遺言をわかりやすく徹底解説!

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相続法

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この記事の執筆者:角田壮平

相続税専門である税理士法人トゥモローズの代表税理士。年間取り扱う相続案件は200件以上。税理士からの相続相談にも数多く対応しているプロが認める相続の専門家。謙虚に、素直に、誠実に、お客様の相続に最善を尽くします。

みなさんこんにちは!
相続専門の税理士法人トゥモローズの角田です。

今回は遺言についてわかりやすく徹底解説します。

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遺言の種類

1.自筆証書遺言

(1)自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、読んで字の如く自分で書いた遺言書のことです。
自筆証書遺言は形式面での要件を満たさないと法的効力が生じないため注意が必要です。
下記に詳しい要件を確認していきましょう。

(2)自筆証書遺言の4要件

自筆証書遺言の要件は下記の通りです。

①遺言の全文を自署すること(財産目録は自署しなくてもOK。ただし、余白に署名押印が必要)
②日付を自署していること
③氏名を自署していること
④押印があること

上記の1つでも欠けてしまうと無効となってしまいますので注意してください。

(3)自筆証書遺言の保管制度

令和2年7月10日から自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が開始されました。
この保管制度により、自筆証書遺言のデメリットである紛失や偽造が防止されたり、死亡後の検認が不要になったりとメリットが大きい制度となります。

遺言書保管制度について詳しく知りたい人は、法務局での遺言書保管制度をわかりやすく徹底解説を御覧ください。

(4)自筆証書遺言のメリット・デメリット

メリット デメリット
■いつでもどこでも作成できる
■公正証書遺言のような証人が不要
■費用がかからない
■遺言内容や遺言を作成したことを秘密にできる
■死亡後に発見されない可能性がある
■形式面の不備や内容の不備で無効になる可能性がある
■紛失や改ざんのおそれがある

2.公正証書遺言

(1)公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証役場において公証人に作成してもらう遺言です。
公証人とは、法律のプロで元裁判官や元検事が定年後になる職業です。
そのような公証人に作ってもらう遺言書なので内容面の不備はほぼあり得ません。

(2)公正証書遺言の5要件

公正証書遺言の要件は下記の通りです。

①証人2人以上の立会があること
②遺言の趣旨を遺言者が公証人に口述すること
③公証人が遺言の内容を遺言者及び証人に読み聞かせ、閲覧させること
④遺言者及び証人が遺言書に署名押印すること
⑤最後に公証人が署名押印すること

(3)公正証書遺言の証人とは

どんな人でも証人になれるわけではありません。
下記の人は証人になれないので注意してください。

■未成年者
■推定相続人
■推定相続人の配偶者
■推定相続人の直系血族
■受遺者
■受遺者の配偶者
■受遺者の直系血族
■公証人の配偶者、4親等内親族、書記及び使用人

(4)公正証書遺言の手数料

自筆証書遺言と異なり公正証書遺言を作成する場合には公証人に手数料を支払う必要があります。
公証人への手数料は下記を参照してください。

遺贈財産の価額 手数料
~100万円 5,000円
100万~200万円 7,000円
200万円~500万円 11,000円
500万円~1,000万円 17,000円
1,000万円~3,000万円 23,000円
3,000万円~5,000万円 29,000円
5,000万円~1億円 43,000円
1億円~3億円 43,000円+5,000万円ごとに13,000円
3億円~10億円 95,000円+5,000万円ごとに11,000円
10億円~ 249,000円+5,000万円ごとに8,000円

その他加算報酬もありますので詳しくは日本公証人連合会HPをご参照ください。

公正証書遺言のメリット・デメリット

メリット デメリット
■遺言が無効になる可能性がほぼない
■紛失や改ざんの心配がない
■死亡後に検認する必要がない
■文字が書けない人でも遺言できる
■費用がかかる
■証人が必要
■遺言の内容が秘密にできない

3.各遺言の比較

ここまで遺言の種類について確認してきましたが、自筆証書遺言、自筆証書遺言(保管制度)、公正証書遺言の三種類について比較しながら最終確認をしましょう。

自筆証書遺言 自筆証書遺言
(保管制度)
公正証書遺言
証人 不要 不要 2人必要
遺言の保管 遺言者 法務局 公証人役場
遺言の撤回 いつでもできる 法務局から返還 遺言を新たに作成し
撤回の意思表示
費用 かからない 法務局での保管費用
3,900円
公証人手数料
上記参照
死亡後の検認 必要 不要 不要
紛失・改ざん
の可能性
あり なし なし
遺言の検索 不可 可能 可能
法的効力の安全性 無効の可能性あり 形式面:有効
内容面:無効の可能性あり
形式面:有効
内容面:無効の可能性はほぼなし

遺言にできること

民法で定められている遺言事項は下記の通りです。

①認知
②未成年後見人、後見監督人の指定
③推定相続人の廃除と取消
④祖先の祭祀主催者の指定
⑤相続分の指定、指定の委託
⑥持ち戻しの免除意思表示
⑦遺産分割方法の指定、指定の委任、遺産分割の禁止
⑧遺言による担保責任の定め
⑨包括遺贈、特定遺贈
⑩遺言執行者の指定
⑪配偶者居住権の存続期間の指定
⑫遺贈侵害額の負担の定め
⑬財団法人の設立
⑭信託の設定
⑮保険金受取人の変更
⑯遺言の撤回

