電気・ガス・水道・NHK・携帯の死後手続き|名義変更・解約の進め方と注意点
10秒でわかる この記事の要約
- 故人の電気・ガス・水道・NHK・携帯・ネット・カードなどの契約は、死亡だけでは止まらない。基本料金などが発生し続ける。
- 料金の多くは口座振替・カード払い。引き落とし口座が凍結されると未払いになり、督促や供給停止につながることも。
- 同居家族が使い続けるなら名義変更、誰も使わないなら解約。まずは通帳・明細・請求書から契約を洗い出す。
- NHKの受信契約(放送法64条)も自動では終わらず、名義変更か解約が必要。
- 未払料金のうち死亡日までの分は故人の債務(債務控除の対象になり得る/死亡後発生分は当然には対象外)。相続放棄を検討中なら、支払い・名義変更・解約の前に注意(単純承認になり得る)。
「親が亡くなった後、電気やガスはそのままでいいの?」「NHKや携帯は、誰がどう手続きするの?」。故人が契約していたライフラインや通信・カードは、死亡によって自動的に止まるわけではありません。放っておくと基本料金などが発生し続け、口座が凍結されれば未払いになってしまいます。
本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、電気・ガス・水道・NHK・携帯などの死後手続きを、進め方と注意点に分けて整理します。
なぜ早めの手続きが必要か
故人の各種契約は、死亡しても自動では終わりません。電気・ガス・水道などは、解約しない限り基本料金が発生し続けます。そして、料金の多くは口座振替やクレジットカード払いです。
ここで問題になるのが、口座の凍結です。金融機関が契約者の死亡を把握すると口座が凍結され、引き落としができなくなります。その結果、料金が未払いとなり、督促や、電気・ガスなどの供給停止につながることもあります。逆に、解約を忘れたまま放置すると、誰も使っていないのに基本料金を払い続けることにもなりかねません。
そのため、故人の契約は、同居家族が使い続けるなら名義変更、誰も使わないなら解約と、早めに各社へ連絡して手続きすることが大切です。
まずは契約の洗い出しから
手続きの第一歩は、故人がどんな契約をしていたかを把握することです。次のような方法で洗い出します。
- 通帳・クレジットカードの明細:毎月の引き落とし・支払いの記録から、契約先が分かります
- 郵便物:請求書、検針票、契約の案内などが手がかりになります
- スマートフォン・パソコン:アプリ、ブックマーク、メールから、契約先を把握する手がかりになります。ただし、故人のID・パスワードでログインして本人になりすます操作は、各サービスの規約違反や不正アクセスの問題になり得ます。契約先を把握する手がかりとして確認するにとどめ、実際の解約・承継・アカウント削除は各社の死亡時手続き窓口を通じて進めます
洗い出した契約は、ライフライン(電気・ガス・水道)/通信(NHK・携帯・ネット・固定電話)/カード・サブスクなどに分類すると、もれなく進められます。引き落とし先を一覧にしておくと、口座の名義変更・解約の判断にも役立ちます。デジタル系の契約(SNS・サブスク)の死後手続きは故人のSNS・サブスクの死後手続き、生前の備えはデジタル遺品の生前整理もあわせてご覧ください。
契約ごとの、名義変更・解約の判断のめやすは次のとおりです。
| 契約 | 同居家族が使う | 誰も使わない | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 電気 | 名義変更・支払方法変更 | 解約 | 退去日・片付け日に合わせる |
| ガス | 名義変更・支払方法変更 | 閉栓・解約 | 立会いが必要な場合あり |
| 水道 | 名義変更・支払方法変更 | 使用中止 | 自治体の窓口を確認 |
| NHK | 名義変更 | 解約 | 受信設備・世帯状況を確認 |
| 携帯 | 承継・名義変更 | 解約 | 二段階認証に注意 |
| ネット | 名義変更 | 解約 | ルーター返却・違約金を確認 |
| クレジットカード | 原則不可(本人専用) | 解約 | 連動する支払いを先に確認 |
ライフライン(電気・ガス・水道)
電気・ガス・水道は、生活に直結するため、優先して手続きします。
- 同居家族が住み続ける場合:契約者の名義変更を行います。各社の窓口・電話・ウェブで手続きできます。
- 誰も住まなくなる場合:解約(使用中止)を申し込みます。解約日までの料金を精算します。
支払いが故人の口座振替・カード払いだった場合は、引き落とし方法の変更も必要です。口座が凍結される前後で未払いが生じやすいため、早めに各社へ連絡し、支払い方法を切り替えます。賃貸住宅で退去する場合は、退去日に合わせて解約します。
NHK・通信(携帯・ネット・固定電話)
通信系の契約は、種類ごとに手続きが分かれます。
