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DBS・OCBC・UOBの口座を相続したら|シンガポールの銀行を解約して日本へ送金する手順と必要書類

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海外口座 相続

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • シンガポールの主要3行(DBS・OCBC・UOB)は、単独名義の口座の払戻しに、原則として裁判所のグラント(遺産を扱う権限を証明する書類)を求めます。
  • OCBCは、近親者にも口座情報を開示しません。ただし、グラントの申立書類(Originating Application)があれば照会できます。
  • DBSは、海外に住む遺産代表者が郵送で口座閉鎖と払戻しを依頼できます。書類は公証した写しで、依頼書はインクで署名して公証した原本です。
  • UOBは、単独名義の口座の閉鎖に選任された遺言執行者・遺産管理人の全員の来店を求めています。
  • 遺産が5万シンガポールドル以下でも、公的受託者(Public Trustee)には対象外の条件が多くあります。裁判所に申立てをする前に確認してください。
  • 故人がシンガポール外に生活の本拠(domicile)を持っていた場合、グラントの申請に外国法についての宣誓供述書などが必要になることがあります。

シンガポールの銀行口座は、駐在や資産運用をきっかけに持っていた方が少なくありません。

ところが、名義人が亡くなったあとの手続きは、日本の銀行とは考え方が違います。

単独名義の口座からお金を払い戻すには、遺産を扱う人を裁判所が正式に定めた書類(グラント)で権限を示すのが原則だからです。

しかも、窓口の対応は3行で違います。

本記事では、DBS・OCBC・UOBの公式情報をもとに、日本に住む相続人が口座を解約するまでの流れを、死亡の連絡と残高照会・グラントの取得・払戻し・日本への送金に分けて整理します。主に個人の単独名義の口座を想定しています(共同名義の口座や投資口座は手続きが異なります)。

なお、シンガポールに相続税があるか、日本の相続税の申告がどうなるかは税務の問題です。本記事では扱わず、関連解説(税理士法人トゥモローズ)「シンガポールに相続税はない|プロベートと日本の相続税申告の注意点」に譲ります。


3行の違いを場面ごとに押さえる

同じ「解約」でも、場面によって求められるものが違います。

① グラントを取る前の口座情報

銀行 公式案内
DBS 遺産額が分からない場合のFAQがある。照会できる人・必要書類・開示の範囲は要確認
OCBC 近親者にも開示しない。グラントか、裁判所への申立書類(Originating Application)が必要
UOB 申請者本人が支店に来店し、身分証明・死亡証明・銀行が受け入れる内容の依頼書を提出

② 口座の閉鎖・払戻し

銀行 公式案内
DBS 海外に住む遺産代表者は、郵送で依頼できる
OCBC グラントと、OCBCの口座を記載した財産目録(Schedule of Assets)が必要
UOB 選任された遺言執行者・遺産管理人の全員が来店

③ 払戻しの受け取り方

銀行 公式案内
DBS 送金(Telegraphic Transfer)の依頼書を提出する
OCBC OCBCの口座への入金・振替が基本。口座を閉じる場合は銀行振出小切手(Cashier’s Order)の選択肢もある
UOB 公式ページに具体的な記載なし

取引していた銀行は、相続人が選び直せません。

DBSは海外に住む遺産代表者向けの郵送手続きを公表しています。取引銀行ごとの来店・書類の条件に合わせて準備してください。

OCBCについては、口座情報の開示に裁判所の関係書類を求める点に注意が必要です。

グラント(Grant of Probate=遺言検認状、Letters of Administration=遺産管理状)は、遺言執行者や遺産管理人を裁判所が正式に定める書類です。遺言はあるが執行者が指定されていない、または執行できない場合は、Letters of Administration with Will Annexedになります。


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どの順番で進めるか

最初に裁判所へ申し立ててしまうと、選べたはずの制度が使えなくなることがあります。次の順番で確認してください。

  1. 手元の取引明細や郵便物から、取引銀行・名義(単独か共同か)・遺産のおおよその規模・債務の有無・遺言の有無を確認する。
  2. 少額の可能性があれば、裁判所に申立てをする前に公的受託者(Public Trustee)の利用条件を確認する。申立てが済んでいると、公的受託者は扱いません。
  3. 預金の残高が5,000シンガポールドル未満なら、近親者が銀行に直接相談できると公的受託者が案内しています。ただし、これは銀行が必ずグラントなしで支払う制度や権利ではありません。
  4. 少額の制度を使えない場合は、各銀行の照会の条件に沿って残高を確かめ、グラントの取得に進む。

