相続廃除とは?要件と手続きを徹底解説

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相続法

相続手続き

相続は、故人の財産を引き継ぐ重要な手続きです。
しかし、相続人の中に問題行動を起こす人がいる場合、被相続人はその人物に財産を相続させたくないと考えるかもしれません。

そのような場合に活用できるのが「相続廃除」という制度です。

本記事では、相続廃除について詳しく解説していきます。
制度の概要や要件、手続き方法などを徹底的に掘り下げていきますので、ぜひ最後までお読みください。

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目次

相続廃除とは

相続廃除とは、被相続人の意思に基づいて、特定の相続人の相続権を失わせる制度です。
民法第892条に規定されており、家庭裁判所の審判によって認められます。

相続廃除が認められると、対象となった相続人は相続権を失うだけでなく、遺留分の権利も失います。
つまり、一切の相続財産を受け取ることができなくなるのです。

相続廃除は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てを行う「生前廃除」と、遺言書に記載しておく「遺言廃除」の2種類があります。

相続廃除は、単に相続人との関係が悪いというだけでは認められません。
法律で定められた要件を満たし、家庭裁判所が客観的に判断して認められる必要があります。

相続廃除の対象者

相続廃除の対象となるのは、「遺留分を有する推定相続人」です。
具体的には以下の人々が該当します。

  • 配偶者
  • 子供(養子を含む)
  • 直系尊属(親、祖父母など)

遺留分を有しない兄弟姉妹は相続廃除の対象外となります。
被相続人が兄弟姉妹に相続させたくなければ遺言書を作成するだけで相続から除外できるからです。

相続廃除が認められる要件

相続廃除が認められるためには、法律で定められた要件を満たす必要があります。
民法第892条では、以下の3つの要件が規定されています。すべて満たす必要はなくいずれかに該当すれば大丈夫です。

1. 被相続人に対する虐待
2. 被相続人に対する重大な侮辱
3. その他の著しい非行

1. 被相続人に対する虐待

被相続人に対して身体的または精神的な虐待を行った場合、相続廃除の対象となります。
具体的には以下のような行為が該当します。

  • 暴力を振るう
  • 食事を与えない
  • 必要な介護を行わない
  • 長期間無視し続ける

2. 被相続人に対する重大な侮辱

被相続人の名誉を著しく傷つけるような行為も、相続廃除の理由となります。
具体的には以下のような行為が該当します。

  • 公衆の面前で罵倒する
  • SNSなどで被相続人の悪口を書き込む
  • 被相続人の秘密を暴露する

3. その他の著しい非行

上記2つに該当しない場合でも、著しい非行があれば相続廃除の対象となる可能性があります。
具体的には以下のような行為が該当します。

  • 重大な犯罪を犯す
  • 被相続人の財産を不当に搾取する
  • 長期間にわたる不貞行為
  • アルコールやギャンブル依存で多額の借金を作る

これらの要件に該当する行為があったとしても、自動的に相続廃除が認められるわけではありません。
家庭裁判所が個々の事案ごとに、非行の程度が相続権を剥奪するに値するほど重大であったかを判断します。

相続廃除の手続き方法

相続廃除の手続きには、大きく分けて「生前廃除」と「遺言廃除」の2つの方法があります。
それぞれの手続き方法について詳しく見ていきましょう。

1. 生前廃除

生前廃除とは、被相続人が存命中に家庭裁判所に申し立てを行う方法です。
手続きの流れは以下の通りです。

生前廃除流れ

生前廃除のメリットは、被相続人自身の意思で確実に手続きを行えることです。
また、戸籍に廃除の記載がなされるため、相続発生時に混乱を避けられる可能性が高くなります。

2. 遺言廃除

遺言廃除とは、被相続人が遺言書に相続廃除の意思を記載しておく方法です。
手続きの流れは以下の通りです。

遺言廃除流れ遺言廃除のメリットは、被相続人の死後に手続きを行えることです。
生前に廃除の手続きをすることで相続人との関係が悪化することを避けられます。

ただし、遺言執行者の選任や遺言書の作成など、事前の準備が重要になります。

相続廃除の効果

相続廃除が認められると、廃除された相続人にはどのような影響があるのでしょうか。
主な効果について解説します。

1. 相続権の喪失

相続廃除の最も大きな効果は、相続権を完全に失うことです。
廃除された相続人は、被相続人の遺産を一切相続できなくなります。

この効果は、相続開始時(被相続人の死亡時)に遡って発生します。
つまり、相続廃除の審判が相続開始後になされた場合でも、廃除された相続人は最初から相続権がなかったものとして扱われます。