実務上特に重要なものをわかりやすく3つに分けると遺言にできることは下記の通りです。

1.相続人の増減
2.遺産の分け方
3.生命保険金の受取人の指定

一つ一つわかりやすく解説していきます。

1.相続人の増減

遺言で相続人を増やしたり減らしたりすることができます。

相続人を増やすとは

典型例で言えば、認知です。
認知とは戸籍上の子供でない人を子供と認めることです。
戸籍上の夫婦間の子でない愛人の子について遺言で認知することなどができます。

相続人を減らすとは

典型例で言えば、廃除です。
遺留分を有する推定相続人の廃除は遺言ですることができます。
遺留分を有しない推定相続人はそもそも遺贈しなければいいだけなので廃除の対象外です。
廃除とは、被相続人に対して虐待をし、若しくは重大な侮辱を加え、又はその他の著しい非行のあった推定相続人の相続権を失わせることで、常に認められるわけではなく家庭裁判所に認められた場合のみ効力が発生します。

2.遺産の分け方

遺言でできることのメインがこの「遺産の分け方」です。
遺産の分け方には下記の4つが存在します。

①相続分の指定
②遺産分割方法の指定
③遺贈
④遺産分割の禁止

それぞれの内容について確認していきましょう。

①相続分の指定

相続分の指定は、民法で定められた割合以外の割合を遺言で指定することです。
例えば、相続人が妻と長男の場合に相続分の指定をしないと遺産の取得割合は民法で定めた各50%となります。(もちろん、遺産分割でこの割合と異なる割合で取得することもできます)
それが遺言で相続分の指定をすることにより、妻に70%、長男に30%という分け方を実現することができるのです。
なお、相続分の指定は、遺産の取得割合を指定しただけであるため相続人は遺産分割協議をしなければなりません。
また、相続分の指定と特定財産承継遺言や包括遺贈とを明確に区分する必要がありますが、実務上、どっちなのか微妙なケースが多いです。 この辺の見極め方については後述します。

②遺産分割方法の指定

遺産分割方法の指定とは、4つの遺産分割方法(現物分割、代償分割、換価分割、共有分割)の中からどの方法で分割するかを指定する方法です。
これだけ聞くと遺産分割方法の指定ってあまり実務で出てこない方法なのかなと思うかもしれませんが、遺言実務の最右翼である「特定財産承継遺言(いわゆる、相続させる遺言)」はこの遺産分割方法の指定に分類されます。
特定財産承継遺言とは、特定の財産を特定の相続人に相続させる旨が記載された遺言のことです。
「遺贈する」と記載するよりも「相続させる」と記載したほうが相続登記のときの登録免許税が節約できたので相続させる遺言が流行りました。
ただし、平成15年4月1日以降は相続人に対する遺贈であれば相続させる遺言と登録免許税は同額となっています。
この特定財産承継遺言は、相続分の指定、特定遺贈、包括遺贈との違いを明確にしなければ適切な遺言実務はできません。
これらの比較についても後ほどまとめて解説します。

③遺贈

遺贈とは遺言者が遺産の全部又は一部を受遺者に与えるという処分行為です。
遺贈は相続人以外に遺産を渡したいときに使われることが大半です。
相続人に遺産を渡したいときは遺贈ではなく特定財産承継遺言とすることが多いでしょう。
遺贈には特定遺贈と包括遺贈があります。 特定遺贈とは遺贈の目的となる財産が特定されている遺贈をいいます。
包括遺贈とは遺産の一定割合を受遺者に与える遺贈をいいます。
実務上、特定遺贈なのか包括遺贈なのか悩ましいときが多々あります。
どちらなのかにより法務や税務の取り扱いが異なってくるため解釈が非常に重要となります。
この辺の詳しい説明は後述します。

④遺産分割の禁止

①~③とは少し趣が異なりますが、遺言にできることの遺産の分け方の論点の一つとして、相続開始から5年以内の遺産分割を禁止させることができます。
実務上はほぼ出てこないので詳細の説明は割愛します。

【遺産の分け方の各方法を比較して理解しましょう】

遺産の分け方について説明してきましたが、結局何だかよくわからない!って感想だと思います。
各方法を理解してもらうために以下に各方法の違いを検討してみたいと思います。
各方法を比較することで理解が深まることもあります。 それではいきましょう!

