おひとりさまの遺贈寄付|不動産を受け取ってもらえない理由・税金・遺言の書き方
10秒でわかる この記事の要約
- 「お世話になった団体に遺したい」というご相談が増えています。
- ただ、遺言に書けば実現するとは限りません。
- 民法第986条第1項は、受遺者はいつでも遺贈の放棄をすることができると定めています(財産を特定して遺す特定遺贈の場合)。
- 受け入れる財産の範囲は団体ごとに違い、現金だけを受け入れる先もあれば、不動産も個別審査で受ける先もあります。
- また、不動産や株式など譲渡所得の対象となる資産を法人へ現物で遺贈すると、所得税法第59条第1項第1号により時価で譲渡したものとみなされます(現金の遺贈は対象外です)。
- 本記事では、遺贈寄付が実現しない理由を条文で確認し、遺言に書く前に決めておくことを整理します。
「相続人がいないので、国に持っていかれるくらいなら」
おひとりさまのご相談で、よく出る言葉です。
遺言があれば、渡し先は自分で決められます。
民法第959条により、最終的に残った財産は国庫に帰属します。
それを避けたいというお気持ちは、よく分かります。
ただ、遺言に団体名を書くだけでは足りません。
本記事では、どこで止まるのかを条文で確認し、手前で決めておくことを整理します。
財産が最終的にどこへ行くかはおひとりさまの相続にまとめました。
遺言に書いても、受け取ってもらえるとは限らない
いちばん誤解されている点から。
遺贈は、相手に受け取る義務を負わせるものではありません。
民法第986条第1項です。
「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。」
第2項により、放棄の効力は遺言者の死亡の時にさかのぼります。
つまり、団体側が「受け取れません」と言えば、その遺贈はなかったことになります。
では、なぜ断られるのか。
現金以外の財産は、受け取る側にとって負担が大きいからです。
| 財産 | 受入先から見た事情 |
|---|---|
| 現金・預貯金 | そのまま使える。受け入れやすい |
| 不動産 | 売れるまで固定資産税と管理費がかかる。境界や越境の問題も引き継ぐ |
| 未上場株式 | 売却先が限られる。評価も難しい |
| 自動車・家財 | 換価と処分の手間が費用に見合わない |
| 上場株式・投資信託 | 受け入れる団体もあるが、要確認 |
受入方針は、団体ごとに大きく異なります。
現金だけを受け入れる先、不動産も個別に審査して受ける先、遺言執行者や中間支援団体が換価した後の現金に限る先があります。
同じ不動産でも、収益物件か、自宅か、共有持分か、農地・山林かで判断が変わります。
遺言を作る前に、受入担当の窓口へ相談してください。
電話だけだと記録が残りません。受け入れられる財産、条件、費用、遺言に必要な文言を、メールか書面で確認しておいてください。
そのときに受入可能と言われても、亡くなった時点の財産の状況や団体の方針の変更で、改めて審査されることがあります。
なお、遺贈には2つの形があり、断るときの手続きが違います。
| 種類 | 書き方の例 | 受入先が断るときの手続き |
|---|---|---|
| 特定遺贈 | 「◯◯の土地を遺贈する」と財産を特定する | 民法986条1項により、いつでも放棄の意思表示ができる |
| 包括遺贈 | 「財産の全部(または3分の1)を遺贈する」と割合で示す | 民法990条により相続人と同一の権利義務を負うため、民法915条1項・938条に沿って原則3か月以内に家庭裁判所へ申述する |
包括遺贈は債務も引き継ぐ形になります。
「包括遺贈は受けない」と定めている団体もあるので、ここも事前に確認してください。
そして、断られた場合に何が起きるかも押さえておいてください。
民法第995条です。
「遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」
相続人に帰属する、と書いてあります。
ここで、よくある誤解を1つ解いておきます。
おひとりさまだからといって、法定相続人がいないとは限りません。
民法第889条第1項により、お子様がいない場合は直系尊属(親や祖父母)、次いで兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、甥・姪が代襲します。
まず戸籍で確かめてください。
そのうえで、法定相続人が本当にいない場合の話です。
帰属する先がないため、相続財産清算の手続きへ進みます。
債権者や受遺者への支払い、特別縁故者への分与を経て、残った財産が国庫へ帰属します(民法第959条)。
避けたかった結果に、戻ってしまうということです。
ただし条文には、ただし書があります。
遺言に別段の意思を書いておけば、そちらが優先されます(予備的遺言とは)。
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不動産・株式等を法人へ現物で遺贈すると「時価で売った」とみなされる
ここが、遺贈寄付でいちばん見落とされる論点です。
所得税法第59条第1項第1号を見てください。
