ハワイ不動産の相続手続き完全ガイド|プロベート・FIRPTA・回避策を徹底解説

最終更新日:

国際相続

ハワイ不動産の相続手続き完全ガイド|プロベート・FIRPTA・回避策を徹底解説
10秒でわかる この記事の要約
・単独名義のハワイ不動産がある場合には「プロベート」と呼ばれる裁判所手続きが必要
・プロベート完了まで1~2年、費用は50万~200万円以上かかることがある
・Joint Tenancy(合有不動産権)やTODD(死亡時移転証書)でプロベート回避可能
・売却時はFIRPTA(15%)+HARPTA(7.25%)の源泉徴収に注意

「ハワイにコンドミニアムを持っている父が亡くなりました。相続手続きはどうすればよいですか?」

ハワイは日本人に人気の不動産投資先であり、このようなご相談を多くいただきます。

しかし、ハワイの相続手続きは日本と全く異なり、時間と費用がかかります

今回は、ハワイ不動産の相続手続きについて、プロベートの流れから税金、プロベート回避策まで、詳しく解説します。

アメリカの相続制度全般については「アメリカの相続手続きと遺産税【税理士が完全ガイド】」をご覧ください。

なお、相続税申告でお急ぎの方はお電話、またはLINEにてお問い合わせいただけます。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

タップで発信

0120-916-968

平日 9:00~21:00 土日 9:00~17:00

お問い合わせ

ハワイの相続制度の概要

プロベート制度

ハワイ州では、他のアメリカの州と同様に、プロベート(Probate)と呼ばれる裁判所の検認手続きが必要です。

プロベートとは、遺言の有効性を確認し、遺産の管理・分配を監督する裁判所手続きです。

各国のプロベート比較については「プロベートとは?国別の費用・期間・手続きを徹底比較【税理士解説】」をご参照ください。

プロベートが必要なケース

ハワイ州でプロベートが必要となるのは、以下のケースです。

プロベートが必要となる場合
・被相続人名義の不動産がある場合(タイムシェアを含む)
・被相続人単独名義の財産が10万ドルを超える場合

ハワイのコンドミニアムやタイムシェアは、金額に関わらずプロベートが必要です。

相続分割主義

アメリカは「相続分割主義」を採用しており、不動産には所在地法が適用されます。

したがって、日本人がハワイに不動産を持っている場合、その不動産についてはハワイ州法が適用されます。

準拠法については「国際相続があった場合の準拠法」をご覧ください。

プロベート手続きの流れ

ステップ1:遺言と遺産の確認

まず、被相続人が遺言を残しているかを確認し、ハワイ州内の財産を調査します。

遺言がある場合、遺言で指定された人物(Personal Representative)が手続きを進めます。
遺言がない場合は、相続人が裁判所に管理人の選任を申請します。

ステップ2:プロベート申請

ハワイ州巡回裁判所(Circuit Court)にプロベートを申請します。

正式プロベート(Formal Probate)略式プロベート(Informal Probate)があり、不動産がある場合は正式プロベートが必要になることが多いです。

ステップ3:公告と債権者への通知

地元新聞に公告を掲載し、債権者に通知します。
債権者は4か月以内に請求を申し出る必要があります。

ステップ4:遺産の管理

Personal Representativeは、遺産の目録を作成し、債務を清算し、必要に応じて資産を売却します。

ステップ5:最終分配と終結

すべての債務が清算された後、受遺者に遺産を分配し、裁判所に最終報告書を提出してプロベートを終結します。

所要期間と費用

ハワイのプロベートは完了まで1年~2年程度かかります。

費用項目 目安
裁判所費用 数百ドル
弁護士費用 5,000~15,000ドル以上
Personal Representative報酬 一般的に遺産総額の数%程度
その他(公告費、鑑定費等) 1,000~3,000ドル
合計目安 50万~200万円以上

ハワイ不動産の税金

米国連邦遺産税

米国には連邦レベルの遺産税(Estate Tax)があります。

非居住外国人の基礎控除はわずか6万ドルです。

一方、米国市民・居住者の基礎控除は約1,361万ドル(2024年)と大きな差があります。

区分 基礎控除額
米国市民・居住者 約1,293万ドル(2024年)
非居住外国人 6万ドル

米国遺産税の税率は、課税遺産額に応じて18%から40%の累進税率が適用されます。

米国遺産税申告については「日本居住の日本人でも米国遺産税申告(Form706-NA)が必要になるケース、記載方法等について徹底解説」をご参照ください。

日米租税条約による調整

日米租税条約により、日本人(非居住外国人)についても、一定の控除が認められる場合があります。

ただし、条約の適用は複雑であり、専門家への相談が必要です。

日本の相続税

日本居住者がハワイの不動産を相続した場合、日本でも相続税が課税されます。

米国で支払った遺産税は、外国税額控除により日本の相続税から控除できます。

外国税額控除については「相続税の外国税額控除をわかりやすく徹底解説」をご覧ください。

売却時の源泉徴収(FIRPTA・HARPTA)

相続後にハワイの不動産を売却する場合、FIRPTAHARPTAによる源泉徴収があります。

税率は原則として下記の通りです。(条件により下記と異なる場合もあります)

FIRPTA(連邦):売却価額の15%
HARPTA(ハワイ州):売却価額の7.25%
合計:22.25%

例えば、100万ドルで売却した場合、22万2,500ドル(約3,300万円)が売却代金から差し引かれます。

源泉徴収は「譲渡益」ではなく「売却価額」に対して行われるため、売却損が出ていても源泉徴収されます。

確定申告により、実際の税額との差額は還付されます。

プロベートを回避する方法

プロベートは時間と費用がかかるため、生前対策として回避策を講じることが重要です。

Joint Tenancy(合有不動産権)

