相続コラム

ホーム相続コラム船舶・ボートを相続したときの手続き|JCI移転登録・漁船登録・登記船の名義変更

船舶・ボートを相続したときの手続き|JCI移転登録・漁船登録・登記船の名義変更

最終更新:

相続手続き

アバター画像

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司




10秒でわかる この記事の要約

  • 故人名義の船舶も相続財産。まず「JCI登録の小型船舶」「漁船登録船」「20トン以上の登記船」「登録対象外船」のどれかを確認する。
  • 総トン数20トン未満は原則JCIの小型船舶登録の対象。ただし漁船登録船・ろかい舟・係留船・長さ3m未満かつ20馬力未満などは対象外。
  • JCI登録の小型船舶は、所有者変更があった日から15日以内に移転登録(小型船舶の登録等に関する法律)。
  • 漁船は都道府県の漁船登録、20トン以上は登記(法務局)・登録(運輸局)。JCI登録・船舶登記・登録・漁船登録など海事固有の手続きは海事代理士・司法書士等と連携する。

故人がプレジャーボートや漁船を所有していた場合、その船舶も相続財産として名義変更が必要です。 自動車と同じように、放置すると係留費用や保管の負担が続き、いざ売却・処分しようとしても手続きが進みません。

船舶は、種類や大きさによって手続きの窓口とやり方がまったく変わります。本記事では、相続手続きと関連手続きの初動整理に対応する行政書士法人トゥモローズが、船舶を相続したときの手続きを、登録区分・期限・連携先まで含めて整理します。なお、財産としての評価・相続税は税理士法人トゥモローズが対応します。


まず船舶の「登録区分」を確認する

船舶は財産であり相続の対象ですが、名義を故人のままにすると、売却・廃船ができず係留費用などの負担だけが続きます。手続きは、まずどの登録区分の船かを確認することから始まります。

区分 主な対象 手続き・窓口
JCI登録の小型船舶 プレジャーボート、モーターボート、水上オートバイ等(20トン未満) 移転登録(JCI)/所有者変更から15日以内
漁船登録船 漁船登録を受けている漁船 都道府県の漁船登録(漁船法)。JCI登録ではない
20トン以上の登記船 自航能力を有する大型船舶等 登記(法務局)・登録(運輸局)/海事代理士・司法書士等と連携
登録対象外船 ろかい舟、係留船、長さ3m未満かつ20馬力未満の船等 登録不要の場合あり。保管・処分・係留契約は別途整理

船舶検査証書・登録事項通知書・漁船登録票などで、その船がどの区分かを確認します。区分を取り違えると、手続き先も期限も変わってしまうため、ここが出発点です。


JCI登録の小型船舶(移転登録は15日以内)

レジャー用のボートやモーターボートなど、総トン数20トン未満の船舶は、原則として「小型船舶の登録等に関する法律」に基づき、日本小型船舶検査機構(JCI)の小型船舶登録の対象です。相続したときは、JCIへ移転登録(所有者の名義変更)を申請します。

重要なのは期限です。登録小型船舶の所有者に変更があった場合、新所有者は、その事由があった日から15日以内に移転登録を申請しなければなりません(同法第10条)。移転登録をしないと、売却や廃船の手続きが進まず、船検の通知なども故人名義のままになります。

ただし、20トン未満でも次の船はJCI登録の対象外です。区分を取り違えないよう注意します。

  • 漁船登録を受けている漁船(後述の漁船登録の対象)
  • ろかい舟(主としてろかいで運転する舟)
  • 航行しない係留船
  • 長さ3m未満かつ推進機関の連続最大出力20馬力未満の船
  • 長さ12m未満の小型帆船(特定用途を除く)、推進機関も帆装もない船 など

なお、「JCI登録の対象外」と「船舶検査が不要」は同じ意味ではありません。たとえば船舶検査が免除されるミニボートの基準は「長さ3m未満かつ推進機関の出力1.5kW未満」で、登録対象外の「20馬力未満」とは基準が異なります。登録が不要な船でも、船舶検査・小型船舶操縦免許・航行区域の制限が問題になることがあるため、登録・検査・免許は別々に確認してください。


まず登録区分の確認から。海事の専門家と連携します

船・ボートが相続財産にある場合、まず「JCI登録の小型船舶か」「漁船登録船か」「20トン以上の登記船か」「登録対象外か」の確認が必要です。ご相談時は、船舶検査証書・船舶検査手帳・登録事項通知書・漁船登録票・船舶国籍証書・係留契約書・保険証券・ローン契約書があればご用意ください。行政書士法人トゥモローズは、戸籍収集・相続人の確定・遺産分割協議書の作成・必要資料の整理を行い、JCI登録・船舶登記・登録・漁船登録などは海事代理士・司法書士等と連携して進めます。財産の評価・相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00


