【アパート経営で相続税対策】失敗しないためのポイントを徹底解説!

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相続対策

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この記事の執筆者:大塚 英司

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

アパート経営を行うと相続税が少なくなる

相続税対策を検討している人にとって一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

確かに生前にアパート経営を始めることで相続税対策になります。
しかし、アパート経営による相続税対策はリスクが伴う方法であるため、結果的に損をしてしまう方もいらっしゃいます。

「相続税対策のためにアパート経営なんてするんじゃなかった」と後悔してしまわないように、ここでは「失敗しないアパート経営による相続税対策」をご紹介します。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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アパート経営が相続税対策になる仕組み

失敗しないためには「なぜアパート経営が相続税対策になるのか」をしっかり理解する必要があります。アパート経営が相続税対策になる理由は4つあります。

仕組み①不動産と現金の相続税評価額の違い

「現金1億円」と「時価(購入価額)が1億円の土地」の相続税評価額はどちらが高くなるでしょうか?
答えは「現金1億円」です。

現金は価値そのものですが、土地は換金することが簡単にはできず、自由度が低いため相続税評価額は低くなります。
建物も同様に換金性や自由度の点から相続続税評価額は現金よりも低くなります。

アパート経営を行うために物件を購入すると、相続財産が現金や預金から不動産へと置き換わることになり、結果的に相続財産を圧縮することができるのです。

アパート経営による相続税対策

不動産の相続税評価方法については「 不動産を活用して相続税を節税する3つの方法を徹底解説!」をご覧ください。

仕組み②小規模宅地等の特例が受けられる可能性がある

土地の相続税評価額は、現金で保有している時よりも低くなりますが、さらに相続税の特例である「小規模宅地等の特例」を利用することで最大で相続税評価額が80%割引になります。

小規模宅地等の特例は、居住用の宅地(自宅)、または貸付事業用の宅地に利用することができ、用途により利用できる面積と割引率が異なります。

・貸付用の宅地の場合 200㎡まで50%減額

アパートの場合は「貸付用の住宅」に該当しますので、200㎡までの宅地の相続税評価額を50%減額することが可能ですが、対象面積と減額割合は「居住用の宅地(自宅)」の方が断然お得に設定されています。
そのため、基本的には自宅の宅地で小規模宅地等の特例を利用した方が有利になります。

ただし、自宅の宅地の1㎡あたりの相続税評価額がアパートの宅地の1㎡あたりの相続税評価額よりも極めて低い場合には、アパートの宅地で小規模宅地等の特例を利用した方が有利になるケースもありますので、十分な検討が必要です。

また、平成30年に税制改正が行われ、相続が発生する3年以上前からアパート経営を行っていなければアパートの宅地で小規模宅地等の特例を利用することができなくなっています。
アパートの土地で特例の利用を考えている場合は早めからの準備が必要です。

小規模宅地等の特例には細かいルールが設けられています。「 小規模宅地等の特例をわかりやすく完全解説!相続した土地が最大80%OFF!」「小規模宅地の特例 貸付事業用宅地の適用を受けるために生前にすべきこと!」で詳しく紹介しています。

仕組み③借家権と借地権の分を減額できる

自宅の土地や利用していない土地など、他人が利用する権利がない土地のことを自用地というのに対し、自分の土地に自分の建物(アパートなど)があり、その建物を貸している土地のことを「貸家建付地」といいます。

貸家建付地は自用地と比べて利用に制限がかかるため、相続税評価額は自用地よりも低くなります。
貸家建付地の相続税評価額の計算は、自用地を基準とし、借地権割合×借家権割合×賃貸割合で行います。

貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額-自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

詳しい計算方法は「貸家建付地(賃貸建物の敷地)の相続税評価を徹底解説」「空室がある場合の貸家建付地評価と小規模宅地の特例」をご覧ください。

仕組み④現金がなくても借入金でアパートを購入することができる

自己資金がなく、アパートを建てることができない場合でも金融機関から借入れを行うことで、自己資金でアパートを建築した場合と同じ効果を得ることが可能です。

相続税の計算では、不動産などのプラスの財産から借入金などのマイナスの財産を差引いて計算を行います。
そのため、借入金でアパートを建築した場合には、相続発生時の借入残高を財産から差し引くことができるのです。