Joint Tenancy with Right of Survivorshipは、最も一般的なプロベート回避策です。

この形態で不動産を所有すると、一方の所有者が死亡した場合、その持分は自動的に生存している所有者に移転します。

プロベートを経由せず、死亡証明書を提出するだけで名義変更が完了します。

詳しくは「ジョイントテナンシー(合有不動産権)と相続税・贈与税の注意点」をご覧ください。

日本の税務上の注意点

Joint Tenancyで持分が移転した場合、日本では相続税または贈与税の課税対象となります。
「プロベート回避=非課税」ではありませんのでご注意ください。

TODD(Transfer on Death Deed)

TODD(死亡時移転証書)は、ハワイ州で2011年から認められている制度です。

不動産所有者が生前にTODDを作成・登記しておくと、死亡時に指定した受益者に不動産が自動的に移転します。

TODDのメリット
・プロベート不要
・生前は所有者がすべての権利を保持
・いつでも撤回可能
・登記費用のみで設定可能

TODDのデメリット
・共有者がいる場合は全員の同意が必要
・受益者が先に死亡した場合の備えが必要
・ローンがある場合は銀行との調整が必要

リビングトラスト(Revocable Living Trust)

リビングトラスト(生前信託)を設定し、不動産を信託財産に移転する方法です。

委託者が死亡しても、信託は継続し、受益者に財産が移転されます。
プロベートを経由しないため、時間と費用を節約できます。

リビングトラストについては「リビングトラストとは?相続税の取扱いと日本の税務上の注意点【税理士解説】」をご参照ください。

方法 メリット デメリット
Joint Tenancy シンプル、低コスト 生前に持分を失う、贈与税の可能性
TODD シンプル、低コスト、撤回可能 ハワイ州限定
リビングトラスト 柔軟、プライバシー保護 設定費用が高い(3,000~5,000ドル以上)

ハワイ相続の実務ポイント

必要書類

日本側で準備する書類

・被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
・相続人の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書
・遺産分割協議書(該当する場合)
・宣誓供述書(Affidavit)

これらの書類は、英語翻訳とアポスティーユ認証が必要です。

認証手続きについては「相続でアポスティーユが必要な場合の取得方法を完全解説【税理士監修】」をご覧ください。

現地弁護士の選定

ハワイのプロベート手続きは、現地の弁護士に依頼するのが一般的です。

ハワイには日本語対応可能な弁護士事務所も多いため、コミュニケーションに不安がある方でも手続きを進めやすいです。

不動産管理の継続

プロベート中も不動産の管理費(HOA費用)、固定資産税、保険料などの支払いは継続します。

Personal Representativeは、これらの支払いを遺産から行います。

よくある質問

Q1. ハワイのタイムシェアにもプロベートは必要ですか?

はい、タイムシェアも不動産の一種であり、プロベートが必要です。タイムシェアは金額が小さくても不動産権として扱われるため、10万ドル以下であってもプロベートを回避できません。TODDを設定しておくことをお勧めします。

Q2. 遺言がなくても日本人が相続できますか?

遺言がない場合、ハワイ州の法定相続分に従って相続されます。配偶者と子がいる場合、配偶者が遺産の半分、残り半分を子が均等に相続するのが一般的です。ただし、プロベート手続きは必要であり、遺言がある場合より複雑になることが多いです。

Q3. FIRPTAで源泉徴収された税金は戻ってきますか?

源泉徴収額が実際の税額を超えている場合は、米国での確定申告(Form 1040NR)により還付を受けることができます。ただし、還付には数か月かかることがあります。また、日本での外国税額控除の対象となるのは、最終的に確定した税額です。

Q4. ハワイの不動産を売らずに保有し続けることはできますか?

はい、可能です。プロベート完了後、相続人名義に変更すれば、そのまま保有し続けることができます。賃貸に出して収益を得ることも可能ですが、米国での確定申告が必要になります。また、日本でも不動産所得として申告が必要です。

Q5. Joint Tenancyに変更すると贈与税がかかりますか?

被相続人単独名義からJoint Tenancyに変更する場合、持分の移転が発生するため、日本では贈与税の課税対象となる可能性があります。ただし、配偶者へ居住用不動産を贈与する場合は、贈与税の配偶者控除(2,000万円)が使える場合があります。変更前に税務上の影響を確認することをお勧めします。

まとめ:ハワイ不動産は生前対策が重要

ハワイの不動産相続は、プロベートに1~2年、50万~200万円以上の費用がかかります。

ハワイ不動産相続のポイント
□ 不動産がある場合は必ずプロベートが必要
□ 非居住外国人の米国遺産税基礎控除はわずか6万ドル
□ 売却時はFIRPTA(15%)+HARPTA(7.25%)の源泉徴収あり
□ Joint Tenancy、TODD、リビングトラストでプロベート回避可能
□ 日本でも相続税が課税される

ハワイに不動産をお持ちの方は、生前にプロベート回避策を講じておくことを強くお勧めします。

当事務所では、ハワイの弁護士とも連携し、プロベート手続きから日本の相続税申告まで一貫してサポートしております。
ハワイ不動産の相続でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

関連記事

ハワイ不動産の相続手続き完全ガイド|プロベート・FIRPTA・回避策を徹底解説の写真

この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属 
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は350件。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

相続税の申告手続き、トゥモローズにお任せください

相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

タップで発信

0120-916-968

平日 9:00~21:00 土日 9:00~17:00

お問い合わせ

国際相続のトータルサポート
TOM相続クラブ 専門家による事前対策で万が一の負担を軽減 入会金・年会費無料
採用情報