公正証書遺言の効果と作成方法をわかりやすく解説!!
遺言書の作成を検討されている人の中には、
「自分が作成した遺言書が無効になってしまわないか」
「遺言書が発見されないのではないか」
など、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
遺言書の中には、安全で確実に遺言を遺せる方法として「公正証書遺言」があります。
公正証書遺言は、様々なリスクを取り除き、遺す方の意思や思いを届ける最善の方法です。
ここでは、公正証書遺言の効果とどのように作成するのかについて詳しく解説していきます。
目次
公正証書遺言とは公証人が関与する遺言
判事や検事などの法律に関する職務を長年経験した人の中から法務大臣が任命する「公証人」が書類を作成し、その内容を証明する書類のことを「公正証書」と言います。
この公正証書の形式で作成した遺言が「公正証書遺言」です。
公正証書遺言を作成する5つのメリット
公正証書遺言は、自分で作成し保管する自筆証書遺言に比べて次のようなメリットがあります。
①無効にならない遺言書を作成できる
自筆証書遺言には、遺言書の書き方に形式的な要件が存在し、この要件を満たしていない遺言書には、法的な効力がありません。
公正証書遺言であれば、公証人が遺言書を作成するため、遺言書が無効になることは原則的にありません。
ただし、遺言者に遺言能力がなかったり、証人が不適格だったりすると無効になってしまうケースもあります。
遺言のついては「遺言をわかりやすく徹底解説!」を参照ください。
②社会的に信用性の高い遺言書を作成できる
公正証書遺言の作成には、遺言者と公証人以外に2人の証人が必要です。
また、遺言者は印鑑証明書の提出に加え、運転免許証などを公証人に提示し、しっかりと本人確認が行われるため、非常に信用性の高い遺言書を作成することができます。
③検認手続きが必要ない
自筆証書遺言では、遺言書を開封する前に家庭裁判所での「検認手続き」が必要になります。
検認手続きとは、家庭裁判所で相続人立ち合いのもと遺言書を開封し、遺言書の存在を明確にする手続きのことです。
公正証書遺言では、既に公証人により本人確認と遺言書の存在が確認されているため、検認手続きが必要ありません。
自筆証書遺言の中でも、「法務局での遺言書保管制度」を利用している場合には、検認手続きは必要ありません。
制度の概要については「自筆証書遺言の保管制度をわかりやすく徹底解説」で詳しく説明していますのでご覧ください。
④紛失・隠匿・偽造のリスクがない
自筆証書遺言のリスクには「遺言書の紛失・隠匿・偽造」があります。
公正証書遺言を作成すると、オリジナルの公正証書遺言(原本)は公証役場に保管され、原本の写しである「正本」が遺言者に渡されることになります。
原本が公証役場に保管されているため、遺言書の紛失・隠匿・偽造のリスクがなく、確実に遺言者の意思を伝えることができます。
⑤体が不自由でも遺言書を作成できる
公正証書遺言は、体が不自由であっても作成することができます。
例えば、遺言者の手や目が不自由であった場合には、自筆証書遺言を作成することは困難です。
公正証書遺言の場合は、遺言者が公証人へ口頭で遺言を伝え、遺言書を作成するため、体が不自由であっても遺言書を作成することができます。
また、自署が難しい場合には、公証人が自署できない理由を記載することで、遺言者に代わって公証人が氏名を代筆することが認められています。
公正証書遺言は自分でできる?
公正証書遺言は、司法書士などの専門家からサポートしてもらわなくても自分で公証役場に連絡を取り、作成することが可能です。
専門家のサポートなしで公正証書遺言を作成するためには次の手順により行います。
準備①財産を把握する
遺言書作成は「遺言者がどのような財産を保有しているのか把握する」ところから始まります。
預金や不動産、加入されている生命保険の契約など、できるだけ正確に把握しましょう。
準備②遺言書の原案を考える
誰にどのような財産を相続または遺贈させたいのか、公正証書遺言の中身について考えましょう。
基本的には遺言者が自由に決めることができますが、将来トラブルが発生しないように「遺留分」に注意しながら検討するといいでしょう。
遺留分については「遺留分 わかりやすく徹底解説!」で詳しく紹介していますので、ご覧ください。
準備③必要になる書類を集める
公正証書遺言を作成するには、遺言者の本人確認書類や相続人との関係が分かる資料などが必要です。もれがないように書類を準備しましょう。
・遺言者の印鑑証明証
・運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付き身分証明書
・遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
・財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
・遺言の中に不動産がある場合には登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書中の課税明細書
・遺言の中に預貯金がある場合には預金通帳
・証人の氏名、住所、生年月日及び職業がわかるもの
準備④証人を2人依頼する
公正証書遺言を作成するためには2人の証人が必要です。未成年者や推定相続人(遺言者の相続人になると思われる人)、推定相続人の配偶者および直系血族は証人になることができませんので、信頼できる知人や利害関係のない人にお願いするようにしましょう。
手続き①公証人との事前打ち合わせ
以上の準備①から④ができたら、お近くの公証役場に連絡し、事前打ち合わせを行います。
事前打ち合わせでは、集めた書類を持参し、公証人に遺言書の原案を伝えましょう。
遺言者の状況(体の状況など)によっては公証人に出張してもらうことも可能です。
ここで実際に公正証書遺言を作成する日を決定します。
手続き②実際に公正証書遺言を作成する
公証役場にて遺言者、公証人、証人2人のもとで公正証書遺言を作成します。
公正証書遺言の内容を公証人が読み上げて確認し、遺言者と証人2人が署名押印を行うことで公正証書遺言が完成します。
公正証書遺言は「原本」「正本」「謄本」の3通が作成され、オリジナルである原本は公証役場に保管されます。
写しである「正本」と内容が確認できる「謄本」が遺言者へと渡されますので、正本と謄本を大切に保管しましょう。
不安な場合には専門家に相談を
公正証書遺言の作成は、司法書士などの専門家のサポートなしでも作成することができます。
しかし、手続き以外のこと(遺言の内容や相続税など)については公証人に相談することはできません。
遺言書の内容や相続税について相談したい場合には、私ども税理士や司法書士などの専門家にご相談ください。
私ども税理士にご依頼いただくことで、財産の把握や二次相続を含めたシミュレーションをサポートさせていただきます。
また、司法書士などの専門家と連携し、相続人の調査や公証人との打ち合わせ、証人の手配などにも対応させていただきますので、公正証書遺言の作成を検討されている場合はお気軽にご相談ください。
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