2. 遺留分請求権の喪失

相続廃除された相続人は、遺留分請求権も失います。
遺留分とは、相続人に保障された最低限の相続分のことですが、廃除によってこの権利も失われるのです。

そのため、他の相続人や受遺者に対して遺留分侵害額請求を行うこともできなくなります。

3. 代襲相続の発生

相続廃除された相続人に子供がいる場合、その子供に代襲相続の権利が発生します。
代襲相続とは、本来相続人となるべき者が相続権を失った場合に、その者の子供が代わりに相続人となる制度です。

例えば、長男が相続廃除された場合、長男の子供(被相続人から見て孫)が相続人となります。

この論点が相続放棄との大きな違いです。
相続放棄の場合には代襲相続は発生しません。
相続放棄の詳しい解説は、【相続放棄の基礎知識】相続放棄を兄弟姉妹でまとめて行う方法とは?をご参照ください。

4. 相続分の再計算

相続人の一人が廃除されると、他の相続人の相続分が再計算されます。
廃除された相続人の相続分は、他の相続人に按分して配分されることになります。

5. 戸籍への記載

相続廃除が確定すると、被相続人の戸籍に廃除の記載がなされます。
これにより、相続手続きの際に廃除の事実を確認することができます。

相続廃除と相続欠格の違い

相続廃除と似た制度に「相続欠格」があります。
両者は相続権を失わせる点で共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。

項目 相続廃除 相続欠格
発生要件 家庭裁判所の審判が必要 法定の事由に該当すれば自動的に発生
対象者 遺留分を有する推定相続人 すべての相続人
事由 虐待、侮辱、著しい非行など 殺人、遺言書の偽造・隠匿など
取消し 被相続人の意思で可能 不可能

相続欠格は、被相続人を殺害したり遺言書を偽造したりするなど、より重大な犯罪行為があった場合に適用されます。
法律で定められた事由に該当すれば自動的に相続権を失うため、家庭裁判所の審判は不要です。

一方、相続廃除は被相続人の意思に基づいて行われ、家庭裁判所の審判が必要です。
また、被相続人の意思で廃除を取り消すこともできます。

相続欠格についての詳しい解説は、相続欠格とは?5つの欠格事由と具体例、相続廃除との違いを徹底解説をご参照ください。

相続廃除と遺留分放棄の違い

相続廃除と遺留分放棄も似た制度です。
両者にはいくつかの重要な違いがあります。

項目 相続廃除 遺留分放棄
発生要件 家庭裁判所の審判が必要 生前に家庭裁判所の許可が必要
対象者 遺留分を有する推定相続人 遺留分を有するすべての相続人
理由 虐待、侮辱、著しい非行など 相続人の自由意思による
効力の範囲 相続権および遺留分を完全に剥奪 遺留分のみを放棄(相続権は維持)
手続きの主体 被相続人が申立てる 相続人自身が行う
取り消し 可能 原則不可能

遺留分放棄の詳しい解説は、【生前からできる相続放棄の代替案】遺留分放棄をわかりやすく解説!をご参照ください。

相続廃除と相続税への影響

相続廃除は主に民法上の制度ですが、実際の相続となると相続税の問題も切り離せません。
廃除された人物がいなくなることで、相続人の範囲や法定相続分が変わるため、相続税の計算方法にも影響が出る可能性があります。

廃除が確定すると、その人は相続人ではなくなるので、その分の法定相続分は他の相続人に振り分けられます。
代襲相続人がいない場合には、相続税上の相続人の数も減ることになり相続税の基礎控除や生命保険の非課税枠が減少することとなります。
代襲相続人が複数いる場合には、相続税上の相続人が増えることとなり相続税の基礎控除や生命保険の非課税枠が増加することとなり、代襲相続人は二割加算の対象にもならないため相続税の節税につながる可能性もあります。
代襲相続人が一人の場合には、相続税の計算は基本的に変わりません。

