自動車の相続手続き完全マニュアル|普通車・軽自動車の名義変更と必要書類
10秒でわかる この記事の要約
- 自動車も相続財産。取得者が決まったら、普通車は運輸支局で「移転登録」(道路運送車両法第13条・所有者変更から15日以内)、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きする。
- 必要書類の基本は、車検証+戸籍一式(または法定相続情報一覧図)+遺産分割協議書+取得者の印鑑証明書。査定額100万円以下の車には単独申立ての簡略な取扱いがある。
- 名義が故人のままだと、売却・廃車・保険・自動車税のすべてに支障が残る。売却予定でも、いったん相続による名義変更を経るのが原則。
- ローン残債がある車は車検証の「所有者」がディーラー等になっていることがあり、手続きの相手先が変わる。まず車検証の所有者欄の確認から。
自動車の相続手続きとは、亡くなった方名義の自動車について、取得する相続人を確定し、運輸支局(普通車)または軽自動車検査協会(軽自動車)で名義を変更する一連の手続きのことです。 普通車の移転登録は、所有者の変更があった日から15日以内に申請することとされています(道路運送車両法第13条)。
自動車は預貯金や不動産に比べて後回しにされがちですが、名義が故人のままだと売却・廃車・保険・税金の手続きに支障が出やすくなります。売却・廃車をする場合でも、相続関係書類を整えたうえで、相続による名義変更または買取業者等による一連の手続きが必要です。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、普通車・軽自動車それぞれの手続きと必要書類を整理します。なお、自動車を含む相続財産の相続税の評価・申告は税理士法人トゥモローズが、紛争性のある遺産分割は提携弁護士が対応します。
まず車検証の「所有者」欄を確認する
手続きの入口は、車検証(自動車検査証)の所有者欄の確認です。
| 所有者欄の記載 | 手続きの方向性 |
|---|---|
| 被相続人本人 | 相続による移転登録(本記事のメインケース) |
| ディーラー・信販会社(ローン購入時の所有権留保) | 残債の処理と所有権解除が先。ディーラー・信販会社へ連絡して案内に従う |
| リース会社 | 車は相続財産ではなくリース契約の問題。リース会社へ連絡 |
所有者が被相続人になっている場合のみ、自動車そのものが相続財産として遺産分割・名義変更の対象になります。使用者欄が被相続人でも所有者が別であれば、まず所有者側との手続きが必要です。
車の状態別の窓口と注意点
故人の車は、その状態によって窓口と進め方が変わります。まず自分のケースがどれに当たるかを確認しましょう。
| 車の状態 | 主な窓口 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 普通車・所有者が故人 | 運輸支局 | 移転登録。戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書が基本 |
| 軽自動車・所有者が故人 | 軽自動車検査協会 | 必要書類は普通車より簡略な場合あり |
| 所有者が信販会社・ディーラー | 信販会社・ディーラー | ローン残債の処理・所有権留保の解除が先 |
| リース車 | リース会社 | 車両は相続財産でなく契約の処理になる |
| 売却・廃車予定 | 買取業者・運輸支局等 | いったん相続人へ名義変更してから手続き |
普通車の相続手続き(運輸支局での移転登録)
普通車(登録自動車)は、使用の本拠を管轄する運輸支局で移転登録を申請します。所有者の変更があった日から15日以内の申請が法律上求められています(道路運送車両法第13条第1項)。相続では遺産分割協議や必要書類の収集に時間がかかるため、取得者が決まったら速やかに手続きを進めます。
必要書類の基本セット
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 車検証(自動車検査証) | 有効なもの |
| 戸籍一式または法定相続情報一覧図 | 被相続人の死亡と相続人の範囲を証明 |
| 遺産分割協議書 | 自動車の取得者の記載があるもの。相続人全員の実印押印 |
| 取得する相続人の印鑑証明書 | 実印もあわせて準備(委任する場合は実印を押した委任状) |
| 車庫証明(自動車保管場所証明書) | 保管場所が変わる場合。警察署で取得 |
| 手数料・ナンバープレート代 | 管轄が変わる場合はナンバー変更あり |
必要書類は事案(相続人の構成・遺言の有無・管轄変更の有無)により変わるため、管轄の運輸支局の案内で確認しながら準備するのが確実です。遺言で取得者が指定されている場合は、遺言書(および検認が必要な方式では検認済みのもの)を用います。
査定額100万円以下の簡略な取扱い
普通車(登録自動車)の手続きでは、査定額100万円以下の自動車について、遺産分割協議書に代えて、取得する相続人が単独で作成する「遺産分割協議成立申立書」を利用できる取扱いがあります(軽自動車の手続きとは取扱いが異なります)。査定額を確認できる資料の添付が求められるなどの要件があるため、様式と添付書類は管轄の運輸支局でご確認ください。古い車・低年式車の手続き負担を下げられる場面があります。
ただし、この申立書は、相続人間でその自動車を誰が取得するかの協議が成立していることが前提です。相続人間で争いがある場合や、取得者について合意できていない場合に使えるものではありません。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):これだけは押さえよう|遺産分割協議書が無効にならないようにする書き方
自動車の名義変更、相続手続きとまとめて任せませんか?