譲渡所得の基因となる資産が、法人に対する遺贈によって移転した場合には、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により譲渡があったものとみなすと定めています。
売っていないのに、売ったものとして扱われるということです。
ここで大事なのは、対象が「譲渡所得の基因となる資産」だという点です。
不動産、株式、ゴルフ会員権などが当てはまります。
現金や預貯金の遺贈は、この規定の対象ではありません。
「法人へ遺贈すると必ず課税される」わけではない、ということです。
含み益のある不動産で考えてみてください。
何十年も前に買った土地を、公益法人へ遺贈する。
遺贈時の時価を収入金額として、取得費と譲渡に要した費用を差し引いて計算します。
建物なら減価償却後の金額が取得費になり、取得費が分からない場合は概算取得費によることもあります。
買った値段と時価の差が、そのまま課税所得になるとは限りません。
問題は、誰がその税金を納めるかです。
納税義務を負うのは、亡くなったご本人です。
実際には、準確定申告として手続きすることになります。
相続人がいれば、その方が申告と納税をします。
では、法定相続人がいない場合は誰がやるのか。
国税庁は、民法上の相続人がいない場合について、包括受遺者がいれば包括受遺者が準確定申告を行い、包括受遺者もいなければ相続財産法人が行う、という取扱いを示しています。
ここでいう包括受遺者は、財産の全部や割合を受ける方です。
特定の不動産や預金だけを受け取る特定受遺者は、これに当たりません。
誰が申告と納税を担うのかは、遺贈の種類と相続人の有無で変わります。
遺言執行者は、その地位だけでは申告義務者になりません。
資料の受け渡しや納税原資の確保で関わることはありますが、そこは別の話です。
いずれにしても、手続きも原資も、あらかじめ想定しておかなければ動きません。
非課税にする道もあります。
租税特別措置法第40条です。
国または地方公共団体に対する贈与・遺贈については、所得税法第59条第1項第1号の適用上、その贈与または遺贈がなかったものとみなすとされています。
公益法人等に対する贈与・遺贈についても非課税とする仕組みがありますが、こちらは国税庁長官の承認が必要です。
この承認には、期限があります。
租税特別措置法施行令第25条の17第1項は、承認を受けようとする者は、公益法人等がその内容を確認したことを証する書類を添えた申請書を、贈与または遺贈のあった日から4か月以内(その前に所得税の確定申告書の提出期限が来る場合はその期限まで)に、納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官へ提出しなければならないとしています。
受入先から確認書類をもらう必要があるということです。
公益目的への寄与のほか、一般特例では、原則として寄付した財産が遺贈の日から2年以内に公益目的事業の用に直接供されることなどが求められます。
受入先が承認申請に慣れているかどうかで、実現性が大きく変わります。
判定と申告、承認申請は税理士の業務です(関連解説(税理士法人トゥモローズ)「遺言で寄付をすると相続税が非課税に!?(相続と寄付の関係 遺贈寄付編)」)。
遺言を作る段階で、税理士に一度見てもらってください。
書いた後に分かると、作り直しになります。
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「売ってから渡す」も、そのままでは動かない
受け取ってもらえないなら、売ってから現金で渡せばよい。
そう考えるのが自然です。実務でも使われる方法です。
遺言で、不動産を売却して代金を寄付するよう定めておく形です。
ただ、これにも段取りが要ります。
動くのは遺言執行者です。
民法第1012条第1項は、遺言執行者は遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると定めています。
第2項は、遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる、としています。
執行者がいなければ遺贈が一切できない、という意味ではありません。
指定がない場合や、指定した方が就任を断った場合には、相続人や受遺者などの利害関係人が家庭裁判所へ選任を申し立てられます。
ただ、換価して寄付する遺言では、売却から精算まで担う方が要るため、あらかじめ指定しておくことが実務上ほぼ不可欠です。
そのうえで、実際にやることを並べてみてください。
- 不動産業者を探し、売却の条件を決める
- 境界の確定や測量が必要なら、その手配をする
- 売買契約を結び、決済と引渡しを行う
- 譲渡所得の申告について税理士と調整する
- 諸費用を精算し、残った代金を寄付先へ渡す
案件によっては、数か月では終わりません。
この間の固定資産税や管理費も発生します。
引き受けてくれる執行者を決めておいてください。
親族に頼むなら、この負担を伝えたうえで承諾を得る必要があります。
指定がなければ、家庭裁判所へ選任を申し立てるところから始まります(遺言執行者がいない・断られたときの対処法)。
なお、売却してから渡す形でも、譲渡所得の問題は残ります。
