マンションを相続したときの管理組合への届出|滞納管理費・修繕積立金の承継
10秒でわかる この記事の要約
- マンションを相続すると、その時点で管理組合の組合員になります。加入の申込みは要りません(区分所有法第3条)。
- 遺産分割が終わっていなくても、まず暫定の連絡先を伝えます。標準管理規約のコメントが、その方法を示しています。
- 届出の方法は管理規約によります。標準管理規約には、書面のみの案と、書面又は電磁的方法の案があります。
- 管理費等は、発生した時期で扱いが変わります。死亡前の未払分と、死亡後に発生する分は別です。
- 死亡前の未払分を承継する根拠は民法第896条です。区分所有法第8条は特定承継人、つまり売買や交換で取得した方の規定です。
- 共有の間は議決権行使者を1人定めますが、決まっていなくても総会の招集通知は止まりません(同法第35条第2項)。
- 海外にお住まいの方は、区分所有法第6条の2の国内管理人を確認します。単なる連絡先ではなく、法定の権限を持ちます。
「遺産分割が終わってから連絡すればいいですよね」
管理組合への連絡について、そう聞かれることがあります。
待つ必要はありません。
区分所有法第3条は、区分所有者は全員で管理を行う団体を構成すると定めています。
相続で区分所有者になれば、その瞬間に組合員です。
そして、管理費を負担する立場も同時に始まります。
国土交通省の標準管理規約のコメントも、遺産分割に時間がかかる場合の当面の連絡先について触れています。
つまり、分割を待たずに動くことが想定されているのです。
もう一つ、条文の取り違えが起きやすい論点があります。
亡くなった方が滞納していた管理費です。
区分所有法第8条を引いて説明されることがありますが、条文が違います。
第8条は特定承継人、つまり売買や交換で取得した方の規定です。
相続人は包括承継人ですから、根拠は民法第896条になります。
本記事では、この整理を踏まえて、死亡直後から取得者が決まるまでに何をするかを順に見ていきます。
空き家として持ち続ける場合は相続した実家・空き家をどうする、賃貸に出していた場合は賃貸オーナーが亡くなったときの手続きにまとめました。
相続した時点で、管理組合の組合員になる
区分所有法第3条は、こう定めています。
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。
「構成し」と書かれています。
区分所有者になれば、自動的に団体の一員になるのです。
標準管理規約第30条も「組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する」としています。
したがって、加入の手続きはありません。
脱退することもできません。
「使っていない部屋だから抜けたい」という選択肢は、制度上ないのです。
なお、区分所有者になる時点は、相続が開始したときです。
登記を移した日ではありません。
相続登記が済んでいなくても、管理費の負担は始まっています。
ただし、誰が区分所有者になるかは、状況によって変わります。
遺言があるか、相続放棄をした人がいるか、遺産分割が済んでいるか。
相続人が複数いて分割が終わっていなければ、民法第898条第1項により相続財産は共有になります。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
遺産分割が終わっていなくても、暫定の連絡先を伝える
ここが実務でいちばん大事なところです。
取得者が決まるまで連絡を止めてはいけません。
標準管理規約の第31条関係コメントに、こうあります。
専有部分を第三者に譲渡等した場合のみならず、相続によって区分所有権を取得した場合においても、当該包括承継人は第1項の届出を提出する必要がある。なお、遺産分割協議に時間を要する場合などやむを得ない事情により直ちに届出を提出することができない場合には、管理組合の事務の円滑化の観点から、届出が行われるまでの当面の連絡先として、包括承継人の代表者等の連絡先を把握しておくことも考えられる。
読み方を間違えやすいので、順序を確認します。
原則は、相続人が届出をすることです。
遺産分割が終わっていなくても、共同相続人は民法第898条第1項により区分所有権を共有しているからです。
「取得者が決まるまで届出を待つ」ではありません。
当面の連絡先で足りるのは、遺産分割に時間を要するなど、直ちに届出ができない場合の扱いです。
| 状況 | 管理組合への対応 |
|---|---|
| 原則 | 規約に従って届出をする |
| 直ちに届出ができない場合 | 死亡の連絡、相続人代表等の当面の連絡先、管理費等の支払方法を伝える |
| 取得者が確定した後 | 取得者としての届出、口座振替や送付先の変更 |