戸籍収集・遺産分割協議書の作成から、運輸支局での移転登録まで。自動車の登録手続きは行政書士の専門分野です。預貯金・不動産の相続手続きとあわせて、行政書士法人トゥモローズが一体でサポートします。
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軽自動車の相続手続き(軽自動車検査協会)
軽自動車は登録自動車と制度が異なり、窓口は軽自動車検査協会です。相続による名義変更(自動車検査証記入申請)の必要書類は、普通車より簡略な取扱いが一般的で、遺産分割協議書や印鑑証明書を求められない場合もあります。
ただし、具体的な必要書類は協会の窓口・事案により異なります。「軽だから何もいらない」と思い込まず、車検証と相続関係の分かる書類(戸籍など)を基本に、軽自動車検査協会の手続きナビや管轄窓口で事前確認してください。申請依頼書・新所有者の住民票・車検証・ナンバープレートの要否などを確認してから出向くのがスムーズです。ナンバー管轄が変わる場合は、ナンバープレートの交換も同時に行います。なお、車検証上の所有者(故人)から直接第三者へ譲渡したい場合は、親族への名義変更とは取扱いが異なることがあるため、管轄の軽自動車検査協会へ事前に確認します。
売却・廃車にする場合の流れ
「誰も乗らないので売りたい・処分したい」という場合も、いったん相続による名義変更を経るのが原則です。
- 遺産分割協議で自動車の取得者(売却・処分の主体)を決める
- 相続による移転登録で取得者へ名義変更
- 取得者から買主への売却(移転登録)、または解体・抹消登録
買取業者・ディーラーが一連の手続きを代行してくれる場合も、戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書などの相続関係書類は省略できません。なお、売却したときの所得税の取扱いは、自家用車か事業用車か、高額車両かなどにより異なります(通常の生活用動産であれば非課税となる場合があります)。これとは別に、自動車を相続財産として申告する場合は、車両の相続税評価額も確認が必要です。売却時の所得税と相続税評価は別の論点のため、いずれも税理士法人トゥモローズと連携して確認します。
保険と自動車税の手続き
名義変更とあわせて、次の3つを忘れずに進めます。
- 任意保険: 保険会社へ連絡し、契約者・記名被保険者等の変更手続きを行います。等級の引継ぎの可否は契約内容・続柄によるため、保険会社に確認してください
- 自賠責保険: 車検証の名義変更とあわせて、保険会社で権利義務の承継手続きを行います
- 自動車税(種別割)/軽自動車税(種別割): 毎年4月1日時点の所有者等に課税されます。普通車(都道府県税)と軽自動車(市区町村税)で税目・窓口が異なるため、詳細は都道府県税事務所・市区町村にご確認ください。名義変更が遅れると故人宛ての納税通知が届き続けるため、取得者が決まったら早めに移転登録を済ませます
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):自動車(車両)の相続税評価を徹底解説
行政書士に頼める範囲
自動車の登録申請は、行政書士の代表的な業務分野です。当法人では、相続手続き全体の中で次のように対応します。
- 戸籍収集・相続人確定・法定相続情報一覧図の作成 → 行政書士法人トゥモローズ
- 遺産分割協議書の作成(自動車の取得者の明記) → 行政書士法人トゥモローズ
- 運輸支局への移転登録申請 → 行政書士法人トゥモローズ
- 自動車を含む相続財産の評価・相続税申告 → 税理士法人トゥモローズ(同一グループ)
- 相続人間に争いがある場合の調整・代理交渉 → 提携弁護士
預貯金・不動産の手続きで集めた戸籍・印鑑証明書を、自動車の手続きにも流用できる場合があります。ただし、提出先ごとに発行期限・原本提出の要否・原本還付の可否が異なるため、事前確認が必要です。いずれにせよ、ばらばらに進めるより、相続手続き一式の中でまとめて進める方が効率的です。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続する自動車にローンが残っている場合はどうなりますか?
