証券口座の相続手続き|野村・SBI・楽天など主要証券会社の手順比較
10秒でわかる この記事の要約
- 証券口座の相続は現金化ではなく「相続人の口座への移管」が原則で、現金化したい場合は移管後に相続人が売却します。
- 相続人が同じ証券会社に口座を持っていない場合は新規開設が必要で、所要期間は対面証券で2週間〜1か月、ネット証券は郵送のため1〜2か月が目安です。
- NISA・iDeCoは本人専用のため相続人に引き継げず、NISAの保有分は相続人の課税口座へ移管、iDeCoは死亡一時金として支払われます。
- 相続税評価は死亡日を基準とし、評価・申告は税理士の独占業務のため税理士法人トゥモローズが対応します。
証券口座の相続手続きとは、被相続人名義の株式・投資信託・債券等を、相続人または受遺者の証券口座へ移管する手続きのことです。 多くの証券会社では、被相続人の口座から直接売却して現金化するのではなく、相続人名義の同一証券会社口座へ移管した後、相続人が保有継続または売却を選択します。NISA・iDeCo・投資信託・信用取引・外国株式などは取扱いが異なるため、証券会社・税理士と確認しながら進める必要があります。所要期間は対面証券で2〜4週間、ネット証券で1〜2か月が目安です。
証券口座の相続手続きは、預金とは違い「現金化ではなく口座移管」が原則です。手続きの煩雑さは銀行以上で、ネット証券では郵送だけで1〜2か月かかることもあります。
本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、主要証券会社別の相続手続きを比較解説します。
証券口座相続の基本ルール
「現金化ではなく口座移管」が原則
被相続人の株式・投資信託・債券は、原則として、そのままの形で取得する相続人または受遺者の証券口座へ移管します。現金化したい場合は、移管後に取得者が売却します。
相続人の口座が必要
移管先として、相続人が同じ証券会社に口座を持っている必要があります。なければ新規開設します。
凍結のタイミング
銀行と同様、証券会社が死亡を把握した時点で凍結されます。
主要証券会社別の特徴
| 証券会社 | 実務上の特徴 |
|---|---|
| 野村證券 | 移管先として相続人名義の野村證券口座が必要(口座がなければ新規開設) |
| 大和証券 | 遺言書あり・遺産分割協議書あり・いずれもなし、のケースごとに必要書類が分かれる案内 |
| SBI証券 | 被相続人口座から他社の相続人口座への直接移管は不可。一度SBI証券の相続人口座へ移管する運用 |
| 楽天証券 | 相続資産を特定口座で受け取る場合、取得価額は被相続人の価額を引き継ぐ案内 |
※各社の要件・書式・運用は変更されることがあるため、手続き前に必ず各社の最新の公式案内をご確認ください。
口座移管の流れ
証券口座相続の流れ
対面証券(野村・大和・みずほ)の手続き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 窓口 | 各支店 |
| 所要期間 | 2週間〜1か月 |
| サポート | 担当者が丁寧に説明 |
| 必要書類 | 戸籍・印鑑証明・相続手続依頼書等 |
対面サポートがあるため、初めての方でも比較的進めやすい傾向があります。
ネット証券(SBI・楽天)の手続き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 窓口 | Web申込・郵送対応が中心 |
| 所要期間 | 1〜2か月程度 |
| サポート | 電話・メール・Web案内が中心 |
| 注意点 | 原本確認が必要な書類は郵送提出となることが多い |
ネット証券では、Web上で手続きの申込みや書類請求ができる場合がありますが、戸籍・印鑑証明書・遺産分割協議書などの原本確認が必要となり、最終的には郵送対応が必要になることが多いです。
