公正証書遺言の証人になれる人・なれない人|証人欠格と2名の手配方法
10秒でわかる この記事の要約
- 公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要(民法第969条第1号)。証人が確保できないと作成できない。
- 推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、未成年者、公証人の関係者は証人になれない(民法第974条)。配偶者・子・親など近い親族は欠格に当たることが多いが、すべての親族が当然に欠格となるわけではない。
- 頼み方は「友人・知人」「専門家への依頼」「公証役場への相談」の3択。内容を知られる立場になるため、守秘義務のある専門家への依頼が現実的な選択肢になる。
- 当法人の公正証書遺言作成サポート(220,000円〜・税込)は証人2名の手配込み。別途、公証役場に支払う公証人手数料(目安3〜8万円。財産額・受遺者数・出張の有無により8万円を超える場合もある)が必要。
公正証書遺言の証人とは、遺言の作成に立ち会い、遺言者本人が自分の意思で遺言をしたことを確認して公正証書に署名・押印する人のことです。 民法第969条第1号により証人2人以上の立会いが必要で、誰でもなれるわけではなく、推定相続人や受遺者などの利害関係者は証人になれません(民法第974条)。
「証人を2人も用意できない」「家族に頼んでいいのか分からない」——公正証書遺言の準備で、財産の整理よりも先につまずきやすいのが証人の問題です。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、証人になれる人・なれない人の範囲と、現実的な手配方法を解説します。
なお、遺言で財産を取得した場合の相続税の試算・申告はグループの税理士法人トゥモローズが、不動産の相続登記は提携司法書士が対応します。行政書士法人は、遺言の文案整理・公証役場との調整・証人の手配を担当します。
なぜ証人が2人必要なのか
公正証書遺言は、公証人が作成する最も確実性の高い遺言方式ですが、民法第969条は作成の方式を厳格に定めています。その1つ目が「証人2人以上の立会いがあること」(同条第1号)です。
証人の役割は、遺言者が本人であること、強制や誤解ではなく自分の意思で遺言をしていることを、第三者の立場で確認することです。遺言は遺言者の死後に効力が生じるため、作成時の状況を後から本人に確認できません。証人の立会いは、遺言の信頼性を作成の時点で担保するための仕組みです。
このため、証人が1人しかいない、または後述の欠格事由に当たる人が証人になっていると、方式を欠くものとして遺言の効力に問題が生じます。
証人になれない人(民法第974条)
民法第974条は、遺言の証人・立会人になれない人を次のとおり定めています。
| 欠格事由 | 具体例 |
|---|---|
| ① 未成年者 | 18歳未満の方 |
| ② 推定相続人・受遺者と、これらの配偶者・直系血族 | 配偶者、子・孫、父母、兄弟姉妹が相続人になる場合のその兄弟姉妹、遺贈を受ける人とその配偶者・子など |
| ③ 公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人 | 公証役場側の関係者 |
ポイントは②です。遺言で財産を受け取る立場の人と、その家族は証人になれません。 「夫の遺言の証人を妻が務める」「子に財産を遺す遺言の証人を子の配偶者が務める」といった形は、いずれも欠格に当たります。
配偶者・子・親などの近い親族は、推定相続人またはその配偶者・直系血族に当たることが多いため、証人にできないケースが多くあります。ただし、すべての親族が当然に欠格となるわけではありません。推定相続人でも受遺者でもなく、その配偶者・直系血族にも当たらない親族であれば、証人になれる場合があります。遺言の内容と相続関係を突き合わせて判断することが大切です。
おひとりさまの場合は特に注意してください。兄弟姉妹が推定相続人になるケースでは、その兄弟姉妹や配偶者・子(甥姪)が欠格に当たるため、「身近な親族に頼めばよい」と考えていると候補が見つからない、ということが起こりがちです。
