遺産相続の期限を知ってる?手続きの内容により期限が異なるので注意しよう

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この記事の執筆者:大塚 英司

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

遺産相続の手続きのなかには、期限が決まっているものが少なくありません。
手続き期限を過ぎてしまった場合にペナルティが課されることもあります。
効率的に遺産相続をするためにも、いつまでに何をすればいいのか把握しておきましょう。

相続の相談を誰にすべきか等の詳しい解説は、相続の相談は誰にすべき? 相続の相談先をフローチャートで徹底解説をご参照ください。

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遺産相続の期限がある手続きにはどんなものがある?

遺産相続の期限は被相続人の死亡時から数え始めます。厳密には、「相続の事実を知った日の翌日」が起点日です。死亡した者が失踪者の場合、失踪から7年経過した日に「死亡とみなす」との規定もありますが、失踪はレアケースなので通常の相続では考慮する必要はなさそうです。
ただし、戦争や震災などに巻き込まれて生死が不明になる「特別失踪」については知っておくといいでしょう。危機のあと1年以上生死不明であると特別失踪の申し立てができます。特別失踪は(失踪宣言の審判が確定したときではなく)危機が終わった時点で死亡したものと見なされ、相続が開始します。

3カ月以内の相続放棄・限定承認

相続が開始したらすぐにどうすべきか考えておきたいのが「相続放棄」「限定承認」についてです。それぞれの内容は次のようになります。

 相続放棄
被相続人の財産のプラス・マイナスにかかわらず、一切の権利義務を受け継ぎません。財産が明らかに負債超過のときに有効で、各相続人が単独で行うことができます。

 限定承認
被相続人の財産がプラスになったときのみ相続をし、財産の債務超過部分は相続しません。遺産を清算してみないとプラスになるかマイナスになるか判断がつかない場合に有効です。ただし、相続人全員で行う必要があります。

 単純承認
被相続人の財産を、マイナスの財産も含めて単純にすべて引き継ぐことです。

相続放棄・限定承認をする場合は相続開始から3カ月以内に申し出を行わなければならず、3カ月を過ぎると単純承認となります。ただし3カ月以内でも「法定単純承認」があるので注意が必要です。法定単純承認とはその名の通り、「一定の行為」をすることで自動的に単純承認をしたと見なされてしまうことです。相続人が相続財産の全部、または一部を処分してしまうとこれに該当します。
相続放棄・限定承認を行うならば「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」に申し出ます。必要書類は申述書と相続関係を明らかにするための戸籍や住民票等です。いち早く動かないと申請期限が到来してしまう恐れがあります。相続放棄は単独で行えるのでまだいいのですが、限定承認はほかの相続人と意見を同じくしなければならないので、特に注意しましょう。

4カ月以内の準確定申告

被相続人が、確定申告が必要な人だったのであれば、死亡したからといって義務が免除されることにはなりません。死亡した者の確定申告は相続人が「準確定申告」として行います。準確定申告の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内となっており、期限を過ぎると延滞税がかかります。
準確定申告は被相続人が死亡したときにおける、納税地の税務署長に、相続人の住所氏名等を記載した書類を添付して提出します。相続人が複数の場合は連名で提出しますが、相続人の中の1名が単独で行うことも可能です。ただし、単独で行った場合はほかの相続人に申告内容を知らせなければなりません。
確定申告は毎年行っていれば特別に難しい申告ではないはずです。しかし相続人に確定申告の経験がなければ、慣れない申告は難しく感じることでしょう。ただでさえ相続直後はやるべきことが多いもの。その意味では4カ月は非常に短いと言えます。期限までに申告ができないと感じたら、相続人間で協力する、専門家に相談するなどして適切に対処していきましょう。

10カ月以内の相続税の申告・納税

相続手続きと聞いて、おそらく多くの人が思い浮かべる「相続税」10カ月以内に申告・納税しなければなりません。相続財産が相続税の基礎控除以内に収まっているケースだと申告が不要なこともあります。しかし遺産の価額が基礎控除以内でも、小規模宅地の特例・配偶者の税額軽減などを利用したいなら申告しなければなりません。控除額と財産額だけで申告が「必要ない」と判断するのは避けたいところです。

