銀行の代理人カードは認知症対策になるのか|予約型代理人・代理人指名手続との違いと申込みの流れ
10秒でわかる この記事の要約
- 親の口座から生活費や医療費を出せるようにしておきたい。そう考えて、まず代理人カードを作る方が多くいます。
- ところが、代理人カードを持っていれば判断能力が低下した後も取引を続けられる、とは限りません。
- 代理人カードは、本人が申込みの内容を理解して意思表示できるうちに作っておくものです。低下した後に使えるかどうかは、銀行の規定や本人の状態によって変わります。
- 判断能力の低下後を想定した制度は、予約型代理人や代理人予約サービスといった名前で、各行が別に用意しています。
- ただし、こうした制度がすべての金融機関にあるわけではありません。名前も条件も揃っていません。
- 本記事では、代理人カードと事前の代理人届出の違い、銀行ごとの取扱いの差、申込みの流れを整理します。
ご相談の場でよく聞くのが、この一言です。
「代理人カードは作ってあるので、うちは大丈夫です」
この理解のまま進むと、いちばん必要な場面で止まることがあります。
本記事では、全国銀行協会が公表している考え方と、各行が実際に案内している内容を突き合わせて、行政書士の実務目線で整理します。
各行の内容は2026年8月20日に公式ページで確認したものです。条件は変わることがあるため、実際の手続き前には取引店でご確認ください。
代理人カードで、どこまでできるのか
代理人カードは、本人の口座に対してもう1枚キャッシュカードを発行する仕組みです。
本人がそれを家族に渡し、家族がATMで入出金します。
発行を申し込めるのは、原則として口座名義人である本人です。
作れる人の範囲と枚数は、銀行ごとに決まっています。
| 銀行 | 代理人になれる人 | 枚数・手数料 |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | 配偶者、二親等以内の親族(血族)または本人と同居している親族のうち成年1名/代理権のある成年後見人 | 発行手数料1,100円(税込)。みずほマイレージクラブ会員は無料 |
| 三菱UFJ銀行 | 本人と生計をともにする親族1名(キャッシュカード規定) | 本人から代理人の氏名と暗証を届け出ると、代理人のためのカードが発行される |
| ゆうちょ銀行 | 窓口で申込み(名義人以外が手続きする場合は委任状が必要) | 1つの総合口座につき本人カードと代理人カードの2枚。代理人カードは預金者1人につき1枚まで |
みずほ銀行の条件はページ上の基準日が2026年1月22日、ゆうちょ銀行の案内は2026年3月3日公開のものです。
なお、三井住友銀行では代理人キャッシュカードという名称で、ATM等での入出金ができるカードを発行しています。
本人のカードを家族が借りて使う、という運用は避けてください。
三菱UFJ銀行のキャッシュカード規定は、カードは譲渡、質入れまたは貸与することはできないと定めています。
代理人カードは、この規定の中に別の条項として置かれているものです。
ここで、ひとつ確認しておきたいことがあります。
三井住友銀行は、代理人キャッシュカードと代理人指名手続について、本人が銀行窓口やATMへ来店できなくなった時に備えるサービスとして案内しています。
つまり、代理人カードは「元気なうちだけの道具」ではありません。
ただし、備えている場面は「来店できなくなること」であって、「判断能力が低下すること」とは同じではありません。
足を骨折して窓口へ行けないことと、取引の内容を理解できなくなることは、別の話です。
また、認知症の診断が出たことと、その取引について意思表示ができないことも同じではありません。診断名で口座が自動的に凍結されるわけではないのです。
代理人カードが判断能力の低下後も使えるかどうかは、銀行の規定と、その時点で銀行が把握している事情によって変わります。
なお、代理人が引き出した現金については、記録を残しておいてください。
日付、金額、使途、残額を控え、領収書を保管します。
亡くなった時点で残っていた現金は、手許現金として相続財産に含める検討が必要になるためです関連解説(税理士法人トゥモローズ)「死亡前後に預金を引き出した場合の相続税申告と遺産分割」。
遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
法律上は消えない。それでも銀行は止まることがある
まず、条文を確認します。
民法第111条第1項は、代理権の消滅事由を2つ挙げています。
本人の死亡と、代理人の死亡または代理人が破産手続開始の決定もしくは後見開始の審判を受けたことです。
よく読んでいただきたいのは、2つ目のほうです。
後見開始の審判を受けたことが消滅事由になるのは、代理人の側です。
本人が後見開始の審判を受けたことは、代理権の消滅事由に入っていません。
委任のほうも同じです。
民法第653条は委任の終了事由として、委任者又は受任者の死亡、委任者又は受任者の破産手続開始の決定、そして受任者が後見開始の審判を受けたことを挙げています。
ここでも、後見開始が出てくるのは受任者の側だけです。
つまり、本人の判断能力が低下したからといって、与えた代理権が条文上ただちに消えるわけではありません。
「認知症になると代理人カードは無効になる」という説明を見かけますが、法律の話としては正確ではないのです。
それでも、実務では止まることがあります。
理由は、銀行側の対応にあります。
全国銀行協会は2021年2月18日に「金融取引の代理等に関する考え方」を公表しています。
その冒頭に、こう書かれています。
銀行の預金は基本的には本人の資産であり、預金を払い出す場合には預金者本人の意思確認が必要となるため、家族といえども預金者の預金を払い出すことはできない
そのうえで、認知判断能力が低下した本人との取引については、顧客本人の財産保護の観点から、親族等に成年後見制度等の利用を促すのが一般的であるとしています。
法律上の代理権が残っているかどうかと、銀行が払戻しに応じるかどうかは、別の話なのです。
銀行が本人の意思確認をできないと判断すると、本人の財産を守る方向に動きます。
実際には、本人の来店時の様子、家族からの申し出、施設からの連絡などがきっかけになります。
なお、この考え方は会員各行に一律の対応を求めるものではないと明記されています。
同じ状況でも、銀行によって対応が分かれることがあります。
だからこそ、事前に届け出ておく意味が出てきます。
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事前に代理人を届け出ておく制度
全銀協の考え方は、代理取引を5つの類型に分けています。
通常取引、認知判断能力が低下した本人との取引、法定代理、任意代理、そして無権代理です。
このうち任意代理について、こう書かれています。
本人から親族等への有効な代理権付与が行われ、銀行が親族等に代理権を付与する任意代理人の届出を受けている場合は、当該任意代理人と取引を行うことも可能
ここでは、有効な代理権が与えられていることと、銀行がその届出を受けていることが、別々の要件として並んでいます。
届出を受けていることは、銀行が任意代理人との取引を検討するうえでの重要な条件の一つです。
この考え方に沿って金融機関が制度化した例の一つが、予約型代理人や代理人予約サービスと呼ばれるものです。
三菱UFJ銀行は現在、認知・判断機能の低下時の備えとして予約型代理人サービスを案内しています。
あらかじめ代理人の予約をしておくことで、本人に意思能力の低下が認められた場合でも代理人を通じて取引を継続できる、としています。
導入は2021年3月8日で、三菱UFJ銀行・三菱UFJ信託銀行・三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社が同時に公表しました。
みずほ銀行は代理人予約サービスとして内容を公開しています。
| 項目 | みずほ銀行 代理人予約サービス |
|---|---|
| 代理人になれる人 | 原則、配偶者または二親等以内の親族(血族) |
| 代理人の取引が可能になる時期 | みずほ銀行所定の診断書を提出した後 |
| 代理人ができる取引 | 円預金の入出金・解約、外貨預金や投資信託等の売却・解約、住所変更等の各種届出、残高証明書の発行など |
| 代理人側の条件 | 取引開始時までに、代理人名義の普通預金口座が必要 |