証人を頼む3つの選択肢
欠格に当たらない証人を確保する方法は、実務上、次の3つに整理できます。
| 選択肢 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 友人・知人に頼む | 費用がかからないことが多い | 遺言の内容・財産の内訳を知られる。当日の都合の調整も必要 |
| ② 行政書士などの専門家に頼む | 守秘義務があり内容が広まらない。日程調整・当日対応に慣れている | 事務所ごとに費用の扱いが異なる |
| ③ 公証役場に相談する | 役場によっては証人の紹介を受けられる場合がある | 取扱い・謝礼の有無は役場により異なるため事前確認が必要 |
証人は、遺言の内容と財産の概要を知る立場になります。「誰に知られてもよいか」を基準に選ぶのが現実的です。財産の内容や承継先を周囲に知られたくない場合は、守秘義務を負う専門家への依頼が選択肢になります。
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証人の当日の役割と流れ
公正証書遺言の作成当日、証人は次のように関わります。
※2025年10月1日以降、公正証書の作成手続きはデジタル化されています(日本公証人連合会公表)。具体的な署名方法・本人確認の方法は、利用する公証役場の案内に従ってください。
証人に特別な発言や判断が求められる場面は通常ありませんが、立会いから署名等までの一連に関与するため、途中退席はできません。所要時間は内容によりますが、当日の手続き自体は30分〜1時間程度に収まることが一般的です。なお、証人は遺言内容の法的な妥当性や税務上の影響を判断する立場ではありません。内容面の整理は、作成前の文案段階で行政書士などの専門家と行います(税務の確認は税理士の業務のため、グループの税理士法人トゥモローズが連携します)。
ご本人が入院中・施設入所中で公証役場へ出向けない場合は、公証人に出張を依頼できます。この場合も証人2名の立会いは必要です。手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となる場合があり(病床執務加算)、これに旅費(実費)と日当(1日2万円、4時間まで1万円)が加わります(日本公証人連合会「手数料」より。詳細は公証役場でご確認ください)。
欠格者が立ち会っていた場合のリスク
証人の欠格は、遺言の「方式」に関わる問題です。欠格事由のある人が証人として署名していた場合、方式を欠くものとして遺言が無効と判断されるおそれがあり、相続発生後に相続人・受遺者間で有効性を争われる火種にもなります。
公証人も作成時に証人の適格性を確認しますが、推定相続人・受遺者との関係は、戸籍や遺言内容を照らし合わせなければ分からないことがあります。証人候補が財産の受け取りに関わらないか、その配偶者・直系血族でないかを、依頼する側でも事前に確認しておくことが大切です。
当法人が遺言作成をサポートする場合は、文案整理の段階で推定相続人・受遺者を整理したうえで、欠格に当たらない証人を手配するため、この確認漏れを防げます。
証人の手配にかかる費用
証人の費用は、誰に頼むかで変わります。友人・知人なら無償のこともありますが、お礼をする場合の金額に決まりはありません。専門家に依頼する場合は事務所ごとに費用体系が異なり、公証役場の紹介を受ける場合の謝礼の取扱いも役場により異なります。
当法人の公正証書遺言作成サポート(220,000円〜・税込)には、証人2名の手配が含まれます。遺言の文案整理・公証役場との調整・証人手配までが一体になっているため、証人だけを別途探す必要はありません。
なお、公証役場に支払う公証人手数料は別途必要です。一般的には3〜8万円程度に収まることもありますが、財産の価額、財産を受け取る人の人数、遺言加算、正本・謄本代、出張作成の有無により変動し、8万円を超える場合もあります(日本公証人連合会「手数料」参照)。正確な金額は、文案が固まった段階で公証役場に確認します。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!