最初の連絡で伝える内容は、次のとおりです。
- 区分所有者が亡くなったこと
- 相続手続きの途中であること
- 相続人代表等の氏名・住所・電話番号
- 管理費等を当面どう払うか
- 総会資料や請求書の送付先
まず管理会社または管理組合へ連絡し、届出の方法と必要書類を確認してください。
先に伝えておけば、督促が届いたり、総会の案内が行き先を失ったりする事態を避けられます。
管理規約と請求明細を見て、初動を整理します
マンションの相続では、死亡の連絡、暫定の連絡先の届出、滞納管理費等の確認、支払方法の変更、共有中の議決権行使者の届出、取得者が決まったあとの正式な届出と、段階ごとにやることが変わります。管理規約と請求書、戸籍をご用意いただければ、相続人間で合意した内容にもとづく書類作成まで行政書士が対応します。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
届出は「直ちに」|書面か電磁的方法かは管理規約による
取得者が決まったら、正式な届出をします。
標準管理規約第31条第1項は「直ちに」届け出ることを求めています。
ただし、届出の方法は一つではありません。
標準管理規約は、管理組合が電磁的方法を使えるかどうかで2案を置いています。
| 管理組合の状況 | 届出の方法 |
|---|---|
| 電磁的方法が利用可能ではない場合 | 書面により |
| 電磁的方法が利用可能な場合 | 書面又は電磁的方法により |
そして、標準管理規約は法律ではありません。
実際に適用されるのは、そのマンションの管理規約です。
まず管理組合、実務上の窓口としては管理会社へ連絡し、次の点を確認してください。
- 届出書の名称と様式
- 書面かメール等か、提出の方法
- 戸籍や遺産分割協議書の写しが要るか
- 管理費等の支払方法
なお、届出義務の相手は管理組合です。
管理会社は、管理組合から事務を受託しているにすぎません。
コメントに示された届出書の様式では、対象住戸、取得した方の氏名、現に居住する住所、電話番号、緊急連絡先、変動の年月日と原因などを書くことになっています。
令和7年改正のマンション標準管理規約では第31条の2も新設され、理事長が組合員名簿を作成・保管し、届出があれば遅滞なく更新するとされました。
管理費等は、発生した時期で扱いが変わる
ここを一括りにすると、判断を誤ります。
同じ「管理費」でも、いつ発生したかで性質が違うのです。
| 発生の時期 | 性質 | 負担する人 |
|---|---|---|
| 死亡前の未払分 | 被相続人の債務 | 相続人が承継する(民法第896条) |
| 死亡後・遺産分割前 | 共有者となった相続人自身の債務 | 共有関係と規約による |
| 遺産分割後 | 取得した方自身の債務 | マンションを取得した相続人 |
死亡後に発生する分は、亡くなった方の債務ではありません。
その時点の区分所有者、つまり相続人自身が負うものです。
この違いは、相続税の申告でも効いてきます。
扱いの違いは関連解説(税理士法人トゥモローズ)「【相続税申告】債務控除をわかりやすく徹底解説」にまとまっています。
死亡前の未払分と死亡後の発生分では扱いが変わりますので、申告が必要な場合は必ず税理士にご確認ください。
なお、対象になるのは管理費だけではありません。
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場・駐輪場などの使用料
- 規約や総会決議にもとづく一時金
- 遅延損害金
まず管理組合へ、死亡日で区切った明細を出してもらってください。
月ごとの内訳が分からないと、どの区分に入るかを判断できません。
そして、請求のされ方も時期で変わります。
公益財団法人マンション管理センターの実務マニュアルは、相続が確定する前の段階について、こう整理しています。
管理組合は、死亡前からの滞納分については、法定相続分の割合に応じて各相続人に請求し、死亡後に発生した滞納分については、各相続人が不可分に負担するので、各相続人に対し全額を請求することができます。
死亡後に発生した分は、相続人の1人に全額を請求されることがあります。
「自分は4分の1だから4分の1だけ」とはならないのです。
兄弟のうち1人にまとめて請求が来ることもあります。
払った方は、あとで他の相続人へ負担を求めることになります。
放置している間に膨らむのは、この死亡後の分です。
死亡前の滞納分を承継する根拠は民法896条
条文の取り違えが起きやすい論点です。
まず、区分所有法第8条を見てください。
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
「特定承継人」と書かれています。