【実務上のポイント】
ネット証券の相続手続きは、書類不備で往復することが多いため、最初に証券会社の相続窓口に電話確認してから書類を準備するのが鉄則です。
NISA・iDeCoの特殊取扱い
NISA口座
NISA口座は本人専用のため、相続人のNISA口座へ引き継ぐことはできません。相続人は金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を提出し、NISA口座内の商品は相続人の特定口座または一般口座へ移管されます。この場合、相続人の取得価額は、原則として相続開始日の時価相当額となります(上場株式等については、相続開始日の終値相当額で取得したものとみなされます)。
iDeCo
iDeCoは相続人のiDeCo口座へ引き継ぐものではなく、死亡時には死亡一時金として所定の受取人・遺族へ支払われます。受取人指定がある場合は指定受取人が優先され、指定がない場合の受取順位は民法上の相続順位とは異なります。死亡一時金の受取・課税関係(みなし相続財産としての非課税限度額の適用可否を含む)は、運営管理機関および税理士法人トゥモローズに確認します。
特定口座
特定口座で保有していた上場株式等は、相続人の特定口座へ移管できる場合があります。相続により取得した株式等の取得費は、原則として被相続人の取得費を引き継ぎます。死亡時点で未売却の株式について、死亡だけで譲渡損益が確定するわけではありません。準確定申告が必要になるのは、死亡日までに生じた譲渡所得・配当所得等がある場合です。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):上場株式の相続税評価と注意点を徹底解説!
相続税評価との関係
上場株式の評価
上場株式の相続税評価は、原則として死亡日の終値で評価します。ただし、死亡日の終値が、死亡月・前月・前々月の各月平均終値のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
投資信託の評価
投資信託は、単純に死亡日の基準価額だけで評価するのではなく、課税時期に解約請求または買取請求をした場合に証券会社等から支払いを受けることができる価額を基準に評価します。商品によっては、未収分配金、源泉税相当額、信託財産留保額、解約手数料等を考慮する必要があります(上場されている投資信託は上場株式に準じて評価します)。
相続税の評価・申告は税理士の独占業務のため、当法人グループの税理士法人トゥモローズが対応します。
相続手続きでお困りではありませんか?
戸籍収集から法定相続情報一覧図の作成、証券会社・銀行の相続手続き、相続税申告が必要な場合の税理士法人との連携まで。煩雑な相続手続きを、相続専門のグループが一括でサポートします。「何から手をつければいいか分からない」——そんな状態からのご相談を歓迎します。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
効率的に進めるための工夫
効率化のコツ
- 事前に証券会社の相続窓口へ電話確認
- 法定相続情報一覧図を活用
- 複数証券会社の手続きを行政書士が代行
- 相続税評価のため税理士と連携
証券口座相続の実務上の落とし穴
「価格変動リスク」が手続中も発生
相続手続中も株価・基準価額は日々変動します。被相続人の死亡日と相続人への移管完了日の間に大きな値動きがあると、相続税評価額と実際の換金額に乖離が生じることがあります。相続税評価は死亡日を基準(上場株式は死亡日終値と死亡月・前月・前々月の月平均終値の最低額)とするため、評価時点と実勢価格の差は相続人が引き受けるリスクとなります。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):投資信託の相続税評価方法と控除できる源泉徴収税額を徹底解説!