例えば、1億円の借入れを行い、1億円のアパートを建設したケースを考えてみましょう。前述した通り、アパートの相続税評価額は建築した金額よりも低くなります。
仮に相続税評価額が6,000万円であった場合、プラスの財産(アパートの相続税評価額)6,000万円からマイナスの財産1億円すると-4,000万円となり、全体的に見ると相続税の負担が大幅に減少します。

借入によるアパート経営

金融機関からの借入を利用することで、多額の自己資金がなくてもアパート経営による相続税対策を行うことができます。
しかし、借入金には利息が発生し、長期間にかけて返済を行う必要があります。相続人が返済に苦労しないよう、専門家に相談しながら慎重に進めていくことが重要です。

また、借り入れをして投資用不動産を建築、購入する相続税の節税対策は、後日税務署から否認される可能性がゼロではありません。
詳しくは後述の「総則6項に要注意!」をご参照下さい。

【失敗しないために】失敗例と改善策を知ろう

アパート経営による相続税対策は大きな効果があるとともに、失敗するリスクも伴います。
「こんなはずじゃなかった」と後悔する前に、主な失敗例と改善策を見ていきましょう。

失敗例①思ったよりも収益が少ない

アパート経営の本質は「事業」であり、相続税対策に対して効果的に働くことはあくまでも副産物です。空室を埋めて収益を確保し続けなければ意味がありません。
アパート経営に係るランニングコストや借入を行っている場合には毎月返済を行う必要があり、その原資は「家賃収入」です。

家賃収入を継続的に得るためには、事前に立地や賃貸需要をしっかりと見極め、不動産会社や私ども税理士などの信頼できるパートナーに相談することが大切です。
相続税対策ありきのアパート経営ではなく、事業としてのアパート経営を心がけましょう。

失敗例②分割しにくい財産ができてしまった

アパートなどの不動産は、現金などと違い物理的に分けることができないため、遺産分割の際に相続人の間で相続トラブルになる可能性があります。
相続税対策を行ったために、遺産分割トラブルが発生してしまっては元も子もありません。

「アパートは相続人○○に相続させる」という遺言も大切ですが、生前に相続人と話し合い、皆さんが納得したうえでアパート経営による相続対策を進めるようにしましょう。

サブリースで収入が減ってしまった

サブリースとは、不動産会社にアパート全部を賃貸する契約のことを言います。
サブリースでは、不動産会社が管理や入居者募集などを行ってくれるため、空き室の心配などせずに安定した家賃収入を得ることが可能です。
また、サブリースは全ての部屋を不動産会社に貸す契約になるため、入居率が100%となり、貸家建付地の相続税評価額を下げる効果も期待できます。

ただし、サブリースは自分でアパートを運営するよりも受け取れる収入は減ってしまうというデメリットもあり、思っていた収入が得られない可能性もありますので、長期的なスパンで検討しましょう。

総則6項に要注意!

アパート経営による相続税対策は、相続税の負担を大きく抑える効果があります。
相続税の節税だけを目的に極端な節税対策を行ってしまうと「租税回避行為」として、税務上否認されてしまうという判例もあります。それが、財産評価基本通達の総則6項による否認事例です。

判例については「速報!【最高裁総則6項訴訟は納税者敗訴】不動産を使った相続税の節税は今後どうなる?」をご覧ください。

リスクがある相続税対策は事前に専門家に相談を

相続税対策は先を見据えることが重要であり、幅広い知識が必要です。
特に「アパート経営による相続税対策」は、相続税の圧縮効果が大きい代わりに、必要になる金額が多く、一度始めたら後戻りが難しい対策方法です。
「知らなかった」とならないように、相続税対策をお考えの際は、ぜひ当事務所までご相談ください。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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