手続きを簡単理解!相続税の延納を専門家がわかりやすく解説!

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相続手続き

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この記事の執筆者:熊野 翔一

相続専門である税理士法人トゥモローズの所属税理士。相続税に馴染みのないお客様へ向けて、『理解しやすい言葉選び』を心がけてコンテンツを作成しております。『謙虚に、素直に、誠実に』を座右の銘に、申告業務にも取り組ませていただいております。

こんにちは。相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

相続人の方の中には「相続税を納税することになりそうだけれど、被相続人から相続できる現金・預金の額が少ないので、申告期限までに納税資金の確保が間に合わず納税できないのではないか…」という不安を抱える方もいらっしゃると思います。

そんな場合には、一定の要件を満たす必要がありますが、相続税を数年に渡り分割納付することのできる『延納』という納税方法を取れる可能性があります。

今回は、この延納という制度の内容についてわかりやすく解説していきます。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

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1. 延納とは相続税を分割納付することです

相続税の納税方法には『金銭一括納付』、『延納』、『物納』の3つの方法が設けられています。

納税方法については、原則として相続税の申告期限までに金銭で一括納付する『金銭一括納付』のみが認められています。

ただし、一定の理由がある場合に限って相続税を分割して納付する『延納』が、延納したとしても納税しきれない場合に相続財産により相続税を納付する『物納』を選択することができるようになります。

延納は納期限までに税額を金銭で一括納付することが困難である経済的な理由がある場合に、税務署へ『延納申請書』を提出し、さらに担保を提供することにより、相続税を数年に渡って毎年納付することができるようになる制度です。

また、延納の申請は相続人全員ではなく、延納をする相続人が個別で申請することになります。

2. 延納のためには4つの要件を満たす必要があります

相続税の延納を申請するためには、下記の4つの要件を満たす必要があります。

相続税額が10万円を超えること
金銭で納付することが困難である事由があること
延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
相続税の納期限までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

それでは、それぞれの要件を下記で解説していきます。

2-1相続税額が10万円を超えること

相続税額が10万円を超えるのかどうかは各相続人の相続税額ごとに判定します。

つまり、相続税の総額が10万円を超えていても、延納を申請しようとする相続人が負担する相続税額が10万円以下であれば申請できません

2-2金銭で納付することを困難とする事由があること

相続人が相続税を金銭で一括納付することができない状況である必要があります。

具体的には、相続する現金・預金のほか、相続人自身が有する現金・預金をあわせても納税しきれないという根拠を『金銭納付を困難とする理由書』という書式で証明することになります。

相続する現預金と相続人自身が有している現預金はすべて納税に充てなければいけなければいけないという訳ではありません。相続人の生活費や、事業の運転資金については納税への充当の対象からは外されます

相続人の生活費等については前年の所得や所得税、その他ローンや子供の教育費の支出等を加味し、1年間の生活費等の概算を算出します。

上記の集計のためには源泉徴収票など別途確認する必要のある資料があったり、金銭納付が困難な事由を証明するための書類は記入欄も多く、不備があった場合には申請が却下されるリスクもあるため、申請書類を相続人が作成することはお勧めできません。

2-3延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること

延納は言わば税務署から納税が困難な金額について借入れをするようなものですので、手続きに当たっては税務署へ担保の提供を必要とします。

担保として提供できる財産については、国税庁より下記の提示がされています。

実務上は、主に土地となりますが不動産が担保として提供されるケースがほとんどとなっています。

2-4相続税の申告期限までに申請書類を提出する

延納の申請をするためには相続税の申告期限までに申請書類を提出する必要があります。
申請書類の提出後、だいたい3ヵ月ほどで税務署より承認か却下の通知がされることになります。

次項で提出する申請書類について解説いたします。

3. 延納のために提出する書類は主に5種類です

延納申請手続きでの主な提出種類は以下の通りです。

延納申請書
延納申請書別紙
金銭納付を困難とする理由書
不動産等の財産の明細書
担保提供関係書類

原則として、これらの書類は相続税の申告期限までに提出しなければなりません。
ただし、担保提供関係書類についてだけは、『担保提供関係書類提出期限延長届出書』を税務署へ提出することで一定期間の延長が可能になります。

