ドイツの銀行口座を相続したら|相続証明書(Erbschein)が要る場合と要らない場合
10秒でわかる この記事の要約
- Erbschein(相続証明書)は必ず必要とは限りません。相続関係が明確なら、自筆遺言を含む遺言と裁判所の開封関係書類で足りる場合があります。
- 必要な場合は、在日ドイツ公館の公証・認証の支援を利用して申請の準備を進められます。
- 国外への払戻しでは、本人確認や税務署の無異議証明書なども確認します。
- 相続放棄と税務の通知には期限があります。故人の国籍・常居所、適用される法律、債務の有無を早めに整理してください。
「ドイツの銀行から、Erbscheinを出すように言われました。日本から取れるものなのでしょうか。」
ドイツ法が適用される相続では、原則として死亡により相続人が財産と債務を承継します(ドイツ民法1922条)。英米法系の一部の国のように、遺産の代表者を選任してから承継を進める仕組みとは異なります。
ただし、裁判所が関与しないわけではありません。遺産裁判所(Nachlassgericht)は、遺言の開封、Erbscheinの発行、必要な場合の遺産の保護・管理(同1960条・1981条)などを扱います。
ドイツに口座があることだけで、ドイツの相続法が適用されるとは限りません。
ドイツ側では、原則として故人の最後の常居所を基準に準拠法を判断し、遺言による本国法の選択や、日本などEU域外の国との適用関係も確認します。まず、故人の国籍、生活の本拠、死亡日、遺言の有無を整理してください。以下の相続法の説明は、ドイツ法が適用される場合を基本とします。相続税の納税義務は、この準拠法とは別に判断します。
本記事では、ドイツの法令・判例、Deutsche Bankの公表資料、在日ドイツ公館の案内をもとに、日本に住む相続人がドイツの個人の預金口座を解約して日本へ送金するまでの確認事項を整理します。
ドイツの相続税と二重課税の解説は、税理士法人トゥモローズの関連記事「ドイツの相続税と手続き|日本との違いと二重課税の対策」をご覧ください。
最初に確認すること|銀行への死亡連絡と、故人の情報の整理
先に整理するのは、故人の国籍、最後の常居所、死亡日、遺言の有無、債務の有無です。
この5点で、適用される法律、裁判所の管轄、必要な書類、相続放棄の期限が変わります。
債務がありそうな場合は、書類の準備より先に相談してください(相続放棄を検討する場合)。
ドイツ法が適用される場合、放棄の期間は原則6週間です(民法1944条)。相続の開始と自分が相続人になった根拠を知った時から進みますが、遺言などによる相続では、遺産裁判所からその内容が告知される前には始まりません。故人の最後の住所がドイツ国外にしかなかった場合、または相続人が期間の開始時にドイツ国外にいた場合は、原則6か月です。
放棄は、遺産裁判所での申述または公的な認証を備えた申述書による必要があります。在日ドイツ公館でも署名認証の案内がありますが、予約や認証だけで完了するわけではなく、期限内に書類を裁判所へ到達させることまで確認してください。
ドイツ法では、相続を承認したあとに放棄することはできません(民法1943条)。日本法が適用される相続放棄には原則3か月という別の期限があります。残高照会や払戻しの手続きを進める前に、適用される法律と期限を確認してください。
銀行への死亡の連絡|Deutsche Bankの3つの方法
| 方法 | 使える人・内容 |
|---|---|
| ウェブの申込み | 故人の口座の共同名義人でも代理人でもない場合。死亡を示す書類をアップロードする |
| オンラインバンキング | 共同名義人・代理人として本人に付与されたアクセス権がある場合 |
| 支店 | 予約して来店。死亡を示す書類の原本と有効な身分証を持参する |
同行は、代表の電話番号として+49 69 91010000を案内し、週末を含め24時間つながるとしています。相続の問い合わせはErbenhotline +49 201 24647613(月〜金9:00〜16:00・ドイツ現地時間)です。24時間の案内は相続専用窓口には当てはまりません。
死亡を示す書類は、どこで亡くなったかで変わります。
ドイツ国内で亡くなった場合は、通常、戸籍役場(Standesamt)が発行するSterbeurkundeを使います。ドイツの身分登録法28条は、死亡地を管轄する戸籍役場へ「死亡後3営業日(Werktag)まで」に届け出ると定めています。
日本で亡くなった場合は、死亡の記載がある戸籍や死亡届の受理証明書などについて、翻訳・認証を含めて銀行と裁判所に受理の条件を確認します。日本での死亡に、ドイツの届出期限がそのまま当てはまるわけではありません。