相続廃除の注意点

相続廃除は強力な制度ですが、いくつかの注意点があります。
相続廃除を検討する際は、以下の点に留意しましょう。

1. 立証責任

相続廃除の申立てを行う側(被相続人または遺言執行者)に、廃除事由の立証責任があります。
虐待や侮辱、著しい非行があったことを客観的な証拠で示す必要があります。

具体的には、診断書、警察への被害届、第三者の証言など、廃除事由を裏付ける資料を用意しなければなりません。

2. 認容率の低さ

相続廃除の申立てに対する認容率は決して高くありません。
家庭裁判所は慎重に審理を行い、相続権を剥奪するに値する重大な事由があるかを厳格に判断します。

軽微な非行や一時的な感情的対立程度では、相続廃除は認められない可能性が高いでしょう。

具体的なデータから見る認容率

令和4年度のデータ
総件数 認容件数 認容率
178件 36件 20.2%

認容率の低さが示す意味

1. 家庭裁判所の慎重な姿勢

これらのデータから、家庭裁判所が相続廃除の申立てに対して非常に慎重な姿勢を取っていることがわかります。
認容率が20%前後と低いことは、相続権を剥奪するほどの重大な事由があるかどうかを厳格に判断していることを示しています。

2. 相続廃除の重大性

低い認容率は、相続廃除が相続人の権利を完全に奪う強力な制度であることを反映しています。
家庭裁判所は、家族関係の修復可能性や被相続人と相続人の双方の事情を総合的に考慮した上で判断を下しているのです。

3. 申立ての際の注意点

このような低い認容率を踏まえると、相続廃除を検討する際には以下の点に注意する必要があります。

  • 申立ての成功率が低いことを十分に認識すること
  • 廃除事由を客観的な証拠で立証できるか慎重に検討すること
  • 他の選択肢(遺言による相続分の指定など)も併せて検討すること
  • 専門家(弁護士など)に相談し、適切なアドバイスを受けること

相続廃除は最後の手段として位置付けられるべきであり、これらのデータは、その制度の重大性と適用の難しさを明確に示しています。

3. 家族関係への影響

相続廃除の手続きを行うことで、家族関係が悪化する可能性があります。
特に生前廃除の場合、被相続人と廃除対象者の関係が決定的に破綻する可能性が高くなります。

また、他の家族メンバーを巻き込んで対立が生じる可能性もあります。
家族の絆や和を重視する日本社会において、相続廃除は家族全体に大きな影響を与える可能性があることを認識しておく必要があります。

4. 代襲相続への配慮

相続廃除された人物に子供がいる場合、その子供に代襲相続の権利が発生します。
つまり、廃除対象者の子供(被相続人から見て孫)が相続人となる可能性があります。

この点を考慮せずに相続廃除を行うと、意図せず孫世代に財産が渡ってしまう可能性があります。
被相続人の真の意思に反する結果となる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

5. 遺言との併用

相続廃除が認められない可能性も考慮し、遺言書の作成も併せて検討することが賢明です。
遺言書で特定の相続人への相続分を少なくしたり、受遺者を指定したりすることで、相続廃除が認められなかった場合のリスクを軽減できます。

ただし、遺留分侵害の問題が生じる可能性があるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進める必要があります。

6. 法的手続きの複雑さ

相続廃除の手続きは法的に複雑で、専門的な知識が必要です。
申立書の作成や証拠の収集、家庭裁判所での審理対応など、一般の方が単独で行うのは困難な場合が多いでしょう。

弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切なサポートを受けることが重要です。

7. 費用と時間

相続廃除の手続きには、一定の費用と時間がかかります。
申立手数料や弁護士費用などの直接的な費用に加え、証拠収集や審理対応のための時間的コストも考慮する必要があります。

特に争いのある案件では、審理が長期化し、予想以上の費用がかかる可能性もあります。

廃除の取消し

一度相続廃除の審判が確定しても、被相続人の意思で廃除を取り消すことが可能です。
しかし、取消しの手続きも家庭裁判所の審判が必要となるため、簡単に行えるものではありません。

取り消しの方法には主に2つあります。

(1)被相続人が生前に家庭裁判所に「相続人廃除の審判の取り消し」を申し立てる方法
(2)遺言書に廃除取り消しの意思を記載し、遺言執行者が家庭裁判所に請求する方法

取り消しの手続きの流れは以下の通りです。

□必要書類の準備(申立人および廃除対象者の戸籍謄本など)
□家庭裁判所への申立て(被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所)
□家庭裁判所での審理
□取り消しの審判

取り消しが認められると、廃除された推定相続人の相続権が回復し、遺産を受け取る権利を取り戻します。
なお、相続廃除とは異なり、相続欠格の場合は取り消しができないので注意が必要です。

