全国民へ一律10万円 特別定額給付金(新型コロナウイルス対策)の相続税の取り扱い

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相続税申告

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズです。

新型コロナウイルスの影響により事業の縮小を余儀なくされたり、生活に不安を覚える人も増えているかと思います。
そのような人々を救済するため国や地方公共団体は様々な給付金や助成金を用意しています。

今回は、各種給付金の中でもコロナ対策の目玉であった全国民に一律現金10万円を給付するという「特別定額給付金」の相続税の取り扱いについてわかりやすく解説します。

なお、新型コロナウイルスによる相続税の申告期限の延長や財産評価への影響については、【相続税申告】新型コロナウイルスによる申告期限の延長や財産評価への影響は参照して下さい。

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特別定額給付金と所得税

決定するまでに紆余曲折があった特別定額給付金ですが、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下「コロナ国税特法」といいます)により所得税は課税されないこととなっています。
念のため条文も転載しておきます。(読み飛ばしても全く問題ありません)

コロナ国税特法第4条第1項

市町村又は特別区から給付される給付金で次に掲げるものについては、所得税を課さない。
一 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に鑑み、家計への支援の観点から給付される財務省令で定める給付金
二 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置による児童の属する世帯への経済的な影響の緩和の観点から給付される児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)による児童手当の支給を受ける者その他の財務省令で定める者に対して給付される財務省令で定める給付金

上記第一号の「財務省令で定める給付金」が今回の特別定額給付金を指します。

所得税が課税されないことはわかりましたが、相続税の取り扱いはどうなるでしょうか?
そもそも死亡した場合でも給付を受けることができるのでしょうか?
以下で確認していきましょう。

死亡した場合の給付の有無

特別定額給付金には、基準日が設けられています。その基準日は、令和2年4月27日です。
この令和2年4月27日を基準として下記の通り給付の有無が定められています。

基準日(4月27日)前に亡くなった場合

給付を受けることができない

基準日(4月27日)以降に亡くなった場合

1. 申請後に亡くなった場合

給付を受けることができる

2. 申請前に亡くなった場合

(1) 単身者の場合
給付を受けることができない
※ 単身者の場合には世帯そのものが存在しなくなるため給付を受けることができなくなります。
 
(2) 単身者以外の場合
給付を受けることができる
※ 世帯が複数人いる場合には世帯自体が残るため亡くなった世帯員、世帯主分も給付を受けることができます。なお、世帯主が亡くなった場合にはその世帯員から新たな世帯主を定めてその新世帯主が受給権者となります。

相続税の取り扱いをパターン別に徹底解説

基準日(4月27日)前に亡くなった場合

相続税の対象外
 
【解説】
基準日以前に亡くなった場合には上記でも解説した通り、給付を受ける権利がありませんので当然のこととして相続税の対象となることはありません。

基準日(4月27日)以降に亡くなった場合

1. 単身者が亡くなった場合

(1) 申請前に亡くなった場合
 
相続税の対象外
 
【解説】
前述の通り単身者が申請前に亡くなった場合には特別定額給付金の支給を受ける権利がございませんので相続税の対象となるものもありません。
 

(2) 申請後受給前に亡くなった場合
 
相続税の対象
 
【解説】
10万円の支給を受ける権利を所有したまま亡くなりましたので未収入金として相続税の対象となります。
 

(3) 受給後に亡くなった場合
 
相続税の対象
 
【解説】
10万円が振り込まれた後に亡くなった場合には当然のこととして預貯金や現金を構成しますので死亡日までに使い切ってなければ預貯金や現金として相続税の対象となります。
 

2. 単身者以外が亡くなった場合

(1) 亡くなった方が世帯主の場合
 
① 申請前に亡くなった場合
 
相続税の対象外
 
【解説】
世帯主が基準日以降申請前に亡くなった場合には、新世帯主が代わりに前世帯主分の特別定額給付金を申請することができます。この場合の受給権者は新世帯主となります。したがって、後日新世帯主の口座に前世帯主分の10万円が振り込まれたとしても相続税の対象にはなりません。
 

② 申請後受給前に亡くなった場合
 
相続税の対象
 
【解説】
単身者の場合同様、特別定額給付金を受ける権利を所有したまま亡くなりましたので未収入金として相続税の対象となります。
なお、単身者と異なるのは世帯員の特別定額給付金の取り扱いです。
例えば、父、母、子の3人家族だったとします。父が3人分の特別定額給付金の申請後に亡くなったとします。
その場合、父の口座に30万円が振り込まれます。父の相続財産は父分のみの10万円でしょうか?、それとも家族全員分の30万円でしょうか?
私の知る限り国税庁からの見解は出てないと思いますが、私見では30万円すべてが世帯主の財産となるので相続税の対象は30万円と考えてます。

ちなみに、相続で世帯主の口座が凍結された場合には特別定額給付金の振り込みが実行されませんので役所に問い合わせて口座変更等の手続きが必要になります。
 

③ 受給後に亡くなった場合
 
相続税の対象
 
【解説】
単身者の場合同様、当然のこととして預貯金や現金を構成しますので死亡日までに使い切ってなければ預貯金や現金として相続税の対象となります。
なお、世帯員の給付金も預貯金を構成していたとしても上記②同様のロジックで預り金等として債務控除はできないでしょう。
 

(2) 亡くなった方が世帯員の場合
 
相続税の対象外
 
【解説】
特別定額給付金が世帯主の財産であるとの前提の場合には世帯員がどのタイミングで亡くなったとしても相続税の対象となるものはございません。

全国民へ一律10万円 特別定額給付金(新型コロナウイルス対策)の相続税の取り扱いの写真

この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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