原本の提示を求められる場面と、オンラインで写しを受け付ける場面があります。必要な部数と返却の有無を先に確認してください。
遺言が手元にあるなら、遺産裁判所へ提出します。
ドイツ民法2259条は、公的な保管下にない遺言を持っている人に、死亡を知ったあと遅滞なく遺産裁判所へ提出する義務を定めています。すでに公的に保管されている遺言を、取り寄せて出し直すものではありません。
ドイツでは公正証書遺言も自筆遺言も、裁判所による開封の対象です。日本の家庭裁判所の検認とは別の制度です。
口座の残高を書面で出してもらう一般的な進め方は、海外口座の残高証明書の取り方にまとめています(一般的な案内です)。
海外口座の相続代行サービスの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
Erbscheinが必要な場合と、省略できる場合
相続人は、法律上Erbscheinでしか相続権を証明できないわけではありません。
連邦通常裁判所は2013年10月8日の判決(XI ZR 401/12)で、一律にErbscheinなどの提出を求める貯蓄銀行の約款を、消費者との関係で無効としました。報道発表でも、相続人は法律上Erbscheinで証明する義務を負わず、ほかの方法でも証明できると述べています。
さらに、2016年4月5日の判決(XI ZR 440/15)は、開封された自筆遺言が、誰が相続人となるかを取引上必要な程度に明確に示している場合には、その遺言で相続権を証明できるとしました。公正証書遺言に限られません。
| 状況 | 確認する書類・手続き | 注意点 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言・相続契約で相続関係が明確 | 認証謄本と裁判所の開封関係書類(Eröffnungsprotokoll) | 公正証書遺言でも開封の手続きはある |
| 自筆遺言で相続関係が十分明確 | 開封された遺言の認証謄本と開封調書 | 内容や有効性に具体的な疑義があれば追加の証明を求められることがある |
| ほかの資料では相続権を十分に確認できない | Erbscheinの取得を検討する | 必要な理由を銀行に確認してから申請する |
| EU相続規則が適用される他の加盟国でも権利を示す必要がある | 欧州相続証明書の利用を検討する | 日本に相続人がいることだけで必要になる書類ではない |
「遺言があれば必ず不要」とも、「銀行はErbscheinを求められない」とも言えません。2013年の判決は約款の有効性、2016年の判決は具体的な証明方法についてのものです。
既存の口座の権限がある場合は、話が別です。
| 状況 | 確認すること |
|---|---|
| 故人と共同名義で、単独で処分できる口座だった | 契約上の権限の範囲。操作できる範囲と、最終的に取得する財産の範囲は別 |
| 死亡後も有効な銀行委任状がある | 委任の範囲、有効性、撤回の有無。代理人が相続人になったり、預金を自分のものにできたりするわけではない |
いずれの場合も、本人確認や税務上の確認まで不要になるわけではありません。
Deutsche Bankは、Erbscheinについて裁判所が発行する正本(Ausfertigung)の提出を案内しています。単なるコピーで足りるとはしていません。また、遺言で遺言執行が指定されている場合、相続人だけで動かせるとは限りません。執行の対象になる財産については、遺言執行者の権限と必要な書類を別に確認します。
日本からErbscheinを申請する流れ・管轄・費用
日本に住む相続人も、在日ドイツ公館の支援を受けて申請の準備を進められます。
在日ドイツ公館は、ドイツ国内に相続財産がある場合について、各種の認証と、遺産裁判所の手続きに必要な公証を行い、相続証書の申請手続きを支援すると案内しています。証明書を発行するのはドイツの遺産裁判所です。
問い合わせ先は居住地で分かれます(東京の大使館=新潟・長野・静岡以東、大阪・神戸の総領事館=富山・岐阜・愛知以西)。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 銀行から必要書類の一覧を受け取り、遺言などで代替できるかを確認する |
| 2 | 故人の国籍、最後の常居所、死亡日、遺言、相続人、遺産と債務の状況を整理する |
| 3 | 管轄する在日ドイツ公館の案内に従い、質問票と必要資料を準備する |
| 4 | 裁判所や公館に確認した形式で、戸籍などの翻訳・認証を整え、必要な公証を受ける |
