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秘密証書遺言とは|公正証書・自筆証書との違いと作成手続き

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遺言書作成

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 秘密証書遺言とは、内容を公証人・証人に明かさずに「遺言の存在」を公証人1人と証人2人以上に証明してもらう方式(民法第970条)。
  • 本文はパソコンで作成できる(自筆証書遺言と異なる点)。ただし公証人は内容を確認しないため、方式・内容の不備に気づかれにくい。
  • 保管は自分で行い、相続後は検認が必要(民法第1004条)。公正証書遺言は検認不要なので、ここが大きな違い。
  • 確実性を求めるなら公正証書遺言が安心。秘密証書遺言は利用件数が限られている。

秘密証書遺言とは、遺言の内容を公証人や証人に明かさずに、遺言書の存在を公証人1人と証人2人以上に証明してもらう方式の遺言です(民法第970条)。 本文はパソコンや代筆で作成することもできますが、遺言者本人の署名・押印、同じ印による封印、公証人・証人の前での申述など、所定の方式を満たす必要があります。内容を秘密にできる点が特徴ですが、公証人が中身を確認しないため、確実性の面では公正証書遺言に劣ります。

遺言には主に「自筆証書」「公正証書」「秘密証書」の3つの方式があります。本記事では、遺言を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、秘密証書遺言のしくみと、他の方式との違い・選び方を解説します。


3つの遺言方式の違いを一覧で確認

まず、自筆証書・公正証書・秘密証書の違いを表で整理します。

項目自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
本文の作成全文を自書(財産目録は例外)公証人が作成パソコン作成も可(署名は自筆)
内容の秘密保てる公証人・証人は知る保てる
内容の正確性の確認なし公証人が確認なし
保管自分または法務局公証役場自分
検認必要(保管制度利用時は不要)不要必要

秘密証書遺言は、「内容は秘密にできるが、正確性は保証されず、保管も自分で、検認も必要」という、公正証書と自筆証書の中間的な性格を持っています。


秘密証書遺言の作成手続き(民法第970条)

秘密証書遺言は、次の手順で作成します。

STEP 1 遺言書を作成し、遺言者が署名・押印する(本文はパソコン可)
STEP 2 遺言書を封筒に入れ、遺言書に押した印と同じ印で封印する
STEP 3 公証人1人・証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨と筆者の氏名・住所を申述する
STEP 4 公証人が日付等を記載し、遺言者・証人とともに署名・押印して完成

提出の際は、自己の遺言書である旨と、その筆者の氏名・住所を申述します(自分で書いた場合は自分、第三者が作成した場合はその筆者の氏名・住所。民法第970条)。ポイントは、遺言書に押した印と封印の印が同一であること、証人2人以上が必要であることです。証人には、推定相続人・受遺者やその配偶者・直系血族などはなれません(証人欠格。民法第974条)。完成した遺言書は遺言者が自分で保管します。

なお、秘密証書遺言として民法第970条の方式に欠ける点があっても、本文が自筆証書遺言の方式(全文・日付・氏名の自書と押印。民法第968条)を満たしていれば、自筆証書遺言として有効になる場合があります(民法第971条)。ただし、パソコンで作成した本文は自筆証書の方式を満たさないため、この救済は期待しにくい点に注意が必要です。

作成前に準備しておくこと

手続きをスムーズに進めるため、事前に次の準備をしておきます。

  • 証人2人の手配:推定相続人・受遺者やその配偶者・直系血族は証人になれないため(民法第974条)、家族では足りないことが多くあります。利害関係のない知人に依頼するか、専門家に証人を手配してもらいます。
  • 公証役場の予約:当日いきなり持ち込むのではなく、事前に公証役場へ連絡し、日時を予約します。
  • 印鑑の準備:遺言書に押す印と封印の印は同一である必要があるため、当日その印鑑を必ず持参します。
  • 本人確認書類:遺言者・証人それぞれの本人確認書類を用意します。

封をした遺言書の中身は公証人も確認しないため、本文の内容や方式に不備がないかは、提出前に自分で(または専門家とともに)チェックしておくことが重要です。なお、本文を作成した後に加除訂正をする場合は、自筆証書遺言と同じ訂正方式が準用されます(民法第970条第2項・第968条第3項)。訂正方法を誤るとその訂正部分の効力が問題になるため、大きな変更があるときは作り直す方が安全です。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説


相続後は検認が必要(民法第1004条)

秘密証書遺言は、相続が発生したら家庭裁判所の検認を受ける必要があります(民法第1004条)。検認は、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名などを家庭裁判所が確認し、偽造・変造を防ぐための手続きで、遺言の有効・無効を判断するものではありません。