| 利用手数料 | 無料(診断書の費用は本人負担) |
| 申込みの前提 | 申込時に既に本人の認知機能低下の懸念がある場合は利用できない |
ページ上の基準日は2023年12月1日です。
表の最後の行が、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
認知機能の低下が疑われる段階になってからでは、申し込めません。
代理人カードと違って、投資信託の売却まで含まれている点にも注目してください。
医療費や施設費が必要になったとき、預金が足りず運用商品しか残っていないことは実際にあります。
ここで、注意していただきたい点があります。
同じ「代理人を届け出る」制度でも、銀行によって備えている場面が違います。
三井住友銀行の代理人指名手続は、あらかじめ指名した代理人が本人に代わって窓口で出金できる仕組みです。
指名された代理人は、通帳・届出印・代理人の本人確認書類を持参して窓口で出金します。
同行がこれらの制度について案内しているのは、本人が窓口やATMへ来店できなくなった場合への備えです。
そして、これらを事前に申し込んでおらず、本人の意思確認もできなくなった場合には、成年後見制度の利用が案内されています。
事前に申し込んだ後に判断能力が低下したらどう扱われるかは、公式ページに書かれていません。
この点は取引店に確認する必要があります。
みずほ銀行のように診断書の提出で発効すると明示している制度と、そこまでは書かれていない制度が、同じ「代理人の届出」という言葉で並んでいるのが実情です。
取引のある銀行ごとに、判断能力が低下した後の取扱いを聞いてください。
メガバンクとゆうちょ銀行、地元の信用金庫で、答えは揃いません。
銀行への届出や有効な代理権がない場合
次に、銀行が代理権を確認できないまま、親族が払戻しを求める場面を考えます。
ここには、2つの場面が混ざっています。
①有効な代理権はあるが、銀行所定の届出や確認が済んでいない場合。
②そもそも有効な代理権が無い場合。
財産管理委任契約や個別の委任状で代理権が与えられていれば、①にあたります。
この場合、銀行は代理取引に応じられませんが、代理権そのものが無いわけではありません。
全銀協の考え方でいう無権代理の整理が直接あてはまるのは、②のほうです。
その②について、全銀協の考え方には、はっきりした線が引かれています。
親族等による無権代理取引は、本人の認知判断能力が低下した場合かつ成年後見制度を利用していない(できない)場合において行う、極めて限定的な対応である。成年後見制度の利用を求めることが基本であり、成年後見人等が指定された後は、成年後見人等以外の親族等からの払出し(振込)依頼には応じず、成年後見人等からの払出し(振込)依頼を求めることが基本である。
まず求められるのは、成年後見制度の利用です。
そのうえで、応じることが考えられる場合として、こう書かれています。
認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられる
本人が判断能力を喪失していることの確認方法としては、本人との面談、診断書の提出、本人の担当医からのヒアリングなどが挙げられています。
診断書がない場合についても、複数の行員による本人面談や、医療介護費の内容等の資料を確認することが考えられるとされています。
つまり、道が完全に閉ざされるわけではありません。
ただし、使途は本人の医療費など、本人の利益に適合することが明らかなものに限られます。
本人以外の家族だけのための支出など、本人の利益に適合することが明らかでないものは、原則として対象になりません。
なお、預金が僅少で投資信託等しか残っていない場合の解約については、より慎重な対応が求められると書かれています。
投資信託等は価格が変動するため、いったん解約すると、同じ価格や口数の状態へ原状回復することが難しいからです。
この一点だけでも、事前に届け出ておく価値があります。
個別に判断してもらう立場と、届出済みの代理人として取引する立場では、時間も手間もまるで違います。
なお、「民法等の一部を改正する法律」が令和8年6月24日に公布され、法定後見制度について後見及び保佐を廃止して補助に一元化することなどが含まれています(法律第45号。任意後見や未成年後見を廃止するものではありません)。