通常の単独名義の口座では、払戻しに権限の確認が必要です。

死亡の連絡、共同名義の口座の手続き、少額遺産の制度は、これとは別に考えてください。

海外の銀行に残高を請求するときの全体の考え方は、海外口座の残高証明書の取り方にまとめています。


公的受託者(Public Trustee)の少額遺産の制度

シンガポール法務省の公的受託者は、少額の遺産をグラントなしで分配する制度を設けています。

ただし、金額だけで使えると決まるわけではありません。公的受託者は、次のいずれかにあてはまる遺産は扱わないとしています。

  • 遺産が5万シンガポールドルを超える(Dependants’ Protection Scheme(DPS)の保険金を除いて判定)
  • Letters of AdministrationまたはGrant of Probateの申立てが、すでに裁判所に行われている
  • 遺産について争いがある、または競合する請求がある
  • 未払いの債務や負債がある
  • 故人が非上場会社(国内外を問わない)の株式や持分を持っていた
  • 故人が共同経営者・個人事業主だった、または事業に関する権益を持っていた
  • 故人が単独で保有していたHDB住戸について、子が相続する資格がある
  • 故人に関係する係属中の訴訟がある
  • 指定受取人のある保険、子との信託口座、タクシーなどの商用車がある

判定は、1つの口座の残高ではなく、制度の対象となる遺産全体について行います。

対象になる財産と、銀行に直接相談できる場合

対象は、シンガポールの銀行などにある故人の預金、シンガポール取引所に上場する株式、完済済みの車両、未払いの給与、貸金庫の中身などです。

このうち、残高が5,000シンガポールドル未満の口座については、近親者が銀行に直接相談できると案内しています。

申請と受け取りの条件

項目 公的受託者の案内
申請のログイン Singpassで申請。Singpassを取得できない人は、公的受託者のサイトでログインIDとパスワードを申請できる
手数料 最初の5,000シンガポールドルに6.50%(段階的に低くなる)。最低15シンガポールドル
支払いまでの期間 必要書類一式を受け取った日と、故人の遺産金を受け取った日のいずれか遅い日から、原則4週間以内
海外のグラントの再承認 シンガポールでの再承認(reseal)の支援は行っていない

ログインできることと、遺産が制度の対象になることは別です。初回の申請から4週間で必ず受け取れるという意味でもありません。

遺言がある場合の扱いは、銀行の紹介文で差があります。

DBSは遺言の有無を問わず5万シンガポールドル未満なら公的受託者を案内し、UOBは「遺言がなく5万シンガポールドル以下」の場合としています。遺言がある場合は、遺言と申請の状況を示して公的受託者に直接確認してください。

なお、公的受託者は、非ムスリムの遺産のうち動産(預金など)の分配は、故人が死亡した時点でdomicile(生活の本拠)を有していた国の法によると説明しています。domicileは、国籍とも単なる居所とも違う概念です。


シンガポールの口座の相続、日本側の書類づくりからお手伝いします。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、戸籍の収集、英訳の手配、英文の相続関係説明図の作成、公証・アポスティーユの段取りを全国オンラインで対応します(シンガポールの裁判所の手続きと現地法の判断は現地の弁護士、銀行での本人確認は各行の手続き、税務判断は税理士と連携)。ご相談のときは、分かる範囲で銀行名、口座の資料、死亡日、残高の概算、遺言の有無、ほかの現地資産と債務、渡航できるかどうかをお知らせください。初回相談は無料です。

0120-600-232

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


OCBC:照会は裁判所の書類、払戻しは財産目録もそろえる

OCBCは、口座情報の扱いがもっとも厳格です。

近親者を含む第三者には、口座情報を開示できないとしています。理由は、シンガポールの銀行法(Banking Act 1970)上の顧客情報の守秘義務です。

残高を照会するときに求められる書類

  • 裁判所が出したグラント(Grant of Probate/Letters of Administration)、または裁判所への申立書類(Originating Application)
  • 故人の死亡証明書
  • 遺言執行者・遺産管理人の身分証明書

グラントが出る前でも、申立てをした段階で照会できます。

OCBCは、申立書類(OA)で口座の詳細を照会し、集めた情報で財産目録(Schedule of Assets)を作って裁判所に提出し、グラントの取得に進む流れを案内しています。

通常の開示の手続きでは、「まず残高を確かめてから裁判所の手続きをするか決める」という順番は取りにくいのです。ただし、少額遺産の制度を使える可能性まで否定されるわけではありません。

