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個人事業主が亡くなったときの手続き|廃業・準確定申告・事業の引き継ぎ

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 個人事業は法人のような「会社の器」がないため、事業用資産・債務は相続財産になる一方、許認可・契約・税務の届出・労務手続きは別途整理が必要。たたむなら廃業関係、続けるなら後継者の開業・許認可承継を確認する。
  • 最重要の期限は準確定申告(相続開始を知った日の翌日から4か月以内・所得税法第124条・第125条)。事業所得があると特に重要。
  • 税務署への開廃業届・消費税・インボイス関係は税理士法人、雇用保険・社会保険・労働保険は社労士、許認可の確認・申請支援は行政書士、と担当を切り分ける。
  • 許認可は原則取り直し。建設業許可は死亡後30日以内の相続認可申請が必要(建設業法第17条の3)。事業用資産・借入金は相続財産で、債務が多ければ相続放棄・限定承認も検討。

個人事業主が亡くなったときの手続きとは、亡くなった方の事業について、準確定申告・廃業の届出・事業用資産の承継、そして相続人が事業を続ける場合の開業・許認可の段取りを進める一連の対応のことです。 会社(法人)と違い、個人事業は事業主その人に紐づくため、相続の進め方に独特の注意点があります。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、個人事業主が亡くなったときに必要な手続きを、手続き目線で整理します。なお、準確定申告・相続税の計算・申告は税理士法人トゥモローズが、不動産登記は提携司法書士が対応します。


個人事業は「自動では引き継がれない」

まず押さえるべき大原則です。

個人事業は、その人個人に紐づくため、事業そのものが自動的に相続人へ引き継がれるわけではありません。 会社であれば株式を相続することで会社の支配を引き継げますが、個人事業にはそうした「器」がありません。

  • 続けない場合: 廃業の届出をして事業を閉じる
  • 続ける場合: 相続人が新たに開業届を出して、自分の事業として始める

つまり、相続人が事業を続けるときも、「亡くなった方の事業をそのまま継続」するのではなく、いったん区切って相続人の事業として立ち上げ直すイメージです。「事業そのもの」がそのまま移るわけではない一方で、事業用資産や借入金などの権利義務は相続財産・相続債務として承継対象になります。許認可・税務上の届出・取引先との契約・従業員関係は、それぞれ別に確認する必要があります。

項目 相続でどうなるか
事業用資産(不動産・設備・在庫・売掛金など) 相続財産として承継対象
借入金・買掛金・未払金 相続債務として承継対象
許認可 原則、個人に紐づくため承継可否を所管庁に個別確認
税務上の事業者登録・届出 被相続人分の廃業・死亡届出、後継者側の開業・登録が必要
取引先との契約 契約内容により承継・再契約・変更契約を確認
従業員関係 労務・社会保険・雇用保険を社労士等と整理

個人事業主の死亡|手続きの期限と担当の早見表

個人事業主の相続では、税務・許認可・労務・相続が同時並行で進みます。期限のあるものから優先して着手するのがコツです。

手続き 期限の目安 主な担当
相続放棄・限定承認 相続開始を知った時から3か月以内 弁護士・司法書士
準確定申告 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 税理士
消費税・インボイスの死亡届出 速やかに 税理士
建設業許可の相続認可 死亡後30日以内 行政書士・所管庁で確認
雇用保険適用事業所廃止届(従業員がいた場合) 事業所廃止の翌日から10日以内 社労士
相続税申告 相続開始を知った日の翌日から10か月以内 税理士

期限や提出先は事業の内容によって変わるため、早い段階で各士業に確認しながら進めます。当法人が窓口となり、税理士法人・社労士・提携司法書士・提携弁護士との連携を整理します。


最優先は準確定申告(4か月以内)

個人事業主の相続で、期限の面で最も重要なのが準確定申告です。

準確定申告とは、亡くなった方のその年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が行う所得税の申告で、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に行います(所得税法第124条・第125条)。事業所得がある個人事業主では、売上・経費の集計が必要になるため、早めの着手が欠かせません。

期限を過ぎると加算税・延滞税が生じることがあります。具体的な計算・申告は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズが対応します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【準確定申告】申告期限は4カ月!提出していなかった場合のペナルティも解説!


