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山林・森林を相続したときの手続き|森林の土地の所有者届出(森林法)と売却・伐採

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 山林(森林)を相続したら、相続登記に加えて、山林ならではの森林の土地の所有者届出(森林法10条の7の2)が必要。面積に関わらず対象。
  • 届出は所有者となった日から90日以内に市町村長へ。怠る・虚偽だと10万円以下の過料(森林法213条)。
  • 未分割なら、いったん法定相続人の共有として届出。分割確定後に再届出が必要になることがある。
  • 伐採は市町村長への「伐採及び伐採後の造林の届出」(保安林は都道府県知事の許可)。太陽光発電設備目的の開発は0.5ha超で林地開発許可に注意。評価・納税は税理士、手放すなら相続土地国庫帰属制度(窓口は法務局)も選択肢。

「親から山林を相続したが、どこにあるのかも、何をすればいいのかも分からない」。山林の相続では、こうした声をよく聞きます。山林は、ふつうの不動産とは違う、森林法に基づく届出が必要で、見落とすと過料の対象になることもあります。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、山林を相続したときの届出・名義変更、伐採や売却の注意点、手放す場合の選択肢を整理します。なお、山林の相続税評価・納税は税理士法人トゥモローズ、相続登記は提携司法書士と連携します。


山林を相続したら必要な「2つの手続き」

山林を相続したときは、大きく次の2つの手続きが必要です。

  1. 相続登記(名義変更):不動産である山林の名義を相続人へ変更します。登記の申請を代理で依頼する場合は司法書士の業務です。2024年4月から相続登記は義務化されています。
  2. 森林の土地の所有者届出(森林法第10条の7の2):これが山林ならではの手続きです。

地域森林計画の対象となっている森林の土地を、売買や相続などで新たに取得した人は、面積に関わらず、その森林のある市町村長へ届け出なければなりません。これは農地の届出と同じく、相続登記とは別の、見落とされやすい手続きです。

なお、自分が相続した土地が「森林法の対象になる森林か」は、登記地目だけでは分からないことがあります。判断に迷う場合は、市町村の林務担当課に確認します。


届出の期限・方法(90日以内・市町村長へ)

森林の土地の所有者届出には、期限があります。

  • 届出をする人:森林の土地を相続などで取得した相続人
  • 期限:所有者となった日から90日以内
  • 届出先:森林のある市町村長(窓口は林務担当課など)
  • 主な記載・書類:届出書(土地の所在・地番・面積、所有権移転の原因、前所有者・新所有者の情報、国籍等=2026年4月以降の様式)、登記事項証明書や遺産分割協議書など権利取得を示す書類、土地の位置を示す図面など。様式や添付書類は市町村により異なるため、事前に確認します

この届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりすると、10万円以下の過料の対象になります(森林法第213条)。

注意したいのが、遺産分割が90日以内に終わらない場合です。この場合でも、いったん法定相続人の共有として届け出るのが基本です。その後、遺産分割協議で所有者が確定したら、確定した日から90日以内に、あらためて届出が必要になることがあります。期限が短いため、相続が始まったら早めに市町村へ確認しましょう。山林の所在や地番は、財産調査の段階で正確に把握しておくと安心です(相続財産の調べ方もご覧ください)。


山林を相続した方へ|届出・売却・伐採・国庫帰属の可否を初回相談で整理します

森林の土地の所有者届出(森林法10条の7の2)、伐採届や開発許可など、山林の許認可は行政書士が対応できる分野です。「どこにあるか分からない」「管理できない」「売れるのか・手放せるのか」という方へ。登記事項証明書・固定資産税の課税明細・名寄帳・公図・森林計画図などがあると、届出要否や伐採・売却・国庫帰属の可否をより具体的に確認できます。相続登記は提携司法書士、相続税評価は税理士法人トゥモローズと連携してご案内します。

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相続した山林をどうするか(活用・伐採・売却・国庫帰属)

