相続コラム

ホーム相続コラム信託銀行の「遺言信託」とは|家族信託との違い・費用・行政書士との比較

信託銀行の「遺言信託」とは|家族信託との違い・費用・行政書士との比較

最終更新:

遺言書作成

アバター画像

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 信託銀行等の「遺言信託」とは、遺言書作成の相談・公正証書化の手続支援・保管・遺言執行をサポートするサービスの通称。遺言自体は通常の公正証書遺言。
  • 「家族信託」とは別物。家族信託は信託法にもとづく財産管理・承継のしくみで、認知症対策などに使う。名前は似ているが内容は違う。
  • 費用は「基本手数料+年間管理料+遺言執行報酬」。執行報酬は遺産額に連動し高額になりやすい。
  • 行政書士の遺言作成サポートは定額で費用を抑えやすい。信用力・一括対応の安心を取るか、費用と柔軟性を取るかで選ぶ。

信託銀行等が提供する「遺言信託」とは、遺言書作成の相談、公正証書遺言の作成に向けた手続支援、遺言書の保管、相続発生後の遺言執行をサポートするサービスの通称です。 ここで作られる遺言は通常の公正証書遺言であり、信託銀行が遺言執行者として手続きを担う点が特徴です。信託法上の財産管理信託(家族信託・民事信託)そのものではなく、サービス名として使われるのが一般的である点にまず注意が必要です。

「遺言信託」と「家族信託」は名前が似ているため混同されがちですが、まったく別の制度・サービスです。本記事では、遺言を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、両者の違いと費用、行政書士の遺言作成サポートとの比較を中立的に整理します。


「遺言信託」と「家族信託」はまったくの別物

最初に、よくある混同を整理します。

項目遺言信託(信託銀行のサービス)家族信託
性質遺言の作成・保管・執行を任せるサービスの通称信託法にもとづく財産管理・承継のしくみ
主な目的相続発生後の遺言執行生前の財産管理(認知症対策など)・承継
使うタイミング死後(執行)生前から(管理)

家族信託は、判断能力が低下した後の財産管理にも使える法的なしくみです。一方、信託銀行の遺言信託は、あくまで遺言の作成から執行までを代行するサービスで、生前の財産管理機能はありません。「信託」という同じ言葉でも、目的も中身も違うことを押さえておきましょう。


遺言信託のしくみと費用

信託銀行の遺言信託は、おおむね次の3ステップで構成されます。

  1. 遺言書作成の相談・手続支援: 公正証書遺言の作成に向けた相談と手続きをサポート(公証役場とのやり取りを含む)
  2. 遺言書の保管: 正本などを信託銀行が保管し、定期的に状況を確認
  3. 遺言の執行: 相続発生後、信託銀行が遺言執行者として手続きを進める

費用は、①申込時の基本手数料、②保管期間中の年間管理料、③相続発生後の遺言執行報酬の3つがかかるのが一般的です。信託銀行各社が公表する料金例では、申込時の基本手数料が数十万円規模遺言執行報酬に最低100万円超の最低報酬額が設定されていることもあり、これに執行対象財産額に応じた料率が加わります。財産規模が大きいほど執行報酬は高額になりがちです。

料金体系は金融機関ごとに大きく異なるため、契約前に「申込時費用」「年間費用」「相続発生後の執行報酬」「司法書士・税理士等の外部費用」を分けて確認し、総額の見通しを把握することが重要です。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【遺言執行者が必要な場合はどんな時?】遺言執行者を選任するメリット


遺言信託のメリット・デメリット

中立に見ると、次のように整理できます。

  • メリット: 作成から保管・執行まで一括で任せられる/金融機関の信用力・安心感/長期保管の体制
  • デメリット: 執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすい/不動産登記・相続税申告・紛争対応は結局ほかの専門家が必要/対象が財産承継に限られ、おひとりさまの死後事務などはカバーしない

注意したいのは、遺言信託で作る遺言も効力は通常の公正証書遺言と同じだという点です。「信託銀行だから特別に強い遺言になる」わけではありません。安心感の対価として費用が上がりやすいため、費用と内容のバランスで判断することが大切です。


遺言書の準備、お済みですか?

公正証書遺言作成サポートなら、
原案作成から公証役場の調整・
証人手配まで一括対応。
税理士法人との連携で
相続税試算までワンストップ。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 応相談


行政書士の遺言作成サポートとの比較

費用や対応範囲を比較したい場合は、行政書士の公正証書遺言作成サポートも選択肢になります。

項目信託銀行の遺言信託行政書士の遺言作成サポート
作成支援ありあり(文案整理・公証役場調整・証人手配)
費用の傾向基本料+管理料+執行報酬(遺産額連動・最低報酬額あり)料金体系が分かりやすい(事務所により異なる)
執行信託銀行が執行者行政書士法人が執行者に就任可能
連携登記・税務・紛争は別途提携司法書士・税理士法人・提携弁護士と連携

当法人の公正証書遺言作成サポートは、料金体系が分かりやすく、文案整理から証人手配まで対応し、遺言執行者への就任もお引き受けします。不動産の相続登記は提携司法書士、相続税は税理士法人トゥモローズ、遺言執行後に紛争性が生じた場合は提携弁護士と連携するため、必要な部分だけを過不足なく依頼できます。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!