■特定財産承継遺言と特定遺贈

特定財産承継遺言と相続人に対する特定遺贈はほぼ同じ取り扱いです。
これに対し、特定財産承継遺言と相続人以外に対する遺贈は様々な面で大きな違いがあります。
詳しくは下記比較表を確認してください。

  特定財産承継遺言 特定遺贈
遺言の文例 〇〇を■へ相続させる 〇〇を■へ遺贈する
遺産取得者 相続人のみ 誰でも可能
所得税
準確定申告納税義務
あり 相続人:あり
相続人以外:なし
相続税
債務控除
可能 相続人:可能
相続人以外:不可
相続登記手続き 単独申請 受遺者と遺言執行者の共同申請
(遺言執行者がいない場合には
相続人全員との共同申請)
登記原因 相続 遺贈
相続登記の登録免許税 0.4% 相続人:0.4%
相続人以外:2%
不動産取得税 不課税 相続人:不課税
相続人以外:課税
第三者対抗要件 法定相続分を超える部分は登記をしなければ債権者に対抗できない 登記をしなければ債権者に対抗できない
賃貸人の承諾 不要 必要

■特定遺贈と包括遺贈(相続人以外)

特定遺贈と包括遺贈も明確に区分する必要があります。
実務上はどっちに該当するか悩ましい場合も多いです。
例えば、
「遺産金の8割を遺贈する」
と遺言書に記載があったらどのように解釈すべきでしょうか?
遺産金を現預金と考えるなら特定遺贈です。
これに対し、遺産金をすべての遺産と考えるなら包括遺贈となります。
このように遺言、特に自筆証書遺言の内容によっては判断が難しいケースがあるのです。
では、特定遺贈と包括遺贈ではどのような違いがあるのか確認していきましょう。
なお、下記はすべて相続人以外に対する遺贈という前提でまとめています。

  特定遺贈 包括遺贈
遺言の文例 A土地を甲へ遺贈する
B土地の1/2を乙へ遺贈する。
遺産の1/2を丙へ遺贈する
遺贈の放棄 いつでも可能 包括遺贈があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述
(相続放棄と同様の手続き)
所得税
準確定申告納税義務
なし あり
相続税
債務控除
不可 可能
相続登記の登録免許税 2% 2%
不動産取得税 課税 不課税
第三者対抗要件 登記をしなければ債権者
に対抗できない
登記をしなければ債権者
に対抗できない
賃貸人の承諾 必要 必要

■相続分の指定と相続人に対する包括遺贈

相続分の指定なのか、相続人に対する包括遺贈なのかにより受遺者の取り分が変わってくることがあります。
事例を使って検討してみましょう。

被相続人 父
相続人 長男、長女、二男
遺産 1億円の現金
遺言の内容 「二男に遺産の1/4を与える。」

この事例の場合、遺言の文言を相続分の指定と考えると二男がもらえる遺産は、1億円の1/4である2,500万円となります。
これに対し、包括遺贈と考えると遺産の1/4を追加で二男がもらえると考えるため、包括遺贈の対象でない7,500万円(1億円×3/4)のうち、二男の法定相続分である1,875万円(7,500万円×1/4)をまず取得し、それに追加して包括遺贈分の2,500万円を取得できるため二男の取り分は合計4,375万円となります。
相続分の指定と考えたら2,500万円で包括遺贈と考えたら4,375万円となるのです。
どちらの方法に該当するかで結果がこんなにも異なるのです。
遺言の解釈がいかに重要かがわかると思います。

■相続分の指定と特定財産承継遺言

この2つの関係を整理するのが一番難解です。
誤解を恐れず簡単に言うと、下記の通りです。

遺言内容がその者の法定相続分を上回る⇒相続分の指定を伴う特定財産承継遺言
遺言内容がその者の法定相続分を下回る⇒ただの特定財産承継遺言

なぜ、相続分の指定と特定財産承継遺言を明確に区分する必要があるかというと相続分の指定の場合には遺産分割協議が必要であり、特定財産承継遺言の場合には遺産分割協議を経ることなく相続人が遺産を取得できるためです。

3.生命保険金の受取人の指定

遺言に出来ることの3つ目は、生命保険金の受取人の指定です。
例えば、
「平成●年●月●日契約の甲生命保険相互会社における保険契約(証券番号******)の死亡保険金受取人を妻から長男に変更する。」
みたいな記載をすれば保険金の受取人を遺言で変更できるのです。

遺言の解釈

前述の通り、相続分の指定なのか包括遺贈なのか、特定財産承継遺言なのか特定遺贈なのか等、遺言をどのように解釈するかにより、法務、税務の取り扱いが異なってきます。
したがって、遺言の解釈というのは遺言実務において非常に重要です。
遺言の解釈の基本スタンスは、遺言者の真意の探究です。
具体的には、遺言書が複数の条項からなる場合には、特定の条項のみを他から切り離してその文言を形式的に解釈するのではなく、遺言書の他の文言との関連、遺言書作成当時の事情、遺言者の置かれていた状況等を考慮して遺言書の真意を探究すべきとされています。

遺留分

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限に認められている遺産を取得できる割合のことです。
遺留分の詳しい説明は、遺留分とは?  わかりやすく徹底解説!を参照してください。

遺言と相続税

遺言があった場合の相続税申告には留意すべき点が複数あります。
詳しくは、下記コラムを参照してください。
遺言がある場合の遺産分割や未分割申告
遺留分侵害額請求がされている場合の相続税申告をパターン別に徹底解説
遺言で寄付をすると相続税が非課税に!?(相続と寄付の関係 遺贈寄付編)

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