国際相続で有効な英文遺言書の作成方法と注意点【税理士・弁護士監修】

10秒でわかる この記事の要約

  • 海外に財産がある場合、現地法に基づく英文遺言書の作成が有効
  • 日本の遺言書も海外で有効だが、英訳・認証に手間と費用がかかる
  • 国ごとに遺言書の形式要件が異なるため、現地法の確認が必須
  • 日本用と海外用で別々の遺言書を作成するのが実務上のベストプラクティス
  • 遺言書の内容が矛盾しないよう、専門家に相談して作成することが重要

「海外に財産があるのですが、遺言書はどうすればいいですか?」

海外に財産がある方にとって、遺言書の作成は非常に重要です。

適切な遺言書があれば、相続手続きがスムーズになり、残された家族の負担を大幅に軽減できます。

逆に、遺言書がない場合や、形式に不備がある場合は、手続きが複雑化し、時間と費用がかさむことになります。

この記事では、年間350件超の相続税申告を手がける相続専門税理士が、国際相続における英文遺言書の作成方法を解説します。

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国際相続で遺言書が重要な理由

プロベート手続きの簡素化

アメリカ、イギリス、香港、シンガポールなどでは、遺言書の有無によってプロベートの手続きが異なります。

遺言書 プロベートの種類 特徴
あり Grant of Probate 遺言執行者が明確、手続きがスムーズ
なし Letters of Administration 遺産管理人を選任する必要あり、やや複雑

有効な遺言書があれば、遺言執行者(Executor)が明確になり、手続きがスムーズに進みます。

相続人間のトラブル防止

国によって法定相続分が異なるため、遺言書がないと想定外の分配になる可能性があります。

例えば、アメリカの一部の州では、配偶者と子の法定相続分が日本とは異なります。

遺言書で明確に分配方法を指定しておくことで、トラブルを防止できます。

手続きの迅速化

遺言書がある場合とない場合では、プロベートにかかる時間が大きく異なることがあります。

遺言書で遺言執行者を指定しておけば、その人がすぐに手続きを開始できます。

日本の遺言書は海外でも有効か

原則として有効

日本で作成した遺言書も、形式要件を満たしていれば海外で有効と認められることが多いです。

「遺言の方式の準拠法に関する法律」(ハーグ条約)により、遺言者の本国法(日本法)に従って作成された遺言書は、多くの国で有効と認められます。

ただし手続きが煩雑になる

日本語の遺言書をそのまま海外で使用することは現実的ではありません。

以下の手続きが必要になります。

・日本語の遺言書を英訳する
・翻訳の正確性を証明する認証を取得
・公正証書遺言の場合、公証人認証+アポスティーユが必要
・自筆証書遺言の場合、日本の家庭裁判所で検認を受けた後、その検認調書を英訳・認証

これらの手続きには時間と費用がかかるため、海外財産については英文遺言書を別途作成する方が効率的です。

英文遺言書の種類

種類 特徴
Will(遺言書) 死亡時に効力を発生する一般的な遺言書
Codicil(遺言補足書) 既存の遺言書を修正・補足する書類
Living Trust(生前信託) 生前に財産を信託に移転し、プロベートを回避
Pour-Over Will Living Trustと併用し、漏れた財産を信託に移す遺言書

英文遺言書の作成方法

作成の選択肢

①現地の弁護士に依頼
・現地法に精通しており、最も確実
・費用は10万〜50万円程度

②日本で国際相続に詳しい弁護士に依頼
・日本から手続きができる
・現地弁護士と連携してくれる事務所もある

③オンラインサービスを利用
・アメリカなどではオンラインで遺言書を作成できるサービスがある
・ただし、複雑な案件には不向き

英文遺言書の基本的な構成

1. Introduction(序文)
・遺言者の氏名、住所、国籍
・「これが私の最後の遺言である」という宣言
・以前の遺言を撤回する旨

2. Appointment of Executor(遺言執行者の指定)
・遺言執行者の氏名、住所
・代替の遺言執行者

3. Disposition of Property(財産の処分)
・具体的な財産の分配方法
・残余財産の帰属先

4. Attestation Clause(証明条項)
・証人の立会いの下で署名したことの証明

5. Signature and Witnesses(署名と証人)
・遺言者の署名
・証人の署名(通常2名)

英文遺言書作成の注意点

国ごとの形式要件の確認

遺言書の形式要件は国によって異なります。

項目 アメリカ(一般的) イギリス
証人の数 2名 2名
証人の資格 受益者以外 受益者以外
公証 州による(Self-Proving Affidavitが推奨) 不要
手書きの要否 州による(Holographic Willを認める州もある) 不要(ただし署名は自筆)

日本の遺言書との整合性

日本用と海外用で別々の遺言書を作成する場合、内容が矛盾しないよう注意が必要です。

ベストプラクティス
・日本の遺言書:「日本国内に所在する財産」について記載
・英文遺言書:「海外(特定の国)に所在する財産」について記載
・両方の遺言書で、対象財産の範囲を明確に限定する
・「この遺言書は○○国に所在する財産のみに適用される」と明記

注意:一方の遺言書で「全財産を○○に」と書くと、他方の遺言書と矛盾し、どちらかが無効になる可能性があります。

英文遺言書に関するQ&A

Q1:英文遺言書は自分で作成できますか?

A:法律上は可能ですが、専門家に依頼することをお勧めします。

形式要件を満たさないと無効になるリスクがあります。

特に、財産が高額な場合や、複数の国に財産がある場合は、専門家への依頼が必須です。

Q2:日本で英文遺言書を作成できますか?

A:可能です。

日本の公証役場でも、一定の要件のもと英文の遺言書を作成できます。

また、国際相続に詳しい弁護士に依頼すれば、日本にいながら海外で有効な遺言書を作成できます。

Q3:英文遺言書の作成費用はいくらですか?

A:弁護士に依頼する場合、10万〜50万円程度が目安です。

財産の内容や複雑さによって費用は異なります。

現地の弁護士に依頼する場合は、渡航費用なども考慮する必要があります。

Q4:遺言書は定期的に見直すべきですか?

A:はい、財産状況や家族構成の変化に応じて見直してください。

以下のようなタイミングで見直しを検討しましょう。

・結婚、離婚、再婚
・子の誕生、養子縁組
・財産の大幅な増減
・海外財産の取得・売却
・法律の改正

Q5:英文遺言書はどこに保管すればいいですか?

A:以下の方法があります。

・弁護士に預ける(最も一般的)
・銀行の貸金庫に保管
・法務局の遺言書保管制度を利用(日本語の自筆証書遺言のみ)
・家族に保管場所を伝えておく

まとめ

この記事のポイント

  • 海外に財産がある場合、英文遺言書の作成が有効
  • 日本の遺言書も有効だが、英訳・認証に手間と費用がかかる
  • 日本用と海外用で別々の遺言書を作成するのがベスト
  • 遺言書の内容の矛盾に注意
  • 専門家に相談し、国ごとの形式要件を満たすことが重要

英文遺言書の作成は、将来の相続手続きをスムーズにするための重要な投資です。

早めに準備しておくことで、残されたご家族の負担を大幅に軽減できます。

当事務所では年間350件超の相続税申告を行っており、国際相続の実績も豊富です。

「海外に財産があるが、遺言書をどうすればいいか分からない」
「日本と海外の遺言書の整合性を確認したい」

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