内容を知られたくない場合の考え方
「証人に内容を知られるのが嫌だ」という理由で公正証書遺言をためらう方もいます。考え方は2つあります。
1つ目は、守秘義務のある専門家を証人にすることです。行政書士には法律上の守秘義務があり、遺言の内容が外部に漏れる心配を抑えられます。知人に頼む場合の「内容が広まるリスク」を避けつつ、公正証書遺言の確実性を確保できます。
2つ目は、遺言の方式自体を見直すことです。内容を秘密にしたまま遺言の存在だけを公証する秘密証書遺言(民法第970条。公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出)のほか、公証人・証人に内容を開示せずに利用できる自筆証書遺言書保管制度という選択肢もあります。保管制度は相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる点が大きなメリットですが、法務局は遺言の内容についての相談には応じず、保管された遺言の有効性を保証する制度でもありません。また、秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要になるなど、公正証書遺言とは確実性・手続きの面で違いがあります。どの方式が合うかは、財産の内容と「誰に知られたくないか」によって変わるため、初回相談で整理することをおすすめします。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説
遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 公正証書遺言の証人は何人必要ですか?
A. 民法第969条第1号により、証人2人以上の立会いが必要です。実務では2名で作成するのが一般的です。証人が確保できないと、公正証書遺言は作成できません。
Q2. 家族や親族に証人を頼めますか?
A. 多くの場合、頼めません。推定相続人・受遺者と、その配偶者・直系血族は証人になれないためです(民法第974条)。配偶者やお子様、財産を受け取る予定の甥姪などは欠格に当たります。ただし、すべての親族が当然に欠格となるわけではなく、推定相続人・受遺者との関係を確認して判断します。財産を受け取らない友人・知人であれば証人になれますが、遺言の内容を知られる点に注意が必要です。
Q3. 証人は当日何をしますか?
A. 公証役場(または出張先)で遺言の作成に立ち会い、遺言者がご本人であること、自分の意思で遺言をしていることを確認したうえで、公正証書に署名・押印します。所要時間は一般に30分〜1時間程度ですが、内容により異なります。
Q4. 証人になれないのはどんな人ですか?
A. 民法第974条により、①未成年者、②推定相続人・受遺者とこれらの配偶者・直系血族、③公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人は、遺言の証人になれません。遺言の利害関係者や、公証人と近い関係の人を排除することで、遺言の公正さを担保する趣旨です。
Q5. 証人になれない人が立ち会っていた遺言はどうなりますか?
A. 証人の欠格は方式の問題であるため、遺言が無効と判断されるおそれがあります。相続発生後に有効性を争われる原因にもなります。作成前に、証人が欠格事由に当たらないかを必ず確認することが重要です。
Q6. 証人の手配に費用はかかりますか?
A. 誰に頼むかによります。友人・知人なら無償のこともありますが、専門家へ依頼する場合は事務所ごとに費用が異なり、公証役場で紹介を受けられる場合も謝礼の取扱いは役場により異なります。当法人の公正証書遺言作成サポート(220,000円〜・税込)には証人2名の手配が含まれており、別途の証人費用はかかりません。
Q7. 証人に遺言の内容を知られたくないのですが。
A. 証人は作成に立ち会うため、遺言の内容を知る立場になります。知人に頼むと内容が広まる心配がある場合は、守秘義務を負う行政書士などの専門家に証人を依頼する方法が現実的です。内容を秘密にしたまま存在だけ証明する秘密証書遺言という方式もありますが、家庭裁判所の検認が必要になるなどの違いがあります。
Q8. 秘密証書遺言にも証人は必要ですか?
A. 必要です。秘密証書遺言は、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して作成します(民法第970条)。証人の欠格事由(民法第974条)は、遺言の証人・立会人に共通して適用されます。
まとめ
公正証書遺言の証人は、2人以上が必須で、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族は欠格です。家族・親族のほとんどが証人になれないため、「誰に頼むか」「内容を知られてもよいか」をあわせて考えることが、遺言準備の最初の実務になります。
行政書士法人トゥモローズの公正証書遺言作成サポートは、文案整理・公証役場との調整から証人2名の手配までを一体でお引き受けしています。事務所は東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)で、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に対応し、Google Meetによるオンライン相談なら全国に対応します。ご本人が入院中・施設入所中の場合の公証人出張への同行もご相談ください。
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遺言で財産を取得した場合の相続税については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 民法第969条(公正証書遺言)
- 民法第970条(秘密証書遺言)
- 民法第974条(証人及び立会人の欠格事由)
- 民法第1004条(遺言書の検認)