| 5 | 公館・裁判所の案内に従って申請書と必要資料を指定先へ提出する。裁判所の審査・発行後、銀行が指定する正本などを提出する |
同公館は「相続証書の発行には、在外公館に質問票を提出後、通常数ヶ月を要します」としています。公館の案内による目安で、準拠法、必要な資料、裁判所の審査によって変わります。
申請では、宣誓に代わる保証(eidesstattliche Versicherung)が通常問題になります。
必要な方式は、ドイツの家事事件手続法352条と提出先の案内によります。日本の公証役場での認証で必ず代えられるとは限らないため、署名する前に、用紙・言語・認証者・原本の送付先を確認してください。
裁判所は、国際管轄とドイツ国内の担当裁判所を分けて確認します。
まず、EU相続規則などにより、ドイツの裁判所がその相続のErbscheinを発行できるかを確認します。故人の最後の常居所が日本などドイツ国外にあった場合は、国籍やドイツ国内の遺産の有無などによって、管轄の根拠と扱える遺産の範囲が変わります。
ドイツの裁判所に国際管轄があることを前提に、国内の担当裁判所を確認します(国際相続手続法47条は、EU規則による国際管轄を前提に国内の土地管轄の決め方を定めています)。家事事件手続法343条は、死亡時のドイツ国内の常居所、国内の最後の常居所を順に基準とし、いずれもない場合で故人がドイツ人またはドイツ国内に遺産があるときは、原則としてベルリンのシェーネベルク区裁判所が担当するとしています。一時的な滞在先で決まるものではありません。国外に住んでいた事案は、申請の前に公館や裁判所へ確認してください。
費用は、証明する遺産の範囲と価額などで変わります。
裁判所・公証人費用法(GNotKG)40条1項は、Erbscheinの発行などの手数料の算定の基礎を「相続開始時の遺産の価額。被相続人に由来する債務は控除する」と定めています。共同相続人の相続権のみに関する手続きでは、その相続人の持分によります(同条2項)。ドイツの預金残高だけで決まるとは限りません。
外国にも遺産がある場合は、ドイツ国内の遺産に限定した申請もできます。
家事事件手続法352c条は、遺産に国外の財産も含まれるとき、Erbscheinの申請をドイツ国内にある財産に限定できるとしています。効力が一部の遺産に限られる場合、GNotKG40条3項は、効力の及ばない財産を算定から外す一方で遺産債務は控除しないとしています。ただし、同条1項による額の方が低いことを疎明したときは、その低い額によります。限定すれば必ず安くなる、というものではありません。
このほか、公証、翻訳、認証、郵送、専門家への依頼の費用がかかります(在日ドイツ公館も、申請書の準備と公証に手数料がかかるとしています)。申請の前に、銀行が求める証明書の範囲と、算定の対象になる財産・費目別の費用を確認してください。
ドイツの銀行から届いた案内を、そのままご相談ください。
Erbscheinが必要か、日本で何を準備するか、現地に確認する事項を整理します。銀行からの書面と、故人の国籍・最後の居住地・死亡日を、分かる範囲でお知らせください。資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
東京・八丁堀の行政書士法人トゥモローズが、日本側の書類の準備と銀行手続きの進め方を支援します。対応範囲と費用は初回のご相談でご案内します。
平日 9:00〜21:00 土日祝 9:00〜17:00
共同相続人・委任状・遺言執行者
ドイツ法が適用される相続で相続人が複数いると、遺産は共同相続人全体に帰属します(民法2032条)。
相続分の割合だけを根拠に、その割合の預金を単独で引き出せるわけではありません。
民法2040条1項は「相続人は、遺産に属する目的物について共同でのみ処分できる」と定めています。口座の処分には、共同相続人全員の関与または有効な代理権が必要になるのが基本です。Deutsche Bankも、共同相続人は原則として全員の署名が必要だとしています。
1人に集約できるのは、権限をそろえたあとの手続きです。
必要な相続人全員から銀行所定の方式で権限を集めれば、その後の解約・払戻しの手続きを代表者に集約できる場合があります(同行は、遺産の清算のための委任状(Vollmacht zur Nachlassabwicklung)の書式を案内しています)。委任状を作る段階で必要な同意や署名まで省略できるわけではありません。
役割の違う人が出てきます。
| 呼び方 | 役割 |
|---|---|
| Nachlasspfleger | 相続人が不明な場合などに、裁判所が選任して遺産の保護・保全を担う |
