【不動産オーナー必見】会社を設立して相続税対策を行う方法を解説!!
「資産管理会社」という言葉を耳にしたことはありませんか?
資産管理会社は、不動産などの資産を多く持っている富裕層の方の相続税対策として利用されており、ある程度の事業規模がある不動産を保有している方にとって有効な相続税対策方法です。
資産管理会社を設立することで、多くの税制上のメリットを受けることが可能になります。
しかし、その一方でデメリットも存在します。しっかり検討して実行しなければ、反対に税金が増加してしまったり、会社運営の負担が増加してしまったりします。
ここでは「会社を設立して相続税対策を行う方法」のメリット・デメリットを詳しく解説します。
事業用の不動産を保有されている方にとって参考になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
会社を設立することが相続税対策になる理由
まずは「会社を設立することでなぜ相続税対策になるのか」について、4つのメリットをご紹介します。
家族に役員報酬を支給し所得を分散できる
個人で不動産事業を行っている場合、不動産事業から得る利益は全てオーナーの所得になります。
所得税は累進課税ですので、所得が多ければ多いほど所得税率が高くなります。
一方、会社を設立して不動産を会社に移転させることで不動産から得る利益は会社のものになります。
家族を会社役員にし、役員報酬を家族に支給することで、オーナー1人で得るはずだった所得を家族に分散することができ、総合的に税金を低く抑えることが可能になります。
ただし、過度に多すぎる役員報酬や実態の伴っていない役員報酬は会社の経費として認められない可能性がありますので、支給額には注意する必要があります。
死亡退職金の非課税枠を有効に利用できる
会社の役員が亡くなった場合には「死亡退職金」支給することができます。
死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」を限度額として相続税が非課税になるため、死亡退職金を支給することで非課税枠を有効に利用することが可能です。
また、死亡後3年以内に支払われる死亡退職金には所得税は課税されません。
※個人で小規模企業共済に加入されている場合、受け取る共済金についても死亡退職金として取り扱われます。
相続税評価額が低くなる可能性がある
個人で不動産を所有している場合は、その不動産の相続税評価額が相続税の対象になります。
一方、会社を設立して不動産を移転した場合には、不動産ではなく設立した会社の株式の相続税評価額が相続税の対象になります。
会社の株式の相続税評価額の計算は、基本的には会社が保有している不動産の相続税評価額を基礎として計算することになりますが、含み益部分(帳簿価格と時価の差額)については法人税相当額(37%)を差引くことができるため、不動産で保有している場合よりも相続税評価額が低くなる可能性が高くなります。
ただし、不動産を会社に移転して3年以内の場合については、原則的に帳簿価格となりますので法人税相当額の恩恵を受けることはできません。
相続や贈与をスムーズに進めることができる
不動産そのものを次の世代へ繋いでいくよりも、不動産を保有する会社の株式を次の世代へ繋いでいく方がスムーズに進めることができます。
不動産は移転する度に登録免許税(生前の場合は不動産取得税も必要)などの登記費用が発生しますが、株式を移転する場合には登記費用は一切必要ありません。
ただし、会社を設立し、不動産を会社に移転する際には登録免許税や不動産取得税の負担が必要になります。
相続税対策になる会社設立の形態
会社を設立して相続税対策を行う場合、会社がどのような役割を担うのかによって2つの形態に分類されます。
会社が不動産を保有する形態
不動産のオーナーが会社を設立し、その会社がオーナーから不動産を買い取る形態です「不動産所有方式」と言われています。
一番オーソドックスな方法であり、相続税対策として効果の高い方法です。
会社がオーナーから不動産を買い取らなければならないため、会社は買い取り資金を用意しなければなりません。
また、買取価格の計算根拠、不動産の移転による登録免許税や不動産取得税の負担、譲渡所得など、注意する点が多くありますので、必ず専門家に相談しながら進めていきましょう。
建物のみ移転する方法
建物と土地の両方を会社に移転するのではなく、建物のみを会社に移転する方法もあります。
建物のみを会社に移転することで「資金調達額が少なくてすむ」「登録免許税や不動産取得税の負担が少なくてすむ」などのメリットがあります。
ただし、会社はオーナーに「相当の地代(年間で地価の6%)」を支払わなければなりません。
相当の地代については「小規模宅地の特例における「相当の対価」について徹底的に解説します」をご覧ください。
会社が不動産の管理を行う形態
不動産を移転せず、設立した会社は不動産の管理のみを行う方法です。
オーナーから会社への不動産の移転(売却)が必要ないため、資金調達や登記費用の負担などは必要ありません。
会社は不動産の管理を行い、オーナーから管理料を徴収することになります。
管理料の金額が高額すぎると経費として認められないこともありますので、管理料の設定には気を付けましょう。
不動産の相続評価額を下げることができないため、会社が不動産を保有する形態に比べて大きな節税効果は期待できません。
会社を設立して相続税対策を行う注意点
コストがかかる
会社を設立して相続税対策を行う方法は手軽にできるものではありません。
会社を設立するために手間や費用が発生しますし、会社が不動産を保有する形態では登録免許税と不動産取得税の負担も発生します。
また、会社は年に一度の決算が必要になり、赤字でも支払わなければならない均等割りも発生します。決算を税理士に依頼する場合には税理士費用も別途必要です。
費用対効果をしっかりと検討して進めていきましょう。
会社を運営しなければならない
会社を運営することになりますので、経理業務や給料や社会保険に関する手続きなどが必要になります。税理士や社労士に依頼することもできますが、その分の費用が発生してしまいます。
専門的な知識が必要
会社を設立して相続税対策を行う方法は、手軽にできる生前対策ではありません。
相続税や法人税、不動産事業に詳しい専門家と一緒になって進めていかなければ、思わぬ落とし穴に気付けないこともあります。
失敗しない相続税対策を行うためにも、相続に詳しい税理士にご相談ください。
オーダーメイドの相続税対策が重要です!
相続税対策を行うためには、現在の財産の種類や金額を把握し、これからどのように変化していくかを予測することが重要です。
そのうえで、財産を遺される人の意思を尊重して対策案を検討していく必要があります。
特に、会社を設立して相続税対策を行う方法は、資金調達が必要になることもあり、一度始めると後に退くことができません。
廃業するためには多くのコストや労力、時間がかかってしまいます。
また、この対策は会社設立から相続が発生するまでの期間も重要になります。「相続税対策はまだ早い」と考えずに、できるだけ早く取り組むことが重要です。
まずは、当事務所へ一度ご相談いただければ幸いです。
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