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海外相続で日本語対応の現地弁護士・専門家を探す方法【在外公館リスト・JETRO・日本人会の使い方】

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 海外相続では、日本側書類だけで進む案件もありますが、プロベート・現地金融機関の正式手続・現地不動産の登記・現地税務申告など、現地資格者や現地専門家の関与が必要になる場面が少なくありません。早い段階で日本語対応可能な現地窓口候補を把握しておくことが重要です。
  • 現地対応の候補は「①現地弁護士・現地資格者」「②現地代理店・エージェント」「③公的・準公的な情報源(在外公館の弁護士リスト・JETRO・商工会議所・日本人会等)」の3つに分けて整理すると実務的です。ただし③は代理業務を行う窓口ではなく、あくまで候補者情報や現地事情を確認するための情報源です。
  • 在外公館の弁護士リストや現地の日本人会・弁護士会は候補者情報の入口として有用ですが、これらは推薦・保証ではなく、掲載者の能力や結果を保証するものではありません。依頼判断は相続人本人が複数候補と面談して行います。
  • 契約前には業務範囲・費用体系・言語対応レベル・実務経験を必ず確認し、書面契約(Engagement Letter)を交わすのが原則です。契約の法的有効性・利益相反等の法的レビューは弁護士に依頼します。

海外相続の実務では、案件の性質により「現地の専門家に頼まなければ進まない場面」が出てきます。現地銀行の相続手続き窓口とのやり取り、プロベート裁判所への申立て、現地不動産の登記、現地税務当局への申告、あるいはトラブル発生時の代理交渉——これらは現地法上の代理権現地資格が必要な業務であり、日本の行政書士・弁護士だけでは完結しません。

本記事では、海外相続で候補となる日本語対応の現地窓口の探し方を、現地弁護士・現地代理店・在外公館の弁護士リスト・JETRO・日本人会・オンラインプラットフォームの複数のルート別に、行政書士の書類作成支援目線で7つのステップに整理して解説します。契約前のチェックポイントや、日本の行政書士が現地窓口との連携で支援できる範囲もあわせてまとめました。

なお、本記事は現地弁護士・現地専門家を相続人が選定するための情報整理方法を解説するものであり、行政書士法人トゥモローズが特定の現地事業者を推薦・保証するものではありません。実際の現地窓口の選定と契約は相続人本人が複数候補と面談・比較したうえで判断するのが原則です。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズは、海外相続の初動対応から現地窓口候補の情報整理、日本側書類の準備までを、全国オンラインで対応しています。


なぜ「日本語対応の現地窓口」が必要になる場面が多いのか——3つの実務課題

海外相続で日本語対応の現地窓口が必要になる場面が多い理由は、主に次の3つです。どの課題に直面しているかで、候補となる窓口の種類が変わります。

課題1:現地法上の代理権や現地資格が必要な業務

現地の裁判所・行政機関・金融機関に対して代理人として書類を提出したり交渉したりする業務は、現地法上の資格(Attorney at Law、Solicitor、Barrister、現地公認会計士 等)が必要となる場面が多くあります。日本の行政書士や弁護士は現地資格を持たないため、これらの業務は現地の弁護士や現地資格者に委任することになります。特に、プロベート(検認)手続きが必要な国では、プロベート裁判所への申立てが実務上強く推奨されることが多く、現地弁護士の関与を前提に手続きを設計することが一般的です(国・州によっては本人申立てが可能な場合もあります)。

課題2:言語障壁と時差

現地金融機関の相続手続き窓口(Estate Services)は、現地言語(英語・中国語・スペイン語等)での対応が原則です。また、時差の問題で電話対応時間が限られるため、日本にいる相続人が直接対応するのは困難な場合があります。現地の日本語対応窓口があると、相続人が現地の営業時間外でも日本語でメールや電話でのやり取りができるため、実務が格段に円滑化します。現地窓口が代行できる業務範囲は窓口の種類により異なり、現地弁護士や正当な代理権を持つ現地専門家であれば現地時間で金融機関との連絡・交渉を進められる一方、現地代理店・エージェントの場合は翻訳・書類提出の事務補助・進行状況の確認など、現地法・金融機関規定で許容される範囲での支援にとどまります。

課題3:現地の商慣習・行政プロセスへの土地勘

現地の相続手続きは、法制度だけでなく商慣習・行政プロセス・書類の形式にも土地勘が必要です。たとえば、米国では州ごとにプロベート手続きが異なり、英国では相続税(Inheritance Tax)申告と遺産管理人(Administrator)選任の関係が独特です。現地窓口の土地勘があれば、想定外の手続き遅延・書類差し戻しを回避できます。