相続した山林の使い道には、いくつかの選択肢があります。それぞれ必要な手続きが異なります。

選択肢 内容 主な手続き
保有・管理する そのまま所有して管理 所有者届出(相続時)。日常の管理責任が生じる
木を伐採する 立木を伐採して利用・販売 市町村長への伐採及び伐採後の造林の届出(伐採後・造林後の状況報告も)。保安林は伐採方法により都道府県知事の許可または届出
開発する 宅地・太陽光発電設備などに開発 一定規模を超える開発は林地開発許可(都道府県知事)。太陽光発電設備目的は0.5ha超、その他は原則1ha超
売る 第三者へ売却 買主側で森林の土地の所有者届出が必要。売却・利用目的により、伐採届・保安林の許可や届出・林地開発許可などを確認
手放す 引き取り手がなく管理に困る 相続土地国庫帰属制度の利用を検討(要件・負担金あり)

ポイントは、伐採や開発には別の手続きが必要になることです。地域森林計画の対象森林で立木を伐採する場合は、原則として市町村長へ「伐採及び伐採後の造林の届出」を提出します。提出時期は、伐採を始める90日前から30日前までです。さらに、伐採が完了したときは伐採に係る森林の状況報告、伐採後の造林が完了したときは造林に係る森林の状況報告を、それぞれ30日以内に行います。無届で伐採したり、状況報告をしなかったりすると、罰則の対象になることがあります。保安林に指定されている森林の伐採は、伐採方法により都道府県知事の許可または届出が必要です(皆伐などは許可、間伐や人工林の択伐などは届出となる場合があります)。

また、一定規模を超える開発には、都道府県知事の林地開発許可が必要です。太陽光発電設備の設置を目的とする開発は0.5ヘクタール超、その他の開発行為は原則1ヘクタール超が目安です。保安林などは林地開発許可とは別の規制があるため、都道府県へ確認します。

管理・活用する予定がなく、買い手も見つからない場合は、一定の要件のもとで相続した土地を国に引き渡せる相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)の利用も選択肢になります。ただし、境界が不明、担保権が付いている、土地に争いがあるなどの場合は使えないことがあり、承認後には負担金(森林は面積に応じて算定)が必要です。森林法上の届出や区域確認は市町村、国庫帰属制度の申請可否や負担金は法務局に確認します。


山林の相続税(評価・納税)

山林は、相続税の場面でも特殊です。

山林の相続税評価は、純山林・中間山林・市街地山林など、立地によって評価方法が変わり、保安林には特例もあります。宅地とは異なる考え方で、専門性が高い分野です。なお、評価では山林の土地部分だけでなく、立木の評価が別途問題になることがあり、樹種・樹齢などで評価が変わります。

なお、一定の森林経営計画がある山林について、要件を満たす林業経営相続人が山林の経営を継続する場合には、山林についての相続税の納税猶予及び免除の特例を検討できることがあります(国税庁No.4149)。適用要件が細かいため、山林を含む相続税申告では税理士による確認が重要です。

これらの評価・納税の判断は、税理士の業務です。山林の評価方法については、税理士法人トゥモローズの解説が詳しいので、あわせてご覧ください。相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):山林の相続税評価を徹底解説|純山林・中間山林・市街地山林の評価方法と保安林の特例


山林の相続は誰に頼む?

山林の相続は、内容によって依頼先が分かれます。

  • 行政書士:森林の土地の所有者届出(森林法10条の7の2)、伐採届、林地開発許可などの許認可手続き。山林・森林の許認可は行政書士が対応できる分野です。
  • 司法書士:山林の相続登記(名義変更)
  • 税理士:山林の相続税評価・納税の判断・申告
  • 弁護士:相続人間で争いがある場合の交渉・代理

山林は、所在や境界が分かりにくく、許可・届出も特殊で、放置すると過料や、売却・活用ができないといった問題につながります。「どこにあるかも分からない」段階で相談すると、調査から届出まで全体を整理できます。費用は依頼する範囲・内容で変わるため、見積もりで確認しましょう。


相続手続きの全体像や、農地など他の不動産の相続については、こちらもあわせてご覧ください。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 山林を相続したら、まず何をすればよいですか?

