海外相続で使う英文相続関係説明図(Family Tree/Genealogy Chart)の作り方|Statement of Kinshipとの違い・宣誓供述書・認証
10秒でわかる この記事の要約
- 海外金融機関に相続手続きを申し立てる際、多くの機関で相続人の範囲・続柄を英文で示す図表の提出が求められることがあります。実務ではFamily Tree・Genealogy Chart・Kinship Diagram等の名称で呼ばれます。
- 日本の法務局提出用の相続関係説明図(日本語・A4縦・線でつなぐ図)をそのまま英訳しても、海外金融機関のフォーマット要件と合わないことが多く、英文専用の別書式で作成し直すのが実務の基本です。
- 英文相続関係説明図はそれ単体では法的証明力を持たない補助資料で、戸籍謄本の英訳+翻訳者宣言書、Statement of Kinship(宣誓供述書)、公証・アポスティーユと組み合わせて提出します。
- 書式に法定要件はありませんが、金融機関により専用フォームが指定される場合があり、まず提出先の指定書式を確認するのが実務の起点です。
海外金融機関に相続手続きを申し立てる際、多くの機関から「相続人の範囲と続柄がひと目で分かる英文の家系図(Family Tree / Genealogy Chart)を提出してください」と求められることがあります。日本の法務局提出用の相続関係説明図に慣れている方でも、海外金融機関の担当者が求めるフォーマットは異なり、そのまま英訳しても要件を満たさないケースが少なくありません。
本記事では、海外相続で使う英文相続関係説明図の作り方を、日本の相続関係説明図との違い・記載項目・Statement of Kinship(宣誓供述書)との使い分け・翻訳者宣言書・公証・アポスティーユまで、行政書士の書類作成支援目線で7つのステップに整理して解説します。
なお、本記事は海外金融機関に提出する英文相続関係説明図の一般的な実務を解説するもので、国・金融機関・時期により指定書式や要求される認証は大きく異なります。実際の書類作成は各金融機関の指示に従い、現地代理業務・法的判断は現地弁護士・現地専門家、税務判断は税理士と連携して進めます。
東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズは、海外相続で提出する英文相続関係説明図の原案作成、戸籍謄本の英訳手配、翻訳者宣言書・公証・アポスティーユの進行管理を全国オンラインで対応しています。
海外金融機関が英文相続関係説明図を求める理由
海外金融機関が英文相続関係説明図を求める背景には、次の3つの理由があります。
理由1:戸籍謄本だけでは相続人の全体像を短時間で把握できない
日本の戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡までを追う必要があり、除籍謄本・改製原戸籍・現在戸籍等が複数枚に分かれます。これを英訳してそのまま提出しても、海外金融機関の担当者は日本の戸籍制度を前提とした情報構造を読み解けず、「配偶者は誰か」「子は何人か」「先妻の子はいるか」「代襲相続はあるか」を把握するのに時間がかかります。英文の家系図を添えることで、担当者が最初の10秒で相続人の全体像を把握できるため、事務処理の効率化と受理の迅速化に直結します。
理由2:相続人漏れ・不正申請の防止
海外金融機関は正当な相続人以外への支払いリスクを強く警戒します。特に英米法系の国では、遺産管理人(Personal Representative)や執行者(Executor)が「相続人が誰であるかを宣誓の下に明示する書類」を要求する慣行があり、図表化された家系図はその宣誓の裏付け資料として機能します。
理由3:AML/CFT・KYCコンプライアンスへの対応
海外金融機関はマネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)の観点から、受取人となる相続人の身元・被相続人との関係・資金の受取根拠をコンプライアンス部門が独立に検証する体制を取っています。英文の家系図は、KYC担当者が短時間で「なぜこの人が受取人なのか」を理解するための必須資料の位置付けです。
つまり英文相続関係説明図は、単なる翻訳ではなく「海外の担当者・コンプライアンス部門が読むための資料」として、海外の慣行に合わせた書式で再作成する必要があるのです。
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Family Tree / Genealogy Chart / Kinship Diagramの用語整理
海外相続の実務で使われる用語は、金融機関・現地弁護士・現地専門家によって表記が異なります。主なものを整理します。
Family Tree
- 最も一般的な呼称。家系図・家族関係図の意味
- 米国・英国・カナダ・オーストラリア等の英語圏で広く通用
- 相続手続きにおいては「相続人の範囲を示す図表」として使われる
Genealogy Chart
- 系図・家系図の意味。Family Treeとほぼ同義で使われる
- やや形式的・法的な文脈で用いられることが多い
- 米国の一部の州法・信託実務で使用される
Kinship Diagram
- 親族関係図の意味。より続柄の証明に重点を置いた表現
- 英国のプロベート実務で使われる場合がある
Statement of Kinship / Affidavit of Kinship
- 宣誓供述書としての親族関係証明
- Family Treeが「図」であるのに対し、Statement of Kinshipは「文章+宣誓」の書式