誰が申告するかは、遺言の文言、相続人や包括受遺者がいるかどうか、現物を取得させる趣旨なのか金銭だけを渡す趣旨なのかによって判定が分かれ得ます。
遺言執行者が売却したという事実だけで、執行者自身が納税義務者になるわけではありません。
現物のまま遺贈する形と、換価して渡す形とで税額も変わり得るため、遺言の書き方を決める前に税理士へ相談してください。
執行の流れそのものは遺言執行業務の流れにまとめました。
遺言に書く前に決めておく6つ
順番に整理します。
1つ目は、受入先の正式な名称と法人格です。
活動名や通称ではなく、正式な法人名、法人格の種類、法人番号、主たる事務所、遺贈寄付の担当窓口を確認してください。
任意団体や法人格のない組織では、財産を受け取る主体が誰なのかがはっきりせず、税務上の扱いも変わります。
活動名だけで遺言に書かないでください。
2つ目は、受入先が何を受け取れるかです。
現金だけなのか、不動産も受けるのか。
遺贈寄付の窓口があるか、過去の受入実績があるか。
必ず、事前に問い合わせてください。
3つ目は、渡す財産を特定するかどうかです。
| 書き方 | 中身 |
|---|---|
| 特定遺贈 | 「◯◯銀行◯◯支店の預金を遺贈する」と対象を特定する |
| 包括遺贈 | 「財産の全部(または3分の1)を遺贈する」と割合で示す |
民法第964条は、包括または特定の名義で財産を処分できるとしています。
寄付では、特定遺贈が使われることが多いです。
民法第990条により、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します。
債務も引き継ぐ立場になるため、団体側が敬遠しやすいのです。
4つ目は、断られた場合の行き先です。
民法第995条ただし書により、遺言に別段の意思を書いておけばそちらが優先されます。
第2順位の受入先を書いておいてください。
第1順位が放棄し、予備の受入先も定めていなければ、原則としてその財産は相続人へ帰属します。
法定相続人もいない場合は、相続財産清算の手続きへ進みます。
債権者や受遺者への支払い、特別縁故者への分与を経て、残った財産が国庫へ帰属します。
5つ目は、遺言執行者です。
誰に頼むか。承諾は得ているか。
換価が必要なら、その負担まで伝えたうえで決めてください。
6つ目は、費用の原資です。
測量費、仲介手数料、登記費用、執行報酬、税金。
これらを差し引いた残りが寄付されます。
「全額を寄付したい」と書いても、そのとおりにはなりません。
費用を見込んだうえで、金額を決めてください。
なお「財産の3分の1」といった割合の指定は包括遺贈にあたり、受入先が債務も承継する立場になります。
割合で書けば安全、というわけではありません。
なお、使い道に希望がある場合は、書き方を選んでください。
多くの団体には「使途指定寄付」の仕組みがあります。
まず、それで希望が叶うかを受入先に確認してください。
法的な義務として課す負担付遺贈にすることもできます。
民法第1002条第1項により、負担付遺贈を受けた方は、遺贈の目的の価額を超えない限度でのみ義務を負います。
ただし、法的義務にすると受入審査が重くなり、かえって放棄されやすくなります。
付言で希望を伝える、使途指定にする、負担付遺贈にする。
どれにするかは、受入先と相談して決めてください。
生前に寄付するという選択肢
最後に、別の道も置いておきます。
遺贈にこだわらなくてもよい、という話です。
元気なうちに、ご自身で寄付してしまう方法があります。
| 比べるところ | 遺贈寄付 | 生前の寄付 |
|---|---|---|
| いつ渡るか | 亡くなった後 | すぐ |
| 手元の資金 | 最後まで使える | その分減る |
| 受入先の反応 | 生前に相談できるが、亡くなった時点の財産の状況などで改めて審査されることがある | その場で確定する |
| 気持ちの面 | 使われ方は見届けられない | お礼や報告を受け取れる |
| 執行の担い手 | 遺言執行者の指定を強くおすすめします。とくに換価が必要な場合は実務上ほぼ不可欠です | 原則として不要 |
3行目と4行目を、私は大きいと思っています。
遺贈寄付は、受け取ってもらえるかどうかが最後まで確定しません。
生前なら、話し合って決められます。
もちろん、老後の資金を削ってまで急ぐ必要はありません。
現金の一部を生前に、残りを遺言で、という組み合わせもできます。
そして、遺贈寄付では公正証書遺言をおすすめします。
受入先との調整、遺言執行者の権限、換価と費用の精算まで書き込むため、文言が複雑になるからです。
自筆証書遺言でも要件を満たせば有効ですし、法務局の保管制度を使えば検認も不要です。
ただし、文言があいまいだったり財産の特定が足りなかったりすると、執行の段階で止まります。
契約全体の組み方はおひとりさまの終活契約にまとめました。
私見ですが、この類型でいちばん効くのは受入先への事前相談です。
受け入れられる財産、条件、費用、遺言に必要な文言を、メールか書面で確認しておいてください。
そこで断られれば、遺言を作り直す手間がまるごと消えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺言に団体名を書けば、必ず寄付されますか?