口座を閉鎖して払い戻すときの書類

OCBCは、来店時に、グラントと、故人のOCBC口座を記載した財産目録(Schedule of Assets)、死亡証明書、申請者の身分証明書を持参するよう案内しています。

払戻しの方法

OCBCの公式様式(Deceased Estate Cash and Investment Handling Instruction Form・2026年5月29日版)には、次の扱いが記載されています。

  • 投資商品を売却した代金と現金の残高を、指定したOCBCの口座に入金する(遺産用の口座が望ましいとしています)
  • 入金先が故人の単独名義の口座であれば、入金後に閉鎖でき、残額は自分のOCBC口座への振替か、銀行振出小切手(Cashier’s Order)で受け取る(小切手は残高がS$15を超える場合に発行し、郵送)

日本への直接送金については記載がないため、個別に確認してください。銀行振出小切手を、日本の金融機関で当然に換金できるものとして考えないでください。

なお、預金だけで投資商品がない場合、この様式は不要で、Multiple Deposit Account Closure Formを使う案内があります。遺産用の口座(Estate Account)の開設も、すべての案件で必須ではありません。口座と商品に応じて、銀行が指定する様式を確認してください。


DBS:日本から郵送で口座閉鎖と払戻しを依頼できる

DBSは、遺産代表者がシンガポールに来られない場合に、書面を郵送して口座を閉鎖し、払戻しを受ける方法を案内しています。

これは銀行の手続きについての案内です。グラントの取得までを郵送だけで終えられるという意味ではありません。

送付先(DBSの公式ページ・2026年9月18日確認)

DBS Bank Ltd, T&O – SG CB Ops – Account & Channel Services, Attn: Judicial Management & Document Retrieval Team, 2 Changi Business Park Crescent, #07-05, DBS Asia Hub Lobby B, Singapore 486029

求められる書類

書類 公式案内に沿った条件
死亡証明書の写し 公証された写し
グラント(Grant of Probate/Letters of Administration)の写し 公証された写し。海外で出たものはシンガポールの裁判所での再承認(reseal)を確認
婚姻証明書の写し 該当する場合。公証された写し
遺言執行者・遺産管理人のパスポート等の写し 公証された写し
口座閉鎖の依頼書 インクで署名し、公証した原本
送金(Telegraphic Transfer)の依頼書 インクで署名し、公証した原本

単なるコピーでは足りません。

DBSは、写しについて、弁護士(advocate and solicitor)または公証人(notary public)が原本と相違ないことを証明したものを求めています。認証を受けた書類をさらにコピーしたもので足りるとは限りません。

日本での作り方は、送る前にDBSへ確認してください。

日本の公証人は、私文書の署名認証や、翻訳者の宣言書の認証などを扱います。外国でいうCertified True Copyと同じ方法で、あらゆる公文書の写しを認証できるわけではありません。

公文書(戸籍や死亡の証明)、私文書(依頼書)、翻訳者の宣言書は、それぞれ扱いが違います。どの書類を、誰が、どの方式で認証すれば受理されるかを確認してから準備してください。日本の公証人の認証なら必ず受理される、弁護士の押印だけで足りる、すべてにアポスティーユが要る、といった決めつけは避けてください。

遺産代表者が複数いる場合

DBSの公式チェックリストでは、口座閉鎖の承認書に遺言執行者・遺産管理人の全員が署名する形式になっています。署名と認証をどのようにそろえるかも、事前に確認してください。

英語以外の書類には翻訳が必要です。

すべての書類は英語である必要があり、英語以外は公式の翻訳者による英訳を求めています。

日本の死亡の証明や戸籍を英語にする方法は、死亡証明書を英語で用意するには戸籍謄本の英訳にまとめています。

グラントの取得にかかる期間

DBSは、グラントの取得に、依頼する弁護士や案件の複雑さによって2〜6か月かかることがあるとしています。これは裁判所の手続きの目安で、銀行の処理期間や日本への着金までの総期間ではありません。


UOB:単独名義の閉鎖は選任された全員の来店

UOBは、来店を前提にした手続きです。

単独名義の口座の閉鎖

UOBは、故人の遺言執行者・遺産管理人として選任された人の全員が本人として来店することを求めています。相続人全員という意味ではありません。

持参する書類は、死亡証明書、グラント、全員の身分証明書です。そのうえで、必要な指示書や様式に署名し、銀行が追加の書類を求めることがあるとしています。

グラントを申請するための口座情報

これは、弁護士に依頼せず自分でグラントを申請する人向けの案内です。申請者本人が支店に来店し、原本の身分証明書、死亡証明書、銀行が受け入れる内容の署名済みの依頼書(誰が、どの情報を、どんな立場で求めるかを記載したもの)を提出します。