- Notary Public(公証人)の面前で署名する形式が一般的
- 海外金融機関の一部(特に信託会社・プライベートバンク)が正式書類として要求
Heirship Affidavit
- 相続人であることを宣誓する文書
- 米国のいくつかの州で、遺産分割の簡易手続きに用いられる
- 相続関係説明図とは別に、宣誓者(相続人本人)の身元を証明するもの
Pedigree Chart
- 学術用語(遺伝学・家系研究)寄りで、相続実務ではあまり使われない
- 海外の金融機関から求められた場合はFamily Treeと同義と理解してよい
実務上は、金融機関から「Family Tree または Genealogy Chart を送ってください」という指示が最も多いパターンです。指示の中で具体的な書式・記載項目まで指定されない場合は、次の見出しで解説する構成を目安に作成します。
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東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、海外金融機関に提出する英文相続関係説明図(Family Tree/Genealogy Chart)の原案作成、戸籍謄本の英訳手配、翻訳者宣言書・公証・アポスティーユの進行管理を全国オンラインで対応します(現地代理業務・法的判断は現地弁護士、税務判断は税理士と連携)。初回相談無料。
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日本の相続関係説明図との違い——そのまま英訳しない理由
日本の法務局提出用の相続関係説明図は、以下の書式で作成するのが一般的です。
日本の相続関係説明図の特徴
- 被相続人・相続人の氏名・生年月日・住所を線でつなぐ
- 続柄を「妻」「長男」「長女」等の日本語表記で示す
- 「相続」「分割」等の日本の相続手続き上の用語を書き込む
- A4縦またはA3横で、罫線をきれいに引く
- 作成者(相続人代表または司法書士・行政書士)の署名捺印を末尾に置く
この日本式の相続関係説明図を、そのまま英訳してもうまく機能しない理由は次のとおりです。
そのまま英訳しない理由1:続柄の英訳が実務用語と一致しない
「長男」「長女」「次男」「次女」を単純に翻訳しても、英語圏ではeldest son / eldest daughterのような順序表現は日常的でなく、実務ではむしろSon / Daughter / Spouse / Parentのシンプルな続柄と生年月日で順序を示すのが一般的です。
そのまま英訳しない理由2:日本の相続用語が誤解を招く
日本語の「相続」「分割」「遺留分」「代襲相続」等を英訳する場合、英米法の対応概念(inheritance / distribution / forced share / representation)は国・州により法制度が異なるため、誤解のない説明的な英文表現に置き換える必要があります。特に法制度上の用語は、金融機関の法務担当者に対して誤ったメッセージを与える可能性があります。
そのまま英訳しない理由3:必要情報の粒度が異なる
海外金融機関は、日本の法務局が要求しない情報(パスポート番号・国籍・海外在住地の住所・関係発生の根拠となる書類名)を求めることがあります。逆に、日本の相続関係説明図で重視される「被相続人の本籍地」等は、海外では意味を持ちません。
海外金融機関向けの英文相続関係説明図の設計
そのため、海外提出用の英文相続関係説明図は日本の書式を英訳するのではなく、海外の慣行に合わせた新しい書類として再設計するのが実務です。元の日本語相続関係説明図は日本国内の手続き用として別に保持し、海外金融機関には英文専用書式を提出する二重化の構成を採ります。
英文相続関係説明図(Family Tree)の記載項目——実務標準の10項目
海外金融機関に提出する英文相続関係説明図(Family Tree)には、金融機関から専用フォームの指定が無い場合、次の10項目を目安に作成します。書式は自由ですが、A4横でツリー形式に配置し、上部に被相続人、下部に相続人を並べるのが一般的です。
ブロック1:表題・作成者情報
- タイトル:Family Tree of the Late [Deceased Full Name]
- 作成者情報:氏名・住所・作成日・相続人代表or専門家としての立場
ブロック2:被相続人(Deceased)情報
- 被相続人の氏名:Full Legal Name(戸籍上の英字表記・パスポート表記)
- 被相続人の生年月日・死亡年月日:DD Month YYYY形式(例:15 March 1955)
- 被相続人の国籍・最終住所・死亡地:Japanese、東京都〇〇区〇〇、Tokyo, Japan
ブロック3:相続人(Heirs)情報
- 相続人の氏名・続柄:Full Legal Name / Relationship(Spouse / Son / Daughter / Parent / Sibling 等)
- 相続人の生年月日・国籍・現住所:DD Month YYYY / Japanese / 住所
- 相続人の連絡先:メールアドレス・電話番号
ブロック4:根拠書類の明示
- 添付書類の一覧:Certified copies of family register (Koseki) — English translation attached、Deceased’s death certificate等
- 署名欄と宣誓文:I certify that the above information is true and correct to the best of my knowledge.
