名義預金の計算方法 共働き夫婦の場合

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名義財産・生前贈与

名義預金の計算方法 共働き夫婦の場合の写真

この記事の執筆者:角田 壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは。
相続税専門の税理士法人トゥモローズです。

名義預金の計算方法 専業主婦の場合の記事に引き続き名義預金の計算方法を解説していきます。
今回は共働き夫婦で夫婦間の資金移動が頻繁に行われており実質的な所有者が不明なケースです。夫婦間だと、妻の定期預金の利率のほうが有利だから夫名義の預金を妻名義の定期に振り替えるなどということはよく行われていることです。このように夫婦間でぐちゃぐちゃになっている場合の名義預金の計算が実務では一番難しいです。もちろん正解はないのでどれだけ当初申告で破綻していないロジックを組み立てられるかが勝負になります。
名義預金 税務調査で否認されるパターンを徹底解説!の記事にも書いていますが、名義預金の計算は「言ったもの勝ち」です。唯一絶対の評価方法がない名義預金について納税者の計算方法を税務当局が覆す場合には、その納税者の計算方法が明らかに間違っていることを立証しないといけないのです。正解がないものを立証するのは税務当局としても大変なことなのです。所得税や法人税と違って相続税には推計課税がないということもポイントですね。

なお、正解がないといっても実務上のセオリーはなんとなくあります。過去の裁決や判例により「このように算出すべき」というやんわりとした指針はなんとなくあります。
このやんわりとした指針で名義預金を計算する上で収集すべき情報は、
・夫婦の収入比及びその期間
・家計の運用状況
・不動産等大型財産の売買状況
などです。
具体的数字を使って確認してみます。

【前提】
共働き夫婦の夫が死亡
夫名義の預金 3,000万円
妻名義の預金 5,000万円
現役時代の収入費 夫6:妻4
夫婦ともに給与所得者
勤続年数は夫婦同じくらい
生活費は夫と妻が均等に負担していた
居住用不動産も夫婦で1/2共有取得

このケースにおける手取年収が夫600万円、妻400万円だったとします。年間の生活費が500万円かかったとすると夫婦の負担額(すなわち家計への繰入額)は250万円ずつです。そうなるとあるべきの夫名義の預金は350万円、妻名義の預金は150万円となるはずです。
名義預金はこの350:150で按分するのです。収入費の600:400ではないのです。家計への繰入額を考慮して按分するというのがポイントです。
この按分にさらに不動産の売買の状況等を加味した上で夫のあるべき預金残高を算出することになります。
もちろん、家計への繰入額など不明なケースもありますが、その場合には収入比によって按分することもあります。
また、この方法はあくまであるべき論であり、夫婦共働きで夫婦名義の預金がぐちゃぐちゃになっている場合はその名義を尊重するというのも一理あります。
亡くなる前数年間の大きな金額の資金移動のみを加味して、あるべき金額の裏付けを念のため取り、大きな乖離がなければ名義通りに申告したところで税務署から否認されるケースは少ないと思います。

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相続税の手続きは慣れない作業が多く、日々の仕事や家事をこなしながら進めるのはとても大変な手続きです。

また、適切な申告をしないと、後の税務調査で本来払わなくても良い税金を支払うことにもなります。

税理士法人トゥモローズでは、豊富な申告実績を持った相続専門の税理士が、お客様のご都合に合わせた適切な申告手続きを行います。

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