個人事業の相続、何から手をつけるか整理します

準確定申告・税務署への開廃業届・消費税・インボイス関係は税理士法人トゥモローズ、雇用保険・社会保険・労働保険は社労士が対応。行政書士法人トゥモローズは、戸籍収集・相続人調査・遺産分割協議書の作成、許認可関係の確認・申請支援、相続手続き全体の整理をサポートします。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


事業をたたむ場合の届出

相続人が事業を続けない場合は、廃業に向けた届出を進めます。主なものは次のとおりです。

手続き 注意点・担当
個人事業の開業・廃業等届出書 事業者が死亡した場合、相続人が提出。税理士法人で確認。
所得税の青色申告の取りやめ届出書 被相続人が青色申告者だった場合に確認。税理士法人で確認。
個人事業者の死亡届出書(消費税) 消費税の課税事業者が死亡した場合、相続人が速やかに提出。
適格請求書発行事業者の死亡届出書 インボイス発行事業者だった場合、速やかに確認。税理士法人で確認。
事業税関係の届出 都道府県税事務所。
雇用保険・社会保険・労働保険の手続き(従業員がいた場合) 雇用保険適用事業所廃止届は廃止の翌日から10日以内など。社労士が対応。
許認可の廃止・返納(許認可事業の場合) 各許認可の所管庁。行政書士が確認・申請支援。

税務署への廃業届・青色申告・消費税・インボイス関係の届出は税理士法人トゥモローズが確認します。雇用保険・社会保険・労働保険など従業員に関する手続きは社労士、解雇・未払賃金・退職条件など紛争性のある対応は弁護士と連携します。当法人は、許認可関係の確認・申請支援、戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成など、行政書士業務の範囲で手続きを整理します。


相続人が事業を引き継ぐ場合

相続人が事業を続ける場合に、見落としやすいのが次の点です。

  • 開業届: 相続人が自分の事業として、新たに開業届を提出します
  • 屋号: 事実上、引き続き使えることが多いですが、取引先には代替わりを説明します
  • 取引先との契約: 契約内容や取引先の承諾の要否を確認し、必要に応じて相続人名義で再契約・変更契約を行います
  • 従業員の雇用: 雇用を継続するのか、退職・清算するのかを早急に整理します。未払賃金・雇用保険・社会保険・労働保険の手続きが絡むため、社労士・弁護士と連携します
  • 事業用の口座・屋号名義: 名義変更・新規開設の対応が必要です

なお、後継者が事業を続ける場合は、後継者側で開業届・青色申告承認申請・インボイス登録・消費税関係の届出などが必要になることがあります。これらは税務判断を伴うため、税理士法人トゥモローズと確認します。

インボイス発行事業者だった個人事業主の事業を相続人が引き継ぐ場合、一定期間は被相続人の登録番号を使える「みなし登録期間」があります。国税庁の案内では、この期間は相続のあった日の翌日から、相続人が登録を受けた日の前日または被相続人が死亡した日の翌日から4か月を経過する日のいずれか早い日までとされています。最長でも死亡日の翌日から4か月が目安となるため、後継者が引き続きインボイス発行事業者となる場合は、早めに税理士法人トゥモローズと登録申請を確認します。

特に許認可は注意が必要です。許認可は、その人に与えられた一身専属的なものが多く、原則として相続人がそのまま引き継ぐことはできません。多くは相続人が取り直す必要があります。ただし、相続による地位の承継を認める制度がある許認可もあります。たとえば建設業許可では、個人事業主の死亡後30日以内に相続の認可申請が必要です(建設業法第17条の3)。30日を過ぎると相続認可による承継ができず、新規許可の取得が必要になる可能性があります。許認可事業では、相続発生直後に所管庁へ確認することが重要です。

「たたむ場合」と「続ける場合」で必要な対応は次のように異なります。

項目 廃業する場合 承継する場合
税務署手続き 被相続人側の廃業・死亡届出等 被相続人側の廃業等+後継者側の開業届等
準確定申告 必要 必要
インボイス 死亡届出 みなし登録期間・後継者の登録申請を確認
許認可 廃止・返納 承継可否・新規取得を確認
従業員 退職・清算 雇用継続・労務手続き
事業用資産 遺産分割・売却等 後継者が取得・事業利用
借入金 相続債務として整理 返済者変更・債務引受等を債権者へ確認

事業用資産・借入金と相続放棄の検討

事業用の不動産・設備・在庫・売掛金などのプラスの財産も、借入金・買掛金などのマイナスの財産も、相続財産として相続人に承継されます。

個人事業では、事業用の借入金が大きいことがあります。債務がプラスの財産を上回る可能性がある場合は、相続放棄や限定承認の検討が必要です。これらには「相続の開始を知った時から3か月」という期限があるため(民法第915条)、財産・債務の調査を早めに行うことが重要です。