A. 車検証の所有者がディーラーや信販会社になっている場合は、ローン完済までその会社が所有者(所有権留保)です。この場合、相続人へ名義変更するには、ローンを完済するか、債務を引き継ぐ手続きをして、所有権留保を解除してもらう必要があります。
Q2. 自動車の名義変更に期限はありますか?
A. 道路運送車両法では、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録を申請することとされています(道路運送車両法第13条)。相続では遺産分割協議や書類の収集に時間がかかるため、取得者が決まったら速やかに進めるのが安全です。期限を過ぎても手続きはできますが、放置すると自動車税の通知や事故の際の対応で支障が出ます。
Q3. 相続人が複数いても、代表者1人の名義にできますか?
A. できます。遺産分割協議で自動車を取得する相続人を1人決め、その人の名義に移転登録します。協議書に取得者を明記し、相続人全員の実印・印鑑証明書をそろえます。共有名義も可能ですが、その後の売却・廃車が煩雑になるため、1人の名義が一般的です。
Q4. 故人の車をすぐ売りたい場合も名義変更は必要ですか?
A. いったん相続人名義へ移転登録してから売却するのが原則です。買主や中古車店が手続きを代行してくれる場合もありますが、その場合も相続を証する書類は必要です。廃車(永久抹消・一時抹消)にする場合も、相続関係を示す書類をそろえて手続きします。
Q5. 名義変更に車庫証明は必要ですか?
A. 自動車の保管場所が変わる場合は、原則として車庫証明(自動車保管場所証明書)が必要です。保管場所が変わらない場合は不要なこともあります。地域によって扱いが異なるため、管轄の警察署や運輸支局で確認してから準備します。
まとめ
自動車の相続手続きは、①車検証の所有者欄の確認 → ②遺産分割で取得者を決定 → ③普通車は運輸支局・軽自動車は軽自動車検査協会で名義変更 → ④保険・自動車税の手続きという流れです。移転登録には15日以内という法律上の期限があり(道路運送車両法第13条)、名義の放置は売却・保険・税金のすべてに不利益が残ります。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、自動車を含む相続手続きをまとめてサポートしています。「車1台だけ手続きが残っている」という段階のご相談も歓迎です。
自動車の名義変更、相続手続きとまとめて任せませんか?
戸籍収集・遺産分割協議書の作成から、運輸支局での移転登録まで。自動車の登録手続きは行政書士の専門分野です。預貯金・不動産の相続手続きとあわせて、行政書士法人トゥモローズが一体でサポートします。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
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自動車が相続税の計算上どう評価されるかは、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 道路運送車両法第13条(移転登録。所有者変更から15日以内)
- 民法第907条(遺産の分割の協議)
- 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(提出手続代理・相談等)・第19条(業務の制限)
- 税理士法第2条・第52条(相続税の評価・申告は税理士の業務)
- 弁護士法第72条(紛争性のある遺産分割は弁護士の業務)