A. されるとは限りません。財産を特定して遺す特定遺贈については、民法986条1項により、受遺者は遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄をすることができます。財産の全部や割合を遺す包括遺贈では、民法990条により受遺者が相続人と同一の権利義務を負うため、放棄するには民法915条1項・938条に沿って原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。受入方針は団体ごとに異なり、現金だけを受け入れる先、不動産も個別審査で受ける先、換価後の現金に限る先があります。放棄されると民法995条により相続人に帰属しますが、法定相続人がいない場合は相続財産清算の手続きへ進み、債権者や受遺者への支払い、特別縁故者への分与を経て残った財産が国庫へ帰属します。遺言を作る前に、その団体が何を受け取れるのかをメールか書面で確認してください。
Q2. 不動産を団体に遺贈すると、税金がかかるのですか?
A. かかる場合があります。所得税法59条1項1号は、譲渡所得の基因となる資産が法人に対する遺贈により移転した場合に、その時の価額で譲渡があったものとみなすと定めています。不動産や株式が対象で、現金や預貯金の遺贈はこの規定の対象ではありません。含み益のある不動産では譲渡所得が生じ、遺贈時の時価から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。納税義務を負うのは亡くなったご本人で、実際には準確定申告として手続きします。租税特別措置法40条により、国や地方公共団体への贈与・遺贈は非課税とされ、公益法人等についても国税庁長官の承認を受ければ非課税とする仕組みがあります。ただし同法施行令25条の17第1項により、承認申請は原則として遺贈のあった日から4か月以内です。判定と申告、承認申請は税理士の業務ですので、遺言を作る段階でご相談ください。
Q3. 寄付先が受け取らなかった場合に備えて、何を書いておけばよいですか?
A. 第2順位の受入先を書いておいてください。民法995条は、遺贈が効力を生じないときや放棄によって効力を失ったときは受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属すると定めていますが、ただし書で「遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う」としています。この別段の意思として、次の寄付先や、その場合の取扱いを書いておけば、行き先が消えるのを防げます。予備的な定めの書き方は関連記事にまとめています。
Q4. 全額を寄付したいのですが、そのとおりになりますか?