公正証書遺言は検認が不要ですが、秘密証書遺言は自筆証書遺言と同じく検認が必要です。封のある遺言書は、検認の前に開封してはいけません。家庭裁判所外で開封すると過料の対象になることがあります(民法第1005条)。


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秘密証書遺言のメリット・デメリット

中立に整理すると、次のようになります。

  • メリット: 内容を誰にも知られずに遺言の存在を証明できる/本文をパソコンで作成できる(手書きが難しい方に向く)/偽造されにくい
  • デメリット: 公証人が内容を確認しないため、方式・内容の不備に気づかれにくい/自分で保管するため紛失リスクがある/相続後に検認が必要/公証人手数料がかかる

最大の弱点は、公証人の関与があるのに内容の正確性が保証されない点です。せっかく公証役場で手続きをしても、中身に不備があれば無効になりかねません。


どの方式を選ぶべきか

方式選びの目安は次のとおりです。

  • 確実性を最優先するなら → 公正証書遺言: 方式不備のリスクが低く、検認も不要。原本も公証役場が保管
  • 手軽さを重視するなら → 自筆証書遺言+保管制度: 法務局保管なら紛失・改ざんを防げ、検認も不要
  • 内容を秘密にしつつ存在を証明したいなら → 秘密証書遺言: ただし正確性は自分で担保

当法人では、多くのケースで公正証書遺言をおすすめしています。内容を秘密にしたいというご希望がある場合も、公正証書遺言で対応できる方法を含めて整理し、ご家族の状況に合った方式をご提案します。

秘密証書遺言が向くケース・向かないケース

希望によって、秘密証書遺言が適するかどうかが変わります。

ケース秘密証書遺言の適性
内容を誰にも知られたくない一定の適性あり
本文をパソコンで作りたい適性あり
方式不備を避けたい公正証書遺言が安全
紛失・発見漏れを避けたい公正証書遺言または自筆証書遺言+保管制度が安全
相続後の検認を避けたい秘密証書遺言は不向き
証人を用意できない秘密証書遺言・公正証書遺言はいずれも不向き

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!


遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

残された家族を守る、公正証書遺言。行政書士法人トゥモローズの遺言作成サポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 秘密証書遺言の作成にかかる費用はいくらですか?

A. 公証役場での手続きにかかる公証人手数料は、目的の価額にかかわらず定額で1万3,000円です(公証人手数料令)。このほか、証人2名を専門家に手配する場合の費用などがかかることがあります。費用面だけなら自筆証書遺言が手軽ですが、それぞれの特徴を踏まえて選びます。

Q2. 秘密証書遺言はパソコンや代筆で作れますか?

A. 作れます。秘密証書遺言は、本文をパソコンで作成したり、第三者に代筆してもらったりできます。ただし、遺言者本人の署名は必要です。全文を自書しなければならない自筆証書遺言と違い、本文の作成方法が自由な点が特徴です。

Q3. 秘密証書遺言も家庭裁判所の検認は必要ですか?

A. 必要です。秘密証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けてから手続きに使います。検認が不要になるのは、公正証書遺言と、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言です。秘密証書遺言は保管制度の対象外のため、検認が必要になります。

Q4. 秘密証書遺言を法務局の保管制度に預けられますか?

A. 預けられません。法務局の遺言書保管制度の対象は、自筆証書遺言だけです。秘密証書遺言は対象外のため、自分で保管することになり、紛失や発見されないリスクが残ります。紛失や検認の手間を避けたい場合は、公正証書遺言が選択肢になります。

Q5. 秘密証書遺言があまり使われないのはなぜですか?

A. 内容を秘密にしたまま存在だけを公証役場で証明できる利点はありますが、公証人は内容をチェックしないため形式不備や内容の不明確さのリスクが残り、検認も必要で、自分で保管するため紛失の不安もあります。手間の割にメリットが限られるため、実務では公正証書遺言が選ばれることが多いです。


まとめ

秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言の存在を証明できる方式(民法第970条)ですが、公証人が内容を確認しない・自分で保管する・検認が必要という弱点があります。確実性を最優先するなら、方式不備のリスクが低く検認も不要な公正証書遺言が安心です(ただし、公正証書遺言であっても、遺言能力や内容解釈をめぐって後日争われる可能性が完全になくなるわけではありません)。「内容を知られたくない」というご希望も、公正証書遺言で対応できる方法があります。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、方式選びから公正証書遺言の作成までをサポートしています。「どの方式が自分に合うか分からない」段階のご相談も歓迎です。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第968条(自筆証書遺言。方式に欠ける秘密証書遺言の救済の前提)
  • 民法第970条(秘密証書遺言)
  • 民法第971条(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
  • 民法第974条(証人及び立会人の欠格事由)
  • 民法第1004条(遺言書の検認)・第1005条(検認・開封違反の過料)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。