これら3つの課題は、日本国内の相続では意識されないものです。海外相続に慣れていない相続人が独力で対応しようとすると、「1年経っても何も進まない」状態に陥ることもあります。早い段階で現地窓口候補を洗い出し、案件の性質に合った窓口と契約することが実務上の要諦となります。


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現地対応の候補は3タイプ——現地弁護士・現地代理店・公的情報源

現地対応の候補は、大きく次の3つに分けて整理すると実務的です。案件の性質により最適な選択肢が変わります。

タイプ1:現地弁護士・現地資格者(Attorney at Law・Solicitor 等)

  • 現地法上の代理権を持ち、裁判所・行政機関・金融機関との代理交渉が可能
  • プロベート、遺産管理人選任、現地不動産の登記、法的判断等、現地法に基づく公式手続きを担当
  • 現地税務申告(相続税・所得税)は、国により現地税理士・会計士・税務弁護士との連携が必要な場合がある(弁護士単独で税務全般を代理できるとは限らない)
  • 費用相場:時給制($200〜$500/時が目安)または定額制、あるいは案件性質により成功報酬制
  • 適する場面:紛争性のある案件、プロベートが必要な案件、現地税務が複雑な案件

タイプ2:現地代理店・エージェント(相続支援サービス業者)

  • 現地弁護士ではないが、翻訳、金融機関指定フォームの入手、進行状況確認、書類提出の事務補助などで役立つ場合がある
  • 現地の日本人ビジネスコミュニティが運営していることが多い
  • 現地法・金融機関規定で許容される範囲に限られ、現地法上の代理権が必要な手続、法的判断、金融機関・裁判所との代理交渉は現地弁護士・現地資格者の領域となる
  • 契約前には、当該業者が何を「代理」と呼んでいるのか、現地法上許される業務範囲かを必ず確認する
  • 費用体系:定額制または成功報酬型を採る業者もあるが、業務範囲・上限額・実費・返金条件を厳格に確認する
  • 適する場面:紛争性がなく、現地法上の代理行為・法的判断を伴わない、翻訳・フォーム取得・進行確認などの事務補助が中心の案件

タイプ3:公的・準公的な情報源(在外公館・JETRO・商工会議所・日本人会・弁護士会等)

  • これらは代理業務を行う窓口ではなく、あくまで候補者情報や現地事情を確認するための情報源です
  • 在外公館(大使館・総領事館)の弁護士リスト、JETRO、現地の日本人商工会議所・日本人会、現地弁護士会の照会サービス、外務省海外安全ホームページ 等
  • 無料または低額で利用できる
  • 直接の代理は行わないが、初動の候補抽出、書類の署名証明(在外公館)、現地事情の情報提供等を担当
  • 適する場面:情報収集段階、初動対応、複数候補の比較検討

組み合わせで使うのが実務的

実際の海外相続案件では、これら3タイプを組み合わせて使うのが実務的です。たとえば「在外公館の弁護士リストで候補を抽出(タイプ3)→リストの中から日本語対応の弁護士を選定・契約(タイプ1)→金融機関の書類対応の一部だけ現地代理店に事務補助を依頼(タイプ2)」といった使い分けが行われます。案件の性質・予算・時間軸に応じて、最初から複数のタイプを組み合わせるプランを立てるのが失敗を防ぐコツです。


海外相続の現地窓口探し、日本側から丁寧にサポート。

東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、海外相続における現地窓口候補の情報整理・日本側書類の作成・現地窓口とのやり取りの日本側サポートを全国オンラインで対応します(現地代理行為・契約の法的レビューは現地弁護士・日本の弁護士、税務判断は税理士と連携。特定事業者を推薦・保証するものではありません)。初回相談無料。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


公的・準公的な情報源(1)——在外公館の弁護士リストと外務省海外安全ホームページ

現地窓口の候補を探す最初のルートとして、在外公館(大使館・総領事館)や外務省の情報を活用する方法があります。無料で利用でき、情報が公的機関から発信されているため、初動段階での候補抽出に使いやすい情報源です。ただし、いずれも推薦・斡旋ではなく候補者情報の提供にとどまる点を理解しておく必要があります。

