政手続き・財産調査などをサポートし、相続税申告は税理士法人、相続登記は提携司法書士へつなぎます。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続手続きに必要な戸籍の取り方は?必要な戸籍の範囲や取得する手順を解説!
まとめ
ご家族を亡くされた直後の7日間は、悲しみの中で多くの判断を迫られる時期です。すべてを完璧にこなす必要はありません。死亡届(7日以内)だけは確実に行い、その他は優先順位をつけて一つずつ進めれば十分です。一人で抱え込まず、葬儀社・自治体・専門家のサポートを遠慮なく活用してください。
相続発生から7日以内は、死亡届・葬儀・年金停止・健康保険喪失届など、短期間に多くの手続きが集中します。早期に専門家へ相談することで、漏れなくスムーズに進められます。
行政書士法人トゥモローズでは、相続発生直後からの一貫サポート体制を整えています。
相続発生直後の手続きからまとめてサポートします
死亡届・火葬許可・年金・健康保険・葬祭費・戸籍収集・預貯金手続きまで、何から進めるべきか分からない段階からご相談いただけます。行政書士法人トゥモローズが初動整理を行い、相続税申告が必要な場合は税理士法人トゥモローズ、登記が必要な場合は提携司法書士と連携して進めます。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
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相続発生後の相続税申告(10か月以内)に向けた戸籍収集や全体像については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 戸籍法第86条(死亡届)・第87条(届出義務者)
- 墓地、埋葬等に関する法律第3条(24時間ルール)
- 国民年金法・厚生年金保険法
- 健康保険法・国民健康保険法