移転登録の必要書類と流れ

JCIの小型船舶の移転登録の一般的な必要書類は、次のとおりです。

書類 内容
移転登録の申請書 JCI所定の様式
戸籍など 船舶所有者の死亡と相続人であることを確認
遺産分割協議書・印鑑証明書 船舶を取得する相続人を明記(相続人が複数の場合)
遺言書・相続放棄申述受理証明書等 遺言がある場合・放棄した相続人がいる場合など
船舶検査証書・船舶検査手帳・登録事項通知書 船の登録内容・検査履歴を確認

戸籍を集めて相続人を確定し、誰が船を取得するかを決め、JCIへ移転登録を申請する流れです。あわせて船舶検査(定期検査・中間検査)の有効期間も確認し、切れている場合や近く切れる場合は検査の手続きも検討します。


漁船登録船を相続した場合

タイトルにある「漁船」は、上のJCI登録とは扱いが異なります。漁船登録を受けている漁船は、JCIの小型船舶登録ではなく、漁船法に基づく都道府県の漁船登録の対象です。

漁船登録船を相続した場合、所有者が死亡すると漁船登録は失効します(漁船法第18条)。ただし、相続人が死亡の日から1か月以内に漁船登録を申請した場合は、登録に関する処分があるまで、被相続人の登録および登録票が相続人について有効なものとして扱われます(漁船法第18条第2項)。漁船として使い続ける場合は、死亡後1か月以内の申請可否を、漁業協同組合または都道府県の水産担当部署へ早めに確認します。なお、漁船登録船でも漁ろう以外の用途に使う場合などは、別途船舶検査が必要になることがあります。

なお、漁業権・漁業許可・漁協の組合員資格・漁船登録は、それぞれ別の制度です。漁船の名義を引き継げても、漁業を続けられるとは限りません。事業の承継とあわせて、漁協・所管庁に確認しながら整理します。


20トン以上の登記船を相続した場合

総トン数20トン以上の推進機関を有する日本船舶は、不動産に近い扱いで、登記(法務局)と登録(地方運輸局)の両方が関わります。これらの船舶は、登録して船舶国籍証書の交付を受けなければ航行できません。相続による所有者の変更があった場合は、変更の事実が生じた日から2週間以内に、変更登録と船舶国籍証書の書換を申請します(船舶法第6条の2・第10条・第11条)。

このクラスの船舶は、漁業や事業に使われていることも多く、事業の承継や共有持分の扱いなど論点が複雑です。船舶の登記・登録・船舶国籍証書などの海事固有の手続きは、海事代理士・司法書士等の専門領域です。何が必要かを早い段階で整理し、これらの専門家と連携して進めるのが安全です。


船舶検査・保険・係留契約の確認

船舶の相続で見落とされがちなのが、保有し続けることの負担と、付随する契約です。マリーナの係留費用・保管料、保険、検査費用などが、名義変更をしないまま発生し続けることがあります。

  • 船舶検査:船舶検査証書・船舶検査手帳で有効期間を確認。使うなら検査を引き継ぐ
  • 保険:船舶保険の名義・継続の要否を確認
  • 係留契約:マリーナ・港湾管理者と、相続人が引き継ぐか解約するかを取り決める

名義が故人のままだと、契約の継続や解約に支障が出ることがあります。早めに方針を決めることが大切です。


売却・廃船・ローン付き船舶の注意点

使う予定がないなら、早めに売却・処分を検討します。

  • 売却する:名義を相続人へ変更したうえで売却するのが基本
  • 廃船にする:解体し、登録(登記)を抹消する。解体費用がかかるため複数業者で見積り
  • ローン・所有権留保:ローンが残る船は、所有権留保(信販会社等が所有者)が付いていることがあります。この場合、船体そのものは相続財産とならず、相続するのはローン契約上の地位や精算関係になるため、名義変更の前に信販会社へ残債・所有者を確認する
  • 放置艇:長く乗っていない船が係留場所に放置されたままだと、保管料請求や撤去を求められることがある

特に相続人の共有のままにすると、売却・廃船に共有者全員の同意が必要になり進みにくくなります。誰が取得するかを遺産分割で決めておくのが安全です。


財産としての評価と相続税

船舶は、相続税の計算上も財産として評価されます。プレジャーボートは一般動産として中古市場価格・売買実例価額などを参照し、事業用船舶は帳簿価額・時価・減価償却の状況などを確認します。高額な船舶は個別の評価が必要になることもあります。

国税庁の財産評価基本通達では、一般動産は原則として1個または1組ごとに、売買実例価額や精通者意見価格などを参酌して評価するとされています。事業用船舶の帳簿価額や減価償却後の未償却残高は参考資料にはなりますが、それだけで評価額が決まるわけではなく、中古市場価格・実際の利用状況・劣化状況なども踏まえて確認します。船舶は、家財一式に含めて一括評価するのではなく、一般動産・事業用動産として個別に評価が必要になることがあります。評価・相続税の判断は税理士の業務のため、税理士法人トゥモローズと連携して確認します。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):家庭用財産(家財一式)の相続税評価をわかりやすく徹底解説!


