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相続財産の調べ方|預貯金・不動産・借金の調査方法と専門家に頼むケース

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相続手続き

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 相続財産の調査は、遺産分割・相続放棄の判断・相続税申告の前提。漏れると協議のやり直しにつながる。
  • 預貯金は通帳等を手がかりに残高証明・取引履歴を請求、不動産は固定資産税通知や名寄帳、有価証券はほふり、生命保険は契約照会制度で調べる。
  • 借金などマイナスの財産は、督促状や信用情報機関への開示請求で確認。相続放棄の判断(原則3か月)に直結。
  • 自分でも調べられるが、手間が大きい。財産調査と財産目録の作成だけの部分依頼もできる。

「亡くなった親に、どんな財産があったのか分からない」。相続では、まずここでつまずく方がとても多いものです。財産の全体像がつかめないと、遺産分割も、相続放棄をするかどうかの判断も、相続税の申告も、正しく進められません。

本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、預貯金・不動産・有価証券・生命保険・借金の調べ方を請求先ごとに整理し、自分で調べる場合と専門家に頼むケースを解説します。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。


なぜ財産調査が必要なのか

財産調査は、相続手続きの「土台」です。次の理由から、最初にしっかり行う必要があります。

  • 遺産分割協議の前提:誰が何を受け取るかは、財産の全体像が分かって初めて決められます。あとから財産が出てくると、協議のやり直しになることがあります。
  • 相続放棄・限定承認の判断:借金などのマイナスの財産が多い場合、相続放棄を検討します。その判断には、原則として相続の開始を知った時から3か月の期限があります(民法第915条)。
  • 相続税の申告:相続税の申告・納付には10か月の期限があり、財産が確定しないと正しく計算できません。

なお、民法第915条第2項は、相続人が承認・放棄をする前に相続財産の調査をすることができると定めています。「まず調べる」ことは、相続人に認められた権利でもあるのです。

ただし、相続放棄を検討している場合は、調査中の行動に注意が必要です。預貯金を解約して使う、株式や不動産を売却するなど相続財産を処分すると、単純承認をしたものとみなされ(法定単純承認・民法第921条)、放棄できなくなるおそれがあります。借金の有無が不明な段階では、財産の確認・保全にとどめ、処分や換金の前に専門家へ相談しましょう。


財産調査と財産目録の作成だけのご依頼も可能です

「どこから手をつければいいか分からない」「平日に金融機関を回る時間がない」「借金があるか不安で、放棄の判断を急いでいる」という方へ。戸籍収集から財産調査、財産目録の作成まで、必要な範囲だけお手伝いします。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携してご案内します。

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平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


プラスの財産の調べ方

預貯金・不動産・有価証券・生命保険など、受け取れる財産は、手がかりと請求先がそれぞれ異なります。

財産 手がかり 調べ方・請求先
預貯金 通帳・キャッシュカード・郵便物・アプリ 各金融機関へ残高証明書・取引履歴を請求(同一銀行は全支店分をまとめて照会できることが多い)
不動産 固定資産税の納税通知書・権利証 市区町村の名寄帳(固定資産課税台帳)、法務局の登記事項証明書
有価証券 証券会社の取引報告書・配当通知 証券会社へ照会、証券保管振替機構(ほふり)への登録口座の開示請求
生命保険 保険証券・保険会社からの郵便物 保険会社へ照会、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」

預貯金は、通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物を手がかりに、取引のありそうな金融機関を絞り込み、残高証明書(亡くなった日時点の残高)と取引履歴を請求します。預金解約など銀行別の詳しい手続きは「銀行預金の相続手続き完全ガイド」をご覧ください。

不動産は、毎年届く固定資産税の納税通知書や、市区町村で取得できる名寄帳で確認します。ただし、名寄帳で分かるのはその市区町村内の不動産に限られます。複数の自治体に不動産がある可能性がある場合は自治体ごとに確認が必要で、共有持分や未登記建物は見落としやすい点にも注意します。