ルート1:現地の日本大使館・総領事館の弁護士リスト

日本の在外公館の多くは、「弁護士(・通訳者)リスト」を公表しています。外務省の海外安全ホームページや、各在外公館の公式サイトで確認できます。リストには、その国で活動している日本語対応可能な弁護士・法律事務所の連絡先が掲載されており、各在外公館が定期的に更新しています。

重要な注意点:在外公館の弁護士リストは、掲載者を推薦・斡旋するものではなく、掲載者の能力や結果を保証するものでもありません。実際に、多くの在外公館の弁護士リストには「掲載者の推薦・斡旋ではなく、利用による損害・トラブルについて大使館は責任を負わない」旨が明記されています。そのため、リストは初動段階での候補抽出に使いやすい情報源という位置付けで捉え、依頼するかどうかは相続人本人が専門分野・費用・対応言語・実務経験を確認したうえで判断する必要があります。

ルート2:外務省 海外安全ホームページ

外務省の海外安全ホームページには、各国の在外公館情報・弁護士リスト・現地事情情報が集約されています。「海外で犯罪被害・トラブルにあわれた方へ」というコンテンツで、在外公館の連絡先・利用方法・各国の相談機関の情報が整理されているため、初動対応の入口として有用です。

ルート3:外務省海外邦人安全課の相談窓口

外務省・在外公館は、海外で亡くなった邦人のご家族等に対して、現地公館との連絡、現地事情、弁護士・通訳者等の情報提供など、初動対応に関する案内を行う場合があります。遺体の輸送、現地の警察・病院との連絡、現地公館との調整等について、初期段階での情報提供を受けられます。相続手続きそのものの代理や、特定専門家の推薦・保証を行うものではありませんが、「まず何をすればよいか分からない」段階での相談先として有用です。


公的・準公的な情報源(2)——JETRO・商工会議所・日本人会・弁護士会

在外公館以外にも、ビジネス系・コミュニティ系の情報源を活用できる場合があります。ただし、いずれも個人の海外相続を直接支援する機関ではないため、利用場面を絞ることが重要です。

JETRO(日本貿易振興機構)現地事務所

JETROは、主に日本企業の貿易・投資・海外進出を支援する独立行政法人であり、個人の海外相続手続きを直接支援する機関ではありません。ただし、以下のようなケースでは補助的な情報源となる場合があります。

  • 海外法人株式が相続財産に含まれる場合の現地法人事情
  • 現地事業用不動産が相続財産に含まれる場合のビジネス慣習
  • 現地法人の清算・承継が必要な場合の現地ビジネス専門家情報

JETROの海外事務所による現地事情ブリーフィングは、一般経済事情・ビジネス慣習・現地法人設立手続・駐在員生活事情などの情報提供を対象としており、個人の相続代理支援とは性質が異なる点に注意します。

現地の日本人商工会議所(在外JCC)

在外日本人商工会議所は、各国の主要都市に存在します。米国(ニューヨーク・ロサンゼルス・シカゴ)、英国(ロンドン)、香港、シンガポール、オーストラリア(シドニー)等に日本人商工会議所があり、会員企業・会員弁護士・会員会計士のリストを保有しています。会員リストは商工会議所の会員向けに公開されていることが多く、一般個人が直接アクセスするのは難しい場合がありますが、商工会議所の事務局に問い合わせることで情報提供を受けられる場合があります。

現地の日本人会・日系コミュニティ

現地の日本人会・日系コミュニティは、商工会議所より個人ベースの相談に対応してくれる場合があります。現地在住の日本人が集まる会合・イベントで情報交換ができ、「知人から紹介された弁護士」という形で候補を得られることがあります。SNS(Facebook・LINE等)の現地日本人グループも、近年は活発な情報源となっています。

現地の弁護士会(Bar Association)の照会サービス

現地の弁護士会は、「Lawyer Referral Service(弁護士照会サービス)」を提供している場合があります。案件の内容・言語対応・所在地等の条件を伝えると、適合する弁護士を1〜3名紹介してくれるサービスです。初回相談が無料または低額に設定されていることが多く、複数の弁護士を比較する初期段階で有用です。米国の州弁護士会、英国のLaw Society、オーストラリアの各州・準州のLaw Society / Bar Association等が提供しています。

「日本語対応」の定義は事業者により異なる

「日本語対応」を掲げていても、実際には担当弁護士が日本語を話せるのか、日本語を話せるスタッフが通訳するのか、書類だけ日本語で受け付けるのかで対応レベルが大きく異なります。契約前に「担当者は誰か」「その方の日本語レベルは」「相続人との直接的なコミュニケーション手段は何か」を具体的に確認することが重要です。