相続廃除の取り消しは、被相続人の意思を尊重する制度であるため、比較的柔軟に認められる傾向にあります。
ただし、具体的な状況や法的な助言については、相続専門の弁護士に相談することをおすすめします。

相続廃除の具体的事例

相続廃除がどのような場合に認められるのか、具体的な事例を見ていきましょう。
以下は、実際の裁判例を参考にした事例です。

事例1:虐待による相続廃除

【事例概要】 被相続人(母親)が長男に対して相続廃除を申し立てた。 長男は、母親の介護を放棄し、必要な食事や医療を与えず、暴言を吐くなどの行為を繰り返していた。

裁判所の判断

この事例では、裁判所は相続廃除を認めました。
長男の行為は、民法第892条に規定される「虐待」に該当すると判断されたのです。

介護の放棄や必要な世話を怠ることは、身体的虐待と同様に深刻な問題であると認識されました。
また、継続的な暴言は精神的虐待に当たると判断されました。

事例2:著しい侮辱による相続廃除

【事例概要】 被相続人(父親)が長女に対して相続廃除を申し立てた。 長女は、父親の不倫を理由に、SNSで父親の実名を挙げて誹謗中傷を繰り返し投稿していた。

裁判所の判断

この事例でも、裁判所は相続廃除を認めました。
長女の行為は、民法第892条に規定される「著しい侮辱」に該当すると判断されたのです。

SNSでの誹謗中傷は、不特定多数の人々に情報が拡散される可能性があり、被相続人の社会的評価を著しく低下させる行為だと認識されました。
また、実名を挙げて繰り返し投稿を行っていた点も、侮辱の程度が重いと判断される要因となりました。

事例3:著しい非行による相続廃除(認められなかった例)

【事例概要】 被相続人(父親)が次男に対して相続廃除を申し立てた。 次男は、ギャンブル依存症で多額の借金を作り、父親に返済を求めていた。

裁判所の判断

この事例では、裁判所は相続廃除を認めませんでした。
次男の行為は問題があるものの、民法第892条に規定される「著しい非行」には該当しないと判断されたのです。

裁判所は、ギャンブル依存症は病気の一種であり、本人の意思だけでは容易に克服できない問題であると認識しました。
また、借金の返済を求めた行為自体は違法性がなく、相続権を剥奪するほどの重大な非行とは言えないと判断されました。

これらの事例から、相続廃除が認められるためには、単なる家族間の不和や軽微な問題行動では不十分であり、法律で定められた要件に該当する重大な事由が必要であることがわかります。

裁判所は個々の事案ごとに慎重に判断を行うため、相続廃除を検討する際は、客観的な証拠を十分に収集し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。

相続廃除に代わる選択肢

相続廃除は強力な制度ですが、認められるハードルが高く、家族関係に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、状況によっては相続廃除以外の選択肢を検討することも重要です。

以下に、相続廃除の代替となり得る方法をいくつか紹介します。

1. 遺言による相続分の指定

遺言書を作成し、特定の相続人の相続分を少なくすることで、実質的に相続から除外するのと近い効果を得ることができます。

例えば、問題のある相続人の相続分を1円とするなどの方法があります。
ただし、遺留分を侵害しない範囲で行ったほうが将来の揉め事を回避できるでしょう。

2. 生前贈与の活用

被相続人が存命中に、信頼できる相続人や第三者に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。
これにより、問題のある相続人が相続できる財産を実質的に減らすことが可能です。

ただし、相続時精算課税制度や贈与税の問題があるため、税理士などの専門家に相談しながら進める必要があります。

3. 第三者への遺贈

遺言書で、相続人以外の第三者(例:慈善団体や信頼できる知人)に財産を遺贈することで、問題のある相続人が受け取れる財産を減らすことができます。

4. 家族信託の活用

家族信託を設定することで、信頼できる家族メンバーに財産の管理を任せることができます。
これにより、問題のある相続人が直接財産を管理することを避けられます。

5. 話し合いによる解決

可能であれば、問題のある相続人と話し合いを持ち、和解や合意形成を目指すことも重要です。
専門家の仲介のもと、家族会議を開くなどして、互いの立場や考えを理解し合うことで、円満な解決策を見出せる可能性があります。

これらの方法は、相続廃除ほど強力ではありませんが、より柔軟に対応できる可能性があります。
状況に応じて最適な方法を選択し、必要に応じて複数の方法を組み合わせることで、望ましい相続の実現を目指すことができるでしょう。

Q&A:相続廃除に関するよくある質問

相続廃除について、よくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。

Q1:相続廃除の申立ては誰でもできますか?