A. 大きく2つの手続きが必要です。1つは不動産の名義変更(相続登記)で、登記の代理依頼は司法書士の業務です。もう1つが、山林ならではの手続きである森林の土地の所有者届出(森林法10条の7の2)です。地域森林計画の対象となっている森林の土地を相続などで取得した場合、面積に関わらず、市町村長へ届け出る必要があります。

Q2. 森林の土地の所有者届出をしないと、どうなりますか?

A. 届出には期限があり、所有者となった日から90日以内に市町村長へ届け出る必要があります。届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりすると、10万円以下の過料の対象になります(森林法213条)。相続登記とあわせて見落とされやすい手続きなので、山林が相続財産に含まれる場合は、早めに市町村へ確認するのが安心です。

Q3. 遺産分割がまだ終わっていない場合は、どう届け出ますか?

A. 分割が90日に間に合わなくても、届出を止める必要はありません。まずは法定相続人の共有という形で届け出ておきます。あとで所有者が決まったら、その日から90日以内に改めて届け出ることになる場合があります。期限が短いので、相続が始まったらすぐ市町村に相談するのが安全です。

Q4. 相続した山林の木を伐採したり、売ったりできますか?

A. できますが、手続きが必要な場合があります。地域森林計画の対象森林で立木を伐採するには、原則として市町村長へ「伐採及び伐採後の造林の届出」を提出します(提出時期は伐採を始める90日前から30日前まで。伐採後・造林後の状況報告も必要)。保安林の伐採は、伐採方法により都道府県知事の許可または届出が必要です。また、開発のうち太陽光発電設備目的は0.5ヘクタール超、その他は原則1ヘクタール超で林地開発許可が必要になります。用途や規模によって手続きが変わるため、市町村や都道府県に確認します。

Q5. 山林の相続税評価はどうなりますか?

A. 山林の相続税評価は、純山林・中間山林・市街地山林など、立地によって評価方法が変わり、保安林には特例もあります。土地だけでなく立木の評価が問題になることもあります。また、要件を満たせば山林の納税猶予の特例を検討できる場合があります。専門性が高い分野のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

Q6. 相続した山林を、国に引き取ってもらうことはできますか?

A. 相続土地国庫帰属制度を利用できる場合があります。ただし、境界が不明、担保権や利用権がある、土地に争いがある、管理を妨げる工作物があるなどの場合は、申請できない・承認されないことがあります。森林は面積に応じて負担金が算定されます。制度の申請可否や負担金は法務局、森林法上の区域確認は市町村や都道府県に確認します。


まとめ

山林(森林)を相続したときは、相続登記に加えて、森林の土地の所有者届出(森林法第10条の7の2)という山林ならではの手続きが必要です。届出は所有者となった日から90日以内に市町村長へ行い、怠ると10万円以下の過料の対象になります(森林法第213条)。遺産分割が間に合わない場合は、いったん法定相続人の共有として届け出ます。

相続した山林は、伐採(市町村長への「伐採及び伐採後の造林の届出」、保安林は許可または届出)、開発(太陽光発電設備目的は0.5ha超、その他は原則1ha超で林地開発許可)、売却(買主側で所有者届出)、相続土地国庫帰属制度(窓口は法務局)などの選択肢があります。山林の評価・立木評価・納税猶予の特例は税理士の業務のため、専門家と連携して進めましょう。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、相続手続きのご相談に対応しています。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。


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根拠法令・公的資料

  • 森林法第10条の7の2(森林の土地の所有者となった旨の届出。90日以内・市町村長へ)・第213条(届出義務違反の過料・10万円以下)
  • 森林法第10条の8(伐採及び伐採後の造林の届出)・第34条(保安林の伐採の許可・届出)・第10条の2(林地開発許可)
  • 民法第896条(相続の一般的効力)/不動産登記法第76条の2(相続登記の申請義務)
  • 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属制度)
  • 租税特別措置法第70条の6の6等(山林についての相続税の納税猶予及び免除)
  • 税理士法第2条・第52条(相続税の計算・申告は税理士の業務)/司法書士法第3条(登記申請の代理)
  • 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(相談等)。他の法律で制限された業務を除く

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。