【遺言執行者への報酬はどのくらい?】遺言執行者への報酬の決め方を解説

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相続対策

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この記事の執筆者:大塚 英司

埼玉県所沢市出身、東日本税理士法人、EY 税理士法人を経て、税理士法人トゥモローズ代表社員就任。相続に関する案件は、最新情報を駆使しながらクライアント目線を貫き徹底的な最適化を実現します。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための相続手続きを行ってくれる大事な存在です。
遺言執行者には、未成年や破産者でない限り誰でもなることができ、弁護士や司法書士、税理士、行政書士などの専門家に依頼することもできます。

遺言執行者へは「報酬」が発生します。
この報酬は決まった金額があるのではなく「どの専門家に依頼するのか」「どのくらいの財産があるのか」などによって専門家との話し合いにより決定されます。

ここでは「遺言執行者への報酬の相場と報酬の決め方」について解説します。
遺言書の作成を検討されている方、遺言の内容を実現させたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

なお、遺言執行者の役割については「【遺言執行者が必要な場合はどんな時?】遺言執行者を選任するメリット」をご覧ください。

遺言の全体像を詳しく知りたい人は、遺言を書いて争族回避! 遺言書の作成方法、効力等をわかりやすく徹底解説!をご参照ください。

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遺言執行者への報酬は士業によって異なる

遺言執行者への報酬は士業によって異なります。また、同じ士業でも、事務所ごとに報酬規程があり、その報酬規程に準じて遺言執行者への報酬が決定されます。各士業のおおよその相場を見ていきましょう。

弁護士へ依頼する場合

相続人の間で争いや対立がある場合、中立な立場である弁護士を遺言執行者に指名することでトラブルを回避することができることもあり、弁護士へ依頼し遺言執行者になってもらうこともあります。

弁護士への報酬は2004年より自由化されており、弁護士事務所は各々で独自の報酬規程を持っています。
しかし、多くの弁護士事務所が2003年以前の弁護士会報酬基準規程により報酬を計算しています。

2003年以前の弁護士会報酬基準規程では「相続財産が3,000万円を超え3億円以下の場合については、相続財産の1%+24万円」となっております。
相続財産が3,000万円の場合は54万円、相続財産が3億円の場合は324万円になります。相続財産1億円で124万円が1つの目安になるでしょう。

司法書士へ依頼する場合

司法書士は、遺言書の作成や相続登記の専門家です。遺言書を作成する際に遺言執行者も併せておくと、相続が発生した場合に相続手続きを任せる司法書士を探す必要がなく、スムーズに相続手続きを進めることができます。

司法書士への報酬については、司法書士業界内で決まったものはなく、各司法書士事務所の報酬規程によって算出することになります。
司法書士事務所によって異なりますが「基本料金30万円+相続財産の0.25~1%」の範囲で設定しているところが多いようです。相続財産1億円の場合で100万円が目安になります。

行政書士に依頼する場合

行政書士の報酬も行政事務所ごとに異なりますが、一般的に他の士業よりも報酬が安くなる傾向があります。
報酬は基本報酬20~30万円+相続財産の0.5%ほどに設定されている行政書士事務所が多いようです。

士業以外が遺言執行者になる場合

遺言執行者は士業でなくてもなることができます。士業以外では、次の2つのケースが考えられます。

銀行や信託銀行に依頼する場合

銀行や信託銀行で「遺言信託」を利用している場合、申込みにより銀行や信託銀行などの金融機関を遺言執行者にすることができます。
金融機関を遺言執行者にした場合の報酬はプランによって異なり、大手銀行では基本報酬100万円+相続財産から100万円を控除した額の1.1%と基本報酬30万円+相続財産の1.8%(1億円以下の部分)などがあります。相続財産1億円の場合は約210万円になります。

また、遺言書を書き換える際には「変更取扱手数料」、遺言書の保管中には「年間保管料」が発生します。
一般的に、金融機関に遺言執行者を依頼する場合には士業の報酬よりも高額になります。金融機関が行う相続手続きについては、提携の士業に依頼する場合が多いため、費用を抑えるためには直接士業へ依頼した方がいいでしょう。

相続人が遺言執行者になる場合

基本的に、相続手続きは相続人全員で進めていきます。しかし、全員で相続手続きを進めていくよりも相続人の中から遺言執行者を決めて相続手続きを行った方がスムーズに相続手続きを進めることができます。
相続人が遺言執行をするため第三者のような遺言執行報酬は発生しません。
ただし、相続手続きに慣れている相続人は相当レアケースのため遺言執行手続きが適切に処理できない場合があるなどデメリットも多いです。

遺言執行者ごとの報酬相場とメリット・デメリットをまとめると下記の通りです。

遺言執行者への報酬の具体的な決め方

遺言執行者の報酬の決め方は「生前に決めておく方法」と「相続発生後に決める方法」があります。

生前に決めておく方法

生前に決めておく方法とは、遺言で遺言執行者の報酬額を定める方法です。遺言では、報酬の確定額を決める方法と遺産総額に割合を乗じる方法、依頼先の報酬規程で定める方法があります。遺言書への書き方は次のとおりです。

<確定額を決める方法>
第〇条 遺言執行者に対する報酬は、金〇〇万円とする。
<遺産総額に割合を乗じる方法>
第〇条 遺言執行者に対する報酬は、遺産総額の〇%とする。
<依頼先の報酬規程で定める方法>
第〇条 遺言執行者に対する報酬は、税理士法人〇〇の、報酬規定によるものとする。

相続発生後に決める方法

遺言書に遺言執行者の氏名のみで具体的な報酬金額を記載していない場合は、遺言執行者と相続人の話し合いで報酬額を決めることになります。
全員が納得しなければ報酬額が決まらないため、なかなか決まらずに相続手続きが先に進まなくなってしまうこともあります。

遺言執行者と相続人との協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所で報酬額を決定してもらうことになります。

家庭裁判所で決めてもらう方法

遺言執行者と相続人との協議で報酬額が決まらなかった場合、遺言執行者は家庭裁判所に「遺言執行者選任申立」を行います。
申立てを行うと、家庭裁判所は相続財産の規模や手続きの難易度などを総合的に判断し、報酬額の決定を行います。

遺言執行者への手付金は必要?

遺言執行者への報酬の支払いについてですが、遺言執行者は任務が完了した後でなければ報酬を受け取ることはできません。つまり、遺言執行者への手付金は必要ありません。遺言執行者が業務を途中でやめてしまった場合などは任務が完了していないので、報酬を受け取ることはできません。

ただし、相続放棄などで相続人がいなくなってしまった場合や相続人の都合により遺言執行者を解任された場合などは、遺言執行業務が完了した部分の報酬を受け取ることができます。

報酬の原資については、相続財産の中から支払う方法が一般的です。

遺言執行者は相続人を助ける存在

「報酬を支払ってまで遺言執行者は必要なのか?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、遺言執行者を専門家に依頼していれば、相続人自信で煩雑な相続手続きを行わなくてもよく、スムーズに相続手続きを終えることが可能です。
相続人にとっては、相続財産をいち早く取得することができ、相続でもめることも少なくなります。遺言執行者は相続人を助ける存在ですので、遺言書を作成する場合には、遺言執行者の指名を検討してみましょう。

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