相続分の譲渡の課税関係をわかりやすく徹底解説

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この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

相続分の譲渡とは、相続人の相続分を他の相続人や第三者に包括的に譲り渡すことです。
相続分の譲渡は無償でも有償でも構いません。
共同相続人でも相続人以外の人にでも譲渡可能です。
また、自然人でも法人でも譲渡先に制限はありません。

相続分の譲渡は、無償なのか有償なのか、譲渡先が相続人なのか第三者なのか等により課税関係が異なります。
相続税だけでなく所得税や贈与税にも影響してきます。

今回は、相続分を譲渡した場合の課税関係をケースごとにわかりやすく解説していきます。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

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1.『相続人』へ相続分の譲渡をした場合の課税関係

相続人への相続分の譲渡は相続税の課税関係以外は生じません。
すなわち、通常の遺産分割と同様の課税関係ということです。

ちなみに、相続分の譲渡後に申告期限までに遺産分割が固まらなかった場合には、相続分の全部の譲渡をした人は相続税の未分割申告は不要です。
相続分の譲渡を受けた相続人が譲渡した相続人の相続分も加えた上で未分割申告をします。

(1)無償譲渡

①譲渡した人

相続分の全部を譲渡した場合には相続税は課税されません。
相続分の一部を譲渡した場合には譲渡しなかった部分に対して相続税が課税されます。

②譲渡を受けた人

譲渡を受けた人の固有の相続分に譲渡を受けた相続分を加えたものに対して相続税が課税されます。
算式にすると下記の通りです。

固有の相続分 + 譲渡を受けた相続分

(2)有償譲渡

①譲渡した人

その相続分の譲渡に関する譲渡対価に対して相続税が課税されます。
代償分割において代償金を受け取った相続人と同じ課税関係です。
代償分割については、代償分割をわかりやすく徹底解説をご参照ください。

②譲渡を受けた人

譲渡を受けた人の固有の相続分に譲渡を受けた相続分を加え、そこから譲渡対価を控除したものに対して相続税が課税されます。
算式にすると下記の通りです。

固有の相続分 + 譲渡を受けた相続分 - 譲渡対価

2.『相続人以外の自然人』に相続分の譲渡をした場合の課税関係

相続人以外へ相続分を譲渡した場合に課税関係が一気にややこしくなります。
まずは、相続人以外の自然人に相続分の譲渡をした場合の課税関係を確認していきましょう。

(1)無償譲渡

①譲渡した人

相続人以外に相続分を譲渡した場合には譲渡した人に相続税が課税されます。
相続人に相続分を譲渡した場合とは課税関係が異なるので注意しましょう。

理由としては、相続人以外に相続分を譲渡したとしても相続人の身分上の地位は相続人に残されるためです。

申告期限までに遺産分割が確定するか否かにより実務上の手続きが異なるので整理しておきましょう。

ア 申告期限までに遺産分割が確定した場合

譲渡を受けた人が具体的に取得した相続分に対して相続税が課税されます。
法定相続分ではないので注意が必要です。

イ 申告期限までに遺産分割が確定しなかった場合

譲渡した人の法定相続分で未分割申告をします。
その後、遺産分割が確定し、譲渡を受けた人の取得財産が決まったら、その相続分に基づき譲渡した人が修正申告又は更正の請求をします。
譲渡した人は遺産分割に関与していないのに譲渡を受けた人が取得した財産の情報を得られるかどうか微妙ではありますが、税務上の考え方としてはこのように整理することになるかと思います。

②譲渡を受けた人

譲渡を受けた相続分に対して贈与税が課税されます。
相続税の課税ではないので注意が必要です。

(2)有償譲渡

①譲渡した人

有償譲渡の場合には相続税だけでなく所得税も絡んできますので税目ごとに解説します。

ア 相続税の課税関係

こちらは無償譲渡の場合と同じ課税関係です。
一度取得した相続分を無償で譲渡しても有償で譲渡しても相続税の課税関係は変わりません。

イ 所得税の課税関係

相続分の有償譲渡の場合には無償譲渡と異なり譲渡した人に所得税が課税されます。
所得区分としては譲渡所得となります。
相続分の譲渡は土地、建物、有価証券というような個々の財産の譲渡ではないので分離課税ではなく総合課税の譲渡所得となります。

譲渡収入は相続分の譲渡対価なので難しくはないですが、問題は取得費です。
税法の条文上も相続分の譲渡の取得費については規定されていません。

取得費をゼロと考える説もあれば、相続開始時の時価を取得費と考える説もあります。

取得費についての詳しい解説は、取得費(譲渡所得)をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

②譲渡を受けた人

無償譲渡と同様に相続税は課税されません。

また、無償譲渡とは異なり対価を支払っているため贈与税も課税されません。

ちなみに、対時価と比較し著しく低い対価だった場合にはみなし贈与課税の対象になり可能性もあります。

2.『相続人以外の法人』に相続分の譲渡をした場合の課税関係

(1)無償譲渡

①譲渡した人

ア 相続税の課税関係

自然人に対する相続分の無償譲渡と同様の課税関係になります。

イ 所得税の課税関係

法人に対する贈与であるため譲渡所得課税の対象となります。

②譲渡を受けた人

譲渡を受けた相続分に対して法人税の対象となります。
法人には相続税が課税されません。

(2)有償譲渡

①譲渡した人

自然人に対する相続分の有償譲渡と同様の課税関係になります。
ただし、適正な対価での譲渡でない場合には時価譲渡とみなされる可能性もあるため要注意です。

②譲渡を受けた人

対価を受け取っているため無償譲渡と異なり法人税の対象にはなりません。
ただし、適正な対価での譲渡ではない場合には法人税の対象になる可能性もあるため要注意です。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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