先妻の子・非嫡出子・代襲相続がある場合の追加事項
- 先妻(前配偶者)がいる場合は、被相続人と先妻の関係の期間(婚姻期間)を示す
- 非嫡出子(認知された子)がいる場合は、認知の事実と認知日を示す
- 代襲相続(相続人となるべき人が既に死亡している場合の子・孫等による相続)がある場合は、亡くなった相続人本人と代襲する相続人の関係を明示する
- 相続放棄・相続欠格・相続廃除がある場合は、その事実を注記として書き添える
外国語表記と英字表記の統一
戸籍上の日本語氏名を英字にする場合、パスポートと完全に一致させます。ミドルネームの有無、大文字小文字、ハイフンの有無等が銀行のシステム登録名と一致しないと、追加確認や再作成を求められるため、パスポートコピーを常に手元に置いて照合します。
Family Tree × Statement of Kinshipの使い分けと組み合わせ
英文相続関係説明図の実務では、「図表としてのFamily Tree」と「宣誓文書としてのStatement of Kinship / Affidavit of Kinship」を使い分ける・組み合わせる場面があります。
Family Treeの位置付け
- 相続人の範囲・続柄を視覚的に示す図表
- 補助資料として、原則的には単独では法的証明力を持たない
- 金融機関の担当者が短時間で相続人の全体像を把握するための資料
Statement of Kinship / Affidavit of Kinshipの位置付け
- 親族関係を文章で説明し、相続人本人または権限ある者が署名する書面
- 提出先によってはNotary Public等の面前での署名・宣誓が求められる
- 米国・英国のプロベート手続き、信託会社の相続実務、プライベートバンクの相続実務で正式書類として要求されることがある
- ただし、宣誓供述書としての法的有効性・記載すべき宣誓文言・誰が署名すべきかは国・州・金融機関により異なるため、必要に応じて現地弁護士・現地Notary・提出先金融機関に確認します
- 行政書士が支援できるのは原案作成・翻訳・記載情報整理までの範囲で、法的有効性の判断は現地専門家の領域です
使い分けの3パターン
パターン1:Family Treeのみ提出
- 一般的な海外預金・証券口座の相続で最も多いパターン
- Family Treeに加えて、戸籍謄本の英訳+翻訳者宣言書+公証・アポスティーユを添付
- 金融機関から追加で宣誓供述書を求められた場合に、Statement of Kinshipを追加提出する
パターン2:Family Tree + Statement of Kinship両方提出
- 信託会社・プライベートバンク・プロベート裁判所への提出で多いパターン
- 図表と宣誓供述書の両方で、視覚的・法的な双方の証明を提供
- Statement of KinshipにFamily Treeを添付図として引用する構成
パターン3:Statement of Kinshipのみ提出(Family Tree不要)
- 相続人が1人のみの案件や、続柄が単純な案件で用いられる
- 図表化する必要が乏しく、宣誓供述書の文章内で「配偶者は〇〇、子は△△の2名」と簡潔に述べれば足りる場合
実務では、金融機関の指示を待たずにFamily Tree+戸籍英訳をまず送付し、追加でStatement of Kinshipを求められたら対応するという段階的アプローチが効率的です。初回から両方を用意すると、Notary Public認証やアポスティーユの追加コスト・時間が発生するためです。
翻訳者宣言書・公証・アポスティーユの実務
英文相続関係説明図(Family Tree)は、それ単体では法的証明力を持たない補助資料です。海外金融機関に受理されるためには、根拠となる戸籍謄本(日本語)の英訳+翻訳者宣言書、そしてFamily Treeと戸籍英訳をひとつのパッケージとして公証・アポスティーユを組み合わせて認証します。
戸籍謄本の英訳と翻訳者宣言書(Translator’s Affidavit)
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を、翻訳者が英訳します。翻訳者宣言書には次の内容を英文で記載します。
- 翻訳者の氏名・住所・資格(専門的な翻訳者としての立場)
- 翻訳対象書類の特定(戸籍謄本の発行日・発行元)
- 翻訳の完全性・正確性を宣言する文言(I certify that the above translation is a complete and accurate translation of the original document.)