有価証券は、証券会社からの郵便物のほか、証券保管振替機構(ほふり)の登録済加入者情報の開示請求で口座開設先の手がかりを得られます(具体的な保有銘柄・残高は、判明した証券会社へ照会します)。生命保険は、生命保険協会の生命保険契約照会制度で契約の有無の手がかりを確認できます(金額・受取人・請求可否は、判明した保険会社へ確認します)。詳しい手続きは「証券口座の相続手続き」「生命保険金の請求手続き」をご覧ください。

財産はできる限り漏れなく洗い出すことが大切です。相続税の場面でどんな財産が見落とされやすいかは、税理士法人トゥモローズの解説が参考になります。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続税申告で漏れやすい財産ベスト10|税務調査で指摘されないための対策


マイナスの財産(借金)の調べ方

見落としやすいのが、借金などのマイナスの財産です。プラスの財産より借金が多ければ、相続放棄を検討することになるため、早めの確認が欠かせません。

  • 手がかり:金融機関・貸金業者からの督促状、契約書、通帳からの定期的な引き落とし、クレジットカードの利用明細
  • 信用情報機関への開示請求:相続人は、JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センターに開示を請求でき、ローンやクレジットの残高を確認できます(必要書類は機関ごとに異なります)

ただし、信用情報機関で確認できるのは、主にローンやクレジットなど登録対象の情報です。個人間の借入、税金・社会保険料の滞納、未払いの医療費・介護費、保証債務、事業上の未払金などは登録されないため、督促状・請求書・契約書・通帳の引落履歴・郵便物をあわせて確認します。とくに保証債務(誰かの借金の保証人になっている)は見落としやすく、後から判明すると影響が大きいため注意します。

借金の調査は、相続放棄をするかどうかの判断(原則3か月)に直結します。「借金があるかもしれない」という段階でも、早めに確認しておくと、期限に追われずに判断できます。


ネット銀行・デジタル資産の注意点

近年は、ネット銀行・ネット証券・電子マネーなど、紙の通帳や郵便物が残らない財産が増えています。これらは手がかりが少なく、見落とされがちです。

スマートフォンやパソコンに残ったアプリ・ブックマーク・メールの取引通知、関連する入出金の記録などが手がかりになります。心当たりの事業者には、相続人から取引の有無を照会します。把握が難しい財産なので、ご本人が元気なうちに財産の一覧(どこに何があるか)を残しておくと、残された家族の負担が大きく減ります。


自分で調べる場合と専門家に頼む場合

財産調査は自分でもできますが、金融機関・役所・法務局を平日に回り、書類を集めるのは手間がかかります。次のようなケースは、専門家に頼む価値が大きくなります。

  • 取引先の金融機関が多い、遠方にある
  • 平日に動く時間が取れない
  • 借金の有無が不安で、相続放棄の判断を急いでいる
  • 不動産が複数の自治体にある

専門家に頼む場合、内容によって依頼先が変わります。行政書士は、争いがない前提で、戸籍収集・財産資料の整理・財産目録の作成や、金融機関等への照会に必要な書類整理・取得支援を行います。残高証明書や信用情報の開示請求などは、各機関所定の委任状・本人確認書類・相続関係資料が必要なため、手続先のルールに従って進めます。不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。費用は、依頼する範囲・財産の種類や量で変わるため、見積もりで内訳を確認するのが確実です。なお、財産調査の結果は、相続手続き全体を自分で進めるか専門家に頼むかの判断にも関わります(相続手続きは自分でできる?専門家に頼むべき人の判断基準)。

項目 自分で調べる 専門家に依頼する
費用 実費中心で抑えられる 報酬がかかる(範囲・内容で変動)
手間・時間 金融機関・役所を自分で回る 取得・整理を任せられる
漏れのリスク ネット資産・借金を見落としやすい 調べ方を踏まえ漏れを減らしやすい
向いている人 財産がシンプル・時間が取れる 取引先が多い・平日動けない・期限が迫る

相続手続きの全体像や必要書類については、こちらもあわせてご覧ください。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続財産の調査は、なぜ必要なのですか?