標準管理規約の第5条関係コメントは、「包括承継は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう」としています。
売買や交換で取得した方、競売で買い受けた方などが特定承継人です。
一方、相続人は包括承継人です。
財産も債務も、まとめて引き継ぐ立場にあります。
根拠は民法第896条です。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
結論としては払う義務がありますが、条文は第8条ではありません。
この違いは、相続人が複数いるときに効いてきます。
民法第899条は「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」としています。
遺産分割で「マンションは長男が取る」と決めても、それだけで他の相続人が債務を免れるわけではないのです。
管理組合の同意なく、債務者を入れ替えることはできません。
なお、相続人が滞納を残したまま売却した場合は、買主に対する請求の場面で第8条が出てきます。
相続人には民法896条、その後の買主等には区分所有法8条。
場面を分けて考えてください。
また、管理費等の一定の債権には先取特権があります(区分所有法第7条第1項)。
ただし、先取特権があるからといって全額回収できるとは限りません。
住宅ローンの抵当権や物件の価格によっては、競売をしても配当が見込めないことがあります。
共有の間は、議決権行使者を1人決める
遺産分割まで、マンションは共有になります。
区分所有法第40条が、議決権の扱いを定めています。
専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。
全員がそれぞれ投票するのではありません。
決め方は、持分の価格に従い、その過半数です。
全員一致である必要はありません。
標準管理規約第46条第3項は、その方の氏名を総会の開会までに理事長へ届け出るとしています。
ここで、よくある誤解を1つ解いておきます。
議決権行使者が決まらないと総会の案内が届かない、という説明を見かけます。
そうではありません。
専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
区分所有法第35条第2項です。
決まっていなければ、共有者の1人に通知すれば足ります。
総会そのものが止まるわけではないのです。
困るのは、共有者の側です。
賛否をまとめられず、議決権を有効に行使できなくなります。
注意が要るのは、2人が2分の1ずつ持っていて意見が割れた場合です。
それぞれが別の人を立てようとすると、どちらも過半数に届きません。
もっとも、2人が同じ人で合意すれば持分の全部になりますので、決められます。
大規模修繕のような重要な議案があるときは、早めに話し合っておいてください。
海外にお住まいの場合は、国内管理人を確認する
相続で海外在住のご家族が区分所有者になることがあります。
この場合に関わるのが、区分所有法第6条の2です。
区分所有者は、国内に住所又は居所…を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから管理人を選任することができる。
単なる郵便物の受取人ではありません。
区分所有法第6条の2第2項は、国内管理人の権限を次のように定めています。
| 号 | 権限 |
|---|---|
| 一 | 保存行為 |
| 二 | 専有部分の性質を変えない範囲内での利用又は改良 |
| 三 | 集会の招集の通知の受領 |
| 四 | 集会における議決権の行使 |
| 五 | 共用部分等について負う債務等の弁済 |
議決権の行使まで含まれている点が重要です。
海外にいても、国内管理人を通じて総会の議決に加われます。
なお、条文は「選任することができる」と書いています。
法律上、一律の義務ではありません。
ただし、管理規約で選任を求めている場合があります。
実際に適用されるのは規約ですので、必ず確認してください。
選任したときは、管理者や管理組合法人へ遅滞なく通知する必要があります(同条第3項)。
区分所有者と国内管理人の関係は、委任に関する規定に従うとされています(同条第4項)。
届出に必要な書類は管理組合によって異なりますので、本人確認や住所の確認をどう行うかも含めて、先に確認してください。
管理組合への連絡と相続登記は、並行して進める
どちらが先か、という話ではありません。
別の手続きなので、同時に進めます。
管理組合への連絡は、死亡直後にできます。
区分所有者になるのは相続が開始したときだからです。
連絡が遅れると、次のようなことが起きます。
- 請求書が亡くなった方あてに届き続ける
- 口座振替が止まり、気づかないうちに滞納が積み上がる