| Nachlassverwalter | 遺産の管理・清算のために選任される遺産管理人 |
| Testamentsvollstrecker | 遺言で指定された遺言執行者 |
同行は、これらの人も職務の範囲で処分する権限を持つとしています。誰が権限を持つかで、銀行に出す書類が変わります。
委任状の考え方はPOA(委任状)とはにまとめています(主に英語で作成する委任状の解説です。ドイツでは銀行所定の書式、ドイツ語、公証の方式が別に求められることがあります)。
国外への払戻しに必要な税務確認と、ドイツ・日本の手続きの期限
ドイツの銀行は、国外に住む相続人への払戻しの前に、税務署の無異議証明書(Unbedenklichkeitsbescheinigung)を求めることがあります。
背景には、税の納付または担保の提供の前に、故意または過失で遺産を法の適用地域外へ移したり、適用地域外に住む権利者に提供したりした保管者等の責任を定める規定があります(相続税及び贈与税法20条6項)。
同条7項は、その金額が5,000ユーロを超えない場合は責任を問わないとしています。ただし、5,000ユーロは非課税枠でも、無条件で払戻しを受けられる基準でもありません。1つの税務案件について国外へ支払う金額などの基準であり、送金を小分けにして各回の免責枠を使う、という性質のものでもありません。
Deutsche Bankの公表ページには、有価証券などを合計600ユーロを超えて国外へ移す場合にも証明書が必要という記載があります。現行法の基準(5,000ユーロ)とは表記が異なるため、この相続で必要な書類は取引のある支店に確認してください。同行は、国内の遺言執行者が指定されている場合を例外として挙げていますが、これは同行の運用の説明であり、すべての銀行に共通する法定の免除ではありません。
ドイツの相続税がかからない場合でも、証明書を求められることがあります。
課税関係を確認するために必要になるためです。相続税が生じるかという判断と、銀行が払戻しのために求める書類は分けて考えてください。申請先は、その相続について相続税を担当する管轄の税務署(Finanzamt)です。銀行から求められた文書名と照会文を用意して問い合わせます。
ドイツの3種類の税務手続きと、日本の相続税の申告・納税期限を整理します。
| 手続き | 主な義務者 | 期限の基本 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 保管・管理する財産についての通知 | 銀行等 | 死亡を知ってから原則1か月以内(同法33条1項) | 対象財産の価額が5,000ユーロを超えない場合などの省略の規定がある(施行令1条4項) |
| 相続取得の通知(Anzeige) | 取得した本人 | 取得を知ってから原則3か月以内(同法30条1項) | ドイツの裁判所等が開封した死因処分による取得で関係が明らかな場合の省略規定があるが、不動産・事業用財産・資本会社の持分・国外財産が含まれる場合は除かれる(同条3項) |
| 相続税の申告書の提出 | 税務署から求められた人など | 税務署が指定する期限(同法31条。提出の期間は少なくとも1か月) | 「申告は一律3か月以内」ではない |
| 日本の相続税の申告・納税 | 日本で申告・納税が必要になる人 | 原則、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内(国税庁No.4205) | ドイツの手続きの完了を待たずに進める |
銀行にも独立した通知義務がありますが、銀行から通知されても、取得した本人の通知が当然に不要になるわけではありません。銀行の通知を省略できる5,000ユーロと、国外への支払いについて責任を問わない5,000ユーロは、目的も対象も異なる規定です。
ドイツと日本の相続税の課税範囲
ドイツの相続税は、取得した人ごとに、その取得に対して課税されます。
| 区分 | 相続税及び贈与税法2条1項の定め |
|---|---|
| 無制限納税義務(1号) | 被相続人または取得者がInländerであれば、国外財産を含むその人の取得が課税対象になり得る |
| 制限納税義務(3号) | それ以外は、評価法121条のInlandsvermögen(国内財産)に限って課税 |
Inländerには、国内に住所または常居所がある人のほか、ドイツ国籍で、国内に住所を持たないまま継続して国外に滞在している期間が5年を超えていない人などが含まれます(同項1号b)。
一般の個人預金は、評価法121条の列挙に含まれていません。
