おひとりさまの終活|やるべきこと完全リスト【60代・70代向け】
10秒でわかる この記事の要約
- 終活はまず「財産・契約・連絡先・デジタル情報の棚卸し」から。次に公正証書遺言(財産の承継先)と死後事務委任契約(死後の手続き)を優先する
- 死後だけでなく、判断能力の低下・入院・施設入所という「生前のリスク」にも、任意後見・見守り・財産管理委任・身元保証で備える
- 終活で結ぶ契約の多くは判断能力があることが前提のため、体力・気力に余裕のある60代を一つの目安に始めるのがよい
- パスワードや暗証番号は書類に直接書かず、「利用サービスの一覧・保管場所・解除方法」を整理しておく
おひとりさまの終活とは、配偶者・お子様がいない方や、親族に死後の事務や財産管理を頼みにくい方が、判断能力の低下・入院・死後の手続きに備えて、生前のうちに法的・実務的な準備を進める活動です。 ご家族の支援を前提とした一般的な相続準備とは異なり、第三者である専門家との契約で支援者を確保する設計が中心となります。
「終活と言われても、何から始めればいいのか分からない」——多くのおひとりさまが最初にぶつかる壁です。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、やるべきことを優先順位つきで完全リスト化しました。上から順に確認すれば、ご自身の終活で漏れている部分が見えてきます。
【早見表】終活で最初にやるべき6項目
迷ったら、次の順で進めてください。
| 優先 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 財産・契約・連絡先・デジタル情報の棚卸し | 現状を把握する |
| 2 | 公正証書遺言 | 財産の承継先を決める |
| 3 | 死後事務委任契約 | 葬儀・納骨・各種解約を任せる |
| 4 | 任意後見契約 | 判断能力が低下した後に備える |
| 5 | 見守り契約・財産管理委任契約 | 生前の孤立・入院に備える |
| 6 | 住まい・施設・身元保証・医療意思表示の整理 | 生活基盤を確保する |
なお、ひと口に「おひとりさま」といっても状況はさまざまです。兄弟姉妹・甥姪がいる方は遺言がないと財産がその方々へ承継されますし、相続人が誰もいない方は相続財産清算人や特別縁故者・国庫帰属の問題が生じます。内縁・事実婚の相手には法定相続権がないため遺言が特に重要です。ご自身がどの類型かを意識すると、必要な準備が見えてきます。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続人がいない場合の遺産手続き完全ガイド【相続人不存在】
終活を始めるタイミング
「判断能力があるうち」が大前提
公正証書遺言や任意後見契約は、ご本人に判断能力があることが前提です。認知症などで判断能力が不十分になると、契約の有効性が争われたり、公証手続きが進められなくなる可能性があります。体力・気力に余裕のある60代を一つの目安に始めるのがよいでしょう。
「死後」だけでなく「生前」のリスクにも備える
おひとりさま最大の実務リスクは、実は死亡前の判断能力低下・入院・施設入所・財産管理の不能です。死後対策(遺言・死後事務委任)だけでなく、生前の備え(任意後見・見守り・財産管理委任)も同時に検討してください。リスクと必要な準備を整理すると次のとおりです。
| リスク | 必要な準備 |
|---|---|
| 死後の財産承継 | 公正証書遺言 |
| 葬儀・納骨・行政手続き | 死後事務委任契約 |
| 判断能力が低下した後の財産管理 | 任意後見契約 |
| 判断能力が低下する前の支援 | 見守り契約・財産管理委任契約 |
| 入院・施設入所 | 身元保証・緊急連絡先・医療意思表示の整理 |
ステップ1:現状の棚卸し(情報整理)
終活のすべては、ご自身の現状を正確に把握することから始まります。次の項目を書き出してください。
- 預貯金口座(銀行名・支店名・口座番号)
- 証券口座(証券会社名・口座番号)
- 不動産(所在地・登記事項証明書の有無)
- 生命保険・医療保険
- 年金(公的年金・企業年金・個人年金)
- 借入金(住宅ローン・カードローン等)
- クレジットカード一覧
- 加入しているサブスクリプション
- SNS・メールアカウント
パスワード・暗証番号の正しい扱い方
セキュリティと金融機関の規約の観点から、パスワードや暗証番号そのものを書類に書いたり、他人に預けたりするのは避けてください。代わりに、「利用しているサービスの一覧」「通帳・印鑑・重要書類の保管場所」「いざというときの解除・連絡の方法」を整理しておきます。これだけでも、いざというときに受任者やご家族が困らずに済みます。
ステップ2:エンディングノートと遺言書の役割分担
エンディングノートは、想いや基本情報をまとめる非公式のノートで、法的拘束力はありません。一方、遺言は契約ではなく、民法の定める方式に従って一人で行う法律行為(単独行為)で、法的効力があります。両者の役割は次のように分かれます。