- 総会の案内が実際に読む人へ届かない
口座振替については、状況を確かめてください。
被相続人名義の口座が凍結されると、管理費等の引き落としが止まることがあります。
実際に引き落とされているかを確認し、止まっている場合は当面の振込先を案内してもらってください。
遺産分割前に特定の相続人が立て替える場合は、支払日と金額、対象の月を記録して、領収書を残しておきます。
後の遺産分割で精算するときに必要になります。
一方、相続登記には期限があります。
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内が基本です。
遺産分割がまとまらない場合には、相続人申告登記という方法もあります。
登記の申請そのものは司法書士の業務です。
口座凍結への対応は銀行預金の相続手続きにまとめました。
誰に頼めるか(業際の整理)
手続きごとに、担当できる資格者が分かれます。
| やること | 担当 |
|---|---|
| 戸籍の収集、相続人間で合意済みの内容にもとづく遺産分割協議書の作成 | 行政書士 |
| 区分所有権取得届、相続人代表や議決権行使者の届出書の作成 | 行政書士 |
| 管理規約や管理組合の運営に関する専門的な助言 | マンション管理士 |
| 相続登記 | 司法書士 |
| 相続税の評価・申告、死亡前の未払分の扱い | 税理士 |
| 滞納額の減額交渉、相続人間の紛争、訴訟 | 弁護士 |
| 売却や賃貸の媒介 | 宅地建物取引業者 |
滞納額が大きく、支払いをめぐって争いになりそうな場合は弁護士です。
行政書士は、金額の交渉を代理できません。
また、遺産分割協議書の作成は、相続人の間で合意ができている内容を書面にする業務です。
意見が割れている状態での交渉は、弁護士の領域になります。
当法人では、税理士法人トゥモローズと連携しています。
相続税の申告が必要になる場合は、そちらへお引き継ぎします。
なお、マンションの相続税評価は令和6年から算定方法が変わりました。
居住用の区分所有財産について、市場価格との乖離を補正する仕組みが導入されています。
評価の考え方は、関連解説(税理士法人トゥモローズ)「マンションの相続税評価額をわかりやすく徹底解説!【令和6年以降の相続対応版】」をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 誰も住まない部屋です。管理費は払わなければいけませんか?
A. 支払う必要があります。管理費は、共用部分の維持管理に要する費用を区分所有者が分担するものだからです。専有部分を使っているかどうかは関係ありません。区分所有法第19条も、各共有者は規約に別段の定めがない限りその持分に応じて共用部分の負担に任じると定めています。空室であっても、エレベーターや廊下、給排水設備の維持には費用がかかり続けます。使わないから減額してほしいという申し出は、規約に定めがない限り通りません。売却や賃貸を検討される場合は、管理費と修繕積立金の負担を前提に判断してください。
Q2. 亡くなった父に多額の滞納がありました。相続放棄はできますか?
A. 相続放棄自体は可能です。ただし、期限があります。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。放棄をすると、マンションを含めてプラスの財産も引き継げません。滞納額と資産の額を比べたうえで判断することになります。なお、放棄を検討している間の支払いには注意が必要です。民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときに単純承認をしたものとみなすと定めています。亡くなった方の預金など相続財産から管理費等を払うと、この処分にあたるおそれがあります。ご自身の資金から払う場合を含め、放棄を検討しているなら支払いの前に司法書士または弁護士へご確認ください。家庭裁判所への申立ては行政書士の業務ではありませんので、司法書士または弁護士へお願いします。
Q3. 共有中の議決権行使者に決まったら、管理組合の理事にもなるのですか?
A. 自動的になるわけではありません。議決権行使者は、共有者を代表して総会で議決権を行使する立場です。区分所有法第40条により、共有者が持分の価格の過半数で決めます。一方、理事や監事は、管理規約に従って総会などで選任される役員です。選ばれ方も役割も違います。輪番制を採っているマンションで共有住戸をどう扱うかは、そのマンションの管理規約や役員選任細則によります。遠方にお住まいで出席が難しい場合は、その事情を早めに管理組合へお伝えのうえ、規約に代理出席の定めがあるかをご確認ください。
Q4. 賃貸中のマンションを相続しました。家賃は誰が受け取りますか?
