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内縁・事実婚・同性パートナーに財産を遺す方法|相続人にならないから、遺言と契約で備える

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 何十年連れ添っていても、婚姻の届出をしていなければ相続人にはなりません。民法890条が相続人とするのは、法律上の婚姻をした配偶者だからです。
  • 同性のパートナーも同じです。2026年8月時点で同性婚は法制化されておらず、自治体のパートナーシップ制度に相続の効果はありません。
  • つまり、パートナーの法定相続分は0です。遺言や死因贈与、生命保険といった準備がなければ、財産を受け取れません。相続人がいれば全部その人たちへ、いなければ最終的に国庫へ向かいます。
  • しかも、住まいまで失うことがあります。借地借家法36条で同居者が賃借権を承継できるのは、賃借人が相続人なしに亡くなった場合に限られます。
  • そして、特別の寄与を請求できるのは「親族」だけです(民法1050条1項)。介護を一手に担っていても、パートナーはこの制度を使えません。
  • 本記事では、遺贈と死因贈与の使い分け、住まいの守り方、遺言以外に必要な備えを整理します。

ご相談で、何度も同じ場面に立ち会いました。

「20年一緒に暮らして、最期も看取ったのに、家を出てくれと言われました」

法的な備えがなければ、そうなります。

相手のご家族が冷たいわけではなく、制度がそう組み立てられているためです。

逆にいえば、元気なうちに書面と手続きを整えておけば、リスクは大きく減らせます

本記事は、内縁・事実婚・同性のパートナーがいる方に向けて、何をどの順番で用意するかを条文に当たりながら整理したものです。

なお、前提として、被相続人が日本人で日本法が相続の準拠法となり、パートナーとのあいだに婚姻や養子縁組といった法律上の親族関係がない場合を想定しています。

法の適用に関する通則法36条は「相続は、被相続人の本国法による」と定めているため、被相続人が外国籍の場合は、その本国法によって結論が変わることがあります。


パートナーは相続人にならない

はじめに、制度の前提を確認します。

民法第890条は「被相続人の配偶者は、常に相続人となる」と定めています。

この配偶者は、婚姻の届出をした配偶者を指します。

何年一緒に暮らしていても、住民票を同一世帯にしていても、届出がなければ相続人ではありません。

同性のパートナーについても、2026年8月時点で同性婚は法制化されていません。

婚姻の平等を求める訴訟が最高裁判所に係属していますが、現行の民法のもとでは、相続の場面での扱いは変わっていません。

自治体のパートナーシップ宣誓制度についても、押さえておくべきことがあります。

証明書があっても、相続人になれるわけではありません。

住宅の入居や医療機関での取扱いなど、自治体や事業者の運用に影響することはありますが、民法上の相続の順位を動かすものではないのです。

では、何もしないとどうなるか。

亡くなった方の状況財産の行き先
子・親・兄弟姉妹などの相続人がいるすべて相続人へ。パートナーには渡らない
相続人がいない相続財産清算人の手続きを経て、特別縁故者への分与を家庭裁判所が判断。残れば国庫へ

下の行に望みをつなぐのは、現実的ではありません。

理由は次の章で説明します。

なお、ひとつ区別しておいてください。

相続人にならないという結論は共通ですが、その周りの制度まで同じではありません。

論点異性間の内縁・事実婚同性パートナー
法定相続権なしなし
関係を示す資料住民票の「夫(未届)」「妻(未届)」など自治体のパートナーシップ受理証明書など
遺族年金など事実婚と生計同一の要件を満たせば対象になり得る制度ごとに個別の確認が必要
相続対策遺言・保険・契約が必要遺言・保険・契約が必要

遺言でどう備えるかは同じです。年金や住民票の扱いは、制度ごとに確認してください。


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遺言による遺贈と、契約による死因贈与

死亡を原因としてパートナーへ財産を渡す中心的な方法が、遺贈と死因贈与です。

民法第964条は、遺言者は包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することができると定めています。

これが遺贈です。

もう一つが、民法第554条の死因贈与です。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与で、その性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されます。

似ていますが、性質が違います。

遺贈(遺言)死因贈与(契約)
成立のしかた遺言者が一人で作れる相手の承諾が要る
相手が知っているか知らせずに作れる知っている
方式民法の定める遺言の方式による契約書。実務では公正証書にすることが多い
受け取りを拒む場合特定遺贈と包括遺贈で手続きが異なる単純な放棄ではなく、契約関係の整理が必要