配当・分配金の取扱い
配当金・分配金は、権利確定日、支払日、相続開始日との関係により、相続財産に含めるべき未収配当等か、相続人側の取得となるかの確認が必要です。証券会社の支払通知書・配当金計算書・支払調書を確認し、相続税申告上の取扱いは税理士法人トゥモローズが判断します。
信用取引口座の特殊対応
被相続人が信用取引・先物・FXの口座を持っていた場合、死亡時点で未決済のポジションは強制決済されるのが一般的です。証券会社の規約により異なるため、迅速な連絡が必要です。これにより想定外の損失が確定するリスクもあります。
端株(単元未満株式)の処理
1株〜99株などの単元未満株は、証券会社・株式発行会社のいずれかで買取手続きが必要です。相続人の証券口座への移管後、買取請求を行うのが一般的です。少額のため見落とされやすいですが、相続税申告では必ず計上します。
証券口座相続の実務シナリオ
シナリオA: 株式を「そのまま保有」
相続人が長期投資の継続を希望する場合、被相続人の保有株式をそのまま相続人の口座へ移管し、保有を継続します。値下がりリスクは引き続き相続人が負いますが、優良株であれば長期保有のメリットが期待できます。NISA口座の保有分は課税口座への移管となります。
シナリオB: 株式を「即時売却」
相続税納付のための資金確保が必要な場合、移管後速やかに売却します。死亡日翌日からの値動きは相続人の損益となります。売却損益は譲渡所得として確定申告対象です。
シナリオC: 一部売却・一部保有
優良株は保有・流動性が低い株や塩漬け株は売却、という選択もあります。ポートフォリオを再構築する好機として活用するケースも多くあります。
投資信託の取扱い
投資信託は基準価額が日々変動するため、移管完了までの値動きが相続人の損益に直結します。特定口座(源泉徴収あり)→ 特定口座(源泉徴収あり)への移管であれば、税務上の継続性が保たれます。NISA・つみたてNISAの取扱いは課税口座への移管となります。
証券口座相続の応用論点
「特定口座」と「一般口座」の違い
特定口座は証券会社が損益計算を行う口座で、特定口座で保有されていた上場株式等は、相続人の特定口座へ移管できる場合があります。特定口座で受け取れるか一般口座になるかは、証券会社・商品・移管先口座の状況により異なるため、事前確認が必要です。一般口座は相続人が自分で損益計算する必要があり、税務上の手間が増えます。
「税制適格」のNISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは本人専用の税制優遇枠で、相続人へ承継は不可です。NISA口座内の資産は相続人の課税口座へ移管され、以後は通常の課税対象となります。
「iDeCo」の相続手続き
iDeCoは老後資金の積立制度で、本人専用です。死亡時は「死亡一時金」として所定の受取人・遺族へ支払われます。受取人指定がある場合は指定受取人が優先され、指定がない場合の受取順位は確定拠出年金法に基づくもので、民法上の相続順位とは異なります。受取・課税関係は運営管理機関と税理士に確認します。
「上場株式」の相続税評価
上場株式の相続税評価は、死亡日の終値と、死亡月・前月・前々月の各月平均終値のうち最も低い価額により評価します。証券会社から「相続税評価額証明書(残高証明書)」を取得して申告に使用します。
「未上場株式」の相続税評価
未上場株式は、類似業種比準価額・純資産価額・配当還元価額のいずれかで評価します。事業承継税制の活用が必要な場合もあり、税理士の専門業務範囲です。当法人グループでは税理士法人トゥモローズが対応します。
証券口座の手続きに関する補足
ロボアドバイザー・暗号資産の取扱い
ウェルスナビなどのロボアドバイザーや、取引所で保有する暗号資産(ビットコイン等)にも、各社所定の相続手続きがあります。所定書類を提出して相続人へ移管または解約します。暗号資産を取引所外のウォレットで保有していた場合は、秘密鍵の所在確認など対応がより複雑になります。
オンライン手続きへの対応
証券会社のなかには、マイページからの相続申請や必要書類のアップロードに対応するところも増えています。一方で、最終的に原本書類の郵送が必要なことが多く、手続きに一定の期間がかかる点は変わりません。
証券口座相続の最終チェック
「口座一覧」の整理
被相続人の証券口座は、過去の取引履歴・残高証明書で全口座を把握します。長年放置された口座も含めて漏らさず確認が必要です。
「相続税評価額証明書」の取得
各証券会社から「相続税評価額証明書」を取得します。死亡日時点の評価額が記載されており、相続税申告で活用します。