- NHK受信契約:契約者が亡くなっただけで、自動的に名義変更・解約されるわけではありません。放送法第64条は、受信設備を設置した者に受信契約の義務を定めています。世帯に受信設備を使う人が残る場合は名義変更、受信設備がなくなる・世帯がなくなる場合は解約の手続きをします。
- 携帯電話・スマートフォン:各キャリアで解約または承継(名義変更)を行います。メールアドレスや二段階認証に使っている場合は、銀行やサブスクなど他の手続きが済むまで、解約のタイミングに注意します。
- インターネット・固定電話:プロバイダや電話会社で名義変更・解約をします。なお、固定電話の電話加入権は相続財産になり、別途の手続きがあります(電話加入権を相続したときの手続き)。
携帯やネットは、本人確認のIDやパスワードが分からず手続きに手間取ることがあります。契約書や請求書を手元に用意してから連絡するとスムーズです。
クレジットカード・サブスク
クレジットカードは、カード会社へ連絡して解約します。
- カードの未払い残高(債務)は相続の対象になります。
- カードには、各種サブスクや公共料金の支払いがひも付いていることが多く、解約前にどの支払いが連動しているかを確認します。連動を切り替えないまま解約すると、別のサービスが止まることがあります。
- 年会費や有料サブスクの引き落としを止めるためにも、早めの解約が安心です。
定額制の動画・音楽配信などのサブスクは、契約先ごとに解約します。把握しきれていないサブスクは、通帳・カード明細の少額の定期引き落としから見つけられます。解約を後回しにすると引き落としが続くため、優先して整理します。遺族がどの順序で進めるべきかは、税理士法人トゥモローズの解説もあわせてご覧ください。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):相続でサブスク地獄!? 遺族がやるべき順序と注意点
注意点(口座振替・未払い・相続放棄)
死後の各種手続きで、とくに注意したい点を整理します。
① 口座振替・カードの切り替えは早めに
口座が凍結されると引き落としができず、未払いが発生します。逆に、解約前に契約を放置すると基本料金がかかり続けます。早めに各社へ連絡し、名義変更・解約・支払い方法の変更を進めます。
② 未払料金は「死亡日まで」と「死亡後」で分けて考える
未払いの公共料金や通信料のうち、死亡日までに発生していた分は、故人の債務として相続の対象になり、相続税の申告で債務控除の対象になることがあります。一方、死亡後に相続人が使用を続けた分や、解約忘れで発生した基本料金などは、当然に債務控除できるとは限りません。また、債務控除の対象になるには、相続開始時点で存在していた債務であるだけでなく、金額や支払義務が確実と認められることも必要です(相続税法第14条)。死亡前後で発生時期を分けて整理し、税務上の扱いは税理士に確認します。
▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【相続税申告】債務控除をわかりやすく徹底解説
③ 相続放棄を検討中なら、支払い・名義変更・解約に注意
相続放棄を検討している場合は、支払いだけでなく、名義変更・契約継続・解約の進め方にも注意が必要です。死亡の事実を各社へ連絡すること自体は通常問題になりにくいですが、故人の預金から未払料金を支払う、契約を相続人名義で引き継ぐ、故人の契約上の地位を処分するような行為は、法定単純承認(民法第921条)と評価されるおそれがあります。負債が多い可能性がある場合は、「相続放棄を検討中で対応を確認している」と伝えるにとどめ、支払い・名義変更・解約の前に専門家へ確認しましょう。
死後の手続きは誰に頼む?
公共料金などの死後手続きは、それぞれの会社で行うものですが、相続手続き全体のなかで段取りすると効率的です。
- 行政書士:契約の洗い出しの整理、戸籍収集による相続人の確定、相続手続き全体の段取りのサポート(各種解約・名義変更の進め方の整理を含む)
- 司法書士:不動産がある場合の相続登記
- 税理士:相続税の試算・申告(未払金の債務控除などを含む)
- 弁護士:相続放棄をめぐる紛争、相続人間の争いがある場合の対応
なお、行政書士が行うのは、契約先の整理、必要書類の準備、各社手続きの進め方の案内、相続手続き全体の段取りです。未払金の責任や相続放棄をめぐって、契約先・相続人間で争いがある場合の交渉・代理は弁護士と連携します。
公共料金や通信の手続きそのものは難しくありませんが、数が多く、口座凍結や相続放棄とも絡むため、全体の段取りが重要です。「何から手をつければいいか分からない」段階で相談すると、相続手続き全体として整理できます。費用は依頼する範囲・内容で変わるため、見積もりで確認しましょう。死亡直後にやることは、相続発生から7日以内にやるべきこともあわせてご覧ください。
死後の各種手続きや、相続手続き全体については、こちらもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 故人の電気やガスの契約は、放っておくとどうなりますか?