来店すれば誰でも口座情報を受け取れるわけではなく、銀行が照会する資格を確認します。

口座の閉鎖、遺産用口座(Estate Account)の新規開設、事前の照会は、それぞれ別の手続きです。

新規開設のときの指定支店や住所の証明といった条件を、閉鎖の条件と取り違えないでください。

連絡方法

UOBは、電話(1800 222 2121)と、オンラインでの来店予約を案内しています(UOB「Estate Account」)。1800から始まる番号はシンガポール国内向けです。

日本から予約フォームで申し込めるかは案内から読み取れないため、来店できない場合の進め方とあわせて、UOBか現地の弁護士に確認してください。


グラントの申請と、日本に生活の本拠があった場合

申請は、本人でもできます。

シンガポールの裁判所は、Grant of ProbateもLetters of Administrationも、本人で申請するか弁護士に依頼するかを選べると案内しています。遺言で指定された単独の執行者は、条件を満たせばオンラインの申請サービス(Probate eService)を使えるとしています。

ただし、利用には条件があるため、日本に住んでいれば誰でもオンラインで取れるわけではありません。

本人申請も認められていますが、海外在住者の申請や外国の書類が関係する案件では、シンガポールの弁護士に申請資格・書類・認証を確認して進めるのが実務的です。当法人は、日本側の戸籍収集・英訳手配・書類作成などを支援します。

故人がシンガポール外に生活の本拠を持っていた場合

家事裁判所の実務指針(Practice Directions 2024・211)は、故人がシンガポール外にdomicileを有していた場合、グラントの申請に外国法について専門家が作成した宣誓供述書、または現地の公証人の証明を提出するよう求めています。

例外とされているのは、英語で書かれた遺言について、その遺言で指定された執行者が検認を申請する場合と、シンガポールの遺産が不動産だけで、その不動産に限定した申請をする場合です。

日本に生活の本拠があった故人の預金を相続する場合は、日本法上の相続人や遺産を扱う権限を説明する資料が追加で必要になることがあります。戸籍の翻訳に付ける翻訳者の証明と、外国法の内容についての証明は別のものです。

domicileは、国籍とも単なる現住所とも違います。シンガポールに口座があるからといって、分配に必ずシンガポールの法定相続分が適用されるわけでもありません。

海外で出たグラントと、日本の書類

DBSは、海外で出たグラントについて、シンガポールの裁判所で再承認(reseal)を受けたものを求めています。再承認の要件を満たすかは案件によるため、シンガポールで新たにグラントを取る方法とあわせて検討してください。

日本の遺産分割協議書や戸籍謄本は、相続人や分け方を示す資料にはなりますが、グラントではありません。全案件で必要になる書類でもありません。

英文の遺産分割協議書の作り方は、英文遺産分割協議書にまとめています。


共同名義の口座と、日本への送金の準備

共同名義の口座は、単独名義とは別の手続きです。

DBSとUOBは、死亡の連絡を受けたあとの取引の制限と、残った名義人が行う手続きを案内しています。UOBは、共同名義の口座についても、残った名義人の来店を求めています。

銀行の取扱いと、資金が実質的に誰のものだったかという判断は別です。日本の相続税では、名義だけで決まるわけではありません。

なお、故人のログイン情報を使って相続人が引き出すことは避けてください。

日本への送金は、次の順で準備します。

  1. 送金の指示を出せる人(遺産代表者)、受取人の名義、日本へ直接送金できるかを確認する。
  2. 日本の受取銀行に、必要な情報(銀行名・SWIFT/BIC・支店・口座番号・受取人の氏名と住所)を確認する。
  3. 送金の通貨、為替の換算、送金手数料・中継銀行手数料・受取手数料を確認する。
  4. 受取銀行に相続で受け取る資金であることを相談し、グラントなど資金の由来を説明できる資料を用意する。
  5. 送金と着金の記録を保管する。

これは一般的な準備で、3行に共通する確定した条件ではありません。払戻しと解約が同時に進む場合もあるため、「口座を完全に閉鎖してから別途送金する」という順番に固定して考えないでください。

日本の口座で受け取るときの中継銀行手数料や着金の確認方法は、海外口座の相続金を日本に送金する手順にまとめています。

香港にも口座がある場合は、HSBC香港の口座を相続したらもあわせてご覧ください(香港とシンガポールでは手続きが異なります)。


よくある質問(FAQ)

Q1. 現地の弁護士に払う費用が心配です。ほかに方法はありますか?