A. 遺産分割協議や相続税の申告は、財産の全体像が分かって初めて正しく進められるからです。あとから財産が見つかると、協議のやり直しや申告のし直しが必要になることがあります。また、借金などのマイナスの財産が多いと相続放棄を検討することになり、その判断には期限(原則3か月)があるため、早めの調査が重要です。

Q2. 亡くなった人の預貯金は、どうやって調べますか?

A. 通帳・キャッシュカード・金融機関からの郵便物などを手がかりに、取引のありそうな金融機関を絞り込みます。そのうえで、各金融機関に残高証明書や取引履歴の発行を請求します。多くの金融機関では、同じ銀行の全支店分をまとめて照会できます。ネット銀行は紙の通帳がないため、メールやアプリの確認も必要です。

Q3. 借金などのマイナスの財産はどう調べますか?

A. 督促状や契約書、通帳からの定期的な引き落としが手がかりになります。さらに、信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター)に相続人が開示請求をすると、ローンやクレジットの残高を確認できます。借金が多い場合は相続放棄の検討につながり、判断には期限があるため、早めの確認が大切です。

Q4. ネット銀行やネット証券の口座はどう探せばよいですか?

A. ネット系は紙の通帳や郵便物が少ないため、見落とされがちです。スマートフォンやパソコンに残ったアプリ・ブックマーク、メールの取引通知、関連する入出金の記録などが手がかりになります。心当たりの事業者には、相続人から取引の有無を照会します。デジタル資産は把握が難しいため、生前に一覧を残しておくと安心です。

Q5. 財産調査だけを専門家に依頼することはできますか?

A. できます。戸籍収集や遺産分割協議書の作成まで含めて任せることも、財産調査と財産目録の作成だけを部分的に依頼することも可能です。行政書士は、争いがない前提で、委任を受けて残高証明書の取得や財産資料の整理、財産目録の作成を支援します。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士と連携して進めます。

Q6. 財産調査中に、亡くなった人の預金を解約して使っても大丈夫ですか?

A. 相続放棄を考えている場合は気をつけてください。亡くなった方の預金を引き出して使ったり、遺産を売却・処分したりすると、相続を承認したものとみなされ、あとから放棄できなくなることがあります(民法921条の法定単純承認)。借金があるか分からないうちは、財産の確認・保全にとどめ、使う・売る前に専門家へ相談するのが安全です。


まとめ

相続財産の調査は、遺産分割・相続放棄の判断・相続税申告の土台です。預貯金は通帳等を手がかりに残高証明・取引履歴を請求、不動産は固定資産税通知や名寄帳、有価証券はほふり、生命保険は契約照会制度で調べます。借金などのマイナスの財産は、督促状や信用情報機関への開示請求で確認し、相続放棄の判断(原則3か月)に備えます。

ネット銀行・デジタル資産は手がかりが少なく見落としやすいため、注意が必要です。財産調査は自分でもできますが、取引先が多い・平日に動けない・期限が迫るといった場合は、専門家に頼む価値が大きくなります。財産調査と財産目録の作成だけの部分依頼も可能です。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、相続手続きのご相談に対応しています。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第915条(相続の承認・放棄の期間。第2項で相続人は承認・放棄前に相続財産の調査ができる)
  • 民法第896条(相続の一般的効力)・第920条(単純承認)・第921条(法定単純承認。財産の処分等)・第938条以下(相続放棄)
  • 相続税法第27条(相続税の申告期限。原則10か月)
  • 税理士法第2条・第52条(相続税の計算・申告は税理士の業務)/司法書士法第3条(登記申請の代理)
  • 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(相談等)。他の法律で制限された業務を除く

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。