A. 死亡だけでは契約は止まらず、基本料金などが発生し続けます。料金は多くが口座振替やクレジットカード払いのため、引き落とし口座が凍結されると未払いになり、督促や供給停止につながることもあります。誰も住まないなら解約、同居家族が住み続けるなら名義変更と、早めに各社へ連絡することが大切です。
Q2. どの契約があるか分からないときは、どう調べますか?
A. 通帳やクレジットカードの利用明細にある引き落とし・支払いの記録が手がかりになります。毎月届く請求書・検針票も役立ちます。スマートフォンのアプリやメールも手がかりになりますが、故人になりすましてログイン・解約するのは規約違反や不正アクセスの問題になり得るため、契約先を把握する手がかりにとどめ、実際の手続きは各社の死亡時窓口を通じて行います。まずは引き落とし先を一覧にして、ライフライン・通信・サブスクなどに分類すると、もれなく進められます。
Q3. NHKの受信契約も手続きが必要ですか?
A. 必要です。NHKの受信契約は、契約者が亡くなっただけで自動的に名義変更・解約されるわけではありません(放送法64条は、受信設備を設置した者に受信契約の義務を定めています)。世帯に受信設備を使う人が残るなら名義変更、なくなるなら解約します。手続きはNHKの窓口・電話・ウェブで行え、解約には受信機の撤去や世帯がなくなったなどの事情確認が必要になる場合があります。
Q4. 故人の携帯電話やクレジットカードはどうすればよいですか?
A. 携帯電話は、各キャリアで解約または承継(名義変更)の手続きをします。メールアドレスや二段階認証に使っている場合は、他の手続きが終わるまで解約のタイミングに注意します。クレジットカードは、カード会社へ連絡して解約します。未払い残高は相続の対象になり、年会費やサブスクの引き落としを止めるためにも、早めの解約が安心です。
Q5. 相続放棄を考えている場合、解約手続きをしても大丈夫ですか?
A. 注意が必要です。死亡の事実を各社へ連絡すること自体は通常問題になりにくいですが、故人の預金から未払料金を支払う、契約を相続人名義で引き継ぐ、契約上の地位を処分するような行為は、相続を承認したとみなされ(法定単純承認)放棄できなくなるおそれがあります。負債が多そうな場合は、支払い・名義変更・解約に進む前に、放棄できるかどうかを専門家へ確認しましょう。
Q6. 死亡後に発生した公共料金も、相続税の債務控除になりますか?
A. 死亡日までに発生していた未払料金は、故人の債務として債務控除の対象になり得ます。一方、死亡後に相続人が使用した分や、解約忘れで発生した基本料金などは、当然に債務控除できるとは限りません。債務控除の対象になるには、金額や支払義務が確実と認められることも必要です。死亡前後で発生時期を分けて整理し、税理士に確認します。
まとめ
故人の電気・ガス・水道・NHK・携帯・ネット・クレジットカードなどの契約は、死亡だけでは止まりません。料金の多くは口座振替・カード払いのため、口座が凍結されると未払いになり、督促や供給停止につながることもあります。同居家族が使い続けるなら名義変更、誰も使わないなら解約と、まずは通帳・明細・請求書から契約を洗い出して、早めに各社へ連絡します。
NHKの受信契約(放送法第64条)も自動では終わりません。未払料金のうち、死亡日までに発生していた分は故人の債務として相続の対象になり、相続税では債務控除の対象になることがあります(死亡後に発生した分や解約忘れの基本料金は当然には対象外)。相続放棄を検討している場合は、支払い・名義変更・解約の前に注意が必要です(法定単純承認になり得ます)。
行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)を拠点に、首都圏とオンライン(Google Meet・全国対応)で、相続手続きのご相談に対応しています。相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズと連携します。
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未払いの公共料金や通信料のうち、死亡日までに発生していた分は、故人の債務として相続の対象になり、相続税の申告で債務控除の対象になることがあります(死亡後に発生した分は当然には対象になりません)。債務控除の範囲や計算については、グループの税理士法人トゥモローズの解説記事もご参照ください(相続税の試算・申告は税理士法人トゥモローズが対応します)。
根拠法令・公的資料
- 放送法第64条(NHKの受信契約。契約者死亡時は名義変更・解約の手続きが必要)
- 民法第896条(相続の一般的効力。未払料金などの債務も相続される)
- 民法第915条(相続の承認・放棄の熟慮期間)/第921条(法定単純承認)
- 相続税法第13条・第14条(債務控除。被相続人の債務は相続財産から控除)
- 税理士法第2条・第52条(相続税の計算・申告は税理士の業務)/司法書士法第3条(登記申請の代理)
- 行政書士法第1条の3(業務)・第1条の4(相談等)。他の法律で制限された業務を除く