申告手続きの期限を過ぎてしまうとどうなる

相続税を申告・納税しないまま10カ月を過ぎると、大きく3つのデメリットが生じます。

 デメリット1 延滞税が課される
延滞税とは期限までに納税されない場合に、期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されるものです。納期限の翌日から2カ月を経過する日までは原則として年に7.3%ですが、それ以降は原則年に14.6%が課されてしまいます。自主的に申告した場合は5%、期限を過ぎてからの申告では15~20%程度の無申告加算税が課されることになります。
期日を過ぎてしまうと、せっかく納税する場合も延滞税や無申告加算税が課されてしまいます。相続税の申告期限には十分に注意したいものです。なお提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合、その翌日が期限です。

 デメリット2 延納や物納ができなくなる
相続税は、現金で一括支払いするのが原則です。しかし相続税は正確な発生日が予測できず、しかも納税額が多額に上ることもあります。そのため例外として納税を分割して支払う「延納」、さらに一定の要件を満たした「物」で納税する「物納」が認められています。どちらも相続税の申告・納税期限までに申請しないと行えません。

 デメリット3 配偶者の税額軽減や小規模宅地等についての特例が受けられない
配偶者の法定相続分相当額 、もしくは 1億6,000万円のいずれかの多い金額までなら、配偶者に相続税がかからない「配偶者の税額軽減」や、相続した土地の評価額を大きく減らすことのできる「小規模宅地の特例」。これらの特例について適用を受けるには、申告期限までに遺産分割を行う必要があります。

ただし、10カ月の申告期限までに間に合わないときは「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する方法があります。これは「期限までの分割は間に合わないけれど、3年以内には終わらせます」という申請です。これで3年(相続開始から3年10カ月)以内に分割協議を終えれば、各種特例の適用を受けられます。

期限が長い「遺留分減殺請求権」には注意

遺言や遺産分割協議でも侵害できない相続分が「遺留分」です。遺留分とは、法定相続人が最低限の財産の相続を受ける権利のことを指します。遺留分の権利を行使すると、その分は必ず財産を取得することができます。この遺留分請求は請求できる期間が申告期限よりも長いです。

遺留分減殺請求権の時効

 相続の開始、および減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったときから1年以内
 相続開始から10年

遺留分権利者は被相続人の「配偶者」「直系卑属(代襲相続人含む)」「直系尊属」に限られているため、相続の開始を10年間知らないまま過ごすことはまれでしょう。注意したいのは、相続開始を知ってから1年間も権利行使できることです。
相続税の申告期限が10ヵ月ですので、申請のあとに遺留分減殺請求が行使される可能性があります。申請後の遺留分減殺請求によって「更生」「修正」申告が必要になることもあるかもしれません。
遺産分割協議を適切に行えば、申告後の遺留分の請求は起こりにくいと考えられますが、遺産分割協議の終盤(申告期限間近)に遺留分を持ち出され、話し合いが行き詰まることはありそうです。

遺留分侵害額請求がされている場合の相続税申告の詳しい説明は、遺留分侵害額請求がされている場合の相続税申告をパターン別に徹底解説を参照してください。

土地の遺産相続 登記の期限はない

相続税の申告・納税期限が10カ月である以上、遺産相続による所有権移転の登記も10カ月以内に行わなければならない気がします。しかし、登記に期限の定めはありません。ただ、相続税の申告・納税と相続登記は必要書類が重複しており、同時に行う方が効率的でしょう。もし先延ばしにして相続人の世代交代が起こると、登記手続きが煩雑になりますし、未登記の状態では権利関係も不安定になります。法律上の期限はないとは言え、実務上は相続税の申告とセットで進行させたいところです。

期限を知って相続手続きを遅滞なく行おう

遺産相続では期限のある手続きが多いので、ゴールからやるべきこと逆算して計画的に進めていきたいものです。期限に間に合わせるのが難しいと思ったら、早い段階で専門家に相談してみるといいでしょう。ひとりでは困難な道のりも、プロの助力を得ればきっとうまくいくはずです。

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