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エンディングノートと遺言書の違い|法的効力と正しい使い分け

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遺言書作成

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行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)

大塚 英司


10秒でわかる この記事の要約

  • 最大の違いは「法的効力」。遺言書は方式を満たせば法的効力を持つ(民法第960条)が、エンディングノートに法的効力はない。
  • 財産の分け方はエンディングノートで指定できない。書いても遺産分割協議が必要になるため、承継先は遺言書で確定させる。
  • エンディングノートは、医療・介護の希望、財産や契約の一覧、連絡先、メッセージなど「伝えたい情報」を自由に書く補助資料。
  • おすすめは「両方」。エンディングノートで棚卸し → 法的に確定させたい部分を遺言書に、という使い分けが効果的。

エンディングノートと遺言書の最大の違いは、「法的効力があるかどうか」です。 遺言書は、民法で定められた方式を満たし、遺言能力や内容面に問題がなければ、財産の承継先などについて法的な効力を持ちます(民法第960条)。一方、エンディングノートは様式自由で気軽に書ける反面、相続人を法的に拘束する効力はありません。

「エンディングノートに書いておけば安心」と思っていると、いざ相続が起きたときに「財産の分け方が決まっていなかった」という事態になりかねません。本記事では、相続を専門に扱う行政書士法人トゥモローズが、両者の違いと正しい使い分けを整理します。


エンディングノートと遺言書の違いを一覧で確認

まず全体像を表で確認します。

項目エンディングノート遺言書
法的効力なしあり(方式を満たした場合)
様式自由民法所定の方式(自筆証書・公正証書など)
財産の承継先の指定できないできる
主な内容医療・介護・葬儀の希望、財産一覧、連絡先、メッセージ誰に何を遺すか、遺言執行者の指定など
書きやすさ高い(気軽に書ける)方式に注意が必要

ひとことで言えば、遺言書は「効力をもたせる文書」、エンディングノートは「情報と気持ちを伝える文書」です。役割が違うため、どちらか一方ではなく、両方を組み合わせるのが理想です。


エンディングノートでできること・できないこと

エンディングノートの強みは、様式にとらわれず、幅広い情報を自由に残せることです。

  • できること: 医療・延命治療の希望を伝える/財産・口座・保険・サブスクの一覧を残す/デジタル機器やネット上のアカウント情報を整理する/葬儀・お墓の希望を伝える/家族へのメッセージを残す
  • できないこと: 財産の承継先を法的に指定する/相続人に特定の行動を強制する/遺言執行者を法的に指定する

特に注意したいのが財産の分け方です。エンディングノートに「自宅は長男へ」と書いても法的効力はなく、相続人全員の遺産分割協議が必要になります。確実に決めたい部分は、遺言書に書く必要があります。

また、医療・延命治療の希望をエンディングノートに書くことは、本人の意思を家族や医療関係者に伝える手がかりになりますが、それだけで医療機関や家族を法的に拘束するものではありません。必要に応じて、尊厳死宣言書・任意後見契約・身元保証などとあわせて整理します。


遺言書でできること(法的効力のある事項)

遺言書は、民法所定の方式に従うことで、次のような事項に法的効力を持たせられます。

  • 誰にどの財産を相続させる・遺贈するかの指定
  • 遺言執行者の指定
  • 相続分の指定 など

遺言の方式には、手軽な自筆証書遺言(民法第968条)と、公証人が関与する公正証書遺言(民法第969条)などがあります。確実性を重視するなら、方式不備のリスクが低く、原本が公証役場に保管される公正証書遺言が安心です(ただし公正証書遺言でも、遺言能力などが後から争われる可能性はあります)。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):【公正証書遺言費用の目安は?】公正証書遺言にかかる手数料を徹底解説!


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「両方を活かす」終活の進め方

エンディングノートと遺言書は、対立するものではなく補い合う関係です。おすすめの流れは次のとおりです。

  1. エンディングノートで棚卸し: 財産・契約・希望・連絡先を書き出し、全体像をつかむ
  2. 法的に確定させたい部分を抽出: 「これは確実に決めたい」という財産の承継先を洗い出す
  3. 遺言書を作成: 抽出した内容を、できれば公正証書遺言で確定させる
  4. エンディングノートで補足: 配分の理由や想いは、遺言書の付言事項やエンディングノートで補う

この順で進めると、「情報の整理」と「法的な確定」の両方に無理なく備えられます。デジタル機器やネット口座の情報は、エンディングノートに残しておくと、遺された家族の財産調査が大きく楽になります。

▶ 関連解説(税理士法人トゥモローズ):ネット口座、仮想通貨などのデジタル遺品と相続税


エンディングノートを書くときの注意点

便利なエンディングノートですが、使い方に注意点もあります。

  • 財産の分け方を「決めた」と思い込まない: 法的効力はないため、承継先は遺言書で確定させます。
  • 保管場所を家族に伝える: 見つけてもらえなければ意味がありません。
  • パスワード等の管理に注意: ID・契約先・保管場所は整理しても、パスワードそのものをノートに直接書くのは避け、保管場所や確認方法だけを記載するのが安全です。
  • 定期的に更新する: 財産や契約は変わります。年に一度など、見直すタイミングを決めておきます。

遺言作成サポートの内容と料金の全体像は、こちらにまとめています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. エンディングノートとは何ですか?