また、事業借入金について、相続人間で「誰が借入を負担するか」を決めても、金融機関など債権者に当然対抗できるわけではありません。返済者の変更や債務引受、担保・連帯保証の整理には、債権者の同意や契約変更が必要になることがあります。事業用不動産との関係も含め、返済交渉や債務整理が問題になる場合は、弁護士等と連携して確認します。

事業用資産の評価、借入金の債務控除、相続税の取扱いは税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【相続税申告】債務控除をわかりやすく徹底解説

加えて、事業用の土地・建物を後継者が引き継ぐ場合は、その宅地が特定事業用宅地等に当たれば、小規模宅地等の特例により評価額を大きく減額できる場合があります。また、相続で事業を承継した場合の消費税の納税義務の判定も問題になります。とくに消費税は、相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える場合、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの納税義務は免除されません(国税庁No.6602)。これらはいずれも税務判断を伴うため、税理士法人トゥモローズと早めに確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):特定事業用宅地等とは?400㎡80%減の要件と計算を税理士が解説


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 故人の屋号や商号はそのまま引き継げますか?

A. 屋号は、事実上そのまま使い続けられることが多いですが、事業は相続人が新たに開業する形になるため、屋号も相続人の事業のものとして使うことになります。取引先には代替わりを説明します。商号登記をしている場合は、登記の扱いを確認します。

Q2. 従業員がいる場合、解雇予告や退職金はどうなりますか?

A. 事業を廃止して従業員を解雇する場合は、解雇予告や未払賃金の精算、雇用保険・社会保険の手続きが必要です。退職金規程があれば退職金の支払いも生じます。これらの労務手続きは社会保険労務士、解雇をめぐる紛争は弁護士の業務のため、連携して対応します。

Q3. 事業用の銀行口座やクレジットカードはどうすればいいですか?

A. 事業用の口座も、個人の口座と同様に名義人の死亡で凍結されます。売掛金の入金や経費の引き落としが止まるため、早めに相続手続きを進めます。事業用クレジットカードは解約し、未払い分を精算します。事業を継ぐ場合は、相続人名義で新たに口座・カードを用意します。

Q4. インボイスの登録番号は引き継げますか?

A. 適格請求書発行事業者の登録番号は個人に紐づくため、そのまま引き継ぐことはできず、事業を継ぐ相続人は新たに登録が必要です。ただし、相続人が事業を継続する場合、一定期間は被相続人の登録があるものとみなす特例があります。取扱いは税理士法人トゥモローズと確認します。

Q5. 取引先や顧客への連絡はどうすればいいですか?

A. 事業を続けるか廃業するかにかかわらず、取引先や顧客へは早めに状況を伝えます。続ける場合は、相続人が事業を引き継ぐ旨と、今後の取引・請求・支払いの窓口を案内します。廃業する場合は、契約の終了や精算について連絡します。信用を保つうえで、初動の連絡が大切です。


まとめ

個人事業主が亡くなったときは、①準確定申告(4か月以内・所得税法第124条・第125条)→ ②税務署への廃業関係届出(税理士法人)・相続人の開業・許認可の対応(建設業は死亡後30日以内の相続認可/建設業法第17条の3)→ ③屋号・取引先・従業員の整理(労務は社労士・弁護士)→ ④事業用資産・借入金の承継(債務超過なら放棄・限定承認の検討)という流れで進みます。個人事業は自動では引き継がれず、税務署届出は税理士・労務は社労士・許認可は行政書士と担当を切り分ける点が最大の注意点です。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、許認可関係の確認・申請支援、戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成など、行政書士業務の範囲で相続手続きをサポートしています。準確定申告・税務署への届出・相続税は税理士法人トゥモローズ、労務手続きは社労士と連携し、窓口ひとつで進められます。


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根拠法令・公的資料

  • 所得税法第124条・第125条(準確定申告。相続開始を知った日の翌日から4か月以内)
  • 民法第896条(相続の一般的効力)・第915条(相続の承認・放棄の期間)
  • 建設業法第17条の3(建設業者の死亡時の相続認可。死亡後30日以内の申請)
  • 税理士法第2条・第52条(準確定申告・相続税・税務署への届出は税理士の業務)
  • 社会保険労務士法第2条・第27条(労働社会保険諸法令に基づく手続きは社労士の業務)
  • 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(提出手続代理・相談等)
  • 弁護士法第72条(債務交渉・労務紛争・相続放棄等の法律事務)
  • 司法書士法第3条・第73条(不動産登記・家庭裁判所提出書類)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。