信託銀行の「遺言信託」とは|家族信託との違い・費用・行政書士との比較
10秒でわかる この記事の要約
- 信託銀行等の「遺言信託」とは、遺言書作成の相談・公正証書化の手続支援・保管・遺言執行をサポートするサービスの通称。遺言自体は通常の公正証書遺言。
- 「家族信託」とは別物。家族信託は信託法にもとづく財産管理・承継のしくみで、認知症対策などに使う。名前は似ているが内容は違う。
- 費用は「基本手数料+年間管理料+遺言執行報酬」。執行報酬は遺産額に連動し高額になりやすい。
- 行政書士の遺言作成サポートは定額で費用を抑えやすい。信用力・一括対応の安心を取るか、費用と柔軟性を取るかで選ぶ。
信託銀行等が提供する「遺言信託」とは、遺言書作成の相談、公正証書遺言の作成に向けた手続支援、遺言書の保管、相続発生後の遺言執行をサポートするサービスの通称です。 ここで作られる遺言は通常の公正証書遺言であり、信託銀行が遺言執行者として手続きを担う点が特徴です。信託法上の財産管理信託(家族信託・民事信託)そのものではなく、サービス名として使われるのが一般的である点にまず注意が必要です。
「遺言信託」と「家族信託」は名前が似ているため混同されがちですが、まったく別の制度・サービスです。本記事では、遺言を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、両者の違いと費用、行政書士の遺言作成サポートとの比較を中立的に整理します。
「遺言信託」と「家族信託」はまったくの別物
最初に、よくある混同を整理します。
| 項目 | 遺言信託(信託銀行のサービス) | 家族信託 |
|---|---|---|
| 性質 | 遺言の作成・保管・執行を任せるサービスの通称 | 信託法にもとづく財産管理・承継のしくみ |
| 主な目的 | 相続発生後の遺言執行 | 生前の財産管理(認知症対策など)・承継 |
| 使うタイミング | 死後(執行) | 生前から(管理) |
家族信託は、判断能力が低下した後の財産管理にも使える法的なしくみです。一方、信託銀行の遺言信託は、あくまで遺言の作成から執行までを代行するサービスで、生前の財産管理機能はありません。「信託」という同じ言葉でも、目的も中身も違うことを押さえておきましょう。
遺言信託のしくみと費用
信託銀行の遺言信託は、おおむね次の3ステップで構成されます。
- 遺言書作成の相談・手続支援: 公正証書遺言の作成に向けた相談と手続きをサポート(公証役場とのやり取りを含む。実際の公正証書は公証人が作成します)
- 遺言書の保管: 正本などを信託銀行が保管し、定期的に状況を確認
- 遺言の執行: 相続発生後、信託銀行が遺言執行者として手続きを進める
費用は、①申込時の基本手数料、②保管期間中の年間管理料、③相続発生後の遺言執行報酬の3つがかかるのが一般的です。大手信託銀行の公式料金例でも、申込時の基本手数料が33万円〜110万円程度、遺言書の管理料が年6,600円程度、遺言執行時に最低報酬額(数十万円規模〜、遺産額に連動)が設定されているケースがあります。財産規模が大きいほど執行報酬は高額になりがちです。料金は金融機関・プランにより異なり、改定されることもあるため、必ず最新の公式料金表で確認してください。
費用の全体像は、次のように整理できます。
| 費用項目 | 信託銀行の遺言信託 | 行政書士の遺言作成サポート |
|---|---|---|
| 作成時費用 | 基本手数料+公証人手数料など | 文案作成・公証役場調整等の報酬+公証人手数料 |
| 保管中費用 | 年間の管理料がかかる場合あり | 保管サービスの有無は事務所により異なる |
| 執行時費用 | 遺産額に連動した執行報酬(最低報酬額あり)が多い | 遺言執行者に就任する場合は別途報酬 |
| 外部費用 | 登記・税務・紛争対応は別途が一般的 | 登記・税務・紛争対応は各専門家と連携 |
また、遺言信託の報酬に、相続税の申告報酬・不動産の登記費用・不動産の売却費用・紛争対応費用まで含まれるとは限りません。これらは相続人が依頼した税理士・司法書士・弁護士などへ直接支払うのが一般的です。契約前に「申込時費用」「年間費用」「相続発生後の執行報酬」「外部専門家の費用」を分けて確認し、総額の見通しを把握することが重要です。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【遺言執行者が必要な場合はどんな時?】遺言執行者を選任するメリット
遺言信託のメリット・デメリット
中立に見ると、次のように整理できます。
- メリット: 作成から保管・執行まで一括で任せられる/金融機関の信用力・安心感/長期保管の体制
- デメリット: 執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすい/不動産登記・相続税申告・紛争対応は結局ほかの専門家が必要/中心は遺言の保管・執行であり、葬儀・納骨・住居の明渡し・行政手続きなどのおひとりさまの死後事務は、通常、別契約・別サービスとして確認が必要
注意したいのは、遺言信託で作る遺言も効力は通常の公正証書遺言と同じだという点です。「信託銀行だから特別に強い遺言になる」わけではありません。安心感の対価として費用が上がりやすいため、費用と内容のバランスで判断することが大切です。