成年後見制度に関する改正の施行は公布の日から2年6か月を超えない範囲内の政令日とされ、2026年8月時点では施行されていません。
任意後見・財産管理委任との重なり
ここまで読んで、任意後見契約との関係が気になった方が多いと思います。
役割を整理します。
判断能力の変化に気づくのが見守り契約、判断能力があるうちの財産管理を支えるのが財産管理委任契約、判断能力が不十分になった後に発効するのが任意後見契約です。
銀行の代理人制度は、このどれとも別に、金融機関ごとに用意されている手続きです。
| 代理人カード | 事前の代理人届出 | 任意後見契約 | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | ATM取引の代行 | 判断能力の低下後への備え | 財産管理と生活・療養看護の事務全般 |
| 低下後の取扱い | 銀行の規定・事情により異なる | 制度により異なる(診断書の提出で発効する例あり) | 発効する |
| 及ぶ範囲 | その口座のATM取引 | 届け出た金融機関の取引 | 契約で定めた事務 |
| 始まり方 | 発行した時から | 各行の条件による | 家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から |
| 継続的な費用 | なし(発行手数料のみ) | 無料の銀行もある | 任意後見人と監督人の報酬 |
どれか1つを選ぶ話ではありません。
任意後見契約は、公正証書で結んだだけでは動きません。
任意後見契約に関する法律第2条第1号により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます(同法4条1項)。
家庭裁判所への請求から選任までには時間がかかります。
その間も、生活費や医療費の支払いは待ってくれません。
判断能力の低下後を想定した銀行の届出があれば、この空白を埋める役に立ちます。
そして、銀行への届出と任意後見契約は、先後ではなく同時に検討してください。
みずほ銀行の代理人予約サービスは、申込時に認知機能低下の懸念があると利用できません。
任意後見契約も、本人が契約の内容を理解して意思表示できる段階で結ぶ必要があります。
ただし、申し込める時期まで同じとは限りません。
銀行が使う内部の基準と、任意後見契約を結べるかどうかの判断は、別のものさしです。
銀行の制度のほうが先に使えなくなることもあります。
どちらも、判断能力の低下が疑われる前から動いてください。
任意後見の詳しい仕組みは任意後見契約とは?認知症に備える終活の重要契約、本人の状態を定期的に確認する仕組みは見守り契約とは|任意後見が始まるまでの空白を埋める契約にまとめました。
なお、見守り契約だけでは、預金の払戻しや支払いを代理できません。
見守り契約が埋めるのは、本人の状態を把握する連絡の空白です。
お金を動かす部分は、財産管理委任契約と金融機関への代理人の届出が担います。
任意後見・家族信託・財産管理委任のどれを選ぶかは認知症に備える財産管理|任意後見・家族信託・財産管理委任の違いと選び方をご確認ください。
なお、財産管理委任契約を結んでいても、それだけで銀行が代理取引に応じるとは限りません。
全銀協の考え方でいう任意代理として扱ってもらうには、その銀行が代理人の届出を受けていることが前提になるからです。
契約書に何をどこまで書くかは財産管理委任契約とは|任せられる範囲の決め方と、金融機関で通らないことがある理由にまとめました。
契約を作ったら、取引のある金融機関それぞれに、その契約書で代理人の登録ができるかを確認してください。
受け付けてもらえる場合は、銀行所定の代理人の届出まで済ませておきます。
申込みの流れと、確かめておくこと
実際に手続きを進めるときの順番です。
- 預金・証券・貸金庫を一覧にして、届け出る先を洗い出す
- 各金融機関に、判断能力の低下後を想定した制度があるかと、対象になる取引を確認する
- 継続して代理の手続きを担える人を選ぶ
- 本人が申込みの内容を理解できるうちに、各金融機関所定の方法で手続きする(窓口のほか郵送の案内がある場合もあります)
