ゴルフ場用地の相続税評価を徹底解説!

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土地評価

ゴルフ場用地を亡くなった人が保有していた場合にどのように評価をすれば良いか検討も付かないですよね。

ゴルフ場を経営している人が亡くなるケースよりもゴルフ場用地として土地を貸し付けている人が亡くなるケースが多いと思います。

今回はゴルフ場用地の相続税評価について徹底解説します。

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ゴルフ場用地の相続税評価の全体像

ゴルフ場用地は次の区分に応じて下記の評価方法を採用します。

No 所在地域 評価方法
市街化区域及び
それに近接する地域
宅地比準方式
①以外の地域 倍率方式
①②以外の地域 通常の雑種地評価

上記の所在地域の区分をどのようにすべきかですが、答えは簡単です。
ゴルフ場が所在する都道府県の財産評価基準書を確認すれば良いのです。

国税庁HP 令和4年分財産評価基準

例えば、東京都をクリックして下記ページのゴルフ場用地等用をクリックします。

東京都財産評価基準書

そうすると下記ページが表示されます。
東京都の場合には、路線価地域にあるゴルフ場と下記2つのゴルフ場のみが上記「①市街化区域及びそれに近接する地域」に所在するゴルフ場に該当するのです。

評価倍率表(ゴルフ場用地等用) 令和4年分(東京都)

次に、②の①以外の地域に所在するゴルフ場についてです。
こちらも①と同様にゴルフ場が所在する都道府県の財産評価基準書を確認します。

評価倍率表(ゴルフ場用地等用) 令和4年分(東京都)市街化区域以外

上記に記載されいているゴルフ場が該当します。

最後に、③の①②以外のゴルフ場については、消去法的な考えで上記財産評価基準書に記載されていないゴルフ場ということです。

① 市街化区域及びそれに近接する地域に所在するゴルフ場

市街化区域及びそれに近接する地域に所在するゴルフ場の相続税評価額は、次の区分に応じて下記の単価を採用します。

所在地域 採用単価
路線価地域 路線価
倍率地域 1㎡当たりの固定資産税評価額×倍率

■路線価地域に所在するゴルフ場

路線価地域に所在するゴルフ場の相続税評価額は、次の算式により評価します。

路線価 × 地積 × 60% - 宅地造成費 × 宅地造成費部分の地積

※1 路線価

ゴルフ場の周囲に設定されている路線価をそのまま採用します。
周囲の路線価が複数ある場合には、ゴルフ場に接する距離によって加重平均した価額を単価とします。

ゴルフ場 図

上記の場合には、
(150千×50m+120千×25m+200千×50m+100千×25m)/(50m+25m+50m+25m)=153,333円
を単価とします。

※2 60%を乗じる理由
路線価をそのまま使用せずに60%を乗じている理由は、地積規模の大きな宅地と同様の考え方です。
すなわち、ゴルフ場のような大きな土地を宅地分譲開発した場合に、私道等の潰れ地が生じることを考慮したためです。

※3 宅地造成費
市街地農地等の宅地造成費をそのまま使います。
国税庁HP 宅地造成費の金額表 令和4年分(東京都)

■倍率地域に所在するゴルフ場

倍率地域に所在するゴルフ場の相続税評価額は、次の算式により評価します。

1㎡当たりの固定資産税評価額 × 倍率 × 地積 × 60% - 宅地造成費 × 宅地造成費部分の地積

※ 倍率

東京都の場合には前述の通り、2つのゴルフ場しかありませんが、多摩カントリークラブであれば「2.6」、府中カントリークラブであれば「2.9」を乗じます。
評価倍率表(ゴルフ場用地等用) 令和4年分(東京都)

② ①以外の地域に所在するゴルフ場

①以外の地域に所在するゴルフ場の相続税評価額は、次の算式により評価します。

ゴルフ場用地の固定資産税評価額 × 倍率

※ 倍率

東京都の場合には、下記倍率表のゴルフ場に定められている倍率を乗じます。
評価倍率表(ゴルフ場用地等用) 令和4年分(東京都)市街化区域以外

③ ①及び②以外の地域に所在するゴルフ場

①及び②以外の地域に所在するゴルフ場の相続税評価額は、通常の雑種地として評価します。
一番難易度が高いです。

雑種地の評価方法は、近傍地比準方式により評価します。
すなわち、そのゴルフ場の近隣の地目に準じて評価します。
近傍地がどの地目に該当するかの判定が難しいのです。
ゴルフ場の近くがどのような状況になっているか、ゴルフ場となる前の地目が何だったか等により判断することとなります。

雑種地の評価方法は下記コラムをご参照ください。
雑種地(駐車場、資材置き場、空き地等)の相続税評価を徹底解説!

ゴルフ場用地として貸し付けている場合

山林を保有していた地主が、ゴルフ場事業者に土地を貸し付けて、ゴルフ場事業者がゴルフ場造成工事を行った場合、地主の土地の相続税評価につき、ゴルフ場用地として造成された後の高い雑種地の価額を基にするとその地主が可愛そうですよね。

したがって、このような場合には、造成工事が行われていないものとして山林として評価します。
この山林を比準地目といいますが、比準地目はそのゴルフ場の近隣の地目やゴルフ場として造成される前の地目で判断します。
したがって、この山林が畑や原野のケースも実務上は有りえます。
なお、ゴルフ場として造成される前の地目は登記簿謄本等で確認します。

ちなみに、ゴルフ場事業者の賃借権の評価はゴルフ場用地として評価します。

具体例で確認していきましょう。

■山林としての固定資産税評価額 200万円
■山林の倍率 5.0倍
■ゴルフ場用地の固定資産税評価額 4,000万円
■ゴルフ場用地の倍率 2.5倍
■賃借権割合 20%

■地主の土地の相続税評価額

200万円 × 5.0 × (1-20%(賃借権割合))= 800万円

■ゴルフ場事業者の賃借権の相続税評価額

4,000万円 × 2.5 × 20%(賃借権割合)= 2,000万円

貸し付けられている雑種地の評価の詳細は、貸し付けられている雑種地の相続税評価を徹底解説をご参照下さい。

ゴルフ場用地の相続税評価を徹底解説!の写真

この記事の執筆者:角田 壮平

東京税理士会京橋支部所属
登録番号:115443

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

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