【必見】相続税の名義預金の判定方法とフローチャート

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名義財産・生前贈与

【必見】相続税の名義預金の判定方法とフローチャートの写真

この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

名義預金の判定って難しいですよね?

なぜ難しいかというと
①名義預金の種類によって判定方法が異なる
②判定要素が複数あり、それぞれの基準も曖昧
の2つの理由があると思います。

名義預金の判定はその種類ごとにフローチャートに当てはめて順序立てて整理するのが一番の近道です。

今回のコラムでは名義預金の判定をフローチャートを使ってわかりやすく解説します。

最後までお読みいただければ名義預金の判定ができるようになっているはずです!

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1. 名義預金には2種類がある

名義預金とは、亡くなった人の名義ではないけども亡くなった人の財産に含める必要がある預金をいいます。

この名義預金には大きく分けて下記の2つの種類が存在します。

□妻名義の預金
□子、孫名義の預金

種類ごとに判定方法が異なるのです。

2. 妻名義の名義預金フローチャート

まずは、フローチャートから確認していきましょう。

名義預金フローチャート(妻)

名義預金の代名詞ともいわれるのが、妻名義の預金です。

上記フローチャートでは最初の問で共働き夫婦を除外しています。
したがって、下記の解説は主に専業主婦である妻名義の預金について解説していきます。

妻名義の名義預金の判定や計算が難しい理由としては、妻の固有財産の確定や管理状況の確認に骨を折るためです。

妻名義の預金は下記状況を総合的に考慮して名義預金に該当するか否か判断します。

①過去の妻の固有収入と生活費等の負担額の把握
②過去の妻の大きな入出金の状況
③相続開始前の夫婦間の資金移動の有無

①過去の妻の固有収入と生活費等の負担額の把握

妻の過去の収入は妻の固有財産とすることができます。
すなわち、夫の相続財産に含めなくて良い、名義預金から除外できるということです。

共働き夫婦であれば妻の給与収入も相当蓄財されていますが、今お亡くなりになっている人の妻の世代は専業主婦の人も多いです。
専業主婦の妻の固有財産と認められる主な過去の収入は下記の通りです。

□ 妻の両親等からの遺産
□ 妻の公的年金の蓄積
□ 妻のパート収入や不動産賃貸、売却収入
□ 夫などから適正な手続きにより受けた贈与
□ 結婚持参金(結婚前の給与収入や支度金等)
□ 上記に伴う運用益

妻の過去の収入を把握したとしてもその金額を日々の生活で使ってしまっていては上記の合計額をそのまま妻の固有財産と考えることはできません。

妻の口座から引き落とされている水道光熱費等や日々の生活費、交際費、医療費等の現金引き出しを把握し、妻口座から支出されていたものであれば上記の妻の固有収入の合計額からマイナスしなければなりません。

上記の差し引き額が死亡日の妻名義の預金残高の合計額を超える場合には、その超えた金額が名義預金と判断される可能性があります。

なお、妻の過去の収入で迷いやすいものを具体例で確認していきましょう。

【専業主婦のへそくり】

専業主婦が夫から毎月お金をもらって、家計をやりくりして、余った金額をへそくりとしてその専業主婦名義の預金に預け入れていた場合のその専業主婦名義の預金は、誰が外から稼いできたと言えるでしょうか?
もちろん、夫です。専業主婦の家事は労働の対価として認められませんで、最初に外から稼いできたのは夫と考えます。
すなわち、その専業主婦名義の預金の資金拠出者は夫となります。

【妻名義の個人年金】

保険料を夫が負担して、妻が被保険者及び受取人の個人年金保険があったとします。
この契約につき、年金支払が開始して、妻名義の預金に毎月年金が入金されたとします。
この年金が貯まった妻名義の預金の資金拠出者は誰でしょうか?
最初に保険料を負担した夫でしょうか?
違います。
この妻名義の預金の資金拠出者は妻なのです。
年金支払開始日に夫から妻に対する贈与が成立しているため、その後にもらう年金は妻が外から稼いできたことになるのです。
この場合には、年金評価額が110万円を超えるときは贈与税の申告を忘れないようにしましょう。

②過去の妻の大きな入出金の状況

夫婦で自宅を購入した場合や一時払いの生命保険料を支払ったなど上記②以外の大きな支出を妻自身がしている場合には妻の固有財産を把握する上で考慮しなければなりません。

子や孫へ妻から贈与している場合も忘れずに考慮しましょう。

③相続開始前の夫婦間の資金移動の有無

①~③で妻名義の残高に妥当性が伺えたとしても相続開始前の夫婦間で根拠のない資金移動があった場合には相続財産、債務に加味させる必要があります。

仮に亡くなる2年前に夫の預金から妻の預金に1,000万円を振り込んだとします。
振り込んだ理由もただ妻の預金のほうが利率が高かったため等の理由の場合には当該1,000万円は夫の相続財産に計上すべきでしょう。
したがって、相続開始前の夫婦の資金移動は名義預金に該当する資金移動が含まれている可能性があるため必ず確認が必要です。

妻名義では口座の管理者は重要視しない

これから説明する子や孫名義の預金口座ではその口座の管理者が重要となりますが、妻名義の預金については口座の管理者は重要視しません。

例えば、管理状況について考えてみると、家計のやりくりをしていたのが妻であるならば、「その預金の管理は被相続人が行っている」という問いの答えは、Noとなるはずです。

しかし、妻名義の預金の場合には、Noとならないことが多いのです。
過去の判例では、名義預金の管理者は支配者(最終意思決定者)と考え、家計の主宰者であり、外から稼いできた夫と認定されることが多いです。

すなわち、妻は夫の代理により家計を管理していただけで、真の管理者は夫と判断されるのです。難しいですよね。

なお、支配者すらも妻であると認められれば妻への贈与が成立していて上記①~③で計算した妻の固有財産を上回る金額が妻名義の預金を構成していたとしても名義預金に含めなくていい可能性があります。
この辺は判断が難しいので相続の強い税理士に必ず相談するようにしましょう。

専業主婦である妻名義の預金の評価方法の更に詳しい解説は、名義預金の計算方法 専業主婦の場合をご参照ください。

また、共働き夫婦の妻名義の預金の評価方法の解説は、名義預金の計算方法 共働き夫婦の場合をご参照ください。

3. 子・孫名義の名義預金フローチャート

子・孫名義の預金の判断ポイントは、贈与が成立していたかどうかです。
これだけ考えればいいのです。
すなわち、
「贈与が成立していれば名義預金には含めなくてOK」
「贈与が不成立なら名義預金として相続財産に含める」
ということになります。

子・孫名義の預金の贈与が成立しているかどうかは下記状況を総合的に考慮して判断します。

①適切な贈与契約書がある?
②名義人(子・孫)はその口座の存在を知っていて自由に引き出すことができた?
③その口座の印鑑は被相続人が使っていた印鑑とは別の印鑑?
④通帳、キャッシュカード、印鑑の管理者が名義人(子・孫)自身?

上記質問にすべてYesならば贈与は成立していると考えて名義預金から除いて大丈夫です。

YesとNoが混じっているような場合にはグレーゾーンであるため相続に強い税理士に相談してください。

名義預金と生前贈与の判定方法を詳しく知りたい人は、名義預金? 生前贈与? 判定方法をわかりやすく解説します!を参照してください。

また、名義預金の全体像を詳しく知りたい人は、名義預金とは?税務調査で指摘されないために意義と対策を徹底解説をご参照ください。

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