同条が挙げるのは、国内の農林業用財産、国内の不動産、国内の事業用財産、国内法人への10分の1以上の持分、国内の不動産等で担保された債権など9種類です。通常の制限納税義務では、銀行がドイツにあることだけで国内財産にはあたりません。
ただし、住所がないことだけで結論を出さないでください。
次の点をあわせて確認します。
- 被相続人または取得者が、上記のInländerに当たらないか(ドイツ国籍者の5年の規定を含む)
- 低税率国への移住などに関する対外税法4条の拡張された制限納税義務などの特則の対象ではないか
- その預金が通常の個人預金で、国内の事業用財産の一部として扱われるものではないか
特則は、国籍、移住先の課税状況、経済的な関係などの条件によるもので、日本に住む人すべてに当てはまるものではありません。該当しそうな場合は、ドイツの税務の専門家(Steuerberater)に確認してください。
相続税の相談や申告の代理を依頼する場合、ドイツの税務は現地の税務専門家に、日本の相続税は税理士に確認します。行政書士法人トゥモローズは、日本側の書類の準備と銀行手続きの支援を行い、日本の相続税は税理士法人トゥモローズが対応します。
日本の書類の認証・ドイツ語翻訳・日本への送金
ドイツも日本もアポスティーユ条約の締約国です。ただし、アポスティーユが証明するのは署名や公印の真正であり、文書の内容、代理権、翻訳、各手続きへの適合まで保証するものではありません。
| 書類・ルート | 手順の基本 |
|---|---|
| 戸籍など、日本の公文書 | 提出先の要求を確認し、必要に応じて外務省のアポスティーユを受ける |
| 委任状などの私文書(通常のルート) | 公証人の認証 → (地方)法務局長の公証人押印証明 → 外務省のアポスティーユ |
| ワンストップサービス | 北海道(札幌法務局管区内)・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・福岡の公証役場では、これらを一度に取得できる |
| 在日ドイツ公館で行う公証・認証 | 公館が扱える手続きと、ドイツの提出先の要件に従う。日本の通常のルートとは別 |
埼玉・茨城・栃木・群馬・千葉・長野・新潟の公証役場では、公証人の認証と法務局長の証明を一度に取得でき、そのあと外務省で手続きします。
2026年10月5日から、外務省(東京)の窓口申請には予約が必要です。
外務省は、同日以降の東京の窓口での申請にオンライン予約を求め、予約がない場合は申請できないとしています。交付は郵送のみになります。郵送での申請も受け付けています。
翻訳の順番に注意してください。
在日ドイツ公館は「日本語の書類をドイツの役所、裁判所その他の公的機関へ提出するにはドイツ語への翻訳が必要です。アポスティーユが必要な場合は、翻訳前に取得してください。書類に翻訳を添付した後ではアポスティーユの取得はできません」と案内しています。
同公館は、ドイツの公認翻訳士の資格を持たない翻訳者の訳文が受理されるかは提出先に事前に確認するよう求め、基本的にはドイツの公認翻訳士による認証翻訳を提出する方が確実だとしています。公認翻訳士のデータバンクと、日本国内に住む公認翻訳士の一覧も公表されています。なお、公館自体は翻訳を作成しません。
日本の戸籍や死亡を示す書類の取得は戸籍謄本の英訳、死亡証明書を英語で用意するにはでも説明していますが、いずれも英訳についての一般的な案内です。英訳だけでドイツの提出要件を満たすとは限りません。
送金の報告義務は、誰がどの取引をするかで決まります。
対外経済令67条は、ドイツの居住者等(Inländer)が非居住者等との間で行う支払いについて、ドイツ連邦銀行への報告を定めています。5万ユーロ以下の支払いは報告の対象外です。これは送金の限度額でも非課税枠でもありません。
日本に住む相続人が日本で受け取るという事実だけで、その人にドイツ居住者としての報告義務が生じるわけではありません。ただし、ドイツに住む相続人や遺言執行者などが関わる場合は、誰がどの取引を行うかによって確認が必要です。銀行に送金を依頼すれば依頼人の報告も当然に済む、とは限りません。送金の前に銀行に確認してください。
日本の銀行で受け取る場合は、SWIFTコード、支店名、英字の口座名義を正確に伝えます。送金の通貨、手数料、着金の確認方法、相続による資金であることを示す資料もあわせて準備してください。着金までの流れは海外口座の相続金を日本に送金する手順で説明しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続放棄をしたい場合、期限はいつまでですか?