士業選定の一般的な基準については、関連解説(税理士法人トゥモローズ)「国際相続に強い税理士・弁護士の選び方【失敗しない5つのポイント】」もあわせてご確認ください。


オンライン紹介プラットフォームと注意点

近年は、オンラインで海外相続支援サービスを提供する日本語プラットフォームも増えています。利便性は高い一方で、サービス品質・費用透明性・実務実績にはばらつきがあるため、選定には慎重さが必要です。

オンラインプラットフォームの3タイプ

  1. 紹介マッチング型:相続人と現地弁護士・現地代理店を仲介するサービス。手数料は無料または成功報酬で徴収する形が多い
  2. 一括支援型:日本国内の運営会社が現地パートナーと契約し、相続人には日本国内の運営会社が窓口となって対応する形。日本語での一貫対応が魅力
  3. 情報提供型:現地事業者の情報だけを提供し、相続人が直接契約する形。紹介手数料はかからないが、選定の責任は相続人にある

オンラインプラットフォーム利用時のチェックポイント

  • 運営会社の実態:日本国内に法人登記があるか、所在地・代表者が明記されているか
  • 現地パートナーの資格:紹介される現地事業者が現地の弁護士資格・現地法人登記を有しているか
  • 費用体系の透明性:着手金・成功報酬・実費(翻訳・送金手数料等)の内訳が事前に明示されているか
  • 契約書の存在:口頭ではなく、書面での契約(Engagement Letter)を交わせるか
  • 過去の実績・レビュー:類似案件の実績数、第三者(利用者・専門家)のレビューが確認できるか

避けるべきパターン

  • 「無料相談」で本契約を急がせるパターン
  • 費用の全体額が事前に見積もれない(実費が青天井)パターン
  • 現地事業者の名称・所在地が明かされないまま契約するパターン
  • 現地資格のない事業者が現地法上の「代理」を謳うパターン

オンラインプラットフォームは便利ですが、海外の相続手続きは金額規模が大きく案件ごとに個別事情が異なるため、事前の書面契約と個別相談は必須です。疑問があれば、日本の弁護士・行政書士に相談したうえで判断することをおすすめします。日本国内の運営会社との契約であれば、消費生活センターへの相談も選択肢になりますが、海外事業者との直接契約では日本の消費生活センターでの対応が限定される場合があります。


現地窓口と契約する前のチェックポイント

現地窓口の候補が絞れたら、契約前に必ず次の項目を確認します。口頭確認だけでなく、書面(メール・契約書)での確認を推奨します。

項目1:業務範囲(Scope of Services)

契約で担当する業務の範囲を明確に定めます。特に以下の区分は明記しましょう。

  • 現地金融機関の相続手続き対応(何行まで含むか)
  • プロベート裁判所への申立てを含むか
  • 現地不動産の登記業務を含むか
  • 現地税務申告(相続税・所得税)を含むか(国により別途現地税理士・会計士との連携が必要な場合あり)
  • 日本への送金支援・書類の日本語翻訳を含むか

項目2:費用体系(Fee Structure)

現地窓口の費用体系は次のいずれかが一般的です。

  • 時給制(Hourly Rate):$200〜$500/時 等。時間の上限を設定するか、月次予算を設ける
  • 定額制(Fixed Fee):業務範囲に対する固定額。想定外の追加業務は追加費用となる
  • 成功報酬制(Contingency Fee):送金額の一定率。ただし紛争案件では利益相反の観点で問題視される国もある

見積は実費(翻訳・公証手数料・国際郵便料金・出張費等)を別建てで提示してもらい、全体の想定コストを把握します。

項目3:言語対応レベル

  • 担当者本人の日本語レベル(ネイティブ・ビジネス・日常会話)
  • 日本語対応スタッフの有無(通訳経由か直接対応か)
  • 書類のやり取りの言語(日本語・英文・両方)
  • 現地言語での書類の日本語訳を提供するか

項目4:実務経験・専門分野

  • 日本人の相続案件を扱った実績年数
  • 過去の類似案件の数(公表可能な範囲で)
  • 専門分野(不動産・金融資産・信託・税務等)
  • 資格・所属団体(現地弁護士会・国際相続の専門団体等)

項目5:書面契約(Engagement Letter)