A. 遺産の内容によっては、費用を抑えられる方法があります。公的受託者の少額の制度を使える場合は、裁判所の手続きそのものが不要になります(対象外の条件が多いため、申立て前の確認が必要です)。シンガポールの裁判所は、グラントの申請を本人で行うことも認めています。また、公的受託者は、資格を満たす人向けの法的扶助(Legal Aid Bureau)を案内し、資格がない場合は弁護士に依頼することになると説明しています。どの方法を選べるかは、遺産の金額と種類、債務の有無、申請者の資格によって変わります。

Q2. 故人の口座の残高が5,000シンガポールドル未満です。銀行に直接相談できますか?

A. 公的受託者は、残高が5,000シンガポールドル未満の口座について、近親者が銀行に直接相談できると案内しています。ただし、これは銀行がグラントなしで必ず支払う制度や権利ではありません。銀行ごとに、誰の請求を受け付けるか、どの書類を求めるかが違います。まず口座のある銀行に、必要な書類と手続きを確認してください。株式を保有していた場合は、シンガポール取引所の口座について別の取扱い(一定額以下はCDPに直接相談)が案内されています。

Q3. 日本の行政書士に頼めるのは、どこまでですか?

A. 日本側の書類づくりです。戸籍謄本などの収集、相続関係の整理、英訳の手配、公証やアポスティーユの段取り、英文の相続関係説明図の作成を担当できます。シンガポールの裁判所への申請は本人で行うこともできますが、申請資格の判断、シンガポール法に関する助言、外国法についての宣誓供述書の作成は、現地の弁護士など資格のある専門家の領域です。日本とシンガポールのどちらで何をするかを最初に分けておくと、書類の二度手間を防げます。

Q4. シンガポールの口座のお金にも、日本の相続税はかかりますか?

A. 相続人の住所などによっては、国外にある財産も日本の相続税の課税対象に含まれます(国税庁タックスアンサーNo.4138)。課税対象に含まれることと、基礎控除や特例を踏まえて申告・納税が必要かどうかは別の問題です。申告が必要な場合、期限は原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(同No.4205)。グラントの取得や解約、日本への着金を待たず、税理士に並行して相談してください。判断は税理士の業務です。

Q5. 故人がDBSの日本の支店と取引していた場合も、同じ手続きですか?

A. 本記事で紹介したのは、シンガポールにある個人の口座の手続きです。取引していたのが日本国内の拠点や別の国の拠点であれば、窓口と手続きが違う可能性があります。まず、口座番号や取引明細から、どの国の拠点の口座かを確かめてください。


海外口座の相続代行サービスの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

海外口座のお金、日本のご遺族へ。行政書士法人トゥモローズの海外口座 相続代行サービス

まとめ

シンガポールの主要3行は、単独名義の口座の払戻しに、原則としてグラントで権限を確認します。

OCBCは口座情報の開示に裁判所の関係書類(グラントか申立書類)を求め、払戻しにはOCBCの口座を記載した財産目録も必要です。

DBSは海外の遺産代表者向けに郵送手続きを公表しています。写しは公証されたもの、依頼書はインクで署名して公証した原本です。

UOBは、単独名義の口座の閉鎖に、選任された遺言執行者・遺産管理人の全員の来店を求めています。

公的受託者の少額の制度は、5万シンガポールドル以下でも、申立て済み・債務あり・非上場株ありなどの場合は使えません。裁判所に申し立てる前に条件を確認してください。

故人がシンガポール外にdomicileを持っていた場合は、外国法についての宣誓供述書などが必要になることがあります。日本の遺産分割協議書や戸籍は、グラントではありません。

取引銀行を確かめたら、少額の制度が使えるか、グラントが必要かを、早めに見極めてください。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、シンガポールの銀行を含む海外口座の相続手続きについて、日本側の戸籍の収集・英訳の手配・書類作成をお手伝いしています。


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根拠法令・公的資料

  • シンガポール Banking Act 1970(顧客情報の守秘。OCBCの案内による)
  • シンガポール Intestate Succession Act 1967(非ムスリムの無遺言相続。動産の分配は死亡時のdomicileの国の法による)
  • シンガポール家事裁判所 Practice Directions 2024・211(シンガポール外にdomicileがある場合の外国法の宣誓供述書・公証人の証明)
  • 相続税の申告期限(国税庁タックスアンサーNo.4205)/国外財産の課税範囲(同No.4138)
  • 行政書士法1条の3・1条の4(行政書士の業務範囲)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。