A. ドイツ法が適用される場合は原則6週間ですが、故人の最後の住所がドイツ国外にしかなかった場合や、相続人が期間の開始時に国外にいた場合は原則6か月です。起算点、申述の方式、裁判所へ到達させる期限もあわせて確認します。日本法が適用される相続放棄には原則3か月という別の期限があり、承認したあとは放棄できません。詳しくは本文の「最初に確認すること」をご覧ください。
Q2. 日本にいる相続人は、どうやって本人確認を受けますか?
A. Deutsche Bankは、相続人の本人確認の方法として、ビデオによる確認と支店での確認を挙げ、海外に住所がある場合は「信頼できる第三者」による確認ができるとして、一定の要件を満たす弁護士や一部の金融機関を例に挙げています。ただし、日本の居住者や日本の旅券がそれぞれのサービスの対象になるか、どの資格者が「信頼できる第三者」に当たるかは、銀行に事前に照会が必要です。ビデオ確認があるから日本から必ず完結する、とは考えないでください。最初の問い合わせの段階で、使える方法と必要な書類を確認してください。
Q3. ドイツの相続税がかからない場合でも、無異議証明書は必要ですか?
A. 必要になることがあります。相続税がかかるかどうかという判断と、銀行が払戻しの前に求める書類は別です。銀行に必要な文書名を確認し、その相続について相続税を担当するドイツの税務署へ問い合わせてください。責任の基準となる5,000ユーロは、非課税枠でも払戻しの基準でもありません。詳しくは本文の税務確認の項をご覧ください。
Q4. 日本の行政書士には何を頼めますか?
A. 日本側の戸籍などの収集、相続関係の整理、翻訳の手配、公証・認証の段取り、銀行へ提出する書類や連絡の支援などを、案件の内容と対応できる範囲に応じて行います。Erbscheinは相続人本人が申請する方法もあり、在日ドイツ公館による公証・認証の支援を利用できる場合があります。ドイツ法の判断や現地での法律上の代理などが必要な部分は、その内容に応じてドイツの弁護士・公証人につなぎます。ドイツの税務は現地の税務専門家、日本の相続税は税理士法人トゥモローズが対応します。すべての案件でドイツへの渡航や現地への全面委任が必要になるわけではありません。
Q5. ドイツの口座のお金にも、日本の相続税はかかりますか?