- 翻訳者の署名・日付
翻訳者宣言書は、翻訳者本人が公証役場で公証人の認証を受けることで、「翻訳者が確かにこの文書を翻訳した」という事実を証明できます。詳細な翻訳・公証・認証の実務は、関連解説(税理士法人トゥモローズ)「相続で必要な翻訳・公証・認証手続きを完全解説」もあわせてご確認ください。
Family Tree自体の認証
Family Tree(相続関係説明図)そのものも、金融機関の指示により公証・アポスティーユが求められる場合があります。この場合は次の流れで進めます。
- Family Treeを英文で作成し、作成者(相続人代表または専門家)が署名する
- 作成者本人が公証役場で、Family Treeの署名について公証人の認証を受ける
- 公証役場で受けた公証を、法務局の公証人押印証明で確認する(公証人押印証明はワンストップサービスで公証と同時取得可)
- 提出先国がアポスティーユ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)の締約国であればアポスティーユ、非締約国であれば領事認証を追加する
アポスティーユ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)の締約国・非締約国の使い分け
提出先国がアポスティーユ条約の締約国で、かつ日本との間で条約が発効している場合は、原則として領事認証ではなくアポスティーユで足ります。アメリカ・英国・オーストラリア・シンガポール・韓国等はいずれも発効済みで、アポスティーユで認証が完結します。
締約・発効状況は随時変わるため、必ず最新情報を確認します。2026年7月時点の主なアップデートは次のとおりです。
- 中国:2023年11月7日発効済み——アポスティーユで対応可
- カナダ:2024年1月11日発効済み——アポスティーユで対応可
- タイ:2027年2月28日発効予定——発効前は領事認証等が必要
- ベトナム:2026年9月11日発効予定——発効前は領事認証等が必要
発効前の国、および条約非締約国(現時点で外務省の公印確認+在日大使館・領事館の領事認証が必要な国)向けは、公印確認+領事認証の2段階認証を組み合わせます。提出直前に、必ずHCCH(ハーグ国際私法会議)のステータステーブルまたは外務省ウェブサイトで最新情報を確認します。
認証パッケージの標準構成——公文書・私文書・翻訳文の関係
実務上の認証パッケージは、書類の性質(公文書か私文書か)によって認証ルートが分かれます。混同しやすいため、次の5要素に分けて整理します。
① 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(日本の公文書)
- 市区町村長発行の公文書
- 外務省で直接アポスティーユを取得できる場合があります(公証人認証を経ずに、公文書として外務省の証明を受けられる扱い)
② 戸籍等の英訳文(私文書)
- 翻訳者が作成した翻訳文自体は私文書に該当
- 翻訳者宣言書と一体で公証人認証を受け、その上でアポスティーユまたは領事認証を組み合わせます
③ 翻訳者宣言書(Translator’s Affidavit)(私文書)
- 翻訳者が公証役場で公証人認証を受ける
- 公証人押印証明を経て外務省アポスティーユまたは公印確認+領事認証へ進む
④ Family Tree本体(私文書)
- 作成者(相続人代表または専門家)が署名した私文書
- 公証人認証を受けた上で、アポスティーユまたは公印確認+領事認証を追加します
⑤ 必要に応じた公証人認証・公証人押印証明・アポスティーユ・領事認証
- 提出先金融機関の指定に応じて、①〜④の各書類にどこまでの認証を付けるかを組み合わせます
- Family Tree・翻訳文・翻訳者宣言書はいずれも私文書に当たるため、通常は公証人認証等を経たうえでアポスティーユまたは領事認証を組み合わせます
外務省は「証明(公印確認・アポスティーユ)」および「申請手続きガイド 1 証明できる書類」ページで、私文書は直接証明できず、公証役場で公証人認証を受けた上で公証人押印証明があれば外務省の証明を取得できる旨を説明しています(外務省ウェブサイトでご確認ください)。戸籍等の公文書と、翻訳文・宣言書・Family Tree本体等の私文書は認証ルートが異なる点を、実務では明確に区別します。
英文相続関係説明図が受理されないケースと対処
英文相続関係説明図(Family Tree)を提出しても、海外金融機関の担当者から追加対応を求められるケースがあります。典型的な差し戻しパターンと対処を整理します。
ケース1:金融機関の専用フォームがあり、Family Treeでは代替できない