- 発効の条件・必要書類・診断書の要否を、家族で共有しておく
1番目を飛ばすと、届出そのものが漏れます。
どの銀行に口座があるかを本人しか知らない状態では、洗い出しができないためです。
ネット銀行やネット証券は特に見落とされます(ネット銀行・ネット証券の一覧の作り方)。
2番目で聞いておく項目を挙げます。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 判断能力の低下後の取扱い | 低下後の利用を想定した制度か、来店できない場合への備えかで、性格が変わります |
| 発効の条件 | 所定の診断書が要るのか、面談なのか、別の書類なのかで準備が変わります |
| 代理人ができる取引 | 投資信託や外貨預金の解約まで含まれるかで、医療費が必要になったときの選択肢が変わります |
| 本人と代理人の来店の要否 | 三井住友銀行の代理人指名手続は申込時に代理人の来店不要、みずほ銀行の代理人予約サービスは代理人と一緒に来店する案内です |
| 発効した後に止まる取引 | 本人のキャッシュカードの利用停止や貸金庫・ネットバンキングの解約が生じる場合があります |
| 取引の対象になる口座の範囲 | 手続きした支店の口座だけか、同一行の全口座かで、必要な手続きの数が変わります |
5番目の行は、家族が驚きやすいところです。
みずほ銀行は、代理人との取引開始後に本人のキャッシュカードの利用停止や貸金庫・インターネットバンキング契約の解約等、解約または終了する取引が生じる場合があると案内しています。
貸金庫を使っている方は、中身の確認と、開扉を誰がどう行うかを先に決めておいてください。
貸金庫は本人の死亡後にも制約がかかります(貸金庫の相続手続き|開扉の立会いと必要書類)。
代理人の変更についても触れておきます。
代理人を頼んだ子が先に病気になることもありますし、関係が変わることもあります。
民法第651条第1項は、委任は各当事者がいつでも解除することができると定めています。
本人が自分で代理人を変更・取消しするには、本人がその意味を理解して意思表示できるうちに手続きしてください。
代理人の側からの辞任や、法定代理人が選任された後の取扱いは別の問題になります。
私見ですが、代理人は「頼みたい人」より「実際に動ける人」で選ぶべきです。
遠方に住む長男より、近くに住む次女のほうが機能することは珍しくありません。
そのうえで、長く続けられるか、記録を残せるか、本人と利害がぶつかる立場にないかも見てください。
最後に、お金の動かし方について一点だけ。
引き出した現金を家族名義の口座へ移すと、それが贈与なのか、本人から預かっているだけなのかが後で問題になります。
後者であれば、本人の財産として相続財産に含まれる可能性があります関連解説(税理士法人トゥモローズ)「名義預金とは?相続税の対象になる判断基準と税務調査対策を徹底解説」。
本人の支払いは、本人の口座から出すのが基本です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 代理人カードは何枚まで作れますか?
A. 銀行によって異なります。ゆうちょ銀行は1つの総合口座につき本人カードと代理人カードの2枚で、複数の口座を持っていても代理人カードは預金者1人に対し1枚までとされています(2026年3月3日公開のFAQ)。みずほ銀行は配偶者、二親等以内の親族(血族)または同居している親族のうち成年1名を対象としています。兄弟で1枚ずつ持つといった使い方は想定されていないとお考えください。
Q2. 本人のカードを借りて暗証番号を教えてもらえば足りるのではありませんか?
A. 足りません。三菱UFJ銀行のキャッシュカード規定は「カードは譲渡、質入れまたは貸与することはできません」と定めています。本人のカードを家族が借りて使うことは、規定上想定されていません。同じ規定には代理人カードの条項も置かれており、正規の手続きで発行を受ければ、家族の名前で使えるカードが交付されます。家族が継続してATM取引を行うなら、銀行所定の手続きで代理人カードの発行を受けてください。
Q3. 本人が亡くなった後も、代理人カードで引き出してよいのでしょうか?