| 項目 | エンディングノート | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 法的拘束力 | なし | あり |
| 財産の承継 | 希望を伝えるのみ | 承継先を法的に指定できる |
| 葬儀・医療の希望 | 伝達できる | 法的効力なし |
| 形式 | 自由 | 民法の方式に従う |
財産の承継先など法的効力が必要な事項は、必ず公正証書遺言で定めます。エンディングノートに細かく書いても、そのとおりに実現するとは限りません。
エンディングノートに書いておくとよい項目は、緊急連絡先、既往歴・服薬・アレルギー、延命治療の希望、葬儀の形式、ペットの世話の依頼、親しい方へのメッセージなどです。
ステップ3:法的な契約の準備
おひとりさまの終活で最重要のステップです。判断能力があるうちにしか結べない契約を、計画的に整えます。
まず優先する2契約
| 契約 | 役割 |
|---|---|
| 公正証書遺言 | 財産の承継先を決める |
| 死後事務委任契約 | 葬儀・納骨・行政手続き・各種解約等を依頼 |
ただし、この2つは「死亡後」への備えです。認知症・入院・施設入所という生前のリスクに備えるには、次の契約も同時に検討してください。
生前のリスクに備える契約
| 契約 | 役割 |
|---|---|
| 任意後見契約 | 判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から、契約で定めた代理権の範囲で財産管理や身上保護に関する契約・手続き等を行う(直接の介護や医療同意を当然に行うものではありません) |
| 財産管理委任契約 | 判断能力はあるが入院などで動けないときに財産管理を任せる |
| 見守り契約 | 定期的な連絡で生活状況を確認する(医学的な判断をするものではありません) |
受任者は「個人」より「法人」が継続性を確保しやすい
おひとりさまの場合、契約から実際の執行までの期間が長くなりがちです。個人に依頼する場合、その方の死亡・引退・体調不良などにより、契約の履行が困難になる可能性があります。法人に依頼することで、個人受任よりも継続性を確保しやすくなります。もっとも、法人にも解散・担当者変更などの可能性はあるため、預託金の管理方法・担当者変更時の体制・契約解除時の返金条件を確認しておく必要があります。
ステップ4:住まい・施設・身元保証・医療意思表示
住まいの見直し
広い住居の管理が負担になってきたら、コンパクトな住まいやサービス付き高齢者向け住宅への住み替えも選択肢です。不動産の売却そのものは宅地建物取引業の領域のため、当法人ではグループの不動産会社・提携先と連携してご案内します。
施設入所と身元保証
施設入所時には身元保証人を求められることが多くあります。頼れる方がいない場合は身元保証サービスを利用する選択肢もあります。身元保証契約では、契約で定めた範囲に応じて、緊急連絡先の窓口、入院・施設入所時の手続き支援、費用保証などを行います。ただし、保証範囲・保証限度額・対象外となる対応は契約ごとに異なります。身元保証や死後事務を含む終身サポートは長期契約となるため、契約内容・サービス範囲・費用・費用保証の有無と上限・預託金の管理方法・解約時の返金条件・死後対応の範囲・事業継続体制を事前に確認することが重要です。当法人では、消費者庁の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」も踏まえ、契約内容を明確にしたうえでご案内します。なお、身元保証人への就任や死後事務の執行は、行政書士の契約書作成業務とは別に、終身サポートサービスとしての性質を持ちます。そのため、保証範囲・保証限度額・対象外事項・費用・預託金の管理方法・解約時の返金条件・事業継続体制を契約書や重要事項説明書で明確にします(個人が保証人となる根保証では極度額の定めが必要となるなど、保証の範囲は明示が重要です)。
なお、24時間の駆けつけや日常生活の付き添いは、身元保証契約に当然に含まれるものではありません。必要な場合は、別契約・追加費用の有無、対応時間、対応範囲を事前に確認してください。
医療・介護への意思表示
延命治療などの希望は、エンディングノートに加え、医療・ケアチームと事前に共有しておくことで、意思が考慮されやすくなります(必ず反映される保証ではありません)。厚生労働省も、本人・家族・医療ケアチームが繰り返し話し合う「人生会議(ACP)」を推奨しています。ただし、医療行為への同意(代諾)を専門家が代行することはできません。当法人がお手伝いできるのは、意思表示書面の作成支援と医療機関との情報共有支援にとどまります。尊厳死宣言公正証書や医療意思表示書、ACPは、ご本人の意思を医療・ケアチームに伝えるための資料であり、第三者に医療同意の権限を当然に与えるものでも、医療機関を当然に法的拘束するものでもありません。実際の医療方針は、本人の意思・医学的判断・家族等や医療ケアチームとの話し合いを踏まえて決定されます。