上記1〜4を反映した書面契約(Engagement Letter)を交わします。この契約書には次の項目を最低限含めます。

  • 業務範囲の明記
  • 費用体系と支払方法
  • 契約期間と解除条件
  • 利益相反の開示
  • 秘密保持条項
  • 準拠法と管轄裁判所
  • 苦情処理の方法

Notary(公証人)は署名認証・公証等の役割で、代理人とは限らない

海外の一部の国では、Public Notaryは代理業務を行わず、署名認証・公証等の限定的な役割にとどまります。Notary Publicの職能は国により大きく異なるため、「Notaryだから代理交渉ができる」と誤解しないよう、当該国のNotaryの職能を事前に確認します。

口頭合意だけで進めると、後日の追加請求・業務範囲の齟齬・トラブル対応で苦労します。少しでも金額が大きい契約は、必ず書面契約を交わしましょう。


現地窓口とのやり取りで日本の行政書士が支援できる範囲

日本の行政書士は現地代理業務そのものは行えませんが、現地窓口との連携において、相続人の側に立って以下の支援ができます。

日本側で行政書士が支援できる内容

  • 現地窓口候補の情報整理(公的機関リスト・日本人会情報・オンラインプラットフォーム等の一覧化)
  • 相続関係書類の日本側での作成・翻訳資料の準備(戸籍謄本・遺産分割協議書・被相続人の身分証明等)
  • 現地窓口へ提出する日本側書類のパッケージング
  • 現地窓口が発行するEngagement Letterの業務範囲・費用項目・支払条件・解除条件などの要点整理(法的有効性・準拠法・管轄・利益相反・責任制限条項の妥当性など法的レビューは弁護士に依頼します)
  • 費用見積の複数窓口比較の整理
  • 日本の税理士・司法書士との連携調整(日本国内の相続税申告・不動産登記)
  • 現地窓口とのやり取りに関する日本語での事前相談(現地窓口が提示した書類の要点確認等)

行政書士が支援できない内容(業際)

  • 現地窓口の推薦・選定(選定は相続人本人が行う)
  • 現地弁護士の法的判断・助言
  • 現地金融機関・裁判所への代理提出・代理交渉
  • 現地法の解釈に関する助言
  • Engagement Letterの法的有効性・準拠法・利益相反等の法的レビュー(弁護士業務)
  • 現地税務判断(現地税理士・会計士・税務弁護士等)

現地窓口との三者連携のイメージ

海外相続の実務では、「日本の行政書士(日本側書類作成・進行管理の整理役)+現地窓口(現地代理・現地交渉)+日本の税理士(日本の相続税申告)」の三者連携が理想的です。日本の行政書士は日本側書類・翻訳資料・提出資料・スケジュール管理の整理役として関与し、現地窓口との代理交渉、現地法の判断、税務判断は、それぞれ現地弁護士・現地専門家・税理士が担当します。この役割分担を明確にすることで、相続人が窓口ごとに何を依頼すべきかが分かりやすくなり、負担軽減につながります。

現地窓口を紹介・選定する立場ではありませんが、情報整理・書類準備・進行管理のパートナーとして、海外相続の複雑さを乗り越える支援ができます。海外相続に慣れていない相続人の方は、現地窓口を探す前段階から日本の行政書士に相談することで、案件全体の見通しを立てやすくなります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 日本の行政書士は現地の弁護士を紹介してくれますか?

A. 行政書士は特定の現地弁護士を「推薦」する立場にはありませんが、日本の外務省海外安全ホームページや在外公館の弁護士リスト、JETROの情報、日本人商工会議所・日本人会等の公的・準公的な情報源を整理して候補一覧をご案内することは可能です。ただしこれらの情報源自体が推薦・保証ではなく候補者情報の提供にとどまるため、最終的な選定は相続人ご本人が複数候補と面談したうえで判断するのが原則です。行政書士は判断材料の整理と現地窓口とのやり取りの日本側サポートを担当します。

Q2. 現地弁護士の費用相場はどのくらいですか?

A. 現地弁護士の費用は国・地域・案件の複雑さにより幅広く、時給制の場合は米国では200〜500 USD/時、英国では300〜800 GBP/時が目安です。プロベート案件では定額制または遺産評価額の一定率(例:遺産の1〜5%)が採用されることもあります。加えて、現地の翻訳費・公証手数料・裁判所手数料等の実費が別途かかります。事前見積(Engagement Letter)を必ず書面で受け取り、追加費用の発生条件を確認しておくことが重要です。国により現地税務は税理士・会計士・税務弁護士等の別領域となる場合があり、その分の費用は別途発生します。

Q3. 現地窓口とトラブルになったらどうすればよいですか?