A. 使わないでください。民法第111条第1項第1号により、代理権は本人の死亡によって消滅します。口座が凍結される前で機械的には引き出せてしまうことがありますが、他の相続人との間でトラブルの原因になります。葬儀費用などで急ぐ場合は、預貯金の払戻し制度を使う方法があります(預貯金の仮払い制度)。
Q4. 証券会社や信託銀行の口座にも、同じような制度はありますか?
A. 用意しているところがあります。ただし、銀行で済ませた届出が証券口座まで効くわけではありません。同じグループの会社であっても、申込みは別々です。株式や投資信託を持っている方は、預金だけ手当てして安心してしまいがちなので気をつけてください。保有している金融機関を書き出したうえで、1社ずつ問い合わせるのが確実です。
Q5. 親が離れて暮らしています。帰省したときにまとめて手続きできますか?
A. 本人が窓口へ行ける状態であれば、可能な場合があります。ただし、金融機関ごとに窓口が分かれるうえ、来店予約が必要な店舗や、代理人の同行を求める制度もあります。1日で回りきれないことが多いので、帰省の前に電話で必要書類と所要時間を確認し、優先順位の高い口座から順に手続きしてください。
遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
まとめ
代理人カードは、本人が申込みの内容を理解して意思表示できるうちに作っておくものです。
三井住友銀行のように、本人が来店できなくなった場合への備えとして案内している銀行もあります。
ただし、判断能力が低下した後も使えるかどうかは、銀行の規定と事情によって変わります。
民法上は、本人が後見開始の審判を受けたことは代理権の消滅事由に入っていません。それでも銀行は、意思確認ができなければ本人の財産を守る方向に動きます。
備えになるのは、判断能力の低下後を想定した代理人の届出です。
みずほ銀行の代理人予約サービスは所定の診断書の提出で発効しますが、申込時に既に認知機能低下の懸念がある場合は利用できません。
間に合う時期は、思っているより早く終わります。
口座を一覧にして、取引のある銀行それぞれに何が用意されているかを聞くところから始めてください。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、金融機関ごとの代理人制度の確認、口座・資産の棚卸し、必要書類の整理から、財産管理委任契約・任意後見契約・公正証書遺言の原案作成までを一体でお手伝いしています。金融機関への申込みと本人確認は、各金融機関の定める方法により、原則としてご本人に行っていただきます。
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根拠法令・公的資料
- 民法第111条第1項(代理権の消滅事由。第1号=本人の死亡、第2号=代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判)
- 民法第111条第2項(委任による代理権は、委任の終了によっても消滅する)
- 民法第651条第1項(委任は、各当事者がいつでも解除することができる)
- 民法第653条(委任の終了事由。後見開始の審判が終了事由となるのは受任者の場合)
- 任意後見契約に関する法律第2条第1号(任意後見監督人が選任された時から効力が生じる)
- 任意後見契約に関する法律第4条第1項(家庭裁判所による任意後見監督人の選任)
- 全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)」(2021年2月18日)
- 三井住友銀行「代理人指名手続」(当法人確認日 2026年8月20日)
- 三菱UFJ銀行「キャッシュカード規定」(譲渡・質入れ・貸与の禁止/代理人による預金の預入れ・払戻し等。当法人確認日 2026年8月20日)
- みずほ銀行「代理人予約サービスについて」(ページ上の基準日 2023年12月1日/当法人確認日 2026年8月20日)・同「代理人カードを作成したい。」FAQ No.106(ページ上の基準日 2026年1月22日)
- 三菱UFJ銀行「予約型代理人」サービス(導入公表 2021年3月8日/当法人確認日 2026年8月20日)
- ゆうちょ銀行 よくあるご質問 No.11201(2026年3月3日公開)
- 民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号・令和8年6月24日公布)※法定後見制度について後見及び保佐を廃止し補助に一元化する等の改正。成年後見制度に関する改正は、公布の日から2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日に施行