A. 税金・債務・執行費用の原資を別に確保していない場合、額面どおりに渡らないことがあります。遺言の執行には費用がかかるためです。不動産を売却するなら測量費、仲介手数料、登記費用がかかり、譲渡所得税が生じることもあります。遺言執行者への報酬も必要です。これらを精算した後の残りが寄付されます。そのため、遺贈額は税金・債務・執行費用を見込んで決めます。なお「財産の3分の1を遺贈する」といった割合指定は包括遺贈にあたり、受入先が債務も承継する立場になるため、単純に割合の方がよいとはいえません。一定額を特定遺贈するのか、換価した後の手取金を遺贈するのか、債務や執行費用を控除した後の財産をどう表現するのかを、受入先の方針と税務を踏まえて決めてください。
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まとめ
遺贈寄付は、遺言に団体名を書けば実現するものではありません。
財産を特定して遺す特定遺贈では、民法第986条第1項により、受遺者は遺言者の死亡後いつでも放棄できます。
財産の全部や割合を遺す包括遺贈では、民法第990条により相続人と同一の権利義務を負うため、放棄するには原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
現金、不動産、上場株式、未上場株式などの受入方針は団体ごとに異なり、個別に審査されることがあります。
断られると、民法第995条により相続人へ帰属します。
なお、おひとりさまでも法定相続人がいることはあります。
民法第889条第1項により、親や祖父母、次いで兄弟姉妹が相続人になります。
戸籍で確かめたうえで、本当にいない場合には相続財産清算の手続きへ進み、残った財産が国庫へ帰属します。
避けたかった結果に、戻ってしまいます。
同条ただし書があるので、遺言に第2順位の受入先を書いておいてください。
税金の問題もあります。
所得税法第59条第1項第1号により、不動産や株式など譲渡所得の基因となる資産を法人へ現物で遺贈すると、時価で譲渡したものとみなされます(現金の遺贈は対象外です)。
含み益のある不動産では、譲渡所得が生じます。
租税特別措置法第40条の非課税の仕組みはありますが、公益法人等については国税庁長官の承認が必要です。
売ってから渡す形にするなら、遺言執行者の負担も見ておいてください。
民法第1012条第2項により、遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行えます。
測量、売却、精算まで、数か月から年単位の仕事になります。
遺言を作る前に、受入先へ事前相談を。
受け入れられる財産と条件を、メールか書面で確認しておいてください。
そこで断られれば、作り直す手間がまるごと消えます。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、おひとりさまの遺言書の起案・公証役場との調整・遺言執行をお手伝いしています。
おひとりさまの終活、
お悩みではありませんか?
死後事務委任を中心に、
必要な契約だけ選べる終活サポート。
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不動産・株式等、譲渡所得の基因となる資産を法人へ現物で遺贈すると、所得税法59条1項1号により時価で譲渡があったものとみなされ、含み益のある資産では譲渡所得が生じます。現金・預貯金の遺贈は、このみなし譲渡課税の対象ではありません。租税特別措置法40条により、国・地方公共団体への贈与・遺贈は非課税とされ、公益法人等についても国税庁長官の承認を受ければ非課税とする仕組みがあります。また、寄付先や財産によっては相続税の非課税の取扱いもあります。判定と申告、承認申請は税理士の業務です。
根拠法令・公的資料
- 民法第986条第1項(受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる)・第2項(遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる)
- 民法第995条(遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う)
- 民法第964条(遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる)
- 民法第990条(包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する)
- 民法第1012条第1項(遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する)・第2項(遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる)
- 民法第1002条第1項(負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う)
- 民法第959条(残余財産の国庫への帰属)
- 民法第889条第1項(子がいない場合は、直系尊属、次いで兄弟姉妹が相続人となる)※おひとりさまでも法定相続人がいることがあります
- 民法第915条第1項(相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない)・第938条(相続の放棄をしようとする者は、家庭裁判所に申述しなければならない)※包括受遺者は民法990条によりこの手続に沿って放棄します
- 租税特別措置法施行令第25条の17第1項(措置法第40条第1項後段の適用を受けようとする者は、公益法人等が申請書の記載事項を確認したことを証する書類を添付して、贈与又は遺贈のあつた日から四月以内〔その期間の経過する日前に所得税の確定申告書の提出期限が到来する場合には、当該提出期限まで〕に、納税地の所轄税務署長を経由して国税庁長官に提出しなければならない)
- ※法定相続人がいない場合の準確定申告は、包括受遺者がいれば包括受遺者、包括受遺者もいなければ相続財産法人が行うものとされています(国税庁の質疑応答)。特定の財産だけを受け取る特定受遺者はこれに当たりません。また、遺言執行者はその地位だけでは申告義務者になりません
- 所得税法第59条第1項第1号(法人に対する贈与又は遺贈により譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合には、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により譲渡があったものとみなす)
- 租税特別措置法第40条(国又は地方公共団体に対し財産の贈与又は遺贈があった場合には、所得税法第59条第1項第1号の規定の適用については、当該財産の贈与又は遺贈がなかったものとみなす。公益法人等に対するものについては国税庁長官の承認を要する)
- ※譲渡所得・相続税の判定と申告、租税特別措置法第40条の承認申請は税理士、不動産の登記は司法書士、紛争の代理は弁護士の業務です。行政書士が行えるのは、遺言書の起案・公証役場との調整・遺言執行とご相談です