A. エンディングノートとは、自分の情報や希望、家族へのメッセージなどを自由に書き残しておく任意の記録です。決まった様式はなく、医療・介護の希望、財産や契約の一覧、葬儀・お墓の希望、連絡してほしい人などを書きます。法律上の効力はなく、書く内容も自由です。

Q2. エンディングノートに法的効力はありますか?

A. ありません。エンディングノートは、相続人や第三者を法的に拘束する効力を持ちません。したがって、財産を誰に渡すかをエンディングノートに書いても、その記載だけでは相続手続きを進められません。法的効力をもたせたい内容は、遺言書(民法所定の方式)に書く必要があります。

Q3. エンディングノートと遺言書はどう違いますか?

A. 最大の違いは法的効力の有無です。遺言書は、民法で定められた方式を満たし、遺言能力や内容面に問題がなければ、財産の承継先などについて法的効力を持ちます(民法960条)。エンディングノートは様式自由で書きやすい反面、法的効力はありません。財産の分け方は遺言書で、伝えたい情報や希望はエンディングノートで、と役割を分けるのが基本です。

Q4. エンディングノートには何を書けばよいですか?

A. 医療・介護の希望、財産や口座・保険・サブスクなどの一覧、デジタル機器やネット上のアカウント情報、葬儀・お墓の希望、連絡してほしい人、家族へのメッセージなどです。特に「どこに何があるか」を整理しておくと、遺された家族が財産調査や各種手続きで困らずに済みます。

Q5. 財産の分け方はエンディングノートで指定できますか?

A. 指定できません。エンディングノートに「自宅は長男へ」と書いても法的効力はなく、相続人全員の遺産分割協議が必要になります。財産の承継先を確実に決めたい場合は、遺言書(できれば公正証書遺言)を作成してください。エンディングノートは、その意図を補足する役割にとどめます。

Q6. エンディングノートと遺言書は、どちらを先に書くべきですか?

A. 順番に決まりはありませんが、エンディングノートで財産や希望を棚卸しすると、遺言書で決めるべき内容が整理しやすくなります。まずエンディングノートで全体像を書き出し、そのうえで法的に確定させたい部分を遺言書にする、という流れがおすすめです。

Q7. エンディングノートだけで相続手続きはできますか?

A. できません。エンディングノートは財産や連絡先の手がかりにはなりますが、預貯金の解約や不動産の名義変更などの相続手続きには、戸籍・遺産分割協議書(または遺言書)・印鑑証明書などが必要です。エンディングノートは手続きを「楽にする補助資料」と位置づけてください。

Q8. 遺言書の作成も相談できますか?

A. できます。当法人では、エンディングノートで整理した内容のうち、法的に確定させたい部分を公正証書遺言として作成するサポートを行っています。財産の棚卸しから遺言の文案づくりまで一体で進めることで、想いと手続きの両方に備えられます。


まとめ

エンディングノートと遺言書は、「法的効力の有無」で役割が分かれます。財産の承継先など確実に決めたいことは遺言書(できれば公正証書遺言)で、医療・介護・葬儀の希望や財産の一覧、家族への想いはエンディングノートで——と使い分けることで、情報の整理と法的な確定の両方に備えられます。どちらか一方ではなく、両方を組み合わせるのが終活の理想形です。

行政書士法人トゥモローズは、東京・八丁堀(東京メトロ日比谷線「八丁堀駅」徒歩3分)の事務所を拠点に、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)とオンライン(Google Meet・全国対応)で、財産の棚卸しから公正証書遺言の作成までをサポートしています。「何から始めればいいか分からない」段階のご相談も歓迎です。


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根拠法令・公的資料

  • 民法第960条(遺言の方式)
  • 民法第968条(自筆証書遺言)
  • 民法第969条(公正証書遺言)

公的機関・根拠リンク

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この記事の執筆者:大塚 英司

行政書士法人トゥモローズ 代表行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第18082222号)
税理士(東京税理士会新宿支部 登録番号 117702)

相続を専門に取り扱う行政書士・税理士。相続手続き・遺言・おひとりさま終活の実務に幅広く従事し、戸籍収集や遺産分割協議書の作成から、死後事務委任契約・任意後見契約といった生前対策の設計まで、ご相談者お一人おひとりの状況に応じて丁寧にサポートしている。