どちらを選ぶべきか

選び方の目安は次のとおりです。

  • 遺言信託が向く方: 金融機関の信用力・長期的な組織対応・一括対応を重視したい
  • 行政書士のサポートが向く方: 費用を抑えたい/内容に合わせて柔軟に設計したい/死後事務や見守りなど周辺の備えも組み合わせたい

大切なのは、「総額」と「対応範囲」を並べて比較することです。執行報酬が遺産額連動の場合、財産規模によっては総額が大きく変わります。迷ったら、両方の見積もりを取って比べるのが確実です。


遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

残された家族を守る、公正証書遺言。行政書士法人トゥモローズの遺言作成サポート

よくある質問(FAQ)

Q1. 信託銀行の「遺言信託」とは何ですか?

A. 遺言信託とは、信託銀行などが提供する、遺言書の作成支援・遺言書の保管・相続発生後の遺言執行をまとめて引き受けるサービスの通称です。遺言そのものは通常の公正証書遺言で、信託銀行が遺言執行者として手続きを担う点が特徴です。法律上の「信託」とは別の、商品名としての呼び方です。

Q2. 家族信託と遺言信託は同じものですか?

A. 別物です。家族信託は、信託法にもとづき、財産の管理・承継を家族などに託す法的なしくみで、認知症対策などにも使われます。一方、信託銀行の遺言信託は、遺言の作成・保管・執行を金融機関に任せるサービスの通称で、法的な信託契約とは異なります。名前が似ていますが、内容はまったく違います。

Q3. 遺言信託の費用はどのくらいかかりますか?

A. 一般に、申込時の基本手数料、保管期間中の年間管理料、相続発生後の遺言執行報酬の3つがかかります。特に遺言執行報酬は遺産額に応じて決まることが多く、財産規模が大きいと数百万円規模になることもあります。料金体系は金融機関ごとに異なるため、契約前に総額の見通しを確認することが大切です。

Q4. 行政書士の遺言作成サポートと何が違いますか?

A. 遺言信託は作成から執行までを金融機関に一括で任せられる安心感がある一方、執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすい傾向があります。行政書士の遺言作成サポートは、文案整理・公証役場調整・証人手配を分かりやすい料金体系で対応できるのが特徴です。紛争性のある対応は弁護士、相続税は税理士と連携します。

Q5. 遺言信託を使うと、特別に強い遺言になるのですか?

A. なりません。遺言信託で作る遺言も、通常の公正証書遺言と効力は同じです。違いは、相続発生後の遺言執行を信託銀行が担う点にあります。遺言の効力そのものが強くなるわけではないため、「信託銀行だから安心」と費用面の確認を省くのは避けた方がよいでしょう。

Q6. 遺言信託のメリット・デメリットは何ですか?

A. メリットは、作成から保管・執行まで一括で任せられる安心感と、金融機関の信用力です。デメリットは、執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすいこと、不動産登記や相続税申告・紛争対応は結局ほかの専門家へ依頼が必要なこと、対象が財産承継に限られることです。費用と内容のバランスで判断します。

Q7. 遺言信託と行政書士の遺言サポート、どちらを選べばよいですか?

A. 金融機関の信用力や一括対応を重視し、費用が高くても安心を優先する方には遺言信託が向きます。費用を抑えつつ、内容に合わせて柔軟に設計したい方には、行政書士の遺言作成サポート+必要に応じた士業連携が向きます。まずは両方の総額と対応範囲を比較して判断するのがおすすめです。

Q8. 遺言の作成を相談できますか?

A. できます。当法人では、公正証書遺言の作成サポート(文案整理・公証役場調整・証人手配)を定額で提供し、遺言執行者への就任にも対応しています。遺言信託と迷っている段階でのご相談も歓迎です。費用と対応範囲を整理し、ご家族の状況に合った選び方をご案内します。


まとめ

信託銀行の「遺言信託」は、遺言の作成から保管・執行までを一括で任せられるサービスですが、執行報酬が遺産額に連動して高額になりやすく、登記・税務・紛争対応は別途必要です。家族信託とはまったくの別物である点にも注意が必要です。遺言の効力自体は公正証書遺言と変わらないため、「総額」と「対応範囲」を比較して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、定額の公正証書遺言作成サポートと遺言執行者就任に対応しています。遺言信託と迷っている段階でのご相談も、初回無料相談で承ります。


遺言書の準備、お済みですか?

公正証書遺言作成サポートなら、
原案作成から公証役場の調整・
証人手配まで一括対応。
税理士法人との連携で
相続税試算までワンストップ。

03-6280-5188

平日 9:00〜21:00 土日祝 応相談


関連記事


根拠法令・公的資料

  • 信託法(家族信託・民事信託の根拠。信託銀行の「遺言信託」はサービス名)
  • 民法第960条(遺言の方式)・第969条(公正証書遺言)
  • 民法第1006条(遺言執行者の指定)・第1012条(遺言執行者の権利義務)
  • 税理士法第2条・第52条(相続税の試算・申告は税理士の業務)
  • 司法書士法第3条・第73条(不動産登記の申請代理は司法書士の業務)
  • 弁護士法第72条(紛争性のある対応は弁護士の業務)

公的機関・根拠リンク

アバター画像

この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。