米国の大手銀行(Bank of America、Chase 等)、英国の大手銀行(Barclays、HSBC UK 等)、米国主要証券会社(Charles Schwab、Fidelity 等)は、相続手続きに関する独自のフォーム(Statement of Death、Affidavit of Domicile、Family Tree Statement 等)を用意しています。この場合、金融機関の専用フォームを取り寄せて、その書式に沿って再作成します。汎用のFamily Treeを提出しても「当行指定のフォームで再提出してください」と差し戻されるため、初動段階でEstate Services / Bereavement Team窓口に指定フォームの有無を確認します。
ケース2:相続人の生年月日・パスポート番号・住所の記載が不十分
海外金融機関のAML/CFT担当者は、相続人の身元を独立に検証します。Family Treeに氏名・続柄しか書かれていない場合、「生年月日・国籍・パスポート番号・現住所を追記した書類を送ってください」と追加要求されることがあります。初回作成時から、相続人全員のパスポートコピーを手元に置いて、氏名・生年月日・パスポート番号を英字で正確に記載します。
ケース3:先妻の子・非嫡出子・養子の記載漏れによる差し戻し
海外金融機関は、相続人漏れによる後日の支払い請求を強く警戒します。「被相続人に前婚があった場合、前婚の子はいるか」「非嫡出子はいるか」「養子はいるか」をFamily Tree上で明示的に書き添えないと、確認質問が来る場合があります。
ただし「該当なし」を書く場合も断定表現を避け、確認根拠と範囲を明示するのが実務のコツです。戸籍調査に基づく場合は、たとえば「Based on the Japanese family register records reviewed, no adopted children are recorded.」のように、「確認できた戸籍記録に基づく」旨と範囲を明示します。相続欠格・相続廃除・相続放棄など法的判断を伴う事項は、Family Treeの図中で断定せず、根拠書類や弁護士確認とあわせて別紙で整理します。
ケース4:Statement of Kinship(宣誓供述書)の追加要求
Family Treeのみを提出したが、金融機関から「Statement of Kinshipを追加してください」と要求されるケースです。この場合は、Family Treeの内容を宣誓文の形に再構成して対応します。ただし、宣誓供述書としての法的有効性・記載すべき宣誓文言・誰が署名すべきか・宣誓形式・提出先の要件は国・州・金融機関により異なるため、行政書士が原案作成・翻訳・記載情報整理を支援したうえで、提出先金融機関の指定・現地弁護士・現地Notaryと個別に確認して確定します。相続人が海外在住の場合は現地Notary Public、日本国内在住の場合は日本の公証役場を利用するのが一般的です。
ケース5:戸籍の複雑さによる再翻訳・再作成の要求
被相続人が改製前戸籍を持つ場合(古い横書き前の戸籍)、翻訳が読みにくいと差し戻されることがあります。改製前戸籍の翻訳は、専門的な翻訳者に依頼し、翻訳者宣言書を確実に添付します。また、被相続人が転籍を繰り返している場合は、戸籍の連続性が分かるようにFamily Tree上に「本籍地の変遷」を注記として追加します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 英文相続関係説明図は誰が作成できますか?
A. 書式に法定要件がないため、相続人本人・行政書士・翻訳者のいずれも作成可能です。ただし、Notary Public認証を受ける場合は、作成者(署名者)が公証人の面前で署名する必要があります。日本の行政書士は書類作成の専門家として、英文相続関係説明図の原案作成・戸籍英訳の手配・翻訳者宣言書・公証・アポスティーユまでの進行管理を一貫して支援できる立場です。海外金融機関との個別交渉や現地法判断は現地弁護士・現地専門家、税務判断は税理士と連携して進めます。
Q2. Family Treeの作成費用と所要期間はどれくらいですか?
A. 作成費用は、行政書士・翻訳者への依頼で3万円〜10万円台が目安です。戸籍謄本・除籍謄本の英訳、翻訳者宣言書、公証・アポスティーユの費用は別途発生します。所要期間は、戸籍の取得から英訳・公証・アポスティーユ完了まで4〜8週間が目安です。改製前戸籍が含まれる場合や、被相続人が転籍を繰り返している場合は、戸籍取得だけで2〜4週間かかるため、初動を早めるのが実務的です。
Q3. Family TreeとStatement of Kinshipはどちらが必要ですか?