実務では、まず遺言を作ります。

作った事実を相手に伝えたくない事情がある場合もありますし、後から内容を変えることもできるためです。

ただし、不動産を渡す場合は注意してください。

ここは、相続人に遺す場合と扱いが違います。

登録免許税の税率が1,000分の4(0.4%)になるのは、相続による移転と、相続人に対する遺贈です。

パートナーは相続人ではないため、遺贈でも原則として1,000分の20(2%)です。

死因贈与も同じく2%で、この点では差がつきません。

不動産取得税のほうは、書き方で変わります。

地方税法第73条の7第1号は、非課税となる取得として「相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得」を挙げています。

渡し方登録免許税不動産取得税
包括遺贈(全部または割合を遺す)原則2%非課税
特定遺贈(この不動産を遺す)原則2%課税
死因贈与原則2%課税

「自宅を遺贈する」と書くか、「全財産を遺贈する」と書くかで、税負担が変わります。

ただし包括遺贈にすると、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するため、借金などの債務も引き継ぎます

法的な効果と登記は司法書士、相続税や不動産取得税は税理士と確認して決めてください。

遺贈と死因贈与の違いは死因贈与と遺贈の違い|契約か遺言か・撤回・税金まで徹底比較にまとめました。

そして、遺言を作るなら公正証書遺言をおすすめします。

自筆証書は方式の不備で無効になることがありますし、相手のご家族から筆跡や作成時の状況を争われる場面が、この類型では特に起きやすいためです。

ここで、見落とされがちな条文があります。

民法第969条第1項第1号により、公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要です。

そして民法第974条第2号は、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族は証人になれないと定めています。

つまり、財産を受け取るパートナー本人は、証人になれません

誰に証人を頼むかは、事前に決めておいてください(公正証書遺言の証人|なれない人と2人の頼み方・立会いの実際)。


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住まいを守れるかは、相続人がいるかで変わる

この類型で、お金と同じくらい切実なのが住まいです。

賃貸住宅の場合、借地借家法に規定があります。

同法第36条第1項は、居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、婚姻または縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者が賃借人の権利義務を承継すると定めています。

条文の頭を、もう一度読んでください。

「相続人なしに死亡した場合」です。

子や兄弟姉妹などの相続人がいる場合、この規定は使えません。

賃借人の地位は、相続人が承継します。

ただし、相続人がいるからといって、直ちに出ていかなければならないわけではありません。

異性間の内縁配偶者については、相続人が承継した賃借権を援用して、賃貸人に対し居住を主張できると解されています。

もっとも、パートナー自身が賃借人になるわけではありません。

相続人が承継した賃貸借契約が賃料の不払いなどで終了すれば、住み続けられなくなる可能性があります。

同性のパートナーについて、借地借家法36条や同じ考え方がそのままあてはまるかは、個別の判断になります。

確実にしたいなら、亡くなる前に手を打ってください。

賃貸人の同意を得て、契約を連名にするか、パートナーへ名義を変えておく。

これが最も確実な方法です。

ここが、いちばん誤解されている点です。

「内縁でも住み続けられる制度がある」とだけ覚えていると、相続人がいる場面で足をすくわれます。

なお、承継したくない場合は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に賃貸人へ反対の意思を表示します(同項ただし書)。

承継した場合、賃貸借関係にもとづいて生じた債権や債務も、その人に帰属します(同条2項)。

持ち家の場合は、話がはっきりしています。

遺言で不動産を遺贈するのが基本です。

住み続けてほしいなら、その建物と敷地を特定して書きます。

「自宅を遺贈する」とだけ書くと、範囲が争いになることがあります。

登記簿の表示どおりに、所在・地番・家屋番号まで書いてください。

なお、名義を移す登記申請の代理は司法書士の業務です。

遺言を作る段階で、誰に頼むかまで決めておくと、あとが速くなります。


遺言がないまま亡くなったら

書面を用意しないまま、その日が来た場合を見ておきます。

相続人がいれば、遺言などで別段の定めのない相続財産は、法定相続人が承継します。

パートナーが何十年生活を支えていても、これは変わりません。

ここで期待されがちなのが、特別寄与料の制度です。

民法第1050条第1項は、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をし、財産の維持または増加について特別の寄与をした者に、相続人への金銭の請求を認めています。