A. 国外にある財産が課税対象に含まれるかは、被相続人と財産を取得した人の住所、国籍、過去の居住状況などで判定します(国税庁タックスアンサーNo.4138)。課税対象に含まれることと、基礎控除や特例を踏まえて申告・納税が必要かどうかは別の問題です。申告が必要な場合、期限は原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(同No.4205)。ドイツで相続税を納めた場合の調整には外国税額控除がありますが、要件と限度があるため、常に全額を相殺できるとは限りません。ドイツ側の手続きの完了を待たず、並行して税理士に相談してください。
海外口座の相続代行サービスの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。
まとめ
ドイツの銀行口座を相続したら、まず銀行に必要書類を確認し、故人の国籍・最後の常居所・遺言・債務を整理します。Erbscheinが必ず必要とは限らず、相続関係が明確な遺言と裁判所の開封関係書類で足りる場合があります。必要な申請では、在日ドイツ公館の公証・認証の支援も確認してください。
国外への払戻しでは、相続人であることの証明とは別に、本人確認や税務上の確認が必要です。相続放棄、ドイツへの相続取得の通知、日本の相続税の申告を銀行の手続きと並行して確認し、翻訳・認証を始める前に受理の条件をそろえることが、書類の取り直しを防ぐポイントです。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、ドイツを含む海外の口座の相続手続きについて、口座と残高の確認、戸籍の収集と翻訳・認証の段取り、銀行とのやり取り、解約・払戻し・日本への送金までを日本側の窓口としてお手伝いしています。
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- 英国の銀行口座相続|HSBC UK・Barclays・Lloyds・NatWestの解約・日本送金
税務の観点もあわせてご確認ください
ドイツの相続税の全体像と二重課税の調整、海外口座を解約するときの日本の税務上の注意点は、税理士法人トゥモローズの以下の記事をあわせてご確認ください(銀行の手続きの根拠は、本記事に挙げた法令・判例・公式資料をご覧ください)。
根拠法令・公的資料
- ドイツ民法1922条(包括承継)・1943条〜1945条(承認、放棄の期間と方式)・1960条・1981条(遺産の保護・管理)・2032条・2040条(共同相続財産と共同での処分)・2259条(遺言の提出義務)
- 国際相続手続法47条(EU規則による国際管轄を前提とした国内の土地管轄)/家事事件手続法343条(国内の担当裁判所)・348条(遺言の開封)・352条(Erbschein申請と宣誓に代わる保証)・352c条(国内の財産に限定したErbschein)
- 裁判所・公証人費用法(GNotKG)40条1項・2項・3項(手数料の算定の基礎と、効力が一部の遺産に限られる場合の扱い)
- 身分登録法28条(死亡の届出は死亡後3営業日まで)
- 相続税及び贈与税法2条1項(Inländerとドイツ国籍者の5年の規定、制限納税義務)・20条6項7項(国外の権利者へ支払った保管者の責任と5,000ユーロ)・30条(取得の通知は3か月以内と省略の例外)・31条(申告書)・33条(保管者の通知)/同施行令1条4項(5,000ユーロ以下の省略)
- 評価法121条(Inlandsvermögen の列挙)/対外税法4条(拡張された制限納税義務)
- 対外経済令67条(ドイツ連邦銀行への支払いの報告。5万ユーロ以下は対象外)
- 相続税の申告期限(国税庁タックスアンサーNo.4205)/国外財産の課税範囲(同No.4138)
- 行政書士法1条の3・1条の4(行政書士の業務範囲)
- BGH 2013年10月8日判決 XI ZR 401/12/BGH 2016年4月5日判決 XI ZR 440/15
- Deutsche Bank「Nachlassfall」および在日ドイツ公館の案内(2026年9月21日確認)
公的機関・根拠リンク
- Deutsche Bank「Nachlassfall」
- 連邦通常裁判所 報道発表 Nr.165/2013(2013年10月8日判決 XI ZR 401/12)
- BGH 2016年4月5日判決 XI ZR 440/15(判決全文PDF)
- 在日ドイツ公館「相続について」
- 在日ドイツ公館「認証翻訳」
- ドイツ民法1944条(Ausschlagungsfrist)
- ドイツ民法2040条(共同での処分)
- 家事事件手続法343条(管轄)
- 裁判所・公証人費用法(GNotKG)40条(手数料の算定)
- 家事事件手続法352c条(国内の財産に限定したErbschein)
- 国際相続手続法47条(国内の土地管轄)
- 身分登録法28条(死亡の届出)
- 相続税及び贈与税法2条(納税義務の範囲)
- 相続税及び贈与税法20条(保管者等の責任)
- 相続税及び贈与税法30条(取得の通知)
- 相続税及び贈与税法33条(保管者の通知)
- 評価法121条(Inlandsvermögen)
- 対外経済令67条(支払いの報告)
- 外務省「申請手続きガイド 2 申請の流れ」
- 外務省「証明(公印確認・アポスティーユ)」
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.4138 相続人が外国に居住しているとき