「税務上の影響」を税理士と協議
証券口座の相続では、相続税だけでなく所得税(移管後の譲渡時)への影響もあります。税理士法人トゥモローズと連携した総合的な対策が望まれます。
「未受領配当」の確認
被相続人の未受領の配当金は、権利確定日・支払日と相続開始日との関係により、相続財産に含まれる場合があります。証券会社の支払通知書・支払調書で確認し、取扱いは税理士が判断します。
「特殊な金融商品」の取扱い
ストックオプション・新株予約権・社債など特殊な金融商品は、個別の取扱いが必要です。専門家による評価で適切な対応を進めます。
よくある誤解と正しい理解
証券口座の相続については、誤解されやすい論点があります。第一に「証券会社が現金化して振り込んでくれる」という誤解です。原則は相続人の口座への移管(現物移管)で、現金化を希望する場合は移管後に相続人自身が売却します。売却時の譲渡損益は相続人に帰属し、確定申告の対象となります。
第二に「NISA口座もそのまま引き継げる」という誤解です。NISA口座は本人専用の税制優遇枠のため、相続人には引き継げません。保有商品は相続人の課税口座へ移管され、以後の値上がり益は課税対象となります。
第三に「評価額は手続き完了時の時価」という誤解です。相続税評価は死亡日を基準とし、上場株式は死亡日終値と死亡月/前月/前々月の月平均終値のうち最も低い価額により評価します。手続き中の値動きは相続人のリスク・リターンとなるため、移管完了までのスピードも財産管理上は重要な要素です。
相続手続きの料金プランとサポート内容の全体像は、こちらにまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 証券は現金化してから相続するのですか?
A. いいえ、株式・投資信託のまま相続人の口座へ移管するのが原則です。現金化したい場合は、移管後に相続人が売却します。
Q2. 相続人が口座を持っていない証券会社の場合は?
A. 同じ証券会社に相続人名義の新規口座を開設し、そこへ移管します。開設に1〜2週間程度かかります。
Q3. NISA口座はどうなりますか?
A. NISA口座は本人専用のため、相続人のNISA口座へ引き継げません。相続人が「非課税口座開設者死亡届出書」を提出し、保有分は相続人の特定口座または一般口座へ移管されます。相続人の取得価額は原則として相続開始日の時価相当額(上場株式等は終値相当額)となります。
Q4. ネット証券の手続きは特殊ですか?
A. Web上で申込みや書類請求ができる場合もありますが、戸籍・印鑑証明書等の原本確認のため最終的には郵送対応が必要になることが多く、書類の往復で1〜2か月かかることが多いです。
Q5. 相続税の評価額はいつ時点ですか?
A. 死亡日が基準です。上場株式は、死亡日の終値と死亡月・前月・前々月の各月平均終値のうち最も低い価額により評価します。相続税の評価・申告は税理士の独占業務のため、税理士法人トゥモローズが対応します。
まとめ
証券口座の相続は、預金と違って「現金払戻し」ではなく「相続人口座への移管」が基本です。ただし、NISA・iDeCo・投資信託・特定口座・未受領配当は税務上の扱いが異なるため、証券会社の手続きと税理士の評価判断を分けて進めることが大切です。
東京・中央区八丁堀の行政書士法人トゥモローズでは、野村證券・大和証券・SBI証券・楽天証券など、複数証券会社にまたがる相続手続きを、戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成、証券会社への相続手続書類の提出、相続人名義口座への移管手続きまで一貫してサポートしています。相続税申告が必要な場合は、税理士法人トゥモローズと連携して進めます。
相続手続きでお困りではありませんか?
戸籍収集から法定相続情報一覧図の作成、証券会社・銀行の相続手続き、相続税申告が必要な場合の税理士法人との連携まで。煩雑な相続手続きを、相続専門のグループが一括でサポートします。「何から手をつければいいか分からない」——そんな状態からのご相談を歓迎します。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
関連記事
税務の観点もあわせてご確認ください
上場株式・投資信託の相続税評価やNISAの相続など税務面については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 民法第896条(相続の一般的効力)
- 金融商品取引法
- 所得税法・租税特別措置法(NISA・特定口座)
- 確定拠出年金法(iDeCoの死亡一時金)