ところが、条文はその対象を「被相続人の親族」に限定しています。

内縁や同性のパートナーは親族ではないため、この請求はできません。

介護を一人で担っていた場合でも同じです。

制度の谷間に落ちる、典型的な場面です。

次に、相続人がいない場合です。

民法第958条の2第1項は、家庭裁判所が「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」の請求により、清算後残存すべき相続財産の全部または一部を与えることができるとしています。

これが特別縁故者への財産分与です。

同居していたパートナーは、この「生計を同じくしていた者」にあたり得ます。

ただし、期待できる制度ではありません。

  • まず相続財産清算人の選任を申し立て、公告の手続きを経る必要がある
  • 分与するかどうか、いくら分与するかは家庭裁判所の判断による
  • 請求には期限がある。民法958条の2第2項により、同法952条2項の期間の満了後3か月以内
  • 手続きに時間と費用がかかり、その間、住まいや生活費は宙に浮く

遺言でパートナーへの遺贈を定めておけば、受け取れるかどうかを家庭裁判所の裁量にゆだねずに済みます。

ただし、遺言に書かれていない財産や債務が残る場合は、別に相続財産の清算が必要になることがあります。

それでも、費用も時間も比べものになりません。


お金の前に、決めておくこと

この類型では、財産よりも先に問題になることがあります。

入院と、亡くなった直後です。

医療機関や施設では、家族への連絡や同意を求められる場面があります。

パートナーは法律上の親族ではないため、病状の説明を受けられない、面会を制限されるといったことが起こり得ます。

医療行為への同意は、財産管理の代理権があっても当然に代われるものではありません。

できるのは、次の準備までです。

  • 本人の意向を書面に残し、入院時に持参できるようにしておく
  • 入院時に連絡してほしい相手として、あらかじめ医療機関へ伝えておく
  • 身元保証をどうするかを、事前に整理しておく

身元保証を頼める人がいない場合の選択肢は身元保証人がいない場合の対処法|入院・施設入所の保証サービスにまとめました。

亡くなった直後も同じです。

葬儀の手配、遺体の引き取り、役所への届出、賃貸住宅の明渡し。

ここは、ひとくくりにできません。

死亡届については、戸籍法第87条第1項が届出をすべき者として同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋または土地の管理人を挙げています。

順序にかかわらず届出をすることができるとされているため、同居していたパートナーは死亡届を出せます

一方、遺体の引き取り、葬儀や納骨の主宰、賃貸借契約の解約、残置物の処分は、それぞれ別の法律関係です。

パートナーだからという理由で、これらをまとめて行える権限が生じるわけではありません。

だからこそ、死後事務委任契約を結んでおきます(死後事務委任契約とは?できること・できないこと完全解説)。

遺言は主に財産の承継、死後事務委任は葬儀・納骨・契約の解約を扱います。必要に応じて併用してください。

そして、死ぬ前に動けなくなる場合の備えが、いちばん抜けます。

認知症、意識障害、長期の入院。

遺言は亡くなった後に効力が生じるもので、生きているあいだの預金や契約をパートナーへ任せる制度ではありません。

判断能力があるうちに任せるなら財産管理委任契約と金融機関への代理人の届出、低下した後まで任せるなら任意後見契約になります(財産管理委任契約とは|任せられる範囲の決め方と、金融機関で通らないことがある理由任意後見契約とは?認知症に備える終活の重要契約)。

ここで、この類型に固有の壁が2つあります。

1つ目は、銀行の代理人制度です。

金融機関が代理人として登録できる人を、配偶者や一定の範囲の親族に限っている例があります。

契約書を作っても、パートナーを代理人として登録できるとは限りません(銀行の代理人カードは認知症対策になるのか)。

取引先ごとに、対象になる人と取引の範囲を確認してください。

2つ目は、法定後見の申立てです。

民法7条が後見開始の審判を請求できる人として挙げているのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などです。

この配偶者も、婚姻の届出をした配偶者を指します。

つまり、任意後見契約を作らないまま判断能力が低下すると、パートナー自身は法定後見を申し立てられないことがあります

一方、パートナーを任意後見受任者としておけば、その受任者として任意後見監督人の選任を申し立てられます(任意後見契約に関する法律4条1項)。

判断能力が低下した後まで任せたいなら、任意後見契約は事実上の必須です。

生前の管理、判断能力が低下した後、亡くなった後。この3段階を分けて用意してください。

そして、私見ですが、もう一つお願いしていることがあります。

2人とも、それぞれ別の証書で書いてください。

民法975条は、二人以上の者が同一の証書で遺言することを禁じています(共同遺言の禁止)。

どちらが先に亡くなるかは分かりません。

片方だけ用意して、用意しなかったほうが先に亡くなる例を実際に見ています。


作るときに気をつける3つのこと

最後に、実務で必ず確認している点を挙げます。

確認することなぜ必要か
遺言執行者を決めておく相続人の協力を求めずに進められる手続きが増え、連絡の窓口も一本化できる。ただし税務申告や登記申請の代理まで担えるわけではない
証人を誰に頼むか受け取るパートナー本人は証人になれない(民法974条2号)
相続人の遺留分子や親などの相続人には遺留分がある。全部を遺す内容でも請求されることがある