A1:相続廃除の申立ては、原則として被相続人本人のみが行えます。
ただし、被相続人が意思能力を失っている場合は、成年後見人が代わりに申立てを行うことができます。
また、遺言廃除の場合は、遺言執行者が申立てを行います。

Q2:相続廃除の手続きにかかる費用はどのくらいですか?

A2:相続廃除の手続きにかかる費用は、ケースによって大きく異なります。
一般的には、申立手数料(数千円程度)、切手代、弁護士費用などが必要となります。
弁護士費用は案件の複雑さや争いの程度によって変わりますが、数十万円から数百万円程度かかることもあります。
正確な費用については、個別に弁護士に相談することをおすすめします。

Q3:相続廃除が認められた場合、廃除された人の子供はどうなりますか?

A3:相続廃除された人に子供がいる場合、その子供に代襲相続の権利が発生します。
つまり、廃除された人の子供(被相続人から見て孫)が相続人となります。
ただし、代襲相続人も相続廃除の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

Q4:相続廃除と遺言で相続人を指定しないことの違いは何ですか?

A4:相続廃除は法的手続きを経て相続権自体を剥奪するため、遺留分請求権も失われます。
一方、遺言で相続人を指定しない(または相続分を0とする)場合、その相続人は遺留分請求権を保持します。
つまり、遺言だけでは完全に相続から除外することはできません。

Q5:相続廃除の審判が出るまでにどのくらい時間がかかりますか?

A5:相続廃除の審判にかかる時間は、案件の複雑さや争いの程度によって大きく異なります。
比較的単純な案件で数ヶ月、複雑な案件では1年以上かかることもあります。
また、相手方が強く争う場合はさらに長期化する可能性があります。

Q6:相続廃除が認められなかった場合、どうなりますか?

A6:相続廃除が認められなかった場合、対象となった相続人は通常通り相続権を保持します。
被相続人としては、遺言書の作成や生前贈与など、他の方法で財産の分配を調整することを検討する必要があります。
また、審判に不服がある場合は、即時抗告することも可能です。

Q7:相続廃除された人との親子関係はどうなりますか?

A7:廃除によって親子関係そのものが消滅するわけではありません。
ただし、相続権や遺留分請求権は失います。
扶養義務や戸籍上の関係はそのまま残りますので、完全に“縁が切れる”わけではありません。

Q8:廃除したら必ず他の相続人が得をするのでしょうか?

A8:廃除が認められれば、廃除された人の遺留分は消えます。
結果的に他の相続人が多く相続できるケースが多いですが、そのぶん家族間の対立が深刻化する可能性もありますので、慎重に判断が必要です。

まとめ:相続廃除制度の重要ポイント

相続廃除は、特定の相続人の相続権を剥奪する強力な制度です。
本記事で解説した内容を踏まえ、重要なポイントを以下にまとめます。

1. 相続廃除の本質

  • 被相続人の意思に基づき、家庭裁判所の審判によって認められる制度
  • 対象は遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、直系尊属)
  • 相続権と遺留分請求権の両方が失われる

2. 認められる要件

  • 被相続人に対する虐待
  • 被相続人に対する重大な侮辱
  • その他の著しい非行

3. 手続きの種類

  • 生前廃除:被相続人が生前に申し立てる
  • 遺言廃除:遺言書に記載し、遺言執行者が申し立てる

4. 注意点

  • 立証責任は申立人側にある
  • 認容率は必ずしも高くない
  • 家族関係に大きな影響を与える可能性がある
  • 代襲相続の可能性を考慮する必要がある

5. 代替手段の検討

  • 遺言による相続分の指定
  • 生前贈与の活用
  • 第三者への遺贈
  • 家族信託の活用
  • 話し合いによる解決

相続廃除は、相続に関する重要な選択肢の一つですが、その影響は大きく、慎重に検討する必要があります。
個々の状況に応じて、専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を選択することが重要です。

相続は家族の絆や財産に関わる重要な問題です。
相続廃除を含め、様々な選択肢を理解し、十分な準備と検討を行うことで、円滑な相続の実現につながるでしょう。

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この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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