行政書士法人トゥモローズのサポート

当法人では、戸籍収集、相続人の確定、遺産分割協議書の作成、船舶を取得する相続人の整理、必要書類の収集をサポートします。JCIの登録、船舶登記・登録、船舶検査、漁船登録など海事固有の手続きは、必要に応じて海事代理士・司法書士等と連携して進めます。保有・売却・処分の方針整理や、マリーナとのやり取りの整理もあわせてご案内します。財産の評価・相続税は税理士法人トゥモローズと連携し、窓口ひとつで進められます。


相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。

相続手続き、まるごとおまかせ。行政書士法人トゥモローズの相続手続きサポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 小型船舶の移転登録はいつまでに、費用はどれくらいかかりますか?

A. JCI登録の小型船舶は、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録を申請します(小型船舶の登録等に関する法律)。費用はJCI所定の手数料がかかり、行政書士・海事代理士に依頼する場合は別途報酬がかかります。戸籍収集に時間がかかることがあるため、早めに着手するのが安全です。

Q2. 船舶検査が切れている場合はどうなりますか?

A. 船舶検査(船検)の有効期間が切れていると、その船を航行させることはできません。相続後も使う予定なら、移転登録とあわせて船舶検査を受け直す必要があります。使う予定がなく売却・廃船にするだけなら直ちに検査は不要ですが、売却時には買主側で検査が必要になることがあります。

Q3. ローンが残っている船は相続できますか?

A. ローンが残っている場合、ローン債務も相続の対象になり、相続人が引き継ぎます。船に所有権留保(ローン完済まで信販会社等が所有者)が付いていることもあり、その場合は名義変更の前にローンの扱いを確認する必要があります。債務が大きい場合は、相続放棄も含めて検討します。

Q4. 漁船を相続しました。JCIの移転登録をすればよいですか?

A. 漁船登録を受けている漁船は、JCIの小型船舶登録ではなく、漁船法に基づく都道府県の漁船登録の対象です。所有者が死亡すると漁船登録は失効し、登録票の返納や登録の抹消・再登録が必要になることがあります。漁業権・漁業許可・漁協の組合員資格は漁船登録とは別の制度のため、漁協や都道府県の水産担当へ確認します。

Q5. 船を廃船にするにはどうすればよいですか?

A. 廃船にするには、解体したうえで、小型船舶ならJCIで抹消の手続き、登記船なら登記・登録の抹消手続きを行います。解体には費用がかかるため、複数の業者に見積りを取るとよいでしょう。名義が故人のままだと抹消手続きが進まないため、まず相続人へ名義を移してから進めます。


まとめ

船舶も相続財産で、放置すると係留費用などの負担が続きます。手続きは登録区分で分かれ、JCI登録の小型船舶は所有者変更から15日以内に移転登録、漁船登録船は都道府県の漁船登録、20トン以上は登記(法務局)・登録(運輸局)が必要です。20トン未満でも漁船登録船・ろかい舟・係留船などはJCI対象外です。まず登録区分を確認し、保有・売却・廃船の方針を早めに決めましょう。JCI登録・船舶登記・登録・漁船登録は海事代理士・司法書士等と連携し、評価・相続税は税理士と確認します。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、戸籍収集・遺産分割協議書の作成・相続人の整理など、船舶を含む相続手続きの初動をサポートしています。海事固有の手続きは海事代理士・司法書士等、評価・相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。


関連記事


根拠法令・公的資料

  • 小型船舶の登録等に関する法律第10条(移転登録。所有者変更があった日から15日以内)
  • 船舶法第6条の2・第10条・第11条(総トン数20トン以上の船舶の登録・変更登録・船舶国籍証書。変更の事実が生じた日から2週間以内)
  • 船舶安全法(船舶検査。登録・免許とは別制度)
  • 漁船法第18条(漁船登録の失効・相続人による死亡日から1か月以内の登録申請)
  • 海事代理士法第1条(海事関係法令に基づく申請・届出・登記等の手続・書類作成)
  • 民法第896条(相続の一般的効力)・第907条(遺産分割)
  • 財産評価基本通達128・129(一般動産の評価・売買実例価額等)
  • 税理士法第2条・第52条(船舶の評価・相続税は税理士の業務)
  • 行政書士法第1条の3(書類作成等。他の法律で制限された業務を除く)

公的機関・根拠リンク

アバター画像

この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。