おひとりさま終活サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
やってはいけない終活
- パスワード・暗証番号を書類に直接書く/他人に預ける:紛失・盗難・規約違反のリスク。一覧・保管場所・解除方法の整理にとどめる。
- 相続税を自己判断する:税額計算・節税は税理士の業務です。誤った自己判断は避け、税理士法人トゥモローズにご相談ください。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税はいくらからかかる?仕組みと判断方法をわかりやすくシンプルに解説 – 契約先を確認せず申し込む:身元保証・終活サービスは長期契約です。費用・預託金・解除条件を確認せずに契約しない。 – エンディングノートに財産承継の希望を書いて満足する:法的効力はありません。承継は公正証書遺言で。
年代別チェックリスト
| 年代 | 主な取組み |
|---|---|
| 50代後半 | 棚卸し・エンディングノート作成 |
| 60代前半 | 公正証書遺言・死後事務委任契約 |
| 60代後半 | 任意後見契約・見守り契約 |
| 70代前半 | 住まいの見直し・生前整理 |
| 70代後半 | 葬儀の生前契約・永代供養の検討 |
| 80代以降 | 契約内容の見直し・最終確認 |
あくまで目安です。ご自身の体調と気持ちのペースに合わせて、無理なく進めてください。
費用と預託金の考え方(税込)
当法人では、公正証書遺言・死後事務委任契約・任意後見契約・財産管理委任契約・身元保証契約・尊厳死宣言公正証書などを、ご状況に応じて組み合わせてご提案します(6つの終活書類・契約メニューの構成です。公正証書遺言や尊厳死宣言公正証書は厳密には契約ではありませんが、終活メニューとしてまとめています)。見守り契約が必要な場合は、別途サービス内容・費用・対応範囲を確認したうえで設計します。料金は次のとおりで、必要な契約だけ選べます(いずれも税込)。
| 書類・契約メニュー | 料金(税込) |
|---|---|
| 公正証書遺言 作成サポート | 220,000円〜(別途、公証人手数料) |
| 死後事務委任契約書 作成 | 220,000円〜(別途、執行報酬550,000円〜+葬儀等の実費。精算方法は事案により個別確認) |
| 身元保証契約書作成+身元保証人就任 | 330,000円〜 |
| 任意後見契約書 作成 | 110,000円〜 |
| 財産管理委任契約書 作成 | 110,000円〜 |
| 尊厳死宣言公正証書 作成サポート | 55,000円〜 |
| 見守り契約 | 内容・頻度・対応範囲により個別見積 |
費用は「契約時に支払うもの」「死後に支払うもの」「実費」に分けて考えると分かりやすくなります。
| 区分 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 契約時費用 | 各契約の契約書作成(必要な契約だけ) | 契約ごとに上記のとおり |
| 6契約を組み合わせる場合 | 6契約をまとめて設計する場合の契約時のお支払い目安 | 1,045,000円(税込)〜 |
| 死後事務の執行報酬 | 死亡後に実際に死後事務を行う報酬 | 550,000円〜(相続発生後に精算) |
| 実費 | 公証人手数料、葬儀・納骨・原状回復費等 | 別途 |
| 預託金 | 遺産から直ちに精算できない場合の実費原資 | 事案により要否を判断 |
「1,045,000円ですべて込み」ではありません。 上記はあくまで契約時のお支払い目安で、死後事務の執行報酬や実費は別に発生します。
死後事務に伴う葬儀費用・納骨費用・原状回復費などは、原則として遺産から精算する設計です。ただし、遺産の内容・金融機関の手続き(口座凍結)・相続人の有無・希望する葬儀内容によっては、事前の預託金が必要となる場合があります。ご契約時に、費用項目・上限額・支払原資・預託金の要否・預託金の管理方法・精算方法・契約解除時の返金条件を個別に確認します。
トゥモローズのサポート範囲
行政書士法人トゥモローズでは、棚卸しの整理、公正証書遺言・死後事務委任・任意後見・財産管理委任・身元保証・尊厳死宣言などの設計と書類作成、公証役場との調整をサポートします。一方、次は連携して対応します。
- 相続税の試算・節税・申告 → 税理士法人トゥモローズ
- 不動産の売却・住み替え → グループの不動産会社・提携先
- 相続登記・信託登記 → 提携司法書士
- 個別の金融商品の助言 → 登録を受けた投資助言・代理業者等(金融商品取引法第29条)
- 紛争性のある交渉・代理 → 提携弁護士
当法人が窓口として全体を整理し、税務・登記・不動産・金融は各専門家、医療・介護は医療機関・ケアチームと連携する——これが安全性の高い進め方です。
よくある質問(FAQ)
Q1. おひとりさまの終活は何から始めるべきですか?