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行政書士の遺言作成サポートとの比較
費用や対応範囲を比較したい場合は、行政書士の公正証書遺言作成サポートも選択肢になります。
| 項目 | 信託銀行の遺言信託 | 行政書士の遺言作成サポート |
|---|---|---|
| 作成支援 | あり | あり(文案整理・公証役場調整・証人手配) |
| 費用の傾向 | 基本料+管理料+執行報酬(遺産額連動・最低報酬額あり) | 料金体系が分かりやすい(事務所により異なる) |
| 執行 | 信託銀行が執行者 | 行政書士法人が執行者に就任可能 |
| 連携 | 登記・税務・紛争は別途 | 提携司法書士・税理士法人・提携弁護士と連携 |
当法人の公正証書遺言作成サポートは、文案整理・公証役場調整・証人手配などの範囲を明確にしやすく、料金体系を比較しやすいのが特徴で、遺言執行者への就任もお引き受けします(遺言執行者への就任や死後事務まで依頼する場合は、別途報酬を確認します)。不動産の相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズ、遺言執行後に紛争性が生じた場合は提携弁護士と連携するため、必要な部分だけを過不足なく依頼できます。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!
どちらを選ぶべきか
選び方の目安は次のとおりです。
- 遺言信託が向く方: 金融機関の信用力・長期的な組織対応・一括対応を重視したい
- 行政書士のサポートが向く方: 費用を抑えたい/内容に合わせて柔軟に設計したい/死後事務や見守りなど周辺の備えも組み合わせたい
大切なのは、「総額」と「対応範囲」を並べて比較することです。執行報酬が遺産額連動の場合、財産規模によっては総額が大きく変わります。迷ったら、両方の見積もりを取って比べるのが確実です。
遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺言信託に利用条件(最低資産額など)はありますか?
A. 信託銀行などが提供する遺言信託は、一定以上の資産があることを利用の目安にしている場合があります。基準は金融機関によって異なります。資産の規模や内容によっては、行政書士による公正証書遺言の作成サポートのほうが、費用を抑えつつ目的を実現できることもあります。
Q2. 遺言信託を契約した後、内容を変更・解約できますか?
A. 遺言は生前であればいつでも変更・撤回できるため、遺言信託で預けた遺言の内容も、生前なら見直せます。ただし、変更や解約に手数料がかかることがあります。契約前に、見直し時の費用や手続きも確認しておくと安心です。
Q3. 遺言信託で相続争い(揉めごと)も解決してもらえますか?
A. 解決はしてくれません。遺言信託は、遺言の保管と、相続開始後の遺言の執行を中立的に行うサービスです。相続人同士の紛争を代理して解決することはできず、それは弁護士の業務です。揉めごとが予想される場合は、遺言の内容づくりの段階で対策を講じることが大切です。
Q4. 遺言信託と行政書士の遺言サポートを併用できますか?
A. 遺言信託は信託銀行などとの契約サービス、行政書士のサポートは遺言の文案作成や手続きの支援で、目的が異なります。まず行政書士と内容を固め、保管・執行をどうするかを比較して選ぶ、という進め方もできます。どの方法が合うかを整理してご案内します。
Q5. 遺言信託を頼めば相続税も安くなりますか?
A. 遺言信託は節税のための商品ではありません。遺言の保管・執行を任せるサービスであり、それ自体で相続税が下がるわけではありません。相続税の試算や節税の検討は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。
まとめ
信託銀行の「遺言信託」は、遺言の作成から保管・執行までを一括で任せられるサービスですが、執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすく、登記・税務・紛争対応は別途必要です。家族信託とはまったくの別物である点にも注意が必要です。遺言の効力自体は公正証書遺言と変わらないため、「総額」と「対応範囲」を比較して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、定額の公正証書遺言作成サポートと遺言執行者就任に対応しています。遺言信託と迷っている段階でのご相談も、初回無料相談で承ります。
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公正証書遺言の費用もあわせてご確認ください
遺言信託と比較する前提として、公正証書遺言そのものの費用(公証人手数料)も把握しておくと判断しやすくなります。グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 信託法(家族信託・民事信託の根拠。信託銀行の「遺言信託」はサービス名)
- 民法第960条(遺言の方式)・第969条(公正証書遺言)
- 民法第1006条(遺言執行者の指定)・第1012条(遺言執行者の権利義務)
- 税理士法第2条・第52条(相続税の試算・申告は税理士の業務)
- 司法書士法第3条・第73条(不動産登記の申請代理は司法書士の業務)
- 弁護士法第72条(紛争性のある対応は弁護士の業務)