また、相続税の申告期限までに単に延納の申請書類を揃えればいいだけではなく、相続税申告書の作成自体も同時並行で進めていかなければならない点に注意が必要です。

なお、各書類の詳細な記載内容を確認されたい方は国税庁より公開の『延納の手引』をご参照ください。

4. 延納により分割納付できる期間

延納により分割納付できる期間は、相続人が相続する財産に占める不動産等の割合に応じて区分されます。なお、不動産等とは次の4つを指します。

土地・家屋などの不動産
不動産の上に存在する権利(借地権など)
事業用の減価償却資産
特定同族会社の株式及び出資

そして、具体的な延納期間の区分は下記の通りになります。

※動産等と不動産等に係る延納期間のみ記載しています。

相続人が相続する財産のうちに占める不動産の割合が大きいほど担保としての信頼性が高いため、延納の期間は長くなります。

例えば延納相続税額が100万円で、相続する財産構成が動産20%・不動産80%であるとします。この場合、動産に対応する20万円(20%)部分については10年、80万円(80%)部分については20年が延納の最長期間ということになります。

5. 【デメリット】延納期間中には利子税(利息)がかかります

相続税の延納をする場合には毎年税額を納付する都度、利息として利子税が課されます

利子税の税率は相続する財産に占める不動産の割合に応じて区分されます。令和4年1月1日~12月31日の税率は下記の通りになります。

※動産等と不動産等に係る利子税の税率のみ記載しています。

上記の税率表から、相続する財産の不動産の割合が50%以上であれば、そうでない場合よりも利子税の税率は低く抑えることができるということがわかります。

したがって延納を申請する相続人がいる場合、申請する相続人の取得する財産の不動産の割合を50%以上となるように遺産分割を行えば、利子税を節税することが可能になります。

6. 財産を換金すれば延納の必要がないケースもあります

延納は相続する財産の現金・預金の割合が少なく、さらに納税に充てることのできる相続人自身のキャッシュが足りない場合に検討をすることになります。

しかし、被相続人の財産の中に有価証券・金地金といった換金性のある財産がある場合には、すべての相続財産について遺産分割協議がまとまる前に、これらの換金性のある財産についてのみ一部先行して遺産分割を行ってしまい、売却の手続きを申告期限までに完了させておけば納税資金を調達することができます

延納を検討されている方は遺産分割は一度に全ての相続財産を対象としなくてよい点について留意しておきましょう。なお、譲渡した相続財産に譲渡益が生じた場合には別途、所得税の納税の必要があります。

7. 延納しても納税しきれない場合には物納をすることになります

相続税の延納の許可を受けた納税者が、延納後の経済状況の変化等によって、延納の期間を延長するなど延納条件の変更をしたとしても延納を継続することが難しくなった場合には、相続税の申告期限から10年以内に『特定物納の申請』をすることにより、延納から相続財産という現物により納付する物納に納税方法を変更することになります。

なお、すでに延納の納期限が到来してしまった税額については特定物納の対象にはならず、相続財産ではなくキャッシュで納税をすることになります。

8. 延納している相続人がいる場合には連帯納税義務は生じません

相続税法第34条では税務署が相続税の徴収のモレを防止するため、ある相続人から相続税の納付がなかった場合に、他の相続人がその相続税を納付しなければならないという連帯納税義務を定めています。

しかし、相続人の一部が数年に渡り延納をしている途中に滞納が発生した場合において、本来の申告期限から長期間が経過した後に他の相続人に対し連帯納税義務が課されるのは経済的に不合理な状況です。

こういった不合理を回避するため、H24年度の税制改正において連帯納税義務が見直され、本来の納税義務者が延納の許可を受けた場合には連帯納税義務は生じないことになりました。

9. 延納の申請を検討されているのであれば専門家へ依頼しましょう

今回は相続税の延納について解説いたしましたが、延納の申請をするには相続開始日から10ヶ月以内に相続税申告書の作成と同時に延納の各種申請書類を準備する必要があります。これらの手続きを相続税申告の経験とノウハウの蓄積のない相続人の方がすることはまず不可能であると言えますので、納税資金の確保にご不安のある方は相続税専門の税理士法人へご相談をされることをお勧めいたします。

また専門家であれば、相続財産の売却による納税資金の調達や合理的な遺産分割のご提案など、延納以外の選択肢をご提示できる可能性も高くなっております。

なお、延納の申請に関する費用についてですが、通常の申告料金にオプションとして延納申請報酬が加算される料金体系を取る税理士法人などがほとんどだと思われます。

参考までに、税理士法人トゥモローズでは、通常の申告料金に延納申請者1人当たり11万円(税込)を加算させていただき、延納の申請業務に対応させていただいております。是非一度、ご相談を検討をいただければ幸いです。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

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