A. 金融機関の指示によります。汎用的な海外預金・証券口座の相続ではFamily Treeで足りるケースが多い一方、信託会社・プライベートバンク・米国プロベート裁判所への提出ではStatement of Kinship(宣誓供述書)が要求されることが増えます。実務では、Family Treeを先に提出し、追加要求があった段階でStatement of Kinshipを準備する段階的アプローチが効率的です。両方を最初から準備すると、公証・アポスティーユの手続きが二重になり、時間とコストが増えます。
Q4. 被相続人が日本国籍でない場合、Family Treeはどう作りますか?
A. 被相続人が日本国籍でない場合、戸籍謄本の代わりに被相続人の本国の出生証明書・婚姻証明書・死亡証明書を根拠書類とします。これらの本国発行書類には、原則として本国または書類発行国の指定当局によるアポスティーユ、または領事認証を付与した上で、日本語または英語への翻訳と翻訳者宣言書を添付します(アポスティーユ発行機関は国ごとの指定当局であり、外務省に限りません)。Family Tree本体は英文で作成し、根拠書類として本国の相続関連書類パッケージを添付する構成となります。本国の書類収集は現地代理人・現地弁護士との連携が実務的です。
Q5. 作成したFamily Treeは他の海外金融機関でも使い回せますか?
A. 同じ相続案件でFamily Treeの内容自体が変わらなければ、原則として複数の海外金融機関で流用可能な場合があります。ただし、金融機関ごとに専用フォーム・追加記載項目・認証パッケージの構成が異なるため、そのままではなく金融機関ごとに微修正が必要になることが多いです。実務では、Family Treeの原案(データ)を1つ作成しておき、金融機関の指定に応じて該当項目を追加・削除・再認証する運用が効率的です。アポスティーユ付き原本の取扱いも金融機関によって異なり、原本提出・原本返却不可を求める機関もあります。原本の返却可否・コピーで足りるかを事前に確認し、必要に応じて複数セットを最初から準備するのが安全です。
海外口座の相続代行サービスの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
まとめ
海外相続で使う英文相続関係説明図(Family Tree / Genealogy Chart)は、海外金融機関の担当者・コンプライアンス部門が相続人の全体像を短時間で把握するための資料です。日本の法務局提出用の相続関係説明図をそのまま英訳するのではなく、海外の慣行に合わせた英文専用書式で再設計するのが実務の基本です。
書式に法定要件はありませんが、金融機関の指定フォームがある場合はそれに従います。指定がない場合は、被相続人情報・相続人情報・続柄・生年月日・国籍・パスポート番号・根拠書類の一覧を含む標準10項目を目安に作成します。Statement of Kinship(宣誓供述書)は、Family Treeとは別書式で、公証人の面前で相続人本人が署名する形式です。実務では、Family Treeを先に提出し、追加要求があればStatement of Kinshipを準備する段階的アプローチが効率的です。
英文相続関係説明図は、戸籍謄本等の公文書、英訳文、翻訳者宣言書、Family Tree本体を分けて整理し、提出先の指定に応じて、公証人認証・公証人押印証明・外務省アポスティーユまたは公印確認+領事認証を組み合わせて認証パッケージを構成します。戸籍等の公文書と、翻訳文・翻訳者宣言書・Family Tree本体等の私文書では認証ルートが異なる点を、実務では明確に区別します。所要期間は戸籍取得から認証完了まで4〜8週間が目安で、日本の行政書士は書類作成・翻訳手配・進行管理の領域で相続人の負担軽減に貢献できます。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、海外相続で必要な英文相続関係説明図(Family Tree / Genealogy Chart)の原案作成、戸籍謄本の英訳手配、翻訳者宣言書・公証・アポスティーユの進行管理を、全国オンラインで対応しています。アメリカ・英国・シンガポール・香港・オーストラリア等、主要国の金融機関実務に対応可能で、現地代理業務・法的判断は現地弁護士、税務判断は税理士法人トゥモローズと連携します。
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根拠法令・公的資料
- 民法882条(相続の開始)
- 民法887条(子及びその代襲者等の相続権)
- 民法889条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
- 民法890条(配偶者の相続権)
- 戸籍法(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の発行根拠)
- 公証人法(公証人による認証の根拠)
- 外国公文書の認証を不要とする条約(1961年ハーグ条約、日本は1970年批准)
- 行政書士法1条の3・1条の4(行政書士の業務範囲)