A. 賃貸借契約は、賃貸人が亡くなっただけでは終了しません。遺産分割が終わるまでは共同相続人が賃貸人の地位を承継し、相続開始後に発生する賃料は、民法第899条により各相続人へ相続分に応じて帰属するのが原則です。実務では、相続人全員で代表者と受取口座を決め、その内容を書面にして賃借人と管理会社へ通知します。被相続人名義の口座への入金や払戻しの取扱いは金融機関によって異なりますので、独断で振込先を変えず、相続人間の合意と金融機関への確認を先に行ってください。詳しくは本記事の「あわせて読みたい」にある「賃貸オーナーが亡くなったときの手続き」をご確認ください。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
まとめ
マンションを相続すると、その時点で区分所有者となり、管理組合の組合員になります(区分所有法第3条)。
加入の申込みはなく、脱退もできません。
遺産分割が終わっていなくても、まず暫定の連絡先を伝えてください。
標準管理規約のコメントは、遺産分割に時間を要する場合の当面の連絡先として、包括承継人の代表者等を把握する方法を示しています。
遺産分割が終わるまで届出を待つ必要はありません。
共同相続人は民法第898条第1項により区分所有権を共有しているためです。
方法が書面か電磁的方法かは、そのマンションの管理規約によります。
管理費等は、発生した時期で扱いが変わります。
死亡前の未払分は被相続人の債務で、相続人が承継します(民法第896条)。
死亡後に発生する分は、その時点の区分所有者自身の債務です。
しかも、相続人の1人に全額を請求されることがあります。
死亡後の分は各相続人が不可分に負担するとされているためです。
よく引かれる区分所有法第8条は、特定承継人の規定です。
包括承継は相続、特定承継は売買や交換などを指します。
共有の間は、持分の価格の過半数で議決権行使者を1人定めます。
決まっていなくても、総会の招集通知は共有者の1人にすれば足ります(同法第35条第2項)。
困るのは、共有者側で賛否をまとめられないことです。
海外にお住まいの方は、区分所有法第6条の2の国内管理人を確認してください。
保存行為、招集通知の受領、議決権の行使、債務の弁済まで権限が及びます。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、マンションの相続手続き、管理組合への届出、遺産分割協議書の作成をお手伝いしています。
あわせて読みたい
税務の観点もあわせてご確認ください
マンションの相続税評価は、令和6年1月から算定方法が変わりました。居住用の区分所有財産について、市場価格との乖離を補正する仕組みが導入されています。また、死亡前の未払管理費等と、死亡後に発生した管理費等では扱いが異なります。相続税の申告が必要な場合は、税理士にご確認ください。
根拠法令・公的資料
- 建物の区分所有等に関する法律第3条(区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる)
- 建物の区分所有等に関する法律第6条の2第1項(区分所有者は、国内に住所又は居所…を有せず、又は有しないこととなる場合には、その専有部分及び共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所又は居所を有する者のうちから管理人を選任することができる)
- 建物の区分所有等に関する法律第6条の2第2項(国内管理人は、次に掲げる行為をする権限を有する。一 保存行為 二 専有部分の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為 三 集会の招集の通知の受領 四 集会における議決権の行使 五 共用部分…につき他の区分所有者に対して負う債務又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して負う債務の弁済)
- 建物の区分所有等に関する法律第7条第1項(区分所有者は、共用部分…につき他の区分所有者に対して有する債権…について、債務者の区分所有権…及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する)
- 建物の区分所有等に関する法律第8条(前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる)※特定承継は売買及び交換等の場合をいい、相続人は包括承継人として民法第896条により承継します
- 建物の区分所有等に関する法律第19条(各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する)
- 建物の区分所有等に関する法律第35条第2項(専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる)
- 建物の区分所有等に関する法律第40条(専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない)
- 民法第896条(相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない)
- 民法第898条第1項(相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する)
- 民法第899条(各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する)