1つ目は、この類型では特に効きます。

遺言があっても、金融機関や法務局での手続きの場面で、相続人の協力を求められることがあります。

遺言執行者がいれば、相続人の協力を求めずに進められる手続きが増えます。ただし、税務の申告、登記申請の代理、遺言に書かれていない財産の分配、遺留分をめぐる対応まで単独で完結できるわけではありません(遺言執行業務の流れ|就任から完了までの実務スケジュール)。

3つ目については、配分を決める前に確認が必要です。

遺留分をどう見込むかは事案によって変わるため、弁護士や税理士と一緒に検討してください。

税金の面でも、知っておくべきことがあります。

相続税には、一親等の血族と配偶者以外の人が財産を取得したときに税額が加算される仕組みがあります。

パートナーが遺贈を受ける場合は、この加算の対象になります。

手取りの見込みが変わるため、金額を決める前に確認してください関連解説(税理士法人トゥモローズ)「相続税の2割加算についてわかりやすく徹底解説!」

税額の計算そのものは税理士の業務です。

税金の話は、2割加算だけではありません。

制度パートナーの扱い
相続税の2割加算原則として対象になる
配偶者の税額軽減使えない(法律上の配偶者ではないため)
死亡保険金の非課税枠使えない。「500万円×法定相続人の数」は受取人が相続人の場合の制度(国税庁タックスアンサーNo.4114)
相続税の基礎控除パートナーは法定相続人の数に含まれないため、基礎控除額は増えない
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)取得者が配偶者または一定の親族に限られるため、原則として使えない

不動産だけを遺すと、税金を払う現金が足りなくなることがあります。

相続税、登録免許税、不動産取得税。さらに遺留分を請求されれば、その支払いも要ります。

預金や生命保険も含めて、手取りで足りるかを試算してください。

もう一つ、忘れられがちな備えがあります。

パートナーが自分より先に亡くなった場合です。

その場合、そのパートナーへの遺贈は効力を失うことがあります。

誰に渡すかを次順位まで書いておく予備的遺言を入れておいてください(予備的遺言とは|受遺者・相続人が先に亡くなった場合に備える書き方)。

遺言執行者や死後事務の受任者についても、先に亡くなったときの後任を決めておきます。

私見ですが、この類型でいちばん大事なのは、早く作ることです。

内容を練り込むより、まず1通作って、あとから作り直すほうが安全です。

遺言は何度でも書き直せます(遺言書を作り直す方法|撤回・変更の手続きと古い遺言の扱い)。

何もない状態が、いちばん危ういのです。


よくある質問(FAQ)

Q1. 自治体のパートナーシップ宣誓制度を使えば、相続できますか?

A. できません。パートナーシップ宣誓制度は自治体の取組みで、民法上の相続の順位を変えるものではありません。公営住宅への入居や医療機関での取扱いなど、自治体や事業者の運用に影響することはありますが、財産を受け取る根拠にはならないとお考えください。死亡時に財産を渡す中心的な方法は、遺言による遺贈と死因贈与です。このほか、生命保険や生前贈与を使う方法もあります。

Q2. 生命保険の受取人にパートナーを指定できますか?

A. 保険会社によって取扱いが分かれます。かつては配偶者や二親等以内の血族に限る運用が一般的でしたが、同居期間や生計の同一性などを確認したうえで、内縁や同性のパートナーを受取人に指定できる商品も出ています。指定できれば、保険金は受取人固有の権利として受け取れるため、遺産分割の対象になりません。ただし税務は別で、相続人以外が受け取る死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えません(国税庁タックスアンサーNo.4114)。加入している保険会社に、指定の可否と必要書類を確認してください。

Q3. 相手の家族に反対されています。遺言を作っても揉めませんか?