A. まず、契約書(Engagement Letter)に定められた苦情処理条項に従って対応します。多くの契約では、当事者間協議→現地弁護士会等への苦情申立→仲裁または訴訟という段階を踏みます。現地弁護士会は懲戒申立の受付窓口となる場合が多く、費用トラブルなら現地の消費者保護機関、詐欺的な事案なら現地警察の相談窓口が対応します。日本国内から現地事業者を訴えるのは実務的に難しいため、契約前の慎重な選定と書面契約の徹底が最大のリスク回避策です。

Q4. 大使館や領事館は個別に業者を紹介してくれますか?

A. 在外公館は特定の弁護士・事業者を「推薦」する立場にはありませんが、日本語対応可能な弁護士等の連絡先リストを公表・提供している場合が多くあります。リストは外務省の海外安全ホームページや各在外公館の公式サイトで確認できます。多くの弁護士リストには「掲載者の推薦・斡旋ではなく、利用による損害・トラブルについて大使館は責任を負わない」旨が明記されており、リストは初動段階での候補抽出に使いやすい情報源という位置付けです。実務経験・費用体系・言語対応レベルは事業者ごとに大きく異なるため、リストから候補を絞ったうえで複数と面談して判断するのが原則です。

Q5. 現地代理店・エージェントとはどんな契約を結ぶべきですか?

A. 口頭合意ではなく、書面での契約(Engagement Letter または Service Agreement)を交わします。契約書には、業務範囲(何行の金融機関の対応を含むか、翻訳の範囲、送金支援の内容等)、費用体系(定額・成功報酬・時給制のいずれか)、実費の負担区分、契約期間、解除条件、秘密保持、準拠法と管轄裁判所等を明記します。日本語版と現地言語版の両方を交わし、相違がある場合の優先版を明記するのが実務的です。現地資格のない事業者が現地法上の「代理」を謳っていないか、業務範囲が現地法・金融機関規定で許容される範囲に収まっているかも必ず確認します。契約内容の法的有効性・利益相反等の法的レビューは弁護士に依頼するのが安全です。


海外口座の相続代行サービスの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

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まとめ

海外相続では、案件の性質により現地資格者や現地専門家の関与が必要になる場面が少なくないため、早い段階で日本語対応可能な現地窓口候補を把握しておくことが実務上の要諦となります。現地対応の候補は「現地弁護士・現地資格者」「現地代理店・エージェント」「公的・準公的な情報源(在外公館の弁護士リスト・JETRO・商工会議所・日本人会・弁護士会等)」の3つに分けて整理すると実務的です。ただし公的・準公的な情報源は代理業務を行う窓口ではなく、あくまで候補者情報や現地事情を確認するための情報源である点に注意します。在外公館の弁護士リストも推薦・保証ではないため、リストから複数候補を絞って面談・比較したうえで相続人本人が判断します。

契約前には業務範囲・費用体系・言語対応レベル・実務経験・書面契約(Engagement Letter)の5項目を必ず確認し、口頭合意ではなく書面で契約を締結することが最大のトラブル回避策です。契約の法的有効性・利益相反等の法的レビューは弁護士に依頼します。日本の行政書士は現地代理業務そのものは行えませんが、現地窓口候補の情報整理・日本側書類の作成・進行管理のパートナーとして、海外相続の複雑さを乗り越える支援ができます。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、海外相続における現地窓口候補の情報整理、日本側書類の作成、現地窓口とのやり取りの日本側サポートを、初動対応から手続き完了までの各段階でご支援しています。アメリカ・香港・シンガポール・英国・オーストラリア・中国・カナダ等、主要国の金融機関実務に対応可能で、現地代理行為・法的助言・契約の法的レビューが必要な案件は現地弁護士・日本の弁護士と、税務判断は税理士法人トゥモローズと連携します。


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根拠法令・公的資料

  • 行政書士法1条の3・1条の4(行政書士の業務範囲)
  • 弁護士法72条(非弁行為の禁止)
  • 民法643条(委任契約の成立)
  • 消費者契約法(海外事業者との個人契約に関する消費者保護の観点)
  • 個人情報保護法(海外事業者との情報授受における個人情報の取扱い)

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。