A. まず財産・契約・連絡先・デジタル情報の棚卸し(現状把握)から始め、次に公正証書遺言と死後事務委任契約を優先します。判断能力低下や入院・施設入所にも備えるなら、任意後見・見守り・身元保証なども順に検討します。
Q2. おひとりさまが認知症になったら誰が財産管理をしますか?
A. あらかじめ任意後見契約を結んでおけば、判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から、契約で選んだ人が財産管理を担えます。契約がなければ法定後見となり、後見人は家庭裁判所が選びます。身寄りがない方は市町村長が申し立てることもあります。
Q3. 死後事務委任契約だけで財産の承継まで決められますか?
A. いいえ。死後事務委任は葬儀・納骨・各種解約などの「事務」を託す契約です。財産を誰に承継させるかは公正証書遺言で定め、その実現は遺言執行者が担います。両方を準備しておくのが安心です。
Q4. 兄弟姉妹や甥姪に財産を渡したくない場合は?
A. 父母・祖父母などの直系尊属がおらず、相続人が兄弟姉妹またはその代襲相続人である甥姪だけの場合、兄弟姉妹・甥姪には遺留分がありません(民法第1042条は兄弟姉妹以外の相続人に遺留分を認める構造で、兄弟姉妹とその代襲者である甥姪には遺留分がありません)。そのため、公正証書遺言で承継先(お世話になった方や団体など)を指定しておけば、ご希望に沿った承継を実現しやすくなります(父母・祖父母などの直系尊属がいる場合は遺留分があるため、別途検討が必要です)。
Q5. ペットがいる場合の終活はどうすればよいですか?
A. 飼育者・飼育費・世話の方法を決めておく必要があります。負担付遺贈や信託などの方法があり、状況に応じて設計します。詳しくは個別にご相談ください。
まとめ
おひとりさまの終活は、棚卸し → 公正証書遺言・死後事務委任 → 生前リスクへの備え(任意後見・見守り・財産管理)→ 住まい・施設・医療意思表示の整理へと、優先順位をつけて段階的に進めるのが効果的です。
最も重要なのは「判断能力があるうちに」始めること。60代を一つの目安に、ご自身のペースで一歩ずつ進めましょう。税務・登記・不動産・金融・医療はそれぞれの専門家と連携しながら、当法人が全体の整理をお手伝いします。
おひとりさまの終活、
お悩みではありませんか?
死後事務委任を中心に、
必要な契約だけ選べる終活サポート。
大きな預託金不要で、
相続専門の士業が人生の最期まで一貫対応。
平日 9:00〜21:00 土日祝 応相談
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相続税の観点もあわせてご確認ください
終活で財産を承継する人がいる場合、相続税が関わることがあります。相続税の試算・申告は、グループの税理士法人トゥモローズが対応します。
根拠法令・参考資料
- 民法第643条(委任)・第656条(準委任)・第653条(委任の終了事由)/最高裁平成4年9月22日判決(死後事務を含む委任契約について、死亡後も契約を存続させる合意の有効性を認めた判例)
- 民法第960条以下(遺言の方式)
- 任意後見契約に関する法律(任意後見監督人選任時に効力発生)
- 税理士法第2条(税務相談等は税理士業務)/行政書士法第1条の3・第1条の4(他の法律で制限された業務は行えない)
- 民法第1042条(兄弟姉妹には遺留分がない)
- 医師法第19条(応召義務)/厚生労働省通知「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」
- 金融商品取引法第29条(投資助言・代理業は登録が必要)