A. 揉める可能性はありますが、遺言があるかないかで結果は大きく変わります。遺言がなければ、パートナーには受け取る根拠自体がありません。あるならば、遺留分を侵害する内容でも、それだけで無効になるわけではありません。遺留分権利者が請求したときに、パートナーが遺留分侵害額を金銭で支払う義務を負う形になります。公正証書で作り、遺言執行者に第三者を指定しておけば、相続人と直接やり取りせずに手続きを進められます。付言で理由を書き残しておくことも、争いを和らげる方向に働きます。

Q4. 住民票の続柄を「未届の夫(妻)」にしておけば有利になりますか?

A. 相続人になれるわけではありませんが、意味はあります。異性間の事実婚では、内縁関係を示す資料の一つとして扱われるため、遺族年金の請求や、相続人がいない場合の特別縁故者としての申立てなど、事実上の関係を証明する場面で役に立ちます。ただし、それだけで足りることはほとんどありません。遺言や死後事務委任契約と組み合わせて、初めて備えになります。


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まとめ

内縁・事実婚・同性のパートナーは、相続人になりません。

民法890条が相続人とするのは、婚姻の届出をした配偶者だからです。

2026年8月時点で同性婚は法制化されておらず、自治体のパートナーシップ制度にも相続の効果はありません。

そして、パートナーは特別寄与料も請求できません。

民法1050条1項が対象を「被相続人の親族」に限っているためです。

賃貸住宅の承継も、借地借家法36条が使えるのは賃借人が相続人なしに亡くなった場合に限られます。

相続人がいない場合の特別縁故者への分与も、清算人の手続きを経たうえで家庭裁判所が判断するもので、期限もあります。

遺言を作れば、パートナーへ財産が渡るかどうかの不確実さは大きく減らせます。ただし、亡くなる前の財産管理、住まい、死後の事務、税金は、それぞれ別に備える必要があります。

公正証書で作り、遺言執行者を決め、死後事務委任契約をあわせて用意してください。

そして、どちらが先になるか分からない以上、2人とも作っておいてください。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、内縁・事実婚・同性のパートナーがいる方の遺言書、死後事務委任契約、任意後見契約の設計をお手伝いしています。


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平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


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根拠法令・公的資料

  • 民法第890条(被相続人の配偶者は、常に相続人となる。婚姻の届出をした配偶者に限られる)
  • 民法第554条(死因贈与。その性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用する)
  • 民法第739条第1項(婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる)
  • 民法第964条(遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる)
  • 民法第990条(包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する)
  • 民法第994条第1項(遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない)
  • 民法第995条(遺贈が効力を生じないときは、受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属する。ただし遺言者が別段の意思を表示したときはその意思に従う)
  • 民法第975条(共同遺言の禁止。遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない)
  • 民法第7条(後見開始の審判の請求権者。本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官)
  • 任意後見契約に関する法律第4条第1項(任意後見監督人の選任を請求できるのは、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者)
  • 民法第958条の2第1項(特別縁故者に対する相続財産の分与。生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者その他特別の縁故があった者の請求による)・第2項(請求は第952条第2項の期間の満了後3か月以内)
  • 民法第969条第1項第1号(公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要)
  • 民法第974条第2号(推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族は証人になれない)
  • 民法第1050条第1項(特別の寄与を請求できるのは被相続人の親族に限られる)
  • 借地借家法第36条第1項(居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合に、事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者が権利義務を承継する)・第2項(賃貸借関係に基づく債権債務の帰属)
  • 戸籍法第87条第1項(死亡の届出をすべき者。第1 同居の親族、第2 その他の同居者、第3 家主・地主又は家屋若しくは土地の管理人。順序にかかわらず届出ができる)
  • 法の適用に関する通則法第36条(相続は、被相続人の本国法による)
  • 地方税法第73条の7第1号(不動産取得税の非課税。相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む)による不動産の取得)
  • 登録免許税法別表第一(所有権の移転登記。相続又は相続人に対する遺贈は1,000分の4、その他の原因による移転は1,000分の20。国税庁タックスアンサーNo.7191で確認)
  • 国税庁タックスアンサーNo.4114(死亡保険金の非課税限度額は受取人が相続人である場合の制度。相続人以外が取得した死亡保険金に非課税の適用はない)
  • ※同性婚は2026年8月時点で法制化されていません(婚姻の平等を求める訴訟が最高裁に係属中)。自治体のパートナーシップ宣誓制度に相続の効果はありません
  • ※相続税の2割加算・税額の計算は税理士、不動産の登記申請の代理は司法書士、遺留分をめぐる紛争